殺人展示室

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種別
長編
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あらすじ

2005年02月17日 殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

殺人は、それが起きた時代を象徴する―風光明媚なハムステッド・ヒースに建つ私設のデュペイン博物館は、有名な殺人事件の数々をあつかうユニークな展示で知られていた。その博物館で、実際に事件が起きた。運営理事で創立者の息子であるネヴィルが車ごと焼き殺されたのだ。その状況は1930年に起きた自動車炎上殺人事件に奇妙なくらい酷似していた。おりしも、博物館は創立者の遺言条項により、存続の危機を迎えている。有名事件の模倣犯罪か、それとも館の相続にかかわる事件なのか?ダルグリッシュが捜査を進めるさなか、第二の殺人が。(「BOOK」データベースより)

評判

殺人展示室の評価:

8.00/10点 レビュー 1件。 B ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点8.00pt

殺人展示室の総合評価:

8.00/10点 レビュー 6件。

感想一覧

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Amazonレビュー

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.5
(3pt)

殺人をテーマにした博物館が舞台なのに、なんたることか普通小説

殺人をテーマにした個人設立の博物館、そこでは過去の著名な犯罪で使われた道具だの凶器だのが展示されており、そこでその犯罪史上著名な殺人を模したような形で起こる殺人が…

 と、いう道具立てがこの小説の本筋なのだが、この作品で何作目かのジェイムズ作品読書体験となる筆者は、当初から感じていた感想がますます強化されてきた。
 P・D・ジェイムズは、ミステリ小説としてではなく、普通小説として読んだ方がわかりやすい。
 それぐらいミステリ以外の人間観察(イギリス式ユーモアをまぶしてあります)、自然描写、心理分析が展開される。
 「アガサ・クリスティを継ぐイギリスミステリの新・女王!」という宣伝惹句がなければ筆者、ジェイムズを読むことはなかったので、ミステリは必要不可欠の要素だが、これまたじつは女王様にとんでもないことをいう様だが、ジェイムズはあまりミステリとしては巧緻ではないと思う。

 詭弁…推理小説最後の10ページ

 と、筒井康隆「乱調文学大辞典」にある。
 これほど忠実に筒井式を踏襲するわけではないにしろ、ジェイムズのミステリは、ダルグリッシュの直観で行間を読み、文脈を見出して犯罪の真相を読む体のストーリーが多い。
 緻密な時刻表的プログラムを作る著者だったら、もっと厳密な犯行をさせるだろうし、ジェイムズ本人ですら、その行間の読み方によってはまったく違う犯罪と犯人を構築できたのではないか、というスキマというか解釈の余地があるのではなかろうか。
 もちろん白痴を誇る筆者、ふんふんなるほどと唸りながら「詭弁」に引き込まれるのであるが、もしかしたら厳密なミステリファンであったら一番大事にするであろうその謎解きは、ジェイムズにおいてはその犯人の背後に潜む背景の書き込みの前には「まあ、ミステリですので犯人と謎は必要ですわよね」的に表面的に操作されてしまいそうな感じがある。
 そのけしからぬ印象を強化するのは(ミステリ部分にはまったく関係しませんが)登場人物の一人が主催する大人のいけない交際クラブで、ジェイムズ作品にはこうした婚姻外の乱交的関係が(全作品ではないが)頻発する。
 濃厚、かつしっかりと個人の快楽を充実させる肉体関係が人生では重要、いや不可欠、と考えていたのではないか、と思わせるほどのもので、P・D・ジェイムズにおけるセックスの位置づけ、というものは誰か定義解明した論客はいらっしゃらないだろうか?
 そうした関係性もまた英国式の皮肉と観察をもって詳細に記述されるのだが、この肉食的なセックス観念は普通小説としてもかなり異質なものである。
 それはそれとして楽しめましたので(念のため…大人向けの官能小説的な内容は一切ありません。ジェイムズが問題にするのはそうした関係がもたらす人生の多様性にあり、行為の描写は全くありませんのでご安心ください。或いはそうしたご関心をお持ちの向きは、そちらを専門に管轄する作品をお求めください)ますます普通のイギリスの現代小説を読む、とまあこういう感じで通読しました。
 内容は、結末で我らが主人公アダム・ダルグリッシュに熱愛スクープ!?の気配があり、作品の中身で取り上げられていた交際クラブとまことに対照的で、ジェイムズはその対比をするためにこの展開を持ってきたのかしら、と思うとイギリス式のユーモアはいよよ冴えわたるような気がするのであるが…(読みすぎかしら)
 そういう意味でも、面白かったです。
 普通の小説として楽しみましたが、小説そのものとしては大傑作「死の味」にはとても及ばず、なので普通小説としても、ミステリとしても、そんなにも突出していたか・・と言われるとイマイチかなあ?でしたので★は三つに致します。もちろん読んで面白かったですけれども。
殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150017662
No.4
(3pt)

もしかして、普通小説

殺人をテーマにした個人設立の博物館、そこでは過去の著名な犯罪で使われた道具だの凶器だのが展示されており、そこでその犯罪史上著名な殺人を模したような形で起こる殺人が…

 と、いう道具立てがこの小説の本筋なのだが、この作品で何作目かのジェイムズ作品読書体験となる筆者は、当初から感じていた感想がますます強化されてきた。
 P・D・ジェイムズは、ミステリ小説としてではなく、普通小説として読んだ方がわかりやすい。それぐらいミステリ以外の人間観察(イギリス式ユーモアをまぶしてあります)、自然描写、心理分析が展開されるので、確かに「アガサ・クリスティを継ぐイギリスミステリの新・女王!」という宣伝惹句がなければ筆者、ジェイムズを読むことはなかったので、ミステリは必要不可欠のスパイス要素なのだが、これまたじつは女王様にとんでもないことをいう様だが、ジェイムズはあまりミステリとしては巧緻ではないと思う。

 詭弁…推理小説最後の10ページ

 と、筒井康隆「乱調文学大辞典」にあるが、これほど筒井式ではないにしろ、ジェイムズのミステリは、ダルグリッシュの直観で行間を読み、文脈を見出して犯罪の真相を読む体のストーリーが多いので、もしかしなくても、もっと緻密な時刻表的プログラムを作る著者だったら、もっと厳密な犯行をさせるだろうし、ジェイムズ本人ですら、その行間の読み方によってはまったく違う犯罪と犯人を構築できたのではないか、というある種のスキマというか解釈の余地が見受けられる。
 もちろん白痴を誇る筆者、ふんふんなるほどと唸りながら「詭弁」に引き込まれるのであるが、もしかしたら厳密なミステリファンであったら一番大事にするであろうその謎解きは、ジェイムズにおいてはその犯人の背後に潜む背景の書き込みの前には「まあ、ミステリですので犯人と謎は必要ですわよね」的にけっこう表面的に操作されてしまいそうな感じがある。
 今回、そのけしからぬ印象を強化するのは(ミステリ部分にはまったく関係しませんが)登場人物の一人が主催する大人のいけない交際クラブで、ジェイムズ作品にはこうした婚姻外の乱交的関係が(全作品ではないが)頻発する。
 人生では濃厚かつ具体的肉体関係が重要、と考えていたのではないか、と思わせるものがあり、そうした関係性もまた英国式の皮肉と観察をもって詳細に記述されるのだが、この肉食的なセックス観念は普通小説としてもかなり異質なものである。
 なので…それはそれとして楽しめましたので(念のため…大人向け官能小説的な内容は一切ありません。ジェイムズが問題にするのはそうした関係がもたらす人生の多様性にあり、行為の描写は全くありませんのでご安心…またはそうしたニーズをお持ちの向きは、専門の作品をお求めください)ますます普通のイギリスの現代小説を読む、とまあこういう感じで通読しました。
 内容は、結末で我らが主人公アダム・ダルグリッシュに熱愛スクープ!?の気配があり、作品の中身で取り上げられていた交際クラブとまことに対照的で、ジェイムズはその対比をするためにこの展開を持ってきたのかしら、と思うとイギリス式のユーモアはいよよ冴えわたるような気がするのであるが…(読みすぎかしら)
 そういう意味でも、まことに面白かったです
殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150017662
No.3
(3pt)

犯人の妄執的動機が、ただただ不快。また、上流階級の退廃というのにも、目新しさは感じられない

元々ジェイムズの作品には、後味の悪いものが多いのですが、
その中でも特にという感じ。上流階級の退廃というようなものも、ありきたりな感じがしてしまいました。別にこの作者の作品でなくても、あまりにもよく見るモチーフだなと思って。しかし、これが評判が高いそうで、上流階級の退廃とか妄執愛とかって、みんな好きなテーマなんでしょうか?
被害者達も、生前けして幸せとは言えないような人物達ばかりだったというのが、よけいやりきれなさが強い。自分と他人の境界がなさ過ぎだよ、いいかげん、こういう何回忠告しても、結局現状を変えられないで、刻々と事態が悪化していくのにも関わらず、手をこまねいたまま、現状を維持する事しか
できないタイプの人間となんて、いいかげん距離を置いたらと、歯がゆく思ってしまうような、
人物もいたし。(それでおよそこの手の人々は、忠告の数々を結局何一つ
実行しようとしないで、いつまでも同じ相談ばかりを繰り返り、けして次の段階に進めない。)
殺人の動機も、犯人の妄執的動機なので、ただただ不快感だけが残った。
また、犯人の妄執愛の対象が、これまた私があまり好きになれないタイプの人物という事もあり。
それから、作中で展開される、残された人物に与える苦しみから考え、自殺は攻撃行動の一種というのには、賛同する所がある。
私も、以前から、ただ自殺者というだけで無条件に同情されるべきのような、
タリーのような意見には賛同し難いものがあり、ネヴィルの意見の方に、賛同する所があった。
確かに、このように、何でも感情で考えるタリーのような人にとっては、厳しいと感じられる見方なのかも知れませんが。
しかし、現実を見てみると、絶望だけが理由ではなく、
どう見ても、周囲の人間に対して、大きな苦痛を与える復讐の意図を持って自殺したとしか
思えないケースも、しばしば見られるように思う。
今回、全体的に好きになれない人物ばかりだったのも、
辛かった。このタリーも、私からすると、人が良過ぎて、むしろイライラしてしまう程だったので。
このように、私としては、あまりいいと思えない作品でした。「死の味」は、いいと思ったのにな。
ただ、この巻で、どんなハードな状況に置かれても、毅然とし、冷静さを失わないケイトが、
ある場面において、珍しく赤くなる所が、可愛かった。また、火事のエピソードで、彼女が気丈なだけでなく、脆い所も持った女性である所も描かれ、今回も、そんな彼女に対するダルグリッシュの
優しさが垣間見えたのに、前巻からの新たな女性エマの登場で、決定的な感じのダルグリッシュの
発言などもあり、このままだとダルグリッシュとケイトの方は、残念な事に
なりそうで、よけい読後に気が沈みましたね。
殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150017662
No.2
(3pt)

犯人の妄執的動機が、ただただ不快。また、上流階級の退廃というのにも、目新しさは感じら

元々ジェイムズの作品には、後味の悪いものが多いのですが、
その中でも特にという感じ。上流階級の退廃というようなものも、ありきたりな感じがしてしまいました。別にこの作者の作品でなくても、あまりにもよく見るモチーフだなと思って。しかし、これが評判が高いそうで、上流階級の退廃とか妄執愛とかって、みんな好きなテーマなんでしょうか?
被害者達も、生前けして幸せとは言えないような人物達ばかりだったというのが、よけいやりきれなさが強い。自分と他人の境界がなさ過ぎだよ、いいかげん、こういう何回忠告しても、結局現状を変えられないで、刻々と事態が悪化していくのにも関わらず、手をこまねいたまま、現状を維持する事しか
できないタイプの人間となんて、いいかげん距離を置いたらと、歯がゆく思ってしまうような、
人物もいたし。(それでおよそこの手の人々は、忠告の数々を結局何一つ
実行しようとしないで、いつまでも同じ相談ばかりを繰り返り、けして次の段階に進めない。)
殺人の動機も、犯人の妄執的動機なので、ただただ不快感だけが残った。
また、犯人の妄執愛の対象が、これまた私があまり好きになれないタイプの人物という事もあり。
それから、作中で展開される、残された人物に与える苦しみから考え、自殺は攻撃行動の一種というのには、賛同する所がある。
私も、以前から、ただ自殺者というだけで無条件に同情されるべきのような、
タリーのような意見には賛同し難いものがあり、ネヴィルの意見の方に、賛同する所があった。
確かに、このように、何でも感情で考えるタリーのような人にとっては、厳しいと感じられる見方なのかも知れませんが。
しかし、現実を見てみると、絶望だけが理由ではなく、
どう見ても、周囲の人間に対して、大きな苦痛を与える復讐の意図を持って自殺したとしか
思えないケースも、しばしば見られるように思う。
今回、全体的に好きになれない人物ばかりだったのも、
辛かった。このタリーも、私からすると、人が良過ぎて、むしろイライラしてしまう程だったので。
このように、私としては、あまりいいと思えない作品でした。「死の味」は、いいと思ったのにな。
ただ、この巻で、どんなハードな状況に置かれても、毅然とし、冷静さを失わないケイトが、
ある場面において、珍しく赤くなる所が、可愛かった。また、火事のエピソードで、彼女が気丈なだけでなく、脆い所も持った女性である所も描かれ、今回も、そんな彼女に対するダルグリッシュの
優しさが垣間見えたのに、前巻からの新たな女性エマの登場で、決定的な感じのダルグリッシュの
発言などもあり、このままだとダルグリッシュとケイトの方は、残念な事に
なりそうで、よけい読後に気が沈みましたね。
殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150017662
No.1
(4pt)

P .D. ジェイムズ健在

本書の舞台は小さな博物館。個人的な趣味から博物館を開いた創立者マックス・デュペインの後を継ぎ、三人の子供が理事をつとめているのですが、どうも仲が良くないらしい。そしてある日、理事の一人が車の中で焼死体となって発見されるというショッキングな事件が発生します。その状況は過去に起きた殺人事件と酷似していました。ダルグリッシュが捜査を進めるなか、再び殺人が! 傑作推理小説『策謀と欲望』『死の味』などで知られる英国ミステリー界の重鎮が82歳を迎えて書いた小説ですが、P .D. ジェイムズの筆致とエネルギーは健在です。
殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) Amazon書評・レビュー: 殺人展示室 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)より
4150017662

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