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陰気な私は地球を回さない さんのレビュー一覧
陰気な私は地球を回さないさんのページへレビュー数209件
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何人かのパーティを構築した状態でのストーリーというのは道尾作品にはよくあるが、あらすじだけみると「カラスの親指」かと思うような書かれ方をしている。結果としては全く趣の異なる作品ではあったが。とにかくこの手の作品はもっとキャラクターを前面に出して欲しいのだが、そこは満たされていなかった。東口と奈々恵以外の登場人物は蚊帳の外というかおまけ感が強い。
メッセージ性はたしかにあった。疫病神を上手く使いながら、響くような主張はいくつも感じられた。最終章には緊張感のある場面があったが、そこまでのストーリーはまとまりがないし、盛り上がりもなかった。 残念なところもあるが、作品を通して苦なく読むことはできた。 |
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冷静になって振り返ってみると、なかなかに振り切れたストーリーだと思う。その辺りを気にさせないのはさすが伊坂幸太郎なのか?世界観がいつものようであり彼らしい。久しぶりにかなり読書にのめり込むことができた。そこだけ切り取ると10点満点でもいいのかなと。
それでもこの点数なのは、あまり捻りを感じない終盤があったからだ。伊坂幸太郎という作家に対して異常なまでの期待があるからこそ、いい意味でもっと裏切って欲しかった。少し贅沢かもしれないが、それだけ大好きな作家であるので厳しくなってしまう。 この作品を語る上でグラスホッパーについて触れないわけにはいかないだろう。続編とは見聞きして知っていたが、ここまで直接的にリンクしているとは思ってもいなかった。グラスホッパーを読んだのは数年前だが、本作を読みながら色々と思い出すことができた。それだけで贅沢な一冊だ。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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いやあ面白かった。ストーリーがどうとかではなく、その世界観とラゴスの強靭な精神を通した描写が面白い。たった250ページ程度で、旅をしているラゴスの20歳過ぎあたりから生涯?70歳程度までを描いている。数行の間に数年たったというような日記形式であるから、あっという間に読めてしまった。
読んでいて、常にまとわりついてきたのがファイナルファンタジーのイメージだった。当然ラゴスは自分の思い通りに動かないので、ゲームをプレイしているような感じではないが、その世界にいるような感じである。ドラゴンクエストでもいいが、私のイメージでは少し違う。こういった小説ってありそうで意外とない。そんな新鮮さからぐいぐいハマっていった。 |
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クリスマス・プレゼント、そのタイトルから読むべき時期はクリスマスだと、ずっと今まで読まずに溜めていた一冊。ジェフリー・ディーヴァーの作品は初めてだったが、どんでん返しの名手?という評価を得ているのも納得できた。
本作品に収録されている話は、どれも数十ページととても短い短編である。それ故話に深みを持たせるのは難しいだろうが、淡白にならずストーリーに浸ることができた。特にこれが!というのはないが、どれもかなりのクオリティを見せてくれる。筆者の長編作品を読んでみたいと思わされた。きっと長編であれば大きな驚きを得ることができるだろう。 |
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いつもの池井戸作品のように、スラスラと読めて読書の世界に浸ることができた。ただ今回は連作短編のような体裁を取っているが、それほど必要な内容だけをコンパクトにまとめているとは言い難い。それ必要かな、徒らに長くなってるだけでは?と思わざるを得なかった。
ドーナツのくだりもそれほど重要には思えないし、単純に登場人物が多すぎる。それ故にキャラクターが際立ってはいなかった。「7つの会議」もどれのことを言ってるのかわからない。きちんと数えれば7つあるのかもしれないが。 なんだかタイトルもストーリーもまとまっていないように感じた。それでも楽しく読めたのだから著者はやはりすごい。 |
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かなりの高評価を得ているのに、それほど楽しむことが出来なかったのは何故だろう。
テーマも非常に良かった。ストーリーも壮大で、一見自分好みであった。ただあまりに単調すぎた。長い割に盛り上がりがなく、リズムも特に変わらない。ずーっと淡々としていたように思う。翻訳ものであるからかもしれない。その点ミステリは謎が解ける時の高揚感などがあるが、この作品はそれがないにも関わらず、若干ミステリ仕掛けにしているところも雰囲気を壊していると思う。 |
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「最後の証人」を読んでから1年半ほどが経過していた。いまいち佐方がどのようなキャラクターであったか思い出せなかった。さらには、佐野という刑事が佐方だと思って読み始めていた。
正直言って、この作品を読んでも佐方という人がどのような人物なのか掴めなかった、というのが本音だ。外からの視点で固めたが故に、だらしのない身だしなみしか印象が残らなかった。ストーリーもそんなに高評価なのか?と疑問もあった。しかし、「本懐を知る」でそんな評価も一変。著者はこれが書きたくて、伏線を書いたのかと思うほど。心に響かせるのが上手い作家さんだなと、前作を読んだのと同じ感想を抱いた。いや本当に気持ちがいい。人の魅力を前面に出した良作だと思う。 |
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この著者の作品では珍しくハマらなかった。人がワープするかと思えば時間軸もひっくり返って始まり、また一章が長い。一気に読まないと内容を忘れてしまう。奥様との馴れ初めも長いし、全体的にもっとコンパクトにできなかったものか。読者が(この本を手に取ったからには)待ち望んでいる瞬間移動について触れるのもかなりページ数が経ってからだ。ストーリーに関しては瞬間移動どころか牛歩のようなテンポの遅さを感じた。ウエイトバランスもややこしくて頭が痛くなる。まさに重しであった。
もう一つ楽しめなかった要因として、登場人物を理解できなかったことが挙げられる。誰もがクセが強く、私には受け入れ難かった。 |
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ハードボイルド作品のあらすじに魅力を感じやすい。そんな私は「八月のマルクス」のあらすじにも興味を惹かれた。
しかしそこまでの面白さはなかった。ハードボイルドといえば、チャンドラーのように皮肉めいた表現が面白さの1つだと私は思っているが、お笑い芸人の今作では相性が悪かったように感じる。売れっ子の元芸人の設定だったが、全く面白くない。著者自身そう感じたのか、「人を笑わせるのが下手になった」との保険をかけてくるあたり、余計に面白くない。タイトルについても、センスを感じない。 ストーリーは芸能界の裏側を覗いているようでワクワクしたが、真相を知って動機が弱いと思わざるを得ない。主人公が相方を探す理由も弱い。何故このような行動を取るのか、著者の操り人形としか思えないのが残念だ。それでもエキストラが全くと言っていいほどいないのはいい点だろう。みんな何かしら役割を与えられている。 |
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何故だろう。特に何かが起こるわけでもなく淡々と進んでいくのに、これほど魅力的な作品には滅多に出会うことはない。友達が少なく、真面目な恋愛もしてこなかった私としては、全てが輝いているように見えた。こんな高校生活を送ってみたかった。
そして登場人物がみんな大人だ。高校生であるにも関わらず、私なんかより遥かに大人だ。こんな人になりたいなぁと思うような登場人物ばかりだった、と社会人になった私は思う。私ならこの学校、すなわち歩行祭のゴール地点に凱旋門を建てたい。 恩田陸氏の作品は初めて読んだ。文章がとても美しい印象を受けたので、他の作品も読んでみたくなった。 余談ではあるが私の親友が恩田陸氏と同じ高校の出身ということで、歩行祭については知っていた。彼もこのようなイベントを経験しているのかと思うと、非常に羨ましく思う。 |
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あらすじに興味を惹かれたのと、かつて住んでいた横浜が舞台になっていることで読むことにした。知っている街が出てくると、どうしてこうもワクワクするのだろうか。細かな描写も目に浮かぶからかもしれない。
ストーリー構成はお見事。最初に2つの仕事を遂行する探偵の話があり、最終章で全てを明かしてくれる。一見独立した話のようにも思うが…伏線をも1つの物語にしてしまうのは圧巻だった。 とはいえそれほどのめり込めた作品ではなかった。登場人物に感情移入できなかったからだ。「友情」を描いた作品だけにクサさも否めない。というのもあまり丁寧にキャラクターを描ききっていないように感じたからだ。2人の探偵はどっちが喋っているのかわからなくなることも多々あった。その辺りは今一歩だった。 |
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女性作家の女性探偵ということで気になってはいた作品だが、ついに今回読むことにした。労働の諸問題や女性活躍については当時のテーマなのだろうか?私立探偵といってもチャンドラーのそれとは全く雰囲気が異なっている。
感想を率直に述べると、事件の内容や社会性は面白く難解であったが、全体的に単調に終わってしまうのが残念だった。平板にずっと同じペースの印象がある。また意外とあっけなく読者が真相に辿り着いてしまうのも残念だ。とにかく証拠集めに徹するだけの作品だった。 一方でアメリカ色が色濃く、他文化に触れられるのは良かった点だ。シカゴを舞台にしたこの作品には、度々メジャーリーグ球団のシカゴカブスが登場する。カブスは100年以上ワールドチャンピオンになっていなかったことで、そのことをいじられるのはお決まりのようだが、2年前についにワールドチャンピオンになってしまった。今のカブスは強いよとニヤニヤしながら読んでいた。 |
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メガバンクの管理職から弱小地方銀行の雑用担当に成り下がった主人公が、あれよあれよと悪党に復讐を果たすストーリーは爽快感がある。決して水戸黄門のような話ではないが、やはり勧善懲悪を期待してしまう。
本作は連作短編として雑誌掲載されたものなのだろうか?1話ごとに区切りがついた感があり、一度緊張感が途切れてしまう。また最後の終わり方もあっけなかったのは残念だ。長編であったら、もっとジリジリと相手を追い詰めて決着をつける場面にピークを持ってくることもできたのだろう。あまり構成としては見事ではない。とはいえストーリーが面白いことには変わりないので、次に読む長編に期待したい。 |
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これがトラベルミステリーと呼ばれるものなのか。細かい描写は省かれ、ものすごいテンポで物語は進んでいく。あくまで事件を本格的に紐解くことに主眼を置いている。正直、樽や登場人物が何時にどこにいたかというのはほとんど整理せずに読み飛ばしてしまった。あまりに細かいので正直煩わしくも思った。
ミステリとしては尻すぼみ感は否めなかった。バークリーがルファルジュと捜査を繰り広げるところは、なかなか読み応えがあったが、最後の終わり方はつまらない。まさに樽のように、真ん中だけが膨らんだ作品だ。 イギリスやフランスを行ったり来たりといったことが当たり前にあるのは、ヨーロッパの国際色に憧れてしまう。イギリスと同じ島国であっても日本ではそのようなことは珍しい。同じようにそういったミステリも少ない。だからこそ洋書をたまに読みたくなるのかもしれない。 |
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辞書を一冊作り上げるのにこれほどの期間と労力が費やされるのか。知らないことだらけだった。この作品は一冊の辞書を作り上げる15年もの奮闘を300ページ程度で書き上げるわけで、ダイジェストのような印象を受けた。表面だけをすーっと撫でていくように淡々と進んでいく。あまり具体的な描写は少ない。そういう点では印象に残らづらいかもしれない。
一方で、言葉の豊かさを存分に楽しむことができた。人生を航海に例えることは少なくないが、辞書も言葉の海を進む舟である。「舟を編む」というタイトルはなんと素晴らしいことか。辞書について興味を持ったことは間違いない。読書をする身として、辞書には当然お世話になっているが、当たり前のものとしか思わず、特に意識したことはなかった。私は、知らない言葉に出会った時に広辞苑で調べるが、それは単に私の電子辞書の一番上に広辞苑が入っているから、ただそれだけだ。他の辞書との違いなど気にしたこともない。今以上に言葉というものを大事にして、読書に深く入り浸りたいと思わされた。 豊かな表現を用いて美しく描かれているこの一冊が、今後の読書人生に与える影響は大きいだろう。 |
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