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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数738件
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あの世の喫茶店が舞台のライトミステリ。
死んだ魂が生まれ変わる前に訪れる来世喫茶店。大事な思い出、最後に会いたい人、生まれ変わる前のちょっとした相談、イケメン店主のマスターがいれる珈琲を飲みながら当時を振り返るという流れ。お客様の話を聞いていると、ふとした疑問や勘違いが発覚し、実はこういう事だったんじゃないかと謎が解き明かされる構成。バー/喫茶店もののミステリです。 大きな驚きや仕掛けは無いですが、出版レーベルのターゲットを考えると適した雰囲気や内容ですし、話も読みやすいので楽しめました。最後の章に至ってはそれまでのエピソードの繋がりを感じ、丁寧に役割や小道具を考えられている作りだったと感じます。女子小中高生でライトミステリをお探しの方にはオススメ。 一応の気になる読後感として、結末はハッピーエンド模様で終わってますが、主人公と家族の今後を考えると素直に喜べないのが本音でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイムリープ。人生やり直しもの。
17歳の男子高校生の主人公が爆発事件に巻き込まれてしまう。死の直前の世界で、7年前に戻りそれから7年間で全ての"奇跡の欠片"を集める事が出来たら生き残れるというゲームが提示される流れ。 記憶を保ったまま10歳の小学生からやり直す作品ではありますが、俺つえぇ系の知識をひけらかす内容ではなく、子供心として、あの時ああしていれば良かった、勇気が足りなかった、という後悔を改善して行動に移す姿を表現した作品に感じました。 読後に感じた事なのですが、この本は著者の後悔や願望なのでは?と思いました。 外国からきた金髪の女の子、趣味が通じる女の子、近所の年上のお姉さん、その時々に正しい選択をした事で仲良くなっていくのですが、何となく心境というか結果の盛り上がりの雰囲気から著者の昔の後悔や願望を感じた次第です。タイムループや死の回避の話の影は薄く、女の子との日常の楽しさの方がよく描かれており、恋愛ものゲームのフラグ回収のような感覚も受けた次第です。著者あとがきにソフィアのモデルがいましたとあったので、子供の頃の気になった人を投影したのかなと感じます。 悪い印象などの不快感はないのでサラッと読めますが、物語よりも著者の願望を強く感じた印象で、好みとしてはこの点数で。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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うあー。久々にやられました。
最後の1ページの高揚感が凄まじかったです。 実はこの系統の作品は個人的に大好物なのです。ただしこの系統と呼ばれる要素はミステリにおいてネタバレ扱いな為、世の中調べる事ができません。なので中々出会えない部類の作品なのです。そういう意味で出会えた事に興奮しました。☆8+1(好み補正)。 手に取った切っ掛けは、最後の1文が凄いという評判からです。著者の作品は個人的に苦手なイヤミスで敬遠していました。読んでみるとやはりその印象に近く、明るく華やかという印象はなく、どこか淡々と不安になるような足運びで物語が展開します。ただ、結末はどうなるのだろう。この物語の終着点は何になるのだろう?と先に進み辛い不安と早く知りたい気持ちの複雑な心境の中での一気読みでした。そして最後そうきたかと。。これは最後の1文が優れているのではなく、この結末を最初に決めてあり、そうなる為の事前の物語の構築が巧いのだと感じました。 本書の作り方で巧いと思うのはミステリの事件模様でのドキドキ感は全くなく、登場人物達の内面から発する不安というか後ろめたさというか、そういう心理的なドキドキ感を読者に与えている事。読者への刺激の与え方が巧く、魅せたい所と隠したい所の表現がかなり優れており、分かりやすい言葉ではミスリード・伏線が凄い・そういう事に気づかされた読後感でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイトルから感じるミステリ系の探偵ものではなく、個人的にイメージするザ・ラノベを感じる作品でした。
既に死んでしまっている探偵、能力者たち、モンスターのような化け物とのバトル、といった具合に、ラノベ・アニメ系のテイストを混ぜ込んだ作品であり、根底となる本筋は、探偵の女の子と過去に関わりがあると思われる主人公の男の子の青春もの。多ジャンルを混ぜ込んだ作品です。 作品自体は良く出来ており、読み辛さもなかったのですが、個人的な好みの問題でこの点数で。 序盤は惹き込まれましたが、その後はあまり好みではありませんでした。主人公とヒロインとの関係についても、死んでしまっているシエスタに思い続ける主人公の様子に共感が得られずです。ヒロインと感じる夏凪渚がサブに追いやられて可哀そうな感想でした。ちゃんと夏凪渚とシエスタとの意思を描いているので、夏凪渚本人は可哀そうではないのは分かっているのですが、ただのイタコのようにも感じてしまい、ここの所が好みに合わないきっかけになったかもしれません。 多ジャンルを混ぜた作品として整っていますが、他にはないこの作品ならではの尖った要素が1つあればもっと良かったと思いました。 |
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スパイ小説×ライトノベル。キャッチフレーズとなったキーワードは『騙し合い』。
『このライトノベルがすごい2021』の上位に掲載されており、内容が気になったので手に取りました。 読書前に期待していた『騙し』の要素はきちんとあり、ミステリを読みなれていない層には巧くいくと思われる……。歯切れが悪いのは、それをする為に物語を楽しむ要素が犠牲になっている点が多いと感じられた事です。詳しくはネタバレ側で。 ライトノベルとしてのキャラクター性はどうかというと、本書の表紙のリリィと先生の2キャラぐらいしか魅力がないと思いました。2巻、3巻と巻数を重ねる毎に一人一人にスポットが当てられていく構成だと思われます。なので本書単体で見ると各人の能力も未知数のままですし、主人公の能力が何かキーになるかというとそうでもない為、特定のキャラに魅力を持つという事が難しい状況でした。印象に残ったのは、最強な先生との駆け引きと、ドタバタのスパイ教室ぐらいな次第。 スパイ小説とはいえ、ライトノベルの雰囲気の明るさ・軽さで読みやすいのは好感。 ただ本格的なスパイ小説を読む方には非常に物足りなく感じるので、仕掛けにしても濃い一発が何か欲しいと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著者初読み。物凄く惹き込まれた作品でした。
作品単体が凄いのか、著者の他の作品もこのクオリティなのか未知ですが、場や人物の情景が頭に浮かぶ素晴らしい地の文でした。あらすじから感じる内容は、苦手意識を感じる古めかしく難しそうな内容だったのですが、読んでみたらスルスル頭に入り、先が気になる一気読みの面白さでした。 物語は孤児の主人公が古くからの伝統風習を重んじる名家の養子になる所から始まります。読みやすいと感じるのが、主人公と読者の状況不明の感覚がシンクロした構成である事。名家に入り、そこで出会う人物、風習、仕来り、役目、といった情報と理解が、主人公を通して徐々に把握していく為、複雑な背景でも楽しむ事ができました。 ミステリというよりオリジナルの物語を楽しむ事に趣があります。ただ、あの時何が起きたのか、町で何が起きているのかが見えてくる終盤はミステリの解決編の様で楽しめました。一同が集まり一風変わった展開での解決編だったなという印象も得られました。 少し余談ですが、島田荘司・御手洗シリーズの龍臥亭事件ぐらいまでの初期の頃のワクワク感を思い出しました。ミステリより物語に夢中になっていたら最後何かが明かされる感覚。毛色は違うのですが、個人的にそんな感覚を思い出すほど惹き込まれた次第です。 扱う内容の雰囲気は地道で重苦しいものなのですが、読書中はそうは感じさせず綺麗に描かれている物語。素晴らしい作品でした。他の作品も手に取ってみようと思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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人工知能による死者の再現を軸に、何故彼女は自殺したのか?という謎を追いかける物語。
横溝正史ミステリ大賞受賞を受賞した本書。作品雰囲気は"横溝正史"から連想する古くアナログ的なミステリとは違い、人工知能を始めとしたプログラム要素となる機械学習や音声合成のワードもでる近未来風な作品。過去の受賞作品群と比べても少し毛色が違う為、受賞作品の審査時では新しく感じたのではないかと思う内容でした。 本書の主人公はかなりクセがあり読者に嫌悪感を与えやすい為、その感覚が本書の物語自体の評価に繋がりそうな危険を孕んでいると感じました。冒頭から主人公の特性付けとして紹介される内容は、勉強もスポーツも恋愛も何でも予想通りで人生が退屈であり自分の真の性格を表に出さないように仮面を被って生きている。みたいな流れでとても痛々しい。ただその痛々しさも最後まで貫いていけば一本筋で通る気がしますが、死者の水科晴に酔狂していく辺りから心境の変化と前向きに感じる良さもあれば、弱弱しくぶれていくと感じる面もある為に魅力を感じずでした。1番がっかりした所は頭の良い人工知能のエンジニアという設定で尖がっていたのに、写真のExif情報を知らないエピソードが出た時。をい!と思わずツッコミたくなってしまいました。一般人も知られてますし、エンジニアでは基礎知識であり人工知能学習ならそもそもExifも学習パラメータで使うでしょ。という感じでして所々設定が浅く感じてしまうのが残念に思いました。 主人公の癖が強いだけで物語の展開は面白く読めました。 水科晴の自殺の謎、それを調査していく流れ、人工知能開発の現場、調査していく内に不穏な流れとなる緊迫感、、、etc. 物語の起伏要素が多く飽きずに最後まで読めました。文章も読みやすかったです。 結末や真相についてはあまり納得できるものでなく、なんとなく当事者達で収束してしまった感が強くて好みに合わなかったです。横溝正史ミステリ大賞作品というのも違う気がしますが1つの作品としては面白く読めたので、あまりミステリを気にせず"人工知能で死者を再現する者達の物語"として捉えると、とてもよいドラマかと思いました。 |
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多くの方のレビューにある通り、上巻で辞めずに下巻まで読んでの意味が分かりました。
上巻は正直な気持ちとしては退屈でした。 最近『かがみの孤城』を読んで惹き込まれたので、著者のボリュームがあって敬遠していた過去作の本書を手に取った次第ですが、この頃の作品の構成は合いませんでした。 前半は登場人物の紹介と創作に関わる作家の卵達の物語。 何か刺激的な事が起きるわけでもなく日常ベースの展開。刺激的な要素として一応冒頭にて作品の影響による大事件が起きた事が描かれますが、この内容後に400ページ近く緩やかな物語を読むほど求心力を受けなかったのが正直な気持ちです。登場人物達の描き方も視点を変えて読む為、誰かに感情移入して深く読むこともありませんでした。一人気持ちがわかると思ったのは編集者の黒木でした。作家の卵達とは違い編集という版元に近い位置にいる彼。発言やドライな感覚がその立場としてよく伝わりました。 上巻はまったく合わずでしたが下巻の後半は確かに面白い流れでした。 波が立っていないスロウハイツに波紋が広がっていく展開は、やっときたかと思いながら楽しみました。終盤と読後感は良いものですが、それに至るまでが好みに合わず。 誰かに感情移入できなかったり展開が遅かったりという不満は『かがみの孤城』では全くない為、著者の成長前を感じる作品という印象でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ドラマと連動した企画もの作品。ネメシスシリーズとして担当話ごとに作家が変わるという試みの作品。
1作目は『屍人荘の殺人』の今村昌弘。最初にこの著者を持ってくるあたりは流石の采配だと思う。私自身、ドラマは見ていないのですが著者の作品という事で手に取った次第。 作品雰囲気はユーモア傾向。殺伐さはなし。 探偵事務所に所属する探偵と、その探偵以上に推理力がある女性のコンビによる事件簿。 ミステリとしての事件や謎解きの面白さはありますが、本格志向ではなく、あっさり小ネタ集の印象でした。 "ドラマ化と連動している"という前知識に引っ張られた感想かもしれませんが、正にドラマの脚本を意識した中身であると感じます。事件や推理の展開を描写するというより、パーティー会場や遊園地といった事件現場の施設の情景が印象に残りました。登場人物については特徴があまり感じられず、"探偵っぽい男性"や"実は天才の少女"みたいな設定で、現代作品では特徴がないというか華がないと感じました。 もし作者名を隠して読んでいたら今村昌弘作品とは気づかないと思います。ただ、本書の目的がドラマ化の為に映像や主演者に華を持たせる為の脚本物語として書かれたと捉えると、オーダー通りのものを作り上げたという印象になります。そして連作企画で複数作家によるリレー小説である事を考えると、著者の個性を主張しない塩梅で描いたとも思う為、そういう点では著者の技量が優れていると前向きにも感じました。文章もすんなりサクッと気軽に読める作品です。ただ、物語の内容評価としてはあまり印象に残らないのが正直な気持ちでした。 |
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素晴らしい作品でした。所々で心に響き、惹き込まれた読書でした。
デビュー作の『冷たい校舎の時は止まる』を彷彿させる青春ミステリを感じました。比べると、デビュー作はミステリ色や死の雰囲気が強かったですが、本書は青春物語にミステリの技法が盛り込まれているような作り。 まず、あえて少し違った視点で感想を挙げますが、ミステリ的な舞台設定はデスゲームもの。詳細はボカシますが、突然集められた男女。舞台のルール説明。1人だけ得られる報酬。この展開から起きる一般的な小説は疑心暗鬼で殺伐とした物語が多いのですが、本書は優しく温まり、心が揺れ動く話として描かれていた事が読書人生の中で新鮮に映りました。デスゲーム設定でこんな作品が作れるのかと驚いた次第です。 さて本書はミステリを期待して読む本ではないです。 そこに比重がおかれると少し物足りなく感じてしまうでしょう。 著者の描くファンタジー&青春物語の1作を読んでみる。程度の気持ちで読むのが丁度よい心構えとなります。 物語は、学校で悲痛な思いをし不登校になってしまった中学生の"こころ"(名前)。彼女の部屋の大きな鏡が輝き、吸い込まれるように中に入ると同じ年代の男女と城の中で出くわします。主人公含む7人の男女。それぞれ何か闇を抱え、最初はギクシャクしながらも、徐々に心を通わせていく――。という流れ。 主人公の名前"こころ"とある通り、本書は中学生の心模様をものすごく丁寧に描かれている作品だと感じました。学校に行けなくなった理由を単純に"いじめ"や"不登校"という短い単語でグループ化してしまうのではなく、人それぞれ、一言では語れない関わる人や場やタイミング、その時誰かが言ったセリフなど、1つ1つが丁寧に描かれ、その状況を読んでこそ悲痛な気持ちがより浸透していくような、感情が揺さぶられる読書体験でした。 終盤の展開はこうなるのだろうと想定の範疇でしたが、文章や展開に惹き込まれて感動しました。 10代の小中高生にはとてもオススメな作品です。素晴らしい作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著者作品はSF寄りの記憶をテーマにした作品がいくつかありますが本書はその1つ。
・前向性健忘により記憶が保てない主人公 ・触れた相手の記憶を操作できる殺人鬼 この2人の衝突の物語。 まず殺人鬼の行動や言動が胸糞過ぎて気分が悪くなりました。暴力から殺し、洗脳、日常の人々に対しての強烈な悪です。白昼堂々犯罪を行っても周りにいる目撃者の記憶を改ざんし自由に活動する倫理破壊。気分が悪くなりますが、ホラー文学として気持ち悪くなる文章や物語が巧いなという感想も得ました。苦手な人は苦手な話が多いです。 対して、記憶が保てない主人公。目覚めた所から物語は始まり、枕元に置かれたノートには自分の記憶障害と、"殺人鬼と戦っている"というメモが残されている。状況の混乱や疑心暗鬼、一方、慎重な言動や推測など頭を働かせる様が面白く読めました。 殺人鬼にどう挑むのか。悪との遭遇のサスペンスとして、不安な気持ちを抱えたまま最後まで一気に読めた面白い作品でした。 同じ主人公・田村二吉が登場する未読の別作品がある為、いつか追って読もうと思いました。 |
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個人的にかなり惹き込まれた作品でした。とても面白かったです。
物語は特殊設定もの。 世の中に『天使』という存在が突如現れた世界。人間の罪を監視し、2人以上殺したものは地獄に引き摺り込まれる。 連続殺人という行為があり得ない世界の中、孤島の館にて事件が発生していく。 特殊なルールによるミステリとして期待されがちですが、個人的にはミステリとして楽しむというより世界観の方が楽しめました。天使自体の存在、天使が降臨した事により変わった世の中、犯罪が減り探偵の存在意義の変化。世界観がとても丁寧に描かれていたのでSFやファンタジーものとして惹き込まれた次第です。 現実的な要素で代弁すると世界が変わる"災害もの"としても捉えられます。震災・隕石での崩壊と違い、天使という切り口で世界の変容の新しい物語を作り、そこにしっかりと本格ミステリを絡めているのが見事でした。 登場人物達も分かりやすく特徴があり読んでいて面白い。キャラの雰囲気は明るく魅力的なのに対して世界は悲壮感に包まれている対比を感じました。主人公の探偵としての悩み、過去の仲間達との良い思い出と苦悩。色々な感情も心に響きました。 タイトルから感じますが、ミステリや事件要素ではなく、探偵とは何かに趣がある内容。 物語としてとても面白い作品でした。 |
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好みは人それぞれなので。。。個人的に読めない作品でした。
場面ごとに人称が、"僕"や"俺"や"君"などに変化し、誰が誰だか分からない文章作品です。 文章も読み辛い為、まったくもって場面が想像できない駄文を読まされた気分でした。 広報宣伝はそこを逆手にとって『二度読み必死!!新感覚ミステリー』として売り出したのは作戦かもしれません。 二度読みの意味は、何か素晴らしい仕掛けがあるわけではなく、初読では登場人物の整理がされてない文章なので二度読んで理解してね。という意味で捉えられました。 |
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コメディタッチの夫婦の殺しあいサスペンス。本書は企画もの。2人の著者によるリレー小説。
夫側は藤石波矢が担当し、妻側は辻堂ゆめが担当。片側が仕掛ける殺しの罠に対してもう一人の著者が巧く回避し今度は逆に罠を仕掛けるという応酬を行う。殺し合いという内容ですが、殺伐さはなくコメディ色の雰囲気作品です。 内容から個人的に好きな映画の『Mr.&Mrs. スミス』を思い浮かべました。作中にもこのタイトルが出てきたので、遠からずな設定です。企画ものとしての内容は面白く、本文も2人の著者が描いたとは思えないぐらい両者の文章が馴染んでおり、雰囲気ともども良い読書でした。 ただ、個人的に好みに合わなかったのは、夫婦の些細なきっかけで殺し合いになってしまう所。それを言ったら本書の企画で元も子もないかもですが、今まで良き夫婦の二人が急に殺意を抱く展開は違和感でした。映画の例ですとお互い元殺し屋という設定がある為、互いの仕事の殺し合いが活きてきて面白さに繋がりますが、本書は普通の夫婦でそれまでは険悪な仲でもありませんので、そんな二人が急に殺意を抱く思考が腑に落ちませんでした。 2人の著者による殺しと回避の応酬を描いたものとして、作品を作っている最中、もしくはこれがリアルタイムでの連載ならより楽しい気がします。ただ、この趣旨を知らなかったり、本書単体を読んだ感想としては、繰り返される小ネタのような殺し&回避の流れは退屈にも感じました。驚きとかなく相手の著者は巧くかわしたなという感想なので、それが物語として面白いかは別だと思った為です。最後は綺麗にまとまり良かったです。 |
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あらすじとイラストの雰囲気からライトミステリを予想していたのですが、中身は堅実に捜査を進める警察小説のような作品でした。あらすじには、"バトルロワイヤル"、"復讐ゲーム"、と言った若者向けなワードがありますがそういう作品ではありません。コツコツと捜査を進め、クラス内で何が起きているのか全貌が見えてくるタイプの作品です。中身に沿わない宣伝は好きではありませんが、作品自体は面白く読めました。
担任の先生が殺害された1年D組。表向きの担任の姿は人気の先生らしいが、警察がクラスの生徒達から事情聴取を進めていくと、違った素顔が見えてきます。そして、クラス内の権力図、学級崩壊、いじめ、といった問題が浮かび上がってくる流れ。 学校内の悪い所が描かれ、暗く気分が悪くなるような話で読書の雰囲気は重め。ただ文章は読みやすく、警察の捜査と共に全貌が明かされていく展開は惹き込まれました。 本書の難点というか改善してほしいと感じた点は、登場人物の名前。苗字で呼んだり、下の名前で呼んだり、人物の把握が分り辛くなる所を感じました。フォローの為に帯裏に名前と関係図が載せてありましたが、本編に掲載しても良いのではと思いました。 中学・高校生向けの学園ミステリとしては良いバランス。気分が悪くなる所も含めて良い塩梅かなと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ほんわか日常の謎のライトミステリ。
小学生から読んでも大丈夫な内容で、ゆるふわ系。殺伐さ皆無。 物語は、パン屋の女性に一目ぼれした大学生の主人公が、彼女と話す切っ掛け作りの為にパン屋に通い、身近に起きた謎についてお話するという流れです。 日常の謎を扱いますが、謎の程度はとても小さな事。本書の主体は男女の物語+ほんわか雰囲気。そこにちょっとだけ謎が加わったような話。男子学生の良い意味でのバカ騒ぎな雰囲気、漫才の様にボケとツッコミがあるユーモアな雰囲気、初々しい学生の恋愛模様を微笑ましく感じる読書でした。 ハリネズミは二人の様子を眺めるキューピットのような存在で、雰囲気を和ませる良い味出してます。 表紙にて雰囲気が出ている通り、小中学生から読ませられるミステリとしてよい作品だと思いました。 |
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書店で多く平積みされていたので手に取りました。
小中学生向けのいじめをテーマとした物語。ミステリ要素はほぼなく若い世代向けの社会派小説です。 自殺をした少女が成仏するまでの49日間、幽霊として家族や加害者や学校のその後を見つめる話。 話の流れだけ拾ってしまうと良くある物語ではありましたが、 小中学生を読者ターゲットとして、いじめ問題を読みやすく触れさせる事を考えると中々良く出来た作品に感じました。 毒々しさも控えめで、優しすぎる展開については大人心では軽過ぎますが、死者から見る被害者・加害者・関わった人の心の例を物語として触れる分にはアリかと。良い意味で文章はサクサク読めるので、嫌な気持ちになり過ぎずに読めるのが良かったです。 国語や道徳の教科書では真面目で固くなりそうな内容を、本書の少しファンタジーな物語としてなら読みやすい。 小中学生の読書感想文の題材としてもアリかもしれない。そんな事も思いました。 |
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途中で何を読んでいるのか分からなくなって混乱しました。良い意味でも悪い意味でも。
予備知識がない方が良さそうな面もあれば、無いならないで混乱しそうな要素があり、あらすじにある通り、『予測不能』な孤島本格ミステリとなっていました。 シリーズ2弾とありますが、前作とは関わりありませんので、本書単体で楽しめます。 最初に書きましたが個人的に中盤は混乱してしまい、内容が把握できなくなってしまいました。で、少ししてそういう本か!と理解し、読者への挑戦を迎えて解答編を読み終えました。 読み終わってみれば特殊な状況もののミステリとして久しぶりな刺激で面白かったです。2度目をサラッと読み直してよくできているなと改めて感じました。※2度読みな仕掛けがある本という意味ではなくて、自分が理解し辛かっただけです。 なので率直な感想として分り辛い本でした。場面や視点や状況が変わり過ぎてますし、登場人物の役柄も似ていて区別が付き辛かったです。 ミステリとしての物語の構築、繋がり方なんかはとても面白い。ただ前作でも感じたのですが、話しが説明的というか盛り上がりの演出が弱いというか、物語を眺めているような気分で気持ちが入り辛く、初読では理解し辛いというのが個人的な印象でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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『ワトソン力』というネーミングセンス、設定勝ちな1作。(☆7+好み補正)
目立たず平凡な和戸宋志。彼は周囲の人達の推理力を飛躍的に向上させる能力を持つ。 ゲーム用語で言うと味方に推理力のバフを与えるエンチャンターの人物。本人以外が名探偵になるという設定。これが非常に面白い。 著者の過去作品のイメージは事件と解決のみを主軸とした問題集のようなパズル小説の印象でした。本書もその傾向は変わらずなのですが、登場人物皆を名探偵の如く推理させる事により、従来の解法1つだけにとどまらず、1つの事件・問題に対して豊富な謎解きシーンが楽しめる作品集に仕上がっており、読んでいて楽しかったです。 映像・ドラマ化も面白そうです。誰もが名探偵役になれる設定って斬新ではないでしょうか。俳優さん皆が主役みたいな名探偵役が出来るわけです。そういう点でもこの『ワトソン力』という設定はかなり発明な印象で驚かされました。 トリックや真相はパズル小説の様で現実的ではない感じではありますが、今回はそんな事は気にせずユーモアある雰囲気とミステリの楽しさを味わえた一冊でした。おすすめです。 |
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