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egut さんのレビュー一覧
egutさんのページへレビュー数773件
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2作目も読んでこのシリーズはちゃんとしたミステリの部類だと感じました。
児童ミステリの部類ですが、しっかりとしたデスゲームものであり、かつ知能を使った謎解き&犯人(狼)当てのストーリー。 シリーズものなので1作目から読書推奨。 前回の人狼構成は狼vs村人でしたが、本作は騎士が加わります。"人狼"自体を知らなくてもどういう役回りなのかちゃんと1作目から順番に説明されている丁寧な作り。ルールをしっかり読者に把握させたうえでの犯人(狼)当ての事件模様は面白いです。騎士という役回りから誰を守るか、皆どういう疑心暗鬼になるか、登場人物達の思考回路に違和感なく読めるのが意外と素晴らしかったです。 終盤のトリック的な仕掛けについてはもう少し説明があればと思いました。少し納得し辛い内容なのが残念。とはいえ、そういう細かい所が気になるぐらい他は十分に面白いので次巻も楽しみなシリーズです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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作品テーマや物語の構造はとても素晴らしかったです。ただ好みでいうと何とも言えない気持ちになる作品でした。
2020年度のメフィスト賞受賞作。最近のメフィスト賞からイメージする緩さはなく硬派な社会派作品でした。 タイトルから感じる通り法廷ミステリの部類。そして特徴的なのは、事件を主軸に争う法廷ミステリというより、法律自体がメインとなっている作品。法律の紹介、その法律に従い動く者たちの姿が強く印象に残りました。 読書中の正直な気持ちとしては好みではなく楽しめませんでした。 なんというか、事件の報告書を読んでいる気分。登場人物達が曲者で好きになれない為、誰にも感情移入できません。なので俯瞰して物語を眺めますが、事件模様の描き方がエンタメという起伏ある魅せ方というより、淡々と何が起きたのか描かれているような感覚。それでいてミステリとする為に出来事を小出しにしている為、全体像が掴めず物語が良く分からなくて退屈という気持ちでした。 終盤はそれまでに散らばった各エピソードが意味を持って繋がり全体像に驚きます。ただその全体像が見えた時はなんとも言いようのないイヤミスのような嫌な印象でした。本書の紹介帯では『感動、衝撃の傑作ミステリ』とありまして、確かに言葉の意味通り感情が動かされた"感動"となりますが、印象は悪い意味でどんよりさせられました。ミステリとしては巧いです。 これは人により好みが分れるかと思います。 読者に身近な事件を扱い、それによる負の連鎖、冤罪や贖罪を体感する作品としては傑作なので社会派好きにはオススメ……かも。ただ個人的にはちょっと合わない作品でした。 |
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猟奇殺人犯の名前があなたと同じだったら……?
現代的な問題を内包した社会派のミステリ。 読書前は全員が同姓同名という題材のネタ的な作品かと思っていました。キャラの書き分け小説?ぐらいの印象。 が、読んでみたら速攻で考えを改めます。現実的で起こり得る社会的テーマを持つ考えさせられる作品でした。 未成年による児童殺傷事件。世間を賑わせる事になった猟奇殺人が発生。警察やメディアは未成年事件である事から犯人の名前は非公開。この時点では他人事のように犯人の名前を公開しろ!と世の中が騒ぎ立てます。ここら辺の導入は神戸の事件を思い出させました。当時と違うのは現代のインターネット社会により、SNSによる情報の拡散、特定班、不確かな情報と思い込み、炎上……。という感じで、いざ公開された犯罪者の名前が自分と同じだったという展開。名前が同じである事による悪い方向への運命の転換が描かれていきました。 本書はこの問題をある種のシミュレーションのような感覚で読みました。 どういう被害が発生するのか。SNSによる誹謗中傷の攻撃者やその活動のきっかけとなる情報源、でも実はその情報そのものが思い込みであり真実とは異なる可能性も秘めている。拡散していく分かりやすいステレオタイプの表面と、真相となる裏側の話。ここら辺が現代的な社会的テーマで問題喚起を打ち出しつつ、ミステリとしても楽しめるようになっているのが見事でした。 ちょっと思うのが表紙が地味すぎというかエネルギーがないというか、書店や新刊情報で見てても印象に残っていませんでした。 たまたまネットの感想が流れてきて目に留まって読んだ次第。 現代的な社会派ミステリとしてオススメなのでもうちょっと広まって欲しいなと感じます。良い作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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カッコいい女性主人公ものとして面白く読めました。
冒頭からエリート弁護士事務所所属の強い女性の思考が全面に出ており、キャラの印象付けとしては十分。 過去に3ヵ月だけ付き合った元彼の奇妙な遺産相続の遺言状から物語は展開します。 『このミステリーがすごい!』大賞作品ではありますが、ミステリというより弁護士のお仕事小説といいますか、 企業を舞台にしたエンターテインメント小説の印象でした。 第一章は主人公のキャラ付け、第二章では弁護士ならではの企業を相手にした戦い方。ここまでは抜群に惹きこまれました。それ以降ももちろん面白い物語であり、事件模様や展開、真相に至るまで綺麗にまとまっており楽しめます。 ミステリっぽくなくお仕事小説に感じるのは、読者の目線と主人公の目線が重なり辛く感じる為です。主人公が強すぎてこの事件の物語を俯瞰して眺めているような、主人公を追っ掛けるような読者目線であり、事件よりも凄い人の背中を見ている読書感。一緒に謎を考える余地がありません。いい意味では力強く勢いがある主人公。読者はそうだったのか!と驚くのではなく、事件の結末を教わったような気分。遺言状の経緯やそれぞれの舞台裏の真相はミステリとして内容十分なので、明かされていく演出や展開が欲しかった所。さらによくなりそうな勿体ない印象でした。 文章は読み易く、一見固くなりそうな弁護士や企業話もコミカルで楽しめました。主人公の魅力が分かりやすいので俳優を引き立てるドラマ向きかも。 続巻があれば読みたいと思います。 |
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これは傑作。一つの到達点的な作品でした。
"本格ミステリ"と言えば?思いつくシチュエーションや要素がふんだんに盛り込まれています。 クローズドサークルの館を舞台に怪しい面々が集い密室殺人が発生する。 テンプレートのようなコテコテ要素。こういうのが好物な方はもちろん。そんなの今の時代見慣れたよという方へも一筋縄ではいかない展開が待ち受けています。 本書の好みの別れ所として、数々の先人たちの実在する作品名がミステリマニアよろしくの如く挙げられていきます。 綾辻行人の館シリーズが…島田荘司や探偵は御手洗潔がうんぬん…アガサクリスティやエラリークリーンやホームズ…etc... 悪く言えば他作に便乗していたり、衒学的なノイズを感じられる為、この点は少し読んでいて気恥ずかしい印象を受けます。ただ読み終わってからの印象は好感でした。先人たちのミステリを引用し継承して生み出された本作は、数学の証明が解き明かされたような歴史をも感じました。数学の証明は過去に解明された証明の積み重ねにより未解決問題を解き明かします。そのような歴史の受け継がれている様を模しており、ミステリの過去作を用いてここ数十年のミステリの歴史の集大成を感じた次第です。 あと、やはり優れている点は文章の読み易さです。以前から著者の本は読み易い。 ネタバレ無しなのであまりここでは書きませんが、本当にいろんなミステリ要素が盛り込まれています。企画として色んなものを詰め込もうというのは誰でも発想できますが、それらが煩雑にならずに綺麗に作品として混ざり合えているのは本当に凄いと思いました。 斬新やら驚きを求める人にはちょっと期待外れになってしまいます。 そうではない所で本書は凄い事をしています。今の若い世代に対しては新本格ミステリが登場した頃の衝撃を味あわせたい。これを読んでもっとミステリの深みにはまって欲しいという思い。古くからのミステリ読みには懐古的にも楽しめるように要素を豊富に混ぜ込んでおく。そんな意図を感じられた作品でした。 例えば著者は今までライトミステリの方向で読者を掴んでいます。それらの読者が今回の本格ミステリを楽しみ、作中に登場する作品たちに興味がわけばミステリにハマって行くわけです。 綾辻行人の『十角館』を気に入り、作中に出てきたエラリークイーンやカーを読んでみたくなる。そういう読者の未来への影響も取り入れ考えられているのでしょう。既存の作家の方々を巧く巻き込んだ一冊という事も感じられた作品でした。ミステリ界で話題になってしまう事も想像できます。書店にしてもこの本が売れれば他の本も売れる期待値が秘めているので話題になります。読者としても読んだ人同士で、ここの要素はあれだよねと非常に盛り上がるネタが豊富。などなど、気づくたびに作者の意図が感じられ驚かされた次第です。 改めて書きますがこれらの要素がちゃんとまとまって読み易い物語になっている作家の力が本当に凄い。ネタだけなら他作を浮かびますが本作はそのクオリティが本当に良かった。人により内容が好みに合わなかったとしても違和感なくサクサク読んでいる事でしょう。整った構成と文章力がないとできないと感じさせられます。 余談で点数について。 最初は8-9点ぐらいの気持ちであり、本作は万人向けではなく少しマニア向けで、オリジナルや斬新な物語ではなく他作品の影響力や身内ネタをよぎってしまう所が少しモヤモヤしました。特段震えるような驚きがあったわけでもなく、斬新な仕掛けを味わったわけでもないです。ですが著者のミステリが好きな気持ちをとても強く感じる所、読んだ後にじわじわと要素要素が蘇って話題に尽きなくなる豊富な点、これらが忘れられない1冊である事を考えて満点としました。 好みは人それぞれですが、ミステリが好きなら見逃せない一冊です。非常に印象的で満足な作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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設定は面白いのですが、雰囲気作りや言動がそぐわなかったのが残念に感じました。
内容は呪われた孤島を舞台にしたクローズドサークル・館もの。屋敷を舞台に密室殺人から始まる連続殺人が発生。タイトルからしてミステリ読者がターゲットなので、ミステリ好きが好む要素を盛り込んだ作りは好感でした。冒頭にて主人公が目を覚ますと遺体と一緒の密室内にいるシチュエーション。さらに記憶喪失で状況不明。主人公と読者の情報量を合わせ、何が起きているのかという所から始まる物語です。 さて、これらの設定や要素はとても興味が沸きました。ただ残念なのが雰囲気作りと各人の言動です。悪い意味でライトな扱いになっていました。タイトル『呪殺島』にある通り一族が不幸な死を遂げる呪いを扱いますが、おどろおどろしさがなく、そもそも"呪い"を何で扱ってしまったのかと疑問に感じるほど意味がない。ただ単に人が多く死ぬ理由付けでしょうか。 登場する人物達の会話も緊張感がなくライトというよりボケや冗談を聞かされているように感じます。笑い話な感覚での会話であり、真面目さが感じられない。それでいて大事な所は急に固い口調で説明される。 例えるなら映画やドラマで役者のセリフが棒読み過ぎるとシラケますがその感覚に近いです。無理して悲鳴を上げたり推理しているのですかと感じる。特に主人公が大根役者で、言動が軽すぎて作品にまったく没入できませんでした。 所々に好みはあるのですが、残念に感じた読書でした。 |
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学園ラブコメミステリ。☆7(+1好み)
版元レーベルの兼ね合いでタイトルと表紙が超ラノベテイストなので、ミステリ読者には敬遠されそうですが中身はちゃんと謎解きしている学園ラブコメミステリです。 シリーズ2作目で変にキャラものや別ジャンルになる事なく、1作目から順当に学園内の日常を舞台にしたミステリをしているのが好感でした。扱われる謎も現代寄りで新鮮。同級生からの相談で、ネット上の知り合い調査やSNSの文脈などを元に人物を推測するというものが扱われます。"学園ミステリ"というジャンルは昔からありますが、時代設定が現代的になっています。 本書は謎解きに重みがあるのではなく、謎解きを軸にそれに関わる同級生や先生たちとの交流を描く青春小説にも感じられました。山田姉妹と主人公の掛け合いも良く、学園内の悩み事を好奇心だけでなく、無下にはできない優しさが感じられるのが良いです。1作目以上に皆との接点が増えていき充実した学校生活を感じられる展開でした。さらに巧いのが3話目に至ってはその学園生活の姿に対比する形での物語が扱われている事。この年代の負のテーマがあり、雰囲気を壊す事なく巧く扱われている事が印象的でした。 前作同様に謎を解く事で人の救済となっている点が大変好み。 キャラクターの明るい雰囲気や会話の流れが優しくポジティブなので読んでいて嫌な気持ちにならないのが良い。作者の性格なのかな。このシリーズは好みで続編希望です。 余談。 本書は去年の発売時期11月ごろに購入しましたが表紙が水着だったので気分的に夏まで寝かせました。読んでみたらリアルな季節は関係なくて物語内が1巻の高校生活新学期から始まり、そのまま時間軸が夏という事でした。イラストは明るく可愛く作品にマッチしていて好み。1作目の表紙はミステリ読みにも伝わるシャーロックでしたが、本書の水着は振り切っていきなり攻めたなと笑えました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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堂シリーズ完結。
メフィスト賞を受賞してデビューした『眼球堂の殺人』は理系の本格ミステリとしてシリーズを期待させるものでした。2,3作目と少しパワーダウンしましたが、4作目『伽藍堂の殺人』からは物語を様変わりし最後に向けて出来る中での物語を作り上げて、ちゃんと完結させたという所は評価です。 毎回の読後感は謎の勿体なさを感じる気持ちで不満が多いのですが、読みたくなる魅力は備わっていました。数学的な話や本格ミステリ、キャラクター達は気になる方々。今回最終回ということで主要な人物達を出してまとめているのは改めて最後なんだなと寂しさを受けました。 ミステリの仕掛けについて思う所として、4作目ごろから本作品は理系の本格ミステリ傾向の中、題材やトリックは数学的な机上の空論であり、実際にそれができるのかという物理的制約が無視されているのが気になりました。面白くて派手ならいいでしょという感覚が見え透いております。物語は数学なのにミステリの解決は論理的ではなく、トリックは物理的なのに現実では実現できない。このちぐはぐが残念な印象を受けました。 本作ではシリーズに出てくる大ボスの数学天皇の藤衛が登場しました。最終回という事で風呂敷を閉じる意味で出てきたのもありますが、なんというかしょぼい幕切れかなと。 このシリーズをリセットさせたいのか、読者に好まれるキャラクターがいなくなってしまっているのが残念。個人的に好むキャラは善知鳥神ぐらいでした。十和田も1-2作目の頃は好きですが、それ以降はちょっとね。 途中で辞めず最後まで読みたくなったシリーズとしての魅力。物語が完結したという所の評価で☆6。 |
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堂シリーズ6作目。残り1冊で完結の最終巻前。
単体のミステリを楽しむ作品という感覚ではなく、シリーズとしての物語を楽しむ作品でした。 本書はシリーズを順番に読んでいる人向けの作品となります。 本作は過去編。 シリーズ内の重要人物として挙がる沼四郎や藤衛などが会し2名の被害者が出たとされた過去の事件。 鏡で覆われた堂での事件となります。最終回に向けて風呂敷を畳んでいくような印象でした。 ミステリ単体で見ると事件内容は大味なのですが、シリーズ作品として見れば、本シリーズ特有の館ものとしてのお約束や、理系要素を用いた仕掛けが楽しめました。 トリックも物理的や現実的にどうかとか、このシリーズに関してはもう気にしなくなりました。なんか凄い事をしているという雰囲気で押し通しちゃう感じですね。ここまでくればこれはこれでアリかな。 次回最終回。残りの登場人物達がどう動くのか楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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児童書ミステリのデスゲームもの。
著者は角川ホラーにてデスゲーム作品を出している人です。同角川からの児童書レーベルでどのようなデスゲームを描くのか期待していた次第。ですが正直な感想としては期待し過ぎだった気持ちでした。 物語は賞金1億円を求めて、それぞれの事情がある者達がデスゲームに参加するというもの。 デスゲームの定番要素となる、集められた男女10名、ゲームのルール、報酬とペナルティのお約束は守らています。が、肝心のゲーム内容が面白くない。理由は行きあたりバッタリで敗者が決まり、知的な感じが全くない為です。結末から考えればルールの存在意義も感じませんでした。 端的に言うと、本書はゲームの駆け引きが描かれていない作品。 プレイヤー同士の頭脳戦がない。不注意で死んだり、相手の影響がなく勝ったりと、ゲームにおけるキャラ同士の接点が弱く戦っている感じがしませんでした。この場合、小学生の読み物として類似ジャンルを例えると、妖怪ものや学校の怪談の部類の本であると感じます。本書はデスゲームの舞台を扱っただけで、キャーキャー怖さを描くだけの本という印象でした。とすると小学生低学年向けなのですが、中身にははっきり死が描かれているので低学年には読ませ辛い。内容とターゲットが少しミスマッチな印象を受けました。 まぁでも版数を重ねて売れているので子供には刺さっている内容なんだなと、気持ちの差を感じる一面を得た次第でした。 |
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土砂崩れで避難した洋館を舞台に行われる人狼・デスゲームもの。☆7(+1好み)
毎夜、仲間に化けている人狼を見極め投票をする。見事狼を当てられれば助かるが外せば喰われるという人狼をモチーフにした作品。 児童書ミステリなので子供が読んでも平気。誰が狼なのか疑心暗鬼や謎解きの様子をシンプルに楽しめた作品でした。 ある程度デスゲーム作品や人狼もの作品に触れている場合、捻った考え方を持つと思われるので想像の範囲で真相が見えてしまうかもしれません。ただ本書のレーベルの小中学生をターゲットに考えると巧いバランスで仕掛けてきていると感じます。子供思考での誰が狼なんだと仲間を疑い悩む展開が良かったです。 個人的にデスゲーム作品は好きで、本書は読み易くちゃんと仕掛けがある内容だったのでシリーズを追っかけようと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ストーカーが主人公のホラー作品でありますが、ラブストーリーとも思える不思議な体験が得られた作品。
学生時代に出合った女性をふと思い出した主人公。彼女の現在を興信所を使って調べ、家に侵入しつつ盗聴・盗撮などストーカー行為をする日々。ただそこで見知った現在の女性の暮らしはDV夫によって奴隷となっている姿だったという流れ。 最初の数ページは主人公のストーカー行為に気持ち悪さを感じましたが、それ以上にDV夫の異常な暴力の姿に嫌悪感を抱きました。著者の作品の持ち味として凌辱シーンとなる暴力と性描写が描かれますが、本作は単なる小説の娯楽要素ではなく、DV夫の狂人を描き、圧倒的な悪の表現と手が出せない恐怖を植え付ける効果として描かれ読ませます。 よくあるストーカー作品はストーカーをする者が敵位置にいるのですが、本作はどちらかというと応援したくなるようなヒーロー側の立ち位置。不幸なヒロインの女性、それを盗聴・盗撮して見る事しかできない主人公。陰の者の思考や行動がよく表されており、それぞれの登場人物がどうなっていくのか中盤からは先が気になる一気読みでした。 現実的には好む内容ではないのですが、1つの作品として異常者の恋愛作品として楽しめました。 著者作品の傾向で暴力と性描写が多いのでこれらが苦手な人にはオススメできませんが、 その点を踏まえた上で異常な恋愛作品を求める方にはオススメです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイトルから感じる印象と読後は違うものでしたが、犯罪小説の1つとして巧く整ったと感じる作品で楽しめました。
物語は平凡な家庭が凶悪犯罪に巻き込まれる内容で、生き残った男性被害者の視点と犯罪を行なった加害者の視点が交互に描かれます。著者作品は凶悪犯罪者の視点で暴力やエロの描写が持ち味ですが、本書はさらに被害者の視点を取り入れて復讐という憎悪の立ち上がりを加えました。 ジャンルはホラーやサイコもの。謎解きやミステリを求める人には不向き。ただ毒を食らうと言いますか、犯罪者視点の少し刺激が強いものが読みたくなる時は著者の作品を手に取る次第。 犯罪に巻き込まれる理不尽さ。犯罪を行なう異常心理。世の中どういう繋がりで巻き込まれるか分かりません。些細な1つの切っ掛けが描かれた本作。現実的に起こり得そうなバランスと結末の虚無感は見事でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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『初読はミステリ、二度目はホラー』のキャッチフレーズの本書。
2度読みを謳う作品は警戒しつつも手に取ってしまう性分であります。 さて、結果としては宣伝に偽りなく2度読みしたくなる要素を兼ね備えた作品でした。とある意味でミステリからホラーへ変容するのはとても面白い。終盤は見事です。 ただ正直な所、読書中は面白くありませんでした。 率直な理由として非常に読みづらい。文章から情景が浮かばず読んでいて混乱でした。 著者のデビュー作『ぼぎわんが、来る』は読書済み。ホラーとミステリの融合の面白さ、そして雰囲気も然ることながら読み易さが印象的でした。が、本書は同じ作者なのかと疑う程に文章が分らない。今この場に誰がいて何処で何をしているのか混乱が多い読書でした。その為、物語を楽しむ事ができませんでした。 霊能者や番組の参考として宜保愛子や上岡龍太郎など、芸能人の名前を挙げますが知らない人は余計な登場人物名ですし、ファミコンのゲームソフトの「くにおくん」など挙げる必要があるのかわからないノイズが多かったのも気になりました。横溝、京極、三津田…と、作家の名前を挙げて現実感を出す表現も違和感でした。 本書の評価は最後のネタをどう楽しむかに集中するのではないでしょうか。 初読はミステリと言えど、途中の被害者などの事件模様の印象は残らなかったです。 とはいえ最後のネタは面白かったですし、2度読みしたくなるのは間違いないので好みの問題でこの点数で。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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AI探偵シリーズだからこそ可能となる奇想の仕掛けに驚きました。
本格ミステリが大好きな気持ちが伝わる要素やセリフが多く散りばめられており読んでいて楽しい作品でした。☆7+1(好み補正)。 注意点として本作は単体では楽しめないです。 シリーズを順番に読んで作品の性質を把握した上で、著者が仕掛ける普通とは違ったミステリが味わえる作品となります。 シリーズの好みとしては、1作目は好みで2作目が思ったのと違う方向性で敬遠していたのですが、3作目の本書は前作の苦手意識が杞憂に終わり、ミステリのお約束をお約束としてそのまま扱う面白さや、AI探偵&主人公の掛け合いなど読んでいて楽しい作品となりました。 "四元館"という"館もの"作品の中で斬新さを打ち出す仕掛け。AI探偵シリーズという特性だからこそ納得できるバランスが見事でした。どんなにぶっとんでいても、そこに辿り着くまでの事前説明や要素がちゃんと小出しで盛り込んでいる丁寧さを感じます。 真相解明の終盤の展開と演出はかなり巧かったです。 犯罪AIがコーディネートする事件という設定もよく、今後の事件に期待が持てます。 主人公&相以と以相の物語としても今回は面白く楽しめました。次回作も楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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あの世の喫茶店が舞台のライトミステリ。
死んだ魂が生まれ変わる前に訪れる来世喫茶店。大事な思い出、最後に会いたい人、生まれ変わる前のちょっとした相談、イケメン店主のマスターがいれる珈琲を飲みながら当時を振り返るという流れ。お客様の話を聞いていると、ふとした疑問や勘違いが発覚し、実はこういう事だったんじゃないかと謎が解き明かされる構成。バー/喫茶店もののミステリです。 大きな驚きや仕掛けは無いですが、出版レーベルのターゲットを考えると適した雰囲気や内容ですし、話も読みやすいので楽しめました。最後の章に至ってはそれまでのエピソードの繋がりを感じ、丁寧に役割や小道具を考えられている作りだったと感じます。女子小中高生でライトミステリをお探しの方にはオススメ。 一応の気になる読後感として、結末はハッピーエンド模様で終わってますが、主人公と家族の今後を考えると素直に喜べないのが本音でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイムリープ。人生やり直しもの。
17歳の男子高校生の主人公が爆発事件に巻き込まれてしまう。死の直前の世界で、7年前に戻りそれから7年間で全ての"奇跡の欠片"を集める事が出来たら生き残れるというゲームが提示される流れ。 記憶を保ったまま10歳の小学生からやり直す作品ではありますが、俺つえぇ系の知識をひけらかす内容ではなく、子供心として、あの時ああしていれば良かった、勇気が足りなかった、という後悔を改善して行動に移す姿を表現した作品に感じました。 読後に感じた事なのですが、この本は著者の後悔や願望なのでは?と思いました。 外国からきた金髪の女の子、趣味が通じる女の子、近所の年上のお姉さん、その時々に正しい選択をした事で仲良くなっていくのですが、何となく心境というか結果の盛り上がりの雰囲気から著者の昔の後悔や願望を感じた次第です。タイムループや死の回避の話の影は薄く、女の子との日常の楽しさの方がよく描かれており、恋愛ものゲームのフラグ回収のような感覚も受けた次第です。著者あとがきにソフィアのモデルがいましたとあったので、子供の頃の気になった人を投影したのかなと感じます。 悪い印象などの不快感はないのでサラッと読めますが、物語よりも著者の願望を強く感じた印象で、好みとしてはこの点数で。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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うあー。久々にやられました。
最後の1ページの高揚感が凄まじかったです。 実はこの系統の作品は個人的に大好物なのです。ただしこの系統と呼ばれる要素はミステリにおいてネタバレ扱いな為、世の中調べる事ができません。なので中々出会えない部類の作品なのです。そういう意味で出会えた事に興奮しました。☆8+1(好み補正)。 手に取った切っ掛けは、最後の1文が凄いという評判からです。著者の作品は個人的に苦手なイヤミスで敬遠していました。読んでみるとやはりその印象に近く、明るく華やかという印象はなく、どこか淡々と不安になるような足運びで物語が展開します。ただ、結末はどうなるのだろう。この物語の終着点は何になるのだろう?と先に進み辛い不安と早く知りたい気持ちの複雑な心境の中での一気読みでした。そして最後そうきたかと。。これは最後の1文が優れているのではなく、この結末を最初に決めてあり、そうなる為の事前の物語の構築が巧いのだと感じました。 本書の作り方で巧いと思うのはミステリの事件模様でのドキドキ感は全くなく、登場人物達の内面から発する不安というか後ろめたさというか、そういう心理的なドキドキ感を読者に与えている事。読者への刺激の与え方が巧く、魅せたい所と隠したい所の表現がかなり優れており、分かりやすい言葉ではミスリード・伏線が凄い・そういう事に気づかされた読後感でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイトルから感じるミステリ系の探偵ものではなく、個人的にイメージするザ・ラノベを感じる作品でした。
既に死んでしまっている探偵、能力者たち、モンスターのような化け物とのバトル、といった具合に、ラノベ・アニメ系のテイストを混ぜ込んだ作品であり、根底となる本筋は、探偵の女の子と過去に関わりがあると思われる主人公の男の子の青春もの。多ジャンルを混ぜ込んだ作品です。 作品自体は良く出来ており、読み辛さもなかったのですが、個人的な好みの問題でこの点数で。 序盤は惹き込まれましたが、その後はあまり好みではありませんでした。主人公とヒロインとの関係についても、死んでしまっているシエスタに思い続ける主人公の様子に共感が得られずです。ヒロインと感じる夏凪渚がサブに追いやられて可哀そうな感想でした。ちゃんと夏凪渚とシエスタとの意思を描いているので、夏凪渚本人は可哀そうではないのは分かっているのですが、ただのイタコのようにも感じてしまい、ここの所が好みに合わないきっかけになったかもしれません。 多ジャンルを混ぜた作品として整っていますが、他にはないこの作品ならではの尖った要素が1つあればもっと良かったと思いました。 |
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スパイ小説×ライトノベル。キャッチフレーズとなったキーワードは『騙し合い』。
『このライトノベルがすごい2021』の上位に掲載されており、内容が気になったので手に取りました。 読書前に期待していた『騙し』の要素はきちんとあり、ミステリを読みなれていない層には巧くいくと思われる……。歯切れが悪いのは、それをする為に物語を楽しむ要素が犠牲になっている点が多いと感じられた事です。詳しくはネタバレ側で。 ライトノベルとしてのキャラクター性はどうかというと、本書の表紙のリリィと先生の2キャラぐらいしか魅力がないと思いました。2巻、3巻と巻数を重ねる毎に一人一人にスポットが当てられていく構成だと思われます。なので本書単体で見ると各人の能力も未知数のままですし、主人公の能力が何かキーになるかというとそうでもない為、特定のキャラに魅力を持つという事が難しい状況でした。印象に残ったのは、最強な先生との駆け引きと、ドタバタのスパイ教室ぐらいな次第。 スパイ小説とはいえ、ライトノベルの雰囲気の明るさ・軽さで読みやすいのは好感。 ただ本格的なスパイ小説を読む方には非常に物足りなく感じるので、仕掛けにしても濃い一発が何か欲しいと思いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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