少年検閲官
※以下のグループに登録されています。
【この小説が収録されている参考書籍】 |
■報告関係 ※気になる点がありましたらお知らせください。 |
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
■スポンサードリンク
サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
書物が駆逐された特殊な世界でのミステリ。 | ||||
| ||||
|
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大ネタのために世界をひとつまるごと構築するその発想力、相変わらず見事。書物が禁じられたディストピアという設定を十全に生かしてすべての伏線が美しく回収されていくミステリ部分は、作者お得意の物理トリックもふんだんに盛り込まれていて素晴らしい。特に、拾ってきた「少女」を「折りたたんで」鞄に詰める少年のエピソードのミスディレクションは、真相が明かされたときには完全に脱帽。さすがだ。 しかしミステリ以外の部分の手つきの悪さも相変わらず。 《ミステリ》《探偵》《ガジェット》がどうのこうのという設定や、音楽家先生などの妙に軽い会話は世界観を不必要にペラく見せてしまっている。ミステリ作家としては一流だが小説家としてはかなり下手、というのは新本格以降のミステリ作家によく向けられる批判なのだが、北山猛邦の場合はその下手さがミステリ部分を侵食するほどで見過ごせないのが困ったところで、いまいちブレイクできないのも多分このせいだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2007年に出た単行本の文庫化。 「少年検閲官」シリーズの第1弾。 津波や洪水で国々が浸食され、また書物がいっさい禁止されたというパラレルワールドを舞台とした長編ミステリだ。 ディストピア的な世界であり、なおかつ舞台はそのなかでも閉鎖的な町に設定されている。しかも、そこで大量殺人が起こるのである。読んでいて陰鬱になるようなストーリーだったが、ラストにいたってその世界設定と真相とがまさに不可分であることがわかり、衝撃的だ。 いろいろと疑問も残るものの、読んでおくべき一冊だろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
おもしろくなるまで時間がかかりましたが、読み終わると楽しかった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
書物が失われた特殊な世界,さらにはホラーやダークファンタジにも似たその雰囲気は, ミステリとされながらもその雰囲気が見えず,特にはじまりのうちは戸惑いもしましたが, 書物を,ミステリを追い求める少年と同じく,次第に奥へと引き込まれていくのを感じます. このどこかに迷い込んだような感覚は,以降も中盤を過ぎるあたりまで続くのですが, 起きる事件,そしてこの世界の秘密が語られる,ミステリで言うところの解決パートは, 特殊な環境下だからこその部分はあるものの,きわめてオーソドックスなミステリのそれ. ミステリを形成するさまざまな要素を,目に見えるアイテムとして扱うのもおもしろく, 世界観を生かした話運びや伏線など,すべてが畳まれ,一つの『理由』に帰結する様子は, 読み手に問い掛け,常に考えることを促す流れだったこともあり,気持ちの良さを覚えます. また,エピローグから予感される『近い未来』は,必ずしも明るいものではありませんが, どこか穏やかささえ漂うのが印象的で,出会ったばかり二人の少年がどう変わっていくのか, まだまだ秘密がありそうな世界の成り行きも併せて,予定されている続刊に期待が膨らみます. なお,初出は07年01月の単行本.当時の情報ではありますが,三話まで続く予定とのことです. (参考) 北山猛邦『少年検閲官』[2007年1月]|ここだけのあとがき|Webミステリーズ! http://www.webmysteries.jp/afterword/kitayama0701.html | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読んでみて、面白かったです。ただ、純粋にミステリーとしての評価だけを考えると、それほど際立ったものではない気がします。 伏線があって、謎解きがあって、というミステリの流れは、なめらかに整然としているものの、あざやかな推理の妙がある、というタイプの小説では、ない気がします。 けれどその謎解き場面は、「ミステリー」として読めばありきたりかもしれないけれど、「幻想小説」として読めば、ものすごいのじゃないか、と思いました。だから、この話の面白さは、「ミステリ」としての面白さではないのでしょう。(たとえ、どんなに「ミステリ」の要素が完全に溶け合って、この物語の深い基盤になっているにしても。) また、この作家の小説には、ときおり「累々たる死体の描写」が出てきます。 そこには、ただの扇情ではない、この作家がどうしても避けて通ることができないような、宿業めいた緊張感がみなぎっているのですが、 この「少年検閲官」にも、この作家のそういう側面は、くっきりとあらわれていると思います。 (死体なんか、本当は書きたくはない、でもどうしても書かずにはいられない、という気持ちが作者の内面にあるような、印象を受けます。) そしてその負荷が、この物語では必ずしも「悲観」には向かわないで、どこかに可能性が残されている結末へと導かれています。(この後味を、気持ち悪く感じるか、鬼火のような輝きととるかで、読者の嗜好がわかれるのでしょう。私は個人的に好きなのですが、ひろくおすすめできるかというと、やっぱりちょっと…) ところで、この本の表紙絵を描いている画家のかたは、本当に、この作家さんに、合っているのでしょうか? この小説には確かに、「童話のようなナイーヴさ」の側面もあり、それがこの画家さんの画風に通じてもいるのですが、たとえば、「この表紙にひかれて」この本を買った人が、「なんだか思ったのと違う中身だった」と感じることも、あるのじゃないかという気がするのです。 むしろこの本の扉絵では、この小説に描かれている「異世界」、たとえば「焚書」の背景とか、箱庭のような町とか、海水面の上昇の「水害の時代」とかの要素を、なにかしらの雰囲気で表現するタイプの画家さんを起用したほうが、購読者に「作品の性格」が伝わる気がします。 | ||||
| ||||
|
その他、Amazon書評・レビューが 11件あります。
Amazon書評・レビューを見る
■スポンサードリンク
|
|