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マッチマッチ さんのレビュー一覧
マッチマッチさんのページへレビュー数312件
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履歴を見ると、著者の青山七恵氏は2007年第136回芥川賞受賞、2009年第35回川端康成文学賞受賞とある。しかも受賞時の年齢は20代前半。お若い!
とは言え、当方全く知らない。 なのに何故本書を手にしたかというと、本年8月頃、愛読している日経新聞の書評欄でこの小説が紹介されていたからである。 当方、未読本の書評は出来るだけ避けるようにしている。もちろん、オチを想像してしまうことを避けるためだ。 日経の土曜日の書評ページは、基本的にお堅い書籍・専門書が多数である。ただ、たまにはこうした娯楽的な小説も取り上げられる。 という事情でついつい軽く読み流してみると、「不穏な気配」というフレーズが目に飛び込んできた。 これは大好きなフレーズである。 ということで、今回、手に入れ読んでみた訳である。 さて、主人公の猪瀬藍は37歳で独身の作家だ。 思い立ち、やっとのことで購入した中古の1LDKマンション。 ここからなにやら怪しげなことが起こってくる。 マンションの売主小林家は、妻と夫と小さな二人の娘の4人家族。 主人公がマンションを購入後、しばらくしてから、この娘たちがマンションを訪問してくる。 さらにしばらく経つとその母親まで。 うーん、その目的というか意味は? そしてさらに時が進むにつれ、藍は小林家の新居を訪問するようになり、歓待される藍は、ついには連泊するまでになる。 いやいや確かに不穏である。 不穏・不思議と言えば、この小林家の夫。目立たないようではあるが、何か秘密が? 娘たちも可愛いんだけど、藍に懐いているようで懐いていない。 主人公の藍も何やら頼りないし、小林家の妻の歓待は、無償の愛なのか。 うーん、なにやら本当に不穏である。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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マル暴担コンビ、堀内と伊達シリーズの3作目。
また読んじゃった(笑) 相も変わらずの3匹目のなんとか、という作品。 でも分かっていても面白い。止められないお手軽の娯楽作品。 当方、きっと4作目の「熔果」もいずれ読むんだろうね。まだ文庫は出ていないようだから、出たら読みましょう。 まあしかし、3作目になるともう完璧にヤクザみたいになっちゃったね、お二人。 でも元は刑事。ハチャメチャに悪を懲らしめる。痛快で面白い。 上手くいきすぎて最後のオチが少々ハラハラしたけれど、まあまあ無難な不時着で一安心。 伊達もあの程度の傷なら、堀やんと次のシノギを見つけることだろう。 解説はハードボイルドなんて書いてあったが、これはエンタメだよね。 息抜きに持って来いです。 |
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奥田氏の初期作。3作目。
味付けは2作目の「最悪」と同じ。犯人探しのミステリーではなく、展開を楽しむエンタメ系の小説。 でも決して楽しんで読める小説では無く、読み手によっては、そのエンディングも含めて、イライラ感やストレスが溜まる小説だったかもしれない。 しかし、当方、こういう流れ好きですね。奥田作品は、伊良部ドクターのギャグ系より、こっちの人間模様系の長編が面白いと思う。 世相を皮肉るちょっとした社会現象、脇役の何気ない癖や行動。こういった描写が、小説に妙にアクセントを付けてくれ、時には笑わせる。 当方、文庫本新装版で読みましたが、上下で800ページ強、あっという間に読み終えました。 メインの登場人物は、主婦・恭子と刑事・久野。 でも、主役は恭子だろう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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文庫本の解説を読んでみると、本作の初稿完成時期が1995年12月となっている。
今から約30年前で、阪神淡路大震災があり、オウム真理教による地下鉄サリン事件があったあの頃である。 果たしてあの頃に、巷でVR(仮想現実)の話題が上がることはあったであろうか。 本書では、終盤の犯人とのやり取りが、カートに乗ってVRで行われる。この辺りは凄く新鮮。30年ほど前の小説とは思えない新しさだ。 AI(人工知能)についての記述は無かったが、その初歩的発想のロボットも出てくる。 著者の履歴を調べてみると、執筆当時は現役の名古屋大学工学部助教授。うーむ、これはバックボーンが全く異なる。 こういう肩書でありながら、こうした大衆向けの娯楽小説が書けるわけだ。その当時、著者は大学でどのような趣向で学生に講義していたのだろうかと、色々と想像してしまう。 さてそういうことを含めて、本書のミステリー本としての感想だが、内容的にはクローズド・サークルのミステリー小説であった。 当方、基本的に、この手の謎解き本格物というものは、余り好みでは無い。 しかしながら、今回は妙に楽しく読ませて頂けた。理系ミステリーを標榜するだけあって、ややマニアチックな用語や数値が頻出したが、さほど苦にはならなかった。 謎解きの説明も、そこそこに納得できた。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「サスペンスミステリー」というキーワードで、引っかかった作品。
でもこれは、ミステリー小説でも無ければサスペンス小説でも一切ありません。 少年犯罪に関わった4人家族の揺れ動く心理を扱ったリアルな家族小説です。 登場人物は、設計事務所を構える夫、校正の仕事を請け負う妻、サッカー部を怪我で辞めた高校生の兄、高校受験を控えた中学3年生の妹の4人。 あらましは、兄が行方不明になり殺人事件という少年犯罪に関わっていることが判明。数限られた情報から、兄が事件の加害者であるか殺されてしまった被害者であるのか、その2者択一。 こうした状況下で、夫・妻・妹は、兄が加害者と被害者のどちらであることを望むのか、この心理の様をリアルに事細かく描いていく。 特に長男である兄のことを考える夫と妻の心理の対比はリアルです。 ストーリーはほぼ最後までこの描写が続きます。これを良しとするか悪しとするかは、読み手の年齢・家族構成によっても違うでしょうね。 また、この小説をミステリ本と思って手にした方は、正直、何の面白味も感じなかったでしょう。 当方は結構、夫や妻の思考・心理にそれぞれ同調でき、考えさせられました。 まあ、しかし、最後は親の立場として、見舞いに来た妻の母親がアドバイスした考え方が、道理でしょう。 読み手の立ち位置によって評価が分かれる本と思います。 私はある程度高評価のアマゾン評価4点にしました。 |
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「サイコミステリー」という検索ワードで引っ掛かった小説。
しかし、サイコというほどの内容ではなかった。まあ、エンタメ感たっぷりの警察小説というところでしょう。 と言っても、王道の警察小説に見られる重厚さは一切無い。 軽くてスピード感たっぷり。リアルには拘らず、筋書きの細かい齟齬にはお構い無く、娯楽色を全面に打ち出してストーリーが展開する。 だから、面白さは抜群。文庫本で400頁少々だが、あっという間に読み終える。 そして、事件の真相も影の主犯も、主人公の女性刑事姫川の直感で炙り出される。 ただし、これを良しとするか否かは読み手次第。 ※当方にとっては正直物足りない。娯楽だけに拘ればこれでもいいんだが、、、 ▼以下、ネタバレ感想 |
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麻耶氏の「鴉」という、ちょっとしんどく難解なミステリー本を読んだ後だったので、お気軽に読めるであろう本書を手にした。
さすが伊良部シリーズということもあり、ほんの1・2時間程度で読み終えた。 まさにお気軽本である。 本シリーズも4作目となり、少々種切れか。 伊良部先生のハチャメチャぶりもやや小粒になり、妙に丸くなっている。 今回は5作品とも、大笑いというのは無かった。 著者にはやっぱり長編を期待したい。 もうこのシリーズはいいでしょう。 |
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当サイトの評価が高かったので、取り敢えず手にしました。
100%の事前情報なしです。どんな内容か、帯もカバー裏も著者情報もサイト感想も、ましてやあらすじなども全く読んでません。 で、その結果ですが、序盤のつかみは、なかなかよろしいですネ。「おっ!面白そうじゃん!」と思わず引きこまれました。 少々エロい展開で、早々の少女の自殺死。援助交際をやってる女。その女が不審な手紙で某屋敷に招かれる。 ここまでは、抜群です。期待大ですね。 でも、ここまででした。それ以降は、屋敷の見取り図が出てくる。円形の屋敷。何やら本格ミステリーの犯人探しの匂いがプンプン。 そして、あとは、お決まりの殺人事件。もう駄目。あとは、グダグダした理屈を読んで、犯人を知る。なーんだこれは、援助交際探偵・上木らいちというシリーズ物なんだ。 ただし、並行して書かれていた高校三年生のの戸田公平の事件。こちらは流石に、社会派ミステリーを標榜するだけに、なかなか面白いところに目を付けた。 もちろん、お屋敷の殺人事件と戸田公平の事件はいずれ収斂されるわけだが、これがあって、この小説は成り立った。これが無ければ、単なるおバカミステリーということだろう。 よって、屋敷の事件だけならアマゾン評価1点。でも社会派が加味されて2点。サイト評価4点で、いいとこだろう。 ということで、残念ながら、この作家さんはもう読みません。私には合わなかった。 |
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これって3部作だったんですね。
当方基本的に事前情報なしで、読み始めるので途中で気付きました。 あとがきにも、第1作の失踪症候群から読むべしと推奨されていましたが、確かにそうでしょうね。 第1作から出ている登場人物の背景が分かれば、より、ストーリーに深みが出てくる。 まあ、とは言え、本作だけでも十分に楽しめました。 少年や精神疾患者の起こした重大事件に関わる社会派小説という体ですが、エンタメ感も十分です。 700ページ超ですが、それほど重くない。結構、あっさり読み終えます。 展開的には、犯罪被害者の復讐を請け負う職業殺人者とそれを追いかける非合法警察組織。そして、それと同時並行に進行する不可思議な交通事故死。 後者は、現役の刑事が、臓器移植のドナー獲得のための殺人と見立てて捜査する。 要するに、この2つの事件がどう絡んでいくかが、本書の読みどころ ▼以下、ネタバレ感想 |
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かなり面白かった。
さすがに当サイトのS評価。納得です! しかしながらこれだけ面白いのに、調べてみると、何らの賞も取っていないようだし、また映画化どころかTVドラマ化もされていない。 不思議である。なんらかの忖度でもあったのかな、と思ってしまう。 デビュー作ではあるが、TVの『相棒シリーズ』の脚本家という肩書があられるということで、やはり素質が違うのであろう。 面白く緻密でありスピード感も十分で文句のつけようが無いところではあるが、まあ、強いて挙げれば、やや都合が良すぎる。まあ、これは「幻夏」や「天上の葦」を読んだときにも感じたことだけど、、、 ということで、満点からマイナス1点の9点を付けてみました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ひょんなことから手にした。
古い本である。 本書は元々1963年に刊行されているが、手にしたのは1990年に文庫化されたものでる。 故にさほど古臭さは感じられなかった。 典型的な警察小説である。 二部構成になっており、一部は事件の推移、二部は犯人から見た事件の真相、ということになっている。 刑事達の捜査活動と心情、犯人の心理がうまく描かれています。 面白く読めます。伏線がどうだとか何だとか、難しく構えずに読めました。 当時の警察も今の警察も同じようなものだと、警察組織を考えることができましたね。 |
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湊氏が「イヤミスの女王」と言われる所以のような小説ですね。
灰汁が強いです。故に癖になりそうな味付けで、後を引きそうです。 ただ、後を引くなら、最後まで徹底して引いたままで終わって欲しかった。 終章の二人。明るく明日を向いて、前向きに終わっている。 この終わり方が、却って中途半端ですね。 この小説の構成なら、明日への希望や夢は不要でしょう。 ところでこの小説、イヤミスとは言っても、ミステリー要素は殆どありません。 都合よく人が死に、こじつけのように美少女殺しの犯人の正体が分かります。 驚きなど全くありません。 ポイントはイヤミスの「イヤ」の部分。 ここは面白い。痛快なほどに、人間の負の思考を晒しだします。 ここが面白いので、読みだしたら止まらない。 あっという間に読み終えます。 そういうこともあり、ミステリー部分では低評価ですが、総合的にアマゾン評価の4点にしました。 |
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本書の完全版とやらを読んでみた。
えらくストレスの残った終わり方であった。 ページ数は400ページほど。330ページ辺りで第3章が終わる。 さて、いよいよ最後の章で黒幕が明かされるかなと、ページを捲ると、なんと!The End!「謝辞」があり、「参考文献」の記載。 残りのページは、インタビュー記事やら、著者の「後記」やら、続編の解説やら、もうどうでも良い。 結幕を知るためには、続編の「自爆条項」「暗黒市場」「未亡旅団」…を読まなければならないということ⁈ うーん、考えちゃうね(笑) しかし、著者はかなりの自信家なんだろうね。必ず次作が刊行されるという自信があっての著作なんだと思う。 著者のあとがきの一節に「…もちろん続けられればそれに越したことはないのだが、エピソードとしてはちゃんと完結しているので一作で終わっても問題はない。…」 いやいやこれで終われば、問題残るけど(笑) ごめんなさい。第一作だけでは評価不能というか、この程度しか評価できません。アマゾン評価2点です。 PS:内容もちょいとロボット漫画(イメージ的にはガンダム・エヴァンゲリオン系列)ぽくって、重厚な警察小説では無いようです。 |
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