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陰気な私は地球を回さない さんのレビュー一覧
陰気な私は地球を回さないさんのページへレビュー数87件
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タイトルにも示した通り、この作品は前2作の続編といった位置付けだ。密室殺人ゲームを模倣する者たちが現れる、だけでは終わらない。なんと動画配信という形を取っているではないか。これは間違いなくこれまでの作品とは雰囲気や趣が異なるのだろうとは想像していたが、想像を超えてきたのは、さすが歌野晶午といったところか。
非常に意外性に富んでいて面白かったのだが、トリックやその解説を端折っていたところが玉に瑕といった感じだ。 |
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学生アリスの第2作、孤島パズル。久しぶりに本格ミステリを読んだのか、ドキドキ、ワクワクしながら読書することができた。前作ほどのストーリー構成ではなかったため点数は6点とした。
読者への挑戦状は面白い。本家エラリークイーンに劣らず、重箱の隅をつついたような証拠から犯人を絞り出していく。あくまで消去法だ。今作に関しては、そんなことから犯人がわかるのか!と非常に驚いた。それと同時にプロットの弱さも感じた。前作の感想でも述べたが、他の可能性を消しきれていないようにも思う。 最後に欲を言うと、織田と望月を出して欲しかった。 |
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以前に「氷菓」を読んで、この作家はもういいやと1作品だけで読まず嫌いになっていた。けれどもこの作品は氷菓と全く違い、稚拙な印象が全く無かった。それだけテクニックがあり、いろんな書き方ができるということなのだろう。短編のどの作品もおどろおどろしい雰囲気が文体から伝わってきた。とても奇妙な物語の集まった1冊だ。
時間軸を行ったり来たりする形はとても良かったのではないか。「夜警」では警察官が殉職した葬儀から始まり、警察官という職に就くところから死に至るまでを回想し、そして結末へ。「万灯」も人を殺めたことで裁かれているという記述から始まり、出来事を回想する。「満願」も構成は似たような形だ。 どの作品も少し突飛な気はするが、ミステリとしての面白さは十分あった。 |
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私は史実に基づいた歴史物を読んだりはしない。なぜなら結末が決まっていることに読書欲がそそられず、また実際には史実と齟齬はないのか?等、著者の考えをねじ込まれることを嫌うからである。しかしながらこの度「村上海賊の娘」を読み終えた。普段読み慣れない歴史物故、漢字も読みづらく言葉も分かりにくかった。加えて単行本2冊(文庫本は4冊とのこと)というボリュームである。なかなかスムーズに読み切ることはできず、1ヶ月程かかってしまった。
確かになかなか難しい読書ではあったが、たくさんの参考文献から引用があり、合戦については異常に詳しくなった気がしている。新たな知識が尋常ではないほど入ってくることは良かった。この辺りは住んでいる地域によって多少の差が出てくると思われる。舞台となるのは大阪から広島にかけての山陽道側である。 難しいのは、様々な登場人物が出てくるがその誰にも肩入れできなかったことだ。話の始まりは織田信長と戦う大阪本願寺の一向宗派が、兵糧入れを毛利家と村上海賊に依頼するところから始まる。そのどれもが脇役ではなく主役であり、それぞれの活躍するストーリーが膨大なストーリーで描かれている。しかしながらその毛利家、織田家、一向宗派の誰にも感情移入することが難しかった。タイトルでもある村上景も狂人にしか思えない点が多々あった。 |
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地震が発生した時にファーストフード店にいた客達は、難を逃れるために店にあったシェルターの中に逃げ込んだ。しかし、そのシェルターは
入った人々の人格を入れ替える装置、「第二の都市」だった。 西澤保彦の考えるこの巨大な装置が、殺人事件を引き起こす。一体誰が?というよりは誰の人格が?といった趣だ。まあ、筆者の考えた装置をベースに彼が考えたアイディアで驚かしてくれるのだが、これは西澤保彦の自己満足でしかない。そういう意味では「7回死んだ男」に似ている。まるでマジシャンのようであったが、あまり褒め言葉ではない。 数日間のストーリーもあっという間に1日が進むし、殺人鬼はとんとん拍子で人を殺めていくしで、あっと言う間にみんないなくてなってしまった。人格転移も頻繁に起こって、信号機が変わるようなものだ。スピード感はものすごい。余計なことを考えずにすらすら読んで、西澤保彦氏の作品を楽しめるのはいい点だった。 |
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ジョン・ディクスン・カーの作品で初めて読んだ、そして本作を読むまで唯一の作品であった「夜歩く」は全くもって面白くなかった記憶がある。そこから古典ミステリの巨匠である彼の作品には一切触れてこなかった。とはいえ密室といえばカーと聞くように、手を出さずにいる訳にはいかなかった。
そういった意味では本作も監視人による密室状態を作り出していることは「夜歩く」と同じだ。その結末には意外性がもちろんあったが、クオリティにおいては雲泥の差だった。これならもっとカーの作品を読んでみたいと思った。とはいえ相変わらず怪奇趣味というところは私の好みと合わないが… これで決着か!というところから、まだまだ続けて驚かしてくれるあたりは、「Yの悲劇」を思い出した。 |
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折原一作品は、「倒錯のロンド」以来2作目。まだ2冊しか読んでいないが、その作風に一定の特徴を感じる。とても登場人物の存在が薄いという点だ。淡々と進んでいき、キャラクターに感情移入することができない。今作は手記であったり作中作であったりと、いろんな文体を用いながら魅力的な謎を展開してくれているが、結末に全く意外性がなく想像通りに終わってしまう。それなりに長いのだから面白さは期待してしまうが、そこまでといったところか。
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どの短編も一級品が揃った一冊だと思う。どの作品もただならぬ雰囲気を纏っている。8作品を収録しながらも、それぞれの作風が全く異なっているので飽きることなく読めるだろうし、何かしら好みの作品があるに違いない。
軽やかにユーモアがある作品は、どこか天藤真の作風のように感じる。 本題作である「煙の殺意」も非常に良かったが、私の1番のお気に入りは「歯と胴」であった。 |
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ボリュームでいうと文庫本で550ページ程度だが、読了までにとても時間を要した。それも第1部や第2部があまりにも退屈だからだ。死刑宣告を受けた連続殺人鬼の告白本を書く売れない作家のお話だが、盛り上がるまでが長い。そして、結末としても驚くほどの物でもないといったところだ。
それでも評価すべきポイントは多々ある。主人公が作家であり、読者に語りかけるかのような文体は新鮮味があり良かったように思う。翻訳物ではあるが、これほど美しい文章にたくさん触れることができる作品は珍しいのではないか。そして、主人公が数々のペンネームを用いて書いてきている(と作品内で述べられている)作品の一部を所々で挟み込んでもいる。これが非常に読み応えがあり、むしろこちらを1冊の本にまとめて欲しかったぐらいである。 こういった作品を読み終えると、とてつもない疲労感が残るのにもかかわらず、また何か読書をしたいと思わされるから不思議だ。 |
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銀行にはこんなポジションもあるのか!と驚かされた。池井戸小説では勧善懲悪の権現のような主人公が潜んだ悪者をやっつけるのがお決まりのパターンだが、それに特化した仕事を与えられたのが本作の主人公だ。いつものように一行員が仕事の片手間に、悪の調査を行うのではない。その意味でも誘拐犯と対峙したりといつもより緊迫感のあるストーリーだった。
いつもワンパターン、といっては楽しく読んでいるのに失礼だが、話の広がりはあったかもしれない。 全体としては、各話余韻のある終わり方が印象的であった。この後どうなったのかもう少し書いて欲しい話も多々あったが、小説としてはこれぐらいの方が良いのかもしれない。 |
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なんと難解なことか。チャンドラーも3作目、分かりづらい内容であることは十分承知していたが、前2作を越えるわかりにくさだったように思う。
希少価値の高い金貨がなくなり義理の娘が盗んだと疑う夫人が、マーロウに金貨を取り戻すよう依頼するところから物語は始まる。ところがその後大きく脱線しながらいろんな登場人物が入り乱れ、突然殺人事件に巻き込まれる。いったい今何を読まされているのかわからなくなった。最初の数十ページあたりで、金貨を取り戻すという本筋はとうに忘れてしまっていた。それに加えて「高い窓」たるものはいつまでたっても出てこない。 読んでいる物語が、そして決着がどうなるのか全くわからないままラストに至り、なるほど難しいクイズの答えを見るように物語は終了した。今作が特にわかりにくいのは、何人かの錯乱状態の人間が物語をかき乱しているからだと思う。でも3作目でわかってしまった気がする。チャンドラーの作品は何となくで、その雰囲気を楽しめば十分過ぎることに。 |
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御手洗潔シリーズの作品を順番に読んでいるが、ここ何冊かは持ち運びに不便なぐらいに分厚かった記憶がある。今作もまた然り。正直厚い本は読書が億劫になるが、島田荘司の仕掛けがどのようなものか気になりまた読んでしまう。
今作もやはり大掛かりなトリックが新鮮で、毎度のごとく著者のアイディアには感服させられる。だから色々批判をしながらも読んで良かったと思わされる作品しかないのだ。とはいえ今作はとりわけ追及したいポイントがあった。これは多くの読者が思うことだろう。著者の大きな試みゆえに、少々都合のいい展開が垣間見れるのはどうなのか。そのあたりが作品としての価値を数段落としてしまっているのかもしれない。 まずはじめに、ながーい手記から作品は始まる。ここだけで1つの中短編小説ぐらいのボリュームだ。これまで暮らしていた湘南と全く異なる世界がそこにある。とても奇怪で何が起こっているのか、SFの世界に入り込んだかのような内容であるが、これをどのように解釈するのか楽しみにしながら読むことができた。今までの御手洗潔シリーズであれば当然論理的な説明を与えてくれるのだろうとは想像ができる。 結論としては、なかなか意外性のある力技で私としては腑に落ちた。ところどころ強引であるのも否めないが、これだけ壮大な謎を用意してくれるのだから読者としても寛容になるべきかもしれない。 |
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このサイトでの圧倒的人気と評価ほど、私は楽しむことができなかったというのが本音だ。全体を通して緊張感がなさすぎる。とりわけ、テレビを通して警察と対決するまでが、あまりにも退屈で読書が苦痛であった。
加えて、かなりの読みにくさも影響しているかもしれない。なんとも掴みにくい関西弁と、ひらがなが多いように感じる一方で難解な熟語も多用しているあたりがリズムを狂わされてしまった。 それでも、所々で見られる誘拐の技はさすが天藤真!と思わされた。この辺りが彼の作品をまた読んでみようかなと思わされる点である。正直なところ、このサイトにおいて私は天藤作品をそれほど高評価としていない。なかなか相性が悪いのかなと思いながらも手にとってしまうから不思議である。たとえ大誘拐を低評価としながらも、次も読んでみようと思っているのは何故だろう。 |
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何人かのパーティを構築した状態でのストーリーというのは道尾作品にはよくあるが、あらすじだけみると「カラスの親指」かと思うような書かれ方をしている。結果としては全く趣の異なる作品ではあったが。とにかくこの手の作品はもっとキャラクターを前面に出して欲しいのだが、そこは満たされていなかった。東口と奈々恵以外の登場人物は蚊帳の外というかおまけ感が強い。
メッセージ性はたしかにあった。疫病神を上手く使いながら、響くような主張はいくつも感じられた。最終章には緊張感のある場面があったが、そこまでのストーリーはまとまりがないし、盛り上がりもなかった。 残念なところもあるが、作品を通して苦なく読むことはできた。 |
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いつもの池井戸作品のように、スラスラと読めて読書の世界に浸ることができた。ただ今回は連作短編のような体裁を取っているが、それほど必要な内容だけをコンパクトにまとめているとは言い難い。それ必要かな、徒らに長くなってるだけでは?と思わざるを得なかった。
ドーナツのくだりもそれほど重要には思えないし、単純に登場人物が多すぎる。それ故にキャラクターが際立ってはいなかった。「7つの会議」もどれのことを言ってるのかわからない。きちんと数えれば7つあるのかもしれないが。 なんだかタイトルもストーリーもまとまっていないように感じた。それでも楽しく読めたのだから著者はやはりすごい。 |
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