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陰気な私は地球を回さない さんのレビュー一覧
陰気な私は地球を回さないさんのページへレビュー数41件
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学生アリスの第2作、孤島パズル。久しぶりに本格ミステリを読んだのか、ドキドキ、ワクワクしながら読書することができた。前作ほどのストーリー構成ではなかったため点数は6点とした。
読者への挑戦状は面白い。本家エラリークイーンに劣らず、重箱の隅をつついたような証拠から犯人を絞り出していく。あくまで消去法だ。今作に関しては、そんなことから犯人がわかるのか!と非常に驚いた。それと同時にプロットの弱さも感じた。前作の感想でも述べたが、他の可能性を消しきれていないようにも思う。 最後に欲を言うと、織田と望月を出して欲しかった。 |
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以前に「氷菓」を読んで、この作家はもういいやと1作品だけで読まず嫌いになっていた。けれどもこの作品は氷菓と全く違い、稚拙な印象が全く無かった。それだけテクニックがあり、いろんな書き方ができるということなのだろう。短編のどの作品もおどろおどろしい雰囲気が文体から伝わってきた。とても奇妙な物語の集まった1冊だ。
時間軸を行ったり来たりする形はとても良かったのではないか。「夜警」では警察官が殉職した葬儀から始まり、警察官という職に就くところから死に至るまでを回想し、そして結末へ。「万灯」も人を殺めたことで裁かれているという記述から始まり、出来事を回想する。「満願」も構成は似たような形だ。 どの作品も少し突飛な気はするが、ミステリとしての面白さは十分あった。 |
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私は史実に基づいた歴史物を読んだりはしない。なぜなら結末が決まっていることに読書欲がそそられず、また実際には史実と齟齬はないのか?等、著者の考えをねじ込まれることを嫌うからである。しかしながらこの度「村上海賊の娘」を読み終えた。普段読み慣れない歴史物故、漢字も読みづらく言葉も分かりにくかった。加えて単行本2冊(文庫本は4冊とのこと)というボリュームである。なかなかスムーズに読み切ることはできず、1ヶ月程かかってしまった。
確かになかなか難しい読書ではあったが、たくさんの参考文献から引用があり、合戦については異常に詳しくなった気がしている。新たな知識が尋常ではないほど入ってくることは良かった。この辺りは住んでいる地域によって多少の差が出てくると思われる。舞台となるのは大阪から広島にかけての山陽道側である。 難しいのは、様々な登場人物が出てくるがその誰にも肩入れできなかったことだ。話の始まりは織田信長と戦う大阪本願寺の一向宗派が、兵糧入れを毛利家と村上海賊に依頼するところから始まる。そのどれもが脇役ではなく主役であり、それぞれの活躍するストーリーが膨大なストーリーで描かれている。しかしながらその毛利家、織田家、一向宗派の誰にも感情移入することが難しかった。タイトルでもある村上景も狂人にしか思えない点が多々あった。 |
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地震が発生した時にファーストフード店にいた客達は、難を逃れるために店にあったシェルターの中に逃げ込んだ。しかし、そのシェルターは
入った人々の人格を入れ替える装置、「第二の都市」だった。 西澤保彦の考えるこの巨大な装置が、殺人事件を引き起こす。一体誰が?というよりは誰の人格が?といった趣だ。まあ、筆者の考えた装置をベースに彼が考えたアイディアで驚かしてくれるのだが、これは西澤保彦の自己満足でしかない。そういう意味では「7回死んだ男」に似ている。まるでマジシャンのようであったが、あまり褒め言葉ではない。 数日間のストーリーもあっという間に1日が進むし、殺人鬼はとんとん拍子で人を殺めていくしで、あっと言う間にみんないなくてなってしまった。人格転移も頻繁に起こって、信号機が変わるようなものだ。スピード感はものすごい。余計なことを考えずにすらすら読んで、西澤保彦氏の作品を楽しめるのはいい点だった。 |
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ジョン・ディクスン・カーの作品で初めて読んだ、そして本作を読むまで唯一の作品であった「夜歩く」は全くもって面白くなかった記憶がある。そこから古典ミステリの巨匠である彼の作品には一切触れてこなかった。とはいえ密室といえばカーと聞くように、手を出さずにいる訳にはいかなかった。
そういった意味では本作も監視人による密室状態を作り出していることは「夜歩く」と同じだ。その結末には意外性がもちろんあったが、クオリティにおいては雲泥の差だった。これならもっとカーの作品を読んでみたいと思った。とはいえ相変わらず怪奇趣味というところは私の好みと合わないが… これで決着か!というところから、まだまだ続けて驚かしてくれるあたりは、「Yの悲劇」を思い出した。 |
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どの短編も一級品が揃った一冊だと思う。どの作品もただならぬ雰囲気を纏っている。8作品を収録しながらも、それぞれの作風が全く異なっているので飽きることなく読めるだろうし、何かしら好みの作品があるに違いない。
軽やかにユーモアがある作品は、どこか天藤真の作風のように感じる。 本題作である「煙の殺意」も非常に良かったが、私の1番のお気に入りは「歯と胴」であった。 |
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銀行にはこんなポジションもあるのか!と驚かされた。池井戸小説では勧善懲悪の権現のような主人公が潜んだ悪者をやっつけるのがお決まりのパターンだが、それに特化した仕事を与えられたのが本作の主人公だ。いつものように一行員が仕事の片手間に、悪の調査を行うのではない。その意味でも誘拐犯と対峙したりといつもより緊迫感のあるストーリーだった。
いつもワンパターン、といっては楽しく読んでいるのに失礼だが、話の広がりはあったかもしれない。 全体としては、各話余韻のある終わり方が印象的であった。この後どうなったのかもう少し書いて欲しい話も多々あったが、小説としてはこれぐらいの方が良いのかもしれない。 |
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御手洗潔シリーズの作品を順番に読んでいるが、ここ何冊かは持ち運びに不便なぐらいに分厚かった記憶がある。今作もまた然り。正直厚い本は読書が億劫になるが、島田荘司の仕掛けがどのようなものか気になりまた読んでしまう。
今作もやはり大掛かりなトリックが新鮮で、毎度のごとく著者のアイディアには感服させられる。だから色々批判をしながらも読んで良かったと思わされる作品しかないのだ。とはいえ今作はとりわけ追及したいポイントがあった。これは多くの読者が思うことだろう。著者の大きな試みゆえに、少々都合のいい展開が垣間見れるのはどうなのか。そのあたりが作品としての価値を数段落としてしまっているのかもしれない。 まずはじめに、ながーい手記から作品は始まる。ここだけで1つの中短編小説ぐらいのボリュームだ。これまで暮らしていた湘南と全く異なる世界がそこにある。とても奇怪で何が起こっているのか、SFの世界に入り込んだかのような内容であるが、これをどのように解釈するのか楽しみにしながら読むことができた。今までの御手洗潔シリーズであれば当然論理的な説明を与えてくれるのだろうとは想像ができる。 結論としては、なかなか意外性のある力技で私としては腑に落ちた。ところどころ強引であるのも否めないが、これだけ壮大な謎を用意してくれるのだから読者としても寛容になるべきかもしれない。 |
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いつもの池井戸作品のように、スラスラと読めて読書の世界に浸ることができた。ただ今回は連作短編のような体裁を取っているが、それほど必要な内容だけをコンパクトにまとめているとは言い難い。それ必要かな、徒らに長くなってるだけでは?と思わざるを得なかった。
ドーナツのくだりもそれほど重要には思えないし、単純に登場人物が多すぎる。それ故にキャラクターが際立ってはいなかった。「7つの会議」もどれのことを言ってるのかわからない。きちんと数えれば7つあるのかもしれないが。 なんだかタイトルもストーリーもまとまっていないように感じた。それでも楽しく読めたのだから著者はやはりすごい。 |
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あらすじに興味を惹かれたのと、かつて住んでいた横浜が舞台になっていることで読むことにした。知っている街が出てくると、どうしてこうもワクワクするのだろうか。細かな描写も目に浮かぶからかもしれない。
ストーリー構成はお見事。最初に2つの仕事を遂行する探偵の話があり、最終章で全てを明かしてくれる。一見独立した話のようにも思うが…伏線をも1つの物語にしてしまうのは圧巻だった。 とはいえそれほどのめり込めた作品ではなかった。登場人物に感情移入できなかったからだ。「友情」を描いた作品だけにクサさも否めない。というのもあまり丁寧にキャラクターを描ききっていないように感じたからだ。2人の探偵はどっちが喋っているのかわからなくなることも多々あった。その辺りは今一歩だった。 |
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メガバンクの管理職から弱小地方銀行の雑用担当に成り下がった主人公が、あれよあれよと悪党に復讐を果たすストーリーは爽快感がある。決して水戸黄門のような話ではないが、やはり勧善懲悪を期待してしまう。
本作は連作短編として雑誌掲載されたものなのだろうか?1話ごとに区切りがついた感があり、一度緊張感が途切れてしまう。また最後の終わり方もあっけなかったのは残念だ。長編であったら、もっとジリジリと相手を追い詰めて決着をつける場面にピークを持ってくることもできたのだろう。あまり構成としては見事ではない。とはいえストーリーが面白いことには変わりないので、次に読む長編に期待したい。 |
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辞書を一冊作り上げるのにこれほどの期間と労力が費やされるのか。知らないことだらけだった。この作品は一冊の辞書を作り上げる15年もの奮闘を300ページ程度で書き上げるわけで、ダイジェストのような印象を受けた。表面だけをすーっと撫でていくように淡々と進んでいく。あまり具体的な描写は少ない。そういう点では印象に残らづらいかもしれない。
一方で、言葉の豊かさを存分に楽しむことができた。人生を航海に例えることは少なくないが、辞書も言葉の海を進む舟である。「舟を編む」というタイトルはなんと素晴らしいことか。辞書について興味を持ったことは間違いない。読書をする身として、辞書には当然お世話になっているが、当たり前のものとしか思わず、特に意識したことはなかった。私は、知らない言葉に出会った時に広辞苑で調べるが、それは単に私の電子辞書の一番上に広辞苑が入っているから、ただそれだけだ。他の辞書との違いなど気にしたこともない。今以上に言葉というものを大事にして、読書に深く入り浸りたいと思わされた。 豊かな表現を用いて美しく描かれているこの一冊が、今後の読書人生に与える影響は大きいだろう。 |
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私の中でお気に入りの作家となりつつある西澤保彦氏であるが、まだまだ読んでいない作品、シリーズの方が圧倒的に多い。彼の代表作とされている「七回死んだ男」を遂に読むことにした。結論から述べると、今まで読んできた他の作品の方が面白かったという印象だ。
ずっと同じテンポで進むことに飽きてしまったのだろうか。何度も行われる繰り返しと、タイトルからもわかるようにどうせ七回死ぬんでしょ?と先が分かっているので、淡白な読書部分が目立ったしまった。反復ごとに人の態度が大きく変わり、見え隠れする部分があるのは西澤氏らしく闇の部分を丁寧に書いてくれていることはよく伝わってきた。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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妻の浮気に嫉妬して、夜中に1人暮らしの女性宅に侵入してレイプを繰り返す主人公。被害女性が復讐を決意するという話。細かく区切られた章ごとに、視点となる人物が変わりながらテンポよく進んで行くのは自分好みだったら。御都合主義ではあるが。
一方で、ここが本作での楽しみだと思うが、登場人物に寄り添うことができなかった。特に主人公である川辺の心情が理解できなかった。妻の浮気から強姦にどう結びつくのか、甚だ疑問である。「緑の毒」というタイトルながら、川辺があまりに可哀相すぎて、コメディに感じてしまう部分もあった。 もう少し毒々しさがあっても良かったが、ストーリーは充分面白かった。 |
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