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梁山泊 さんのレビュー一覧
梁山泊さんのページへレビュー数681件
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この作品はクリスティの2回目の結婚までの半生をわかった上で読む作品であると思います。
「無理ありすぎて」なのか「無理があるけど」かはそこで分かれる気がします。 クリスティが考古学者である再婚相手と初めて出逢ったのがメソポタミヤ地方の某遺跡発掘現場であり、出逢ってその年に結婚しています。 この作品にはヘイスティングズは登場せず、その代わりに物語の語り手として登場するのが元看護婦の女性なのですが、遺跡発掘調査隊という俗世間とはかけ離れた一風変わった集団を客観的に語ったりします。因みにクリスティは元看護婦ですね。 この作品が再婚半年後に描かれた事、と言うより、このような作品を描く事自体、相当浮かれた状態だったのかなと想像して笑えてしまいます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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性同一性障害をテーマにした物語・・・なのか?
私は性同一性障害については何も知らないし理解も出来ない。この作品を読了した後もそれは変わらなかった。 ウィキペディアより引用すると性同一性障害とは「何らかの原因で、生まれつき身体的性別と、性同一性に関わる脳の一部とが、それぞれ一致しない状態で出生したと考えられている」らしい。 だったら、この作品におけるキーパーソンと言える女性?は性同一性障害とは言えないのではないか? 性同一性障害やらトランスジェンダーやら難しい専門用語が数多く登場します。 似ているようで違うんでしょ?これ。 何となく意味は分かっていても、実際正確にどこまでの範囲が性同一性障害或いはトランスジェンダーとして定義されているのか境界線がどこなのか理解できないでいました。 興味のない私には難しすぎた。 東野さんのこの手の作品の場合、間違いなく「深い」のは分かっている。 ただ作品テーマの根幹となる部分に対してこんなあやふやな状態では「まともには読めんな」と感じながら読んでいました。 多分、その「深さ」に到達することは出来ないだろうな~と思いながら読んでいました。 予感は的中するのですが・・・ ▼以下、ネタバレ感想 |
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クイーンの国名シリーズ第一弾。
シルクハットのことをローマ帽子というのかと思っていたら違った。 舞台もローマじゃなくてアメリカだし・・・いきなり異議ありじゃないかこれは。 発生する事件はたった一つ。 そして推理展開の起点となるのは「何故帽子が消えたのか?」 前提から次の前提を導き・・・それの繰り返し、そして最終的に必然的な結論を導き出すという極めて論理的な展開を魅せます。 途中に納得出来ないような論理の飛躍もなく、非常に分かりやすいです。 これぞ「The推理小説」という感じで「序盤は」かなり楽しめました。 ただ全てを台無しにしてしまったのが、おなじみの「読者への挑戦」・・・というより「読者への挑戦」以降の種明かしなのです。 因みに私が手に取ったのは創元推理文庫旧訳版。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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まず刺客を外国人女性にしたのは、いくら超人とはいえ日本人女性ではあのような芸当を行わせるのに無理があるということでしょうか。
作中の彼女は日本語が話せないだけでなくまるで原始人、無知すぎるのだ。タランチュラという呼称こそあるものの何しろ彼女の名前すら出てこない。 おかげで彼女の心の内を読み取る事が出来ないどころかそのような描写すらない。 さすがに読中、彼女に感情移入できる人はいないだろう。 「(心のない)殺戮マシーン」として読ませるには効果的だったのかもしれないが、その割にスリルという点でもイマイチだったかな。 追われる側に肩入れする読者の方が多いかなとは思いますが、私の場合は過去の過ちを隠蔽しようとするアスリート達にも感情移入できませんでした。 結局どちらのサイドにも立てず、ただ事の成り行きを見守っているだけって感じでした。 ラストでタランチュラが抱えている思いのひとつが明らかにされます。 作者としては、ここで逆転という目論見だったのでしょうが、追われる側に嫌悪感を持っていた自分には効果なしでした。 追われる側に肩入れして読んでいたとしても弱いかな。 最後のどんでん返しが得意な作者であり、これまでに何作も驚かされてますからね。この程度では・・・という感じです。 もっと追われる側に肩入れできるような工夫が必要だった気がしますね。 |
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ヘイスティングズ曰く「ポアロの失敗談」のひとつらしい。
これまで読んだシリーズ作品では、「実は早い段階で分かっていたのですよ、モナミ」的な発言が必ずと言っていいほど見られました。 確かにこんな試行錯誤を繰り返すポワロは珍しいのかもしれませんね。 驚くことに、最後まで読むと、最初に真逆の推理を披露しているんですよね。 ただこれが強烈なミスリードになって最後まで立ちはだかるはずです。ポワロが排除した人物が犯人であるはずはないのですから。 ポワロの失敗は読み手にとって強烈なミスリードとなります。 このシリーズ、全て読んだ訳ではありませんが、この手法を使えるのは1回こっきりでしょう。 余り評価の高い作品ではないようですが、個人的にはシリーズにおいても貴重な作品ではないかと感じます。 また確か物語序盤で語り手であるヘイスティングズのさり気ない「この人に会うのはこれが最後だった」的なセリフがあったはずです。 ラストの大団円にもその人物は同席しないという事です。よもやそんな人物が犯人だとは思いませんからね。 ポワロとヘイスティングズがグルになって読み手を騙すという後にも先にもない作品ですよ。 面白かったです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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冒頭から100頁に渡り登場人物の描写がしっかりとなされており、各人の個性をしっかり読み手に植えつけています。
この辺りはさすがクリスティだと思うのですが、だったら何故あの登場人物にとって願ったりかなったりなハッピーエンドにしたのかが全く意味不明です。 正直首を傾げてしまうレベルです。 また、準主人公と言ってしまってもよい、登場人物一覧に「女遺産相続人」と記載されている人物。 ポワロのお気に入りとなり、主要な男性登場人物に次から次へと好意をよせられるという・・・ 事件解決に一役買うものと思いきや結局役に立ったとも思えず、ではミスディレクション的な立ち回りをするのかと思えばそうでもない。 「存在意義が不明」と評しているレビュアーの方も多いようですね。全くの同感です。 ホントは彼女を起点に何か物語に何かしたかったのだが、作者の精神状態的にそれが出来ず中途半端に終ってしまったという感じがしています。 それは、作品として肝心なトリックにも同様に現れているような気がします。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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15年前と現在、2つの殺人事件には、大人が大事なものを守るという共通項が存在している。
で、実際はどうなったか。 誰かを犠牲にして生きている辛さ、罪を背負って生きていく辛さ。 結局は守ろうとした存在を苦しめる事になっているのが皮肉だ。 親にとって子供はいつまでたっても子供なのかも知れないが、子供はそんな大人の小賢しいごまかしにいつ迄も騙されたままでいる程幼くはないのでしょうね。 さて、 子供が苦手だという(湯川の)設定を曲げてまで、作者が描きたかったもの。 「今回のことで君が何らかの答えを出せる日まで、私は君と一緒に同じ問題を抱え、悩み続けよう。忘れないでほしい。君は一人ぼっちじゃない」 湯川にこれを言わせたかったのかな。 ここでいう「答え」こそが方程式の解って事なんだろう。ならば本作品のテーマなのだろう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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国際的犯罪組織とポアロの戦いを描いた作品。
未読の方には「嘘つけ!」って言われそうですが嘘ではないのです。 いつものポワロシリーズっぽくないなぁ・・・って当たり前なのです。 何故この作品の主人公がエルキュール・ポアロである必要があるのでしょうか。 人が殺される。でも犯人は決まっているのです。犯罪組織以外の何者でもないのです。 彼らは当然逃げも隠れもしないのです。トリックもくそもないのです。それ以前にこれ以上関わると殺されるのです。 この作品のどこに灰色の脳細胞が活躍する余地があるのでしょう。 スパイ小説として読んでも出来ばえは良くないです。 ナンバー4とばかり対決して、ナンバー1、ナンバー2、ナンバー3の存在感を示す前に最後あっけなく終わってるし。 低視聴率で打ち切られた尻切れトンボ状態のドラマのような感じです。 クリスティが描いた作品とはとても思えませんでした。 最後のかぼちゃの台詞から考えると、この作品はアクロイドよりも前の作品なはずですね。 |
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タイトルである「殺人の門」をくぐれた者だけが殺人を犯す事が出来る。
で、「殺人の門」をくぐるとはどういう事なのかという話である。 主人公は言ってみればお人好し。まさに坂道を転げ落ちるという表現がピッタリの人生を余儀なくされ、少し上向いたかと思えばまた転がり落ちるの繰り返し。 その裏には常に、主人公を「踏み台」として生きる事を選択した友人の存在があり、まさに運命の糸で結ばれた関係。 題材的にも作者にとって意欲作ともいえる作品と思えるのですが、正直楽しく読める作品ではありません。 どこか道尾秀介さんが得意とするテーマかと思うのですが、やはりこのテーマを描き切るという意味では道尾さんには及ばないという印象を持ちました。 やはり軽いのです。テーマこそ重いのですが東野さんの場合、それでもリーダビリティがいいのです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ポアロシリーズの2作目。
ポアロシリーズは知名度の高い作品を先に読んでいるため、評価がそれらに追い付く事はまぁないなと思いながら読んでます。 それにしてもかなり違和感の残る作品でしたね。これまで読んだ作品と比較してという意味ですが・・・ プロットは凝っているというかかなり複雑です。クリスティにしては珍しい?初期の作品の傾向なのかな? 最終的な真相から読者を欺くために色々小細工し過ぎに感じました。 特に2番目の事件の被害者の存在などはかなり都合が良すぎますかね。 また、ポアロに敵対心丸出しで挑んでくるジローという名の刑事が登場するのですが、ポアロに一泡吹かせそうな印象をまるで持てませんでした。 単なるポアロの引き立て役でしたね。 彼の導き出した推理は「猟犬」と評された彼の捜査スタイルからかけ離れたものでしたし、理論だった推理を展開する事もなしです。 またこの作品は、クリスティによくある最後関係者全員を集めての大団円がありません。 いつ始まるのかと思っていたら終わっていたという印象で、ジロー株暴落の描写がないのにもがっかり。 しかし、ポアロがジロー刑事に挑発されて、ヘイスティングズと二人きりの時に本音爆発、張り合う描写はあるという・・・ ポアロってこんな小さい奴だったのか?ポアロの株を落としてどうする。 まぁ何れにせよポワロとの対決として用意されたキャラクタだとしたなら、思い切り失敗ではないでしょうか。 そして、この作品のヘイスティングズはワトソン役という枠を大きくはみ出しており余計な事をし過ぎです。 ヘイスティングズの恋愛模様も見どころですといったレビューも見受けられますが、私はちょっと・・・ 殺害現場がたまたま建設中のゴルフ場であったというだけでゴルフ場である意味は全くありませんしね。 |
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正直ハードボイルドものは余り好きではありません。
登場人物の心理描写がなされないので、口数少ない主人公のセリフや何気ない所作から色々察する必要があります。 作品に没頭するには主人公に感情移入できる事が必要不可欠と考えます。 特にセリフに味わいがあるはずなのですが、訳によっては「キザ」「ダサい」で片付けられてしまい、こうなってしまっては最早「無味乾燥」 何も残らない作品として読み終えてしまうことが多いです。 分厚いけれど文字が大きいので読了までそれ程時間はかからないかなと思っていましたが、読み始めてみると改行が少なく字がびっしり、予想外に時間がかかってしまいました。 ただ、可読性が悪かったわけではなく寧ろすこぶる良好でした。 可読性が良いのに読了時間を要してしまったのは、それだけ苦手なはずのホードボイルドの世界に没頭できたからでしょう。 私が読んだのは村上春樹訳です。 村上春樹とハードボイルドっていまいちピンと来ないのですが、粋でウイットに富んだ文章を堪能させてもらいました。 清水訳は読んでいないのですが、本来ストーリーテラーであるはずの訳者により、違った価値観が付加されているように感じました。 いい意味での「軽さ」ですかね。 主人公を単なる「キザで鼻持ちならない奴」に終わらせず、ハードボイルド苦手な読み手にも好感を持たせる事に成功している訳者村上春樹のこの作品、この主人公に対する愛を感じることが出来ました。 ミステリっぽい部分もあるのですが、推理しながら読むような作品でもないでしょう。 世界観を楽しむ作品かなと思いますので。 最後、この作品一番の真相が明らかになる某セリフに「おっ」と驚かされる事でしょう。 これで十分、こんな事まで期待していなかったって分、感動は2倍って感じでしょうか。 私は知らなかったのですが、かなり有名なセリフだったようです。 後はタイトルの意味をどう解釈するか、ですかね。 面白かったです。 |
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【ネタバレかも!?】
(1件の連絡あり)[?]
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クリスティ・ポワロシリーズの代表作の一つです。
初読でしたが映画を観ていたので犯人は既に分かっていました。 この作品は非常に登場人物が多いのですが、最初の事件発生までに非常に頁を要し、それまでの200頁余りを割いて、登場人物一人一人を非常によく描いています。 そして、乗客の中には、窃盗常習者、横領もみ消しを企む人物、 警察が追うアジテータが含まれています。 作中3名の人物が殺害されますが犯人の当初の目的はただ一人。 その目的の人物を亡きものとせんとする人物が実は乗客内にもう1名いて、未遂に終わったものの実際実行にうつしています。 この辺りがミスリードを誘い、読み手が推理に様々な方向性を見出せる様になっています。 この構成力は、クイーンやカーには無いように思いますね。さすがという内容です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「放課後」に続く東野圭吾の学園ミステリー第二弾で加賀恭一郎初登場の作品になる。
大学4年生なので阿部寛に置き換えて読むのはかなり困難ではある。 「放課後」といいこの作品と言い、作者はちょっと学生に何か偏見を持っているのだろうか。 いくら親友だろうと、その人の全てを知っている訳ではない。 確かにその通りなのだが、ほぼ知っているから親友なのだと思うのだ。 その親友を殺すに至る動機にしては余りにも弱過ぎないだろうか。 大学4年生といえば、子供から大人への・・・っていう段階でもないと思うのだが・・・ しかも学業もスポーツもトップクラスの面々なのだ。 その割に殺害に至るまでの思考が単純すぎる。 「頭にきたから殺す」的で、親友に手をかける事に対する本来そこにあるべき紆余曲折の苦悩・躊躇といったものを感じることが出来なかった。 学生=子供、青い 作者がそのように思っているような気がしてならない。 タイトルの「卒業」は、そういう「青さ」からの卒業、そんな風に読めてしまった。 主要登場人物が誰一人として幸せになれない卒業ってのもどこか無理矢理で「大人になる前の試練を与えてあげました」的な感じがして共感できなかった。 だから読後感はイマイチ。 一方ミステリーの方だが、これもイマイチ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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カーの短篇集。
他のレビューにも多く見られる通り私も表題作が一番良かったと思います。 衆人環視の中での人間消失。 大胆というか露骨というか、そんなヒント(伏線というよりヒント、しかも決定的ヒントと言った方がいいかも)が鼻先にぶら下げられていたにも関わらず、読後「何故気付かなかったんだろう」と自分自身に失笑してしまいました。 ただどうやら自分だけでは無かったみたいで・・・だったらやはりこれは作者のミスリードが如何に巧みかを証明している事になりますね。 しかもたかが50ページ程度の作品の中でそれをやってしまうのですから凄いですね。 知らず知らずの内というか無意識の内というか当たり前のように◯◯ダニットに誘導されていました。 しかしこの作品に「白眉」という表現を使ってまで絶賛する事に抵抗を感じてしまうのは、やはりそのトリックのせいですね。 まぁパズルなんですが、(上手く表現できないのですが)「血の通っていない」パズル。 まず不可能と思わせる謎が提示され、それに対して合理的解決をしているつもりなのでしょうが、ぎりぎり辻褄だけは合っているだけっていう感じ。わかりやすく言うと「無理がある」 残りの4作品はそれが顕著です。バカミスじゃねぇかってのもありました。 他の作品が表題作の星を2つ削ってこの評価。 「好きな人はたまらなく好き、好きじゃない人は最早嫌い」 よく見かけるカーに対する評価ですが、何となく分かってきた感じです。 |
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