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なおひろ さんのレビュー一覧

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レビュー数586

全586件 501~520 26/30ページ

※ネタバレかもしれない感想文は閉じた状態で一覧にしています。
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No.86:
(8pt)

虹の谷の五月の感想

船戸与一の作品は救いが無い。良い人はすぐ死んでしまうが、悪い奴も結局死ぬ。基本的に出て来るのは貧しい地域の人々なので、金ですぐ裏切るし、差別は酷いし、環境が過酷で読んでいて辛くなる。
本作は珍しく主人公が少年の成長物語で、13歳から15歳までの5月に起きた3つのエピソードが描かれています。やはりいつもとは少し感じが変わりますね。ただ、誇り高き気持ちの良い男も何人か出て来ますし、戦闘シーンはさすがの職人芸で、最高の緊張感を味わえました。そこはご心配なく。
とにかく、男も女も、子供も大人も次々死にますので、それだけは覚悟して下さい。船戸ファンには改めて言うまでも無い事ですが、直木賞受賞作の為、それ以外の方も読まれるかも知れませんので。
虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)
船戸与一虹の谷の五月 についてのレビュー
No.85: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

虚無への供物の感想

探偵小説における三大奇書の一つであり、反推理小説(アンチミステリー)の傑作と呼ばれる古典作品です。どういった感じなのか興味深く読みましたが、想像以上に手ごわかったです。謎が解明されないまま次々と不可解な事件が重なり、登場人物達の語る蘊蓄の多さと会話の回りくどさに眩暈がします。面白いのかと聞かれれば評価は難しい。そして終章までたどり着き茫然としてしまう、これがアンチミステリーと言う意味なのか。この作品に何を求めるのかで、見方は変わるのでしょう。
万人にオススメはしませんが、このサイトに立ち寄られる方々なら、一読してみてはいかがでしょうか?他の方の感想も聞いてみたいです。
虚無への供物〈上〉 (講談社文庫)
中井英夫虚無への供物 についてのレビュー
No.84:
(4pt)

一応の推定の感想

ベテラン保険調査員が主人公で、列車事故で亡くなった老人が事故死だったのか、それとも自殺だったのか調査をして行くというお話です。保険業界の裏側は知らない部分で興味深く読めましたし、子供の臓器移植問題も含めて良く出来た社会派ミステリーと言えます。紆余曲折の末たどり着いた真相も説得力があり、なかなか良かったのではないでしょうか。著者の得意なジャンルで勝負した力作だと思います。
ただ個人的に全く好みでは無く、中盤までの退屈さに挫けそうでした。後半テンポアップして、どんでん返しや隠された真相で盛り上げますが、残念ながらトータル的な感想は、「地味でつまらない話」です。
一応の推定 (文春文庫)
広川純一応の推定 についてのレビュー
No.83: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

贄の夜会の感想

サイコサスペンスですが、警察小説でもあり、ハードボイルド小説でもあります。猟奇的殺人者、プロの殺し屋、警察官と3つの視点で物語は描かれますが、割と読み易く引き込まれてしまいました。
ストーリーも実際の事件を下敷きとしておりかなり面白いのですが、本作最大の魅力は登場人物達のキャラクターだと思いました。沢山死人が出るのが勿体なく感じます。
結構想像通りの展開で意外性はあまりありませんでしたが、逆に納得の進み方ではあり、エンディングまで間違いなく楽しめると思います。ぜひ多くの方に知って欲しい作品です。
贄の夜会〈上〉 (文春文庫)
香納諒一贄の夜会 についてのレビュー
No.82: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

ジョーカー・ゲームの感想

第二次大戦中の日本でスパイ養成学校が設立される。そこから生まれたスパイ達の活躍を描いた短編集。内容、文体共にハードでとても面白い。少し会話や行動が現代的に思え、本当に時代考証出来てるのかな?と感じる所と、スパイがあまりに超人的過ぎる部分はマイナス。しかし、各編に出て来る人々は魅力的で、ミステリーとしても謎とその解決は鮮やかで、十分満足できる物でした。すごく良かった。ぜひオススメします。

ジョーカー・ゲーム (角川文庫)
柳広司ジョーカー・ゲーム についてのレビュー
No.81: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

『アリス・ミラー城』殺人事件の感想

雪の孤島に集められた8人の探偵。目的は「アリス・ミラー」を探す事だが、手に入れられるのは最後まで生き残った者のみ。そして一人づつ殺害され始め、その犯人は?密室、犯人消失の謎は?と言うお話です。
「アリス・ミラー」とは何か?なぜ命懸けでこの島へ来たのか?とにかくおかしな事ばかりで、普通に言えば、話す事は何も無いバカバカしい作品です。設定に無理があり、登場人物にリアリティが無く、何とも言えない。特に動機が一番酷い。ただ、最後まで真相には全く気付きませんでしたので、本格パズルと考え、人物を駒として深く考えなければいいと思います。そういう意味では不快感は感じませんでした。

▼以下、ネタバレ感想
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『アリス・ミラー城』殺人事件 (講談社文庫)
北山猛邦『アリス・ミラー城』殺人事件 についてのレビュー
No.80: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

サクリファイスの感想

自転車のロードレースを題材とした青春ミステリーです。ロードレースの魅力を伝える事は、出来ているのではないでしょうか。かなり面白かったです。ただ、登場人物のキャラクターは主人公を含めて独特で、取っつきにくい為、感情移入しきれなかったです。ミステリーとしても、事件(事故)の真相にはかなり驚かされましたが、少々突飛過ぎませんかね、若干マイナス。
しかし、若者の情熱や苦悩をスポーツを通して描き切った作品、と言えるでしょう。多少の不満はすべて吹っ飛び、とにかく切なくて気に入りました。青春好きの方、ぜひお読み逃しなく。
サクリファイス (新潮文庫)
近藤史恵サクリファイス についてのレビュー
No.79: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

陰の季節の感想

警察小説ですが、主人公は警務課など内勤の人達です。犯罪を捜査する訳ではなく、警察内部で起こる事件をどう解決して行くか、裏の真相は何か、という所に謎やサスペンスを感じる作品です。ある意味サラリーマン小説ですが、これを読んで警察官の特殊性に驚きました。もしかすると、公務員はみな同じ様な所が有るのかも知れませんが。
作りこまれたキャラクターと意外な真相が楽しめる短編集です。オススメします。
陰の季節 (文春文庫)
横山秀夫陰の季節 についてのレビュー
No.78: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

殺戮にいたる病の感想

物語は、犯人の視点、被害者の友人の元警部の視点、息子を疑う母親の視点から描かれます。叙述トリックの傑作と呼ばれていますので、どこに仕掛けがあるのか、結構注意しながら読みました。
途中辛いのは、エログロ描写が凄くて自分には合わない所、また犯人の心理描写も気味が悪い事。しかしトリックは良く出来ており、最後の大オチまで真相は分かりませんでした。その後遡って読み返し、細かく整合性の取れた記述になんとも感心。解説にも有りますが、現代社会のある問題を扱っている面もある訳ですね。
結局、本作に何を求めるか?が問題で、驚愕、感服はしましたが、達成感、感動は無かった。とにかく気持ち悪いのを我慢して読んで、ただビックリしただけなので、個人的には評価は微妙です。
新装版 殺戮にいたる病 (講談社文庫)
我孫子武丸殺戮にいたる病 についてのレビュー
No.77:
(4pt)

ペルソナ探偵の感想

作家を志す6人の男女が作る同人誌。そこに掲載された短編が並んでいるという構成で、最終章まで読めばすべて伏線が繋がって、一つの事件の真相が明らかになるというお話です。
あまり面白くなかったのですが、最大の理由は作中作の短編が読み辛い事です。素人の文章っぽくわざとしているらしいですが、内容も今一つでした。特に3話は辛かった。すべてが繋がる最終章は読みごたえがあり、良く考えられたどんでん返しの連続が楽しめます。
意欲作とは言えるでしょうが、名作、傑作とはとても言えません。
ペルソナ探偵 (講談社文庫)
黒田研二ペルソナ探偵 についてのレビュー
No.76: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

悪意の感想

本書は仕掛けに満ちた非常に凝った構成になっています。二人の視点から交互に描かれていますが、一方が作中作なので、何が真実なのか段々分からなくなってきます。基本的には犯人は早めに明かされるので、動機探しがメインの作品です。とても読み易く一気に読みましたが、最後のどんでん返しにより「悪意」というタイトルの本当の意味に何ともゾッとさせられました。倒叙トリック作がお好きな方にオススメです。

悪意 (講談社文庫)
東野圭吾悪意 についてのレビュー
No.75: 8人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

13階段の感想

本作で描かれるのは死刑制度、冤罪、殺人犯の出所後の人生や家族に与える影響、また遺族の感情などです。テーマは社会派ですが、テンポよく解けていく謎と、気になる伏線、魅力的なキャラクターのおかげで素晴らしいエンターテイメントに仕上がっています。難を言えば、デビュー作の気負いなのかラストのドタバタはサービス過剰で、少し唐突でバランスを欠く感じもしました。
しかし、303ページをめくった時は鳥肌が立ちました。間違いなくオススメ出来る傑作だと思います。
13階段 (講談社文庫)
高野和明13階段 についてのレビュー

No.74:

李歐 (講談社文庫)

李歐

高村薫

No.74: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

李歐の感想

高村薫の本を読むとすごく疲れる。李歐も買ってから10年くらい積んでありましたが、連休中なので気合を入れて読んでみました。
途中は機械や拳銃の描写に疲れ、主人公の狂人ぶりに疲れ、良く理解出来ない同性愛的設定(これは女性作家ならではの感覚でしょう。男性はキモチ悪いとしか多分思わない。)にぐったり疲れてしまいました。
しかし、引き込まれる。各章が数年間隔で飛んでいるのも上手くて、その間の変遷にいちいち驚く。
そして最終章。この凄み、悲しみ、そしてラストシーンに何も言えなくなりました。
評価は1点だと思ったり、10点だと思ったり、決められないので5点です。決してふつうと言う意味ではありません。
李歐 (講談社文庫)
高村薫李歐 についてのレビュー
No.73:
(6pt)

君たちに明日はないの感想

企業からリストラを請け負う会社の社員が主人公のお話です。ミステリー的要素は全く無く、サラリーマン小説であり、主人公の恋愛小説(何度も性描写が出て来る)でもあります。
テーマは重いですが、書き方は軽く、非常に読み易く出来ています。
とは言いましても、やはりリストラの話は気分は暗くなるかも知れませんが。
君たちに明日はない (新潮文庫)
垣根涼介君たちに明日はない についてのレビュー
No.72: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

長い長い殺人の感想

各章が擬人化された財布の視点で語られており、それが10編集まって長編となる手法のミステリーです。完全な神の視点では無いので、一部の情報が見聞き出来無かったり、中々凝っています。面白かったのですが、10個の視点から語られるので展開が遅く、全貌が見えるまで時間がかかるのが欠点ですね。
ストーリーは保険金殺人で、特に複雑に絡み合ったと言う話ではありません。それぞれの登場人物は、犯人、被害者、その身内、捜査する側の人間などですが、この10人それぞれの人間ドラマを読ませるのが宮部作品の特長でしょう。必ず誰かに感情移入して、グッと入り込めると思います。
初期の作品ですので既読の方も多いでしょうが、未読の方には是非オススメします。余韻が素晴らしい。
長い長い殺人 (光文社文庫プレミアム)
宮部みゆき長い長い殺人 についてのレビュー

No.71:

熱氷 (講談社文庫)

熱氷

五條瑛

No.71:
(6pt)

熱氷の感想

カナダで氷山ハンターをしている主人公の元へ姉の訃報が届く。10年ぶりに帰国した後、姉の息子が誘拐されてしまい、犯人より脅迫を受ける事になる。犯人の正体は?いったい何をやらされるのか?子供は無事助かるのか?3日間の物語です。
登場人物はそれぞれ魅力的なのですが、少し多すぎて視点が飛びまくり、話が間延びする様に感じる。また、出て来るのが割と好人物が多いせいか、途中の緊張感が薄い。犯人も結構分かり易く書いてあるので、動機には興味がわきましたが、意外性はあまり無かったです。ただ、終盤はかなり緊迫して来て、加速度的に面白くなります。
もう少しシェイプして常にサスペンスが途切れない方が、スピード感があって良かったと思いました。
設定から期待が大きすぎ、辛い感想になりましたが、全体を通して作者の人間への優しさを感じる作品です。少しマイナーな気もしますので、多くの方に楽しんで欲しいです。
熱氷 (講談社文庫)
五條瑛熱氷 についてのレビュー
No.70: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

犬はどこだの感想

私立探偵物ですが、かなり面白く読めました。まず、主人公と助手のキャラが良かった。二人とも終盤にかけて徐々に違った面を見せて来て、その変わり方に魅力を感じました。
また、叙述はそれぞれの一人称で交互に書かれるのですが、二人の語り口の違いが面白い。主人公の淡々とした語り口は、突き放した雰囲気で妙に気持ちいいです。
ストーリーは、2つの依頼が実は後に関連して行くと言う物で、まあ定番。段々解決に近づいて行く過程も偶然や人頼みが多く、悪く言えばご都合主義です。と言いましても、内容は非常に面白かったし、最後明らかになる真相も、衝撃的で感心しました。続編を書いて欲しい、かなり気に入ったオススメの快作。
犬はどこだ (創元推理文庫)
米澤穂信犬はどこだ についてのレビュー
No.69: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(1pt)

夏と花火と私の死体の感想

乙一デビュー作、当時16歳で書いた作品。死体の一人称で書かれたと言うのが、特筆すべきアイデアの様です。ホラーテイストのサスペンスになるのでしょうが、いずれにしても嫌な話に違いありません。子供はみんな天使だ、とは言いませんが、これではあまりにも悪すぎるでしょう。どうも若い作家の作品は、歪んでいる人物が多すぎて、気分が悪くなります。特にこの作品には良い所は一つも無いので、全くオススメいたしません。
夏と花火と私の死体 (集英社文庫)
乙一夏と花火と私の死体 についてのレビュー
No.68:
(6pt)

密室の鍵貸しますの感想

ユーモア本格ミステリー作家の長編デビュー作。この頃からスタイルは確立されていた様で、くだらないと思いながら、ついついハマってしまう文章です。謎解きの部分に関しては、コレが最初の長編の為に温めていた渾身のトリックだったとしたら、やや物足りないかも。登場人物が少ないし、伏線も分かり易いので、犯人、トリックについては割と簡単でしょう。ただし動機は無理やりな感じで、これは分からなかったです。
作者の本格への愛と情熱が感じられる佳作。同じ志を持つ方には、食わず嫌いにならず笑って読んで欲しいと思います。
密室の鍵貸します (光文社文庫)
東川篤哉密室の鍵貸します についてのレビュー
No.67: 9人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

ワイルド・ソウルの感想

まず第一章の「アマゾン牢人」が素晴らしい。どの位史実に沿っているのか分からないが、余りに厳しい描写に圧倒された。第二章以降の現在部分は、一転して痛快な活劇へと変貌する。前半に比べ若干軽いが、その分スピーディーでスリリング。登場人物は皆魅力的で、警察側の人物も含め誰かへの感情移入は必至。どの様な作戦が実行され、そして結末はどうなるのか?なんとなく不穏な伏線が気になるが、全員の幸せを祈り一気に終盤へ。なんか賛否両論有る様だが、自分としてはこのラストは大満足。
とにかく綿密な取材の上でよく練られたストーリー、キャラクターだと感じた。簡単に書き飛ばして出来る作品では無い。正に著者のソウルを感じた一世一代入魂の傑作。
こんなに面白い本を今まで素通りしていた事がすごく残念。未読の方に是非オススメしたいのは、もちろん休日の一気読みです。
ワイルド・ソウル〈上〉 (新潮文庫)
垣根涼介ワイルド・ソウル についてのレビュー