ミステリの感想 新着順

新着レビューを50件づつ、3ヵ月前まで表示

全60件 1〜50 1/2ページ
5pt
6pt

街角ハルシネーション 探偵AIのリアル・ディープラーニングの感想

  ()

ひさびさの探偵AIシリーズ。AIが現実世界で使われるようになった今、そのAIを題材として、ちゃんとした本格ミステリに仕上げているシリーズの作風が凄いなと思います。今回もしっかりとした本格ミステリでした。今回の題材は画像生成AIです。写真家が撮影した一枚の風景写真に、どう考えてもAIで生成されたとしか思えない光景が写っている。6本指のウェイトレス、スパゲティを両手でつかむ客、そして奇妙な転び方をした男。画像生成AIでよく耳にする「指をうまく描けない」「食事をする姿を描けない」といった問題点が、そのまま現実の風景として現れたような写真でした。ところが、AIの判定では、それは現実の風景を写した写真だという。では、この写真に写っている奇妙な光景は何なのか。そこから写真の調査に乗り出すという始まりです。AIが作った偽物の中から不自然な部分を見つけるのではなく、「AIが作ったようにしか見えない現実」をどう説明するのか。この発想の反転が面白く、画像生成AIという題材を単なる流行のネタで終わらせず、きちんと本格ミステリの謎にしているところが本作ならではの魅力がありました。一見するとあり得ない光景に現実的な解答を与えていく展開は、どことなく昔の島田荘司作品を思わせます。奇想から始まりながら、最後には現実の側へ着地させる。その構造からも、本格ミステリへの愛を感じました。ただ、ここ最近のシリーズにあった大掛かりな仕掛けや奇想と比べると、今回はずいぶん小さくまとまった印象です。真相へ近づいていく過程にも、もう一段階くらい驚きが欲しかったところ。せっかく魅力的な謎なのに、その答えがさらっと明かされてしまい、十分に味わう前に終わってしまったような物足りなさが残りました。とはいえ、AIをめぐる新しい題材から、また本格ミステリの謎を作ってみせる。そんな探偵AIシリーズの健在ぶりを確認できたことが、何より嬉しかったです。

5pt
6pt
5pt
5pt
6pt

全編にわたり不快指数が高い、、、けど圧倒的リーダビリティで読ませる本

  ()

評判は以前から耳にしていて楽しみにしていました。一つは、ユーチューブで、ドンデン返しやイヤミスの代表として紹介されていたこと。そして母から、読んで後悔したと言われたこと。帯にも9億人が騙されたと宣伝文句があり、読み始めた時期も夏真っ盛りで、タイミングも相まって楽しみにしていました。いろいろな要素がミックスした作品です。死亡した少年が転生したというSF要素から始まり、犯人と目する人物と対峙するサスペンス要素、死体消失から始まるミステリ要素。だけでなく、毒親や性的虐待、犬猫の無残な死骸など、容赦ない描写が数々描かれます。表紙のような爽やかな初夏ではなく、湿度の高い不快な夏のような作品です。読みやすい文体に、緊張感のある描写など、読書入門者に向いてるでしょう。けれど前述した内容のとおり、人に勧められる作品ではないです。ミステリとしてフェアじゃない気もしました。伏線はあるにはありますが、それに気づく人はいないと思います。核心を言えば、人物誤認のトリックなのですが、これを言っても見抜ける人はいないでしょう。主人公の行動の不可解さもあり、減点して☆6としました。記憶に残る作品でありました。(何気に、S君の書いた『悪い王様』という作中作がかなり好きな内容でした。)

6pt
5pt
5pt
5pt
6pt
6pt
6pt
4pt
5pt
5pt

女性刑事の思考と行動が評価を大きく下げる

  ()

本書は二つの視点が交互に切り替わっていく構成です。一つは、死刑判決を言い渡された浅沼聖悟が法廷で表現した「最後の一件の犯行は俺じゃない」という言葉を信じ、女性刑事が単独捜査するもの。もう一つは視聴回数の少ない陰キャ中学生ユーチューバーが、配信者仲間と共に死体を捜すというものです。プロローグ、女性が変質者から命を狙われ、追い詰められたときに「俺はお前の旦那に殺害を依頼された」という台詞があり、被害者の夫は犯人なのかが本書における一番の謎となっています。ユーチューバー視点での物語の進め方は上手だと思いました。陰キャ特有のネガティブな感情はリアルだし、家庭に蟠りがあって内緒で仲間と死体捜しをするという、冒険小説的内容となっています。一方で、女性刑事の視点は正直不要だったと思います。途中、命を狙われるシーンがあるのですが読み返してみれば物語解決に意味はなく、遺族に、じつは死刑判決を言い渡された男が犯人でないと思ってるなんて言わないだろうし、被害者の夫に直接疑惑をぶつけたりしていて印象が悪かったです。おまけに、被害者の夫に対して、妻が家事に専念するという家庭事情について、時代錯誤だと食ってかかるシーンがあり、意味不明でした。総じて見れば、ミステリー的仕掛けがありましたが、ミスリードの強引さや、女性刑事に対するマイナス評価、相変わらずのカビの生えたような使い古しの比喩表現(血で染めたような赤い夕日など)を諸々勘案し、☆5としました。

5pt
5pt
6pt
4pt
5pt
6pt
6pt
6pt
6pt
5pt
5pt
6pt
6pt
5pt
5pt
6pt
5pt
5pt
5pt
6pt
6pt
6pt
4pt

設定に少し無理がある

  ()

マリアと漣シリーズ3作目。前作を読んでからしばらく間がありましたが楽しく読めました。シリーズならでは、過去作のキーワードが出たりしていて、ファンサービスが感じられます。一種奇妙な少女と男性との出会い、直後の爆発の描写から始まります。少女は言葉足らずで世間のことを知らない様子で、興味を湧かせる始まりで好印象でした。そこから日は流れ、マリアと漣の捜査官コンビが富豪・ヒューの所有する高層タワーを訪れます。容疑は稀少動物を購入したというもので、二人は別行動しながら情報を求めていきます。一方、ヒューに招かれた男女が建物に囚われ、一人ずつ殺されていく描写。大きく分けて二つのシーンが交互に展開されていにます。それから重要なのはキーワード・グラスバード。ヒューのコレクションであるグラスバードを目の当たりにした人は、皆心を奪われます。犯人が誰であるかを推理すると同時に、人々を魅了するグラスバードの正体を探るのが物語のメインとなります。かなり好印象な内容に感じられました。前述したファンサービス、命を狙われるという恐怖心の描写、とあるミスリード、、、。ところが解決パートはいただけなかったです。結果として本書における死亡者は激増し、極めつけはラスト。登場人物の死亡をみすみす許したマリアと漣の無力っぷりに呆れ果ててしまいました。事件の解明パートも強引に感じられマイナス評価でした。もう一つのミスリード(こちらはグラスバードの正体に関係します)も、薄々察することができます。ミステリ小説に目の肥えていなくても大半の方は容易に推測できるでしょう。いかにも地頭の良い人が書いたという内容で、少し小難しいきらいがあったのもあり☆4としました。内容は忘れましたが前作よりはおもしろかった印象です。

5pt
5pt
6pt
6pt
6pt
6pt
5pt
4pt
5pt
5pt