■スポンサードリンク
陰気な私は地球を回さない さんのレビュー一覧
陰気な私は地球を回さないさんのページへレビュー数209件
閲覧する時は、『このレビューを表示する場合はここをクリック』を押してください。
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
この「THE BENSON MURDER CASE」を契機とし、世界中に本格ミステリが広がっていったとされる歴史的一冊を読みました。なるほど、たしかに多くの本格ミステリ作家がこのS.S.ヴァン・ダインから影響を受けていることは明らかであると、本作品を読めばそう思わずにはいられません。ファイロ・ヴァンスの博識で嫌味な話し口調は、日本の本格ミステリの大家である島田荘司氏の描く御手洗潔のペダントぶりにも表れています。
ではでは、その作品がどれほどの面白さであったのか?は別として、他の本格派作品とは一線を画していると思いました。あくまで心理的な手がかりに重きを置き、アリバイや物的証拠なんて糞食らえといったところが特徴的です。 マイナスポイントが2つ。1つは本作品に登場する作家で視点役のヴァン・ダインが全くの空気なことです。いることを度々忘れてしまう、というより読み終わって存在していなかったという方が適切ではないかと感じてしまうほどです。もう1つはファイロ・ヴァンスの度を越した鹿爪っぷりです。事件現場を見て5分で犯人が分かったと言うが、勿体ぶって400ページ余り引っ張るのは如何なものかと… ヴァン・ダインと同時代(若干後年)で同じく米国人の本格ミステリ作家であるエラリー・クイーンのような、与えられた証拠から論理的な判断によって容疑者を絞り込むのとはまた違った面白さが楽しめ、読む価値があることは否めないと思います。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
各々それぞれの孤独を抱えた人々にまつわる短編集です。さすがは直木賞作家の桜木紫乃氏、綺麗な文体で魅せてくれました。あまり多くを語らず、読み方によってどのようにも捉えることができるので少しわかりにくいです。結局何を思っているのだろうか、登場人物の心理がわからないことが多々ありました。
「潮風の家」が好みでした。家族のありがたみなど心に突き刺さります。 本作はミステリではありませんでしたが、彼女の書くミステリにも触れてみたいと思わせてくれました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
イヤミスと称される作品をいくつか読んできましたが、最も不快な気持ちにさせられた作品でした。まさにイヤミス!これは良くも悪くもそのようにしか言えません。小学生の自分を主張できない弱さに共感しつつも、その不甲斐なさに反発を感じもしました。面白さもあり、不快感もあるのが本作でした。
フジコは母に似ている。ここから展開が嫌でも読めてしまう。だけれども想像を超えて来る。よく練られた素晴らしい作品でしたが、計算が上手くいきすぎて気持ちも悪い。賛否の分かれることも想像に難くないですが、傑作であることには疑問の余地はないでしょう。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
なんとなくのほほんとしたタイトルや表紙から心温まるストーリーだと想像しましたが、想像の遥か上をいっていました。面白すぎます。
まず登場人物が魅力的です。「マーフィーの法則」という訳のわからない屁理屈を紹介する本をバイブルとしたリサイクルショップ店長。優しさと思いやりに溢れた副店長。そしてリサイクルショップに入り浸る中学生。彼らが事件に巻き込まれながら二度解決をするというのがユニークです。まず初めにカササギが事件を推理し、日暮が間違った推理をこっそり訂正するというパターンです。4話とも同じ形で始まり終わるので、安心して読め、次の話を楽しみにしてしまいました。 また、ユーモラスなだけでなく、ストーリーもよく練られており無駄がなく、温かみもありました。ずっと気持ちが良いです。全ては日暮の優しさに詰まってると思います。 あまりシリーズ化しない道尾氏ですが、彼らの作品はもっと読みたいと思わされました。シリーズ化しないからこそ手に取りやすい良さもありますが… |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
私が伊坂幸太郎の作品で1番好きなのは「チルドレン」ですが、それを連想させるような温かな連作短編でした。小説を小説で例えるなんてナンセンスですかもしれませんね。
短い話の中で語られるわずかな出来事から芋づる式に新たな話が繰り広げられていく、この作家は何でも物語にできてしまう。恐ろしいです、一語たりとも読み飛ばせません。最後の締め方も余韻があって美しく感じました。丁寧に読まないと頭に靄がかかりそうですが、書きすぎないところに「らしさ」がありました。 早く人生のバケーションに入りたい。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
当時はどうか知りませんが今となっては、妊娠した相手を殺める作品は何作品かあげられる程度に出回っているものでしょう。
この作品は好みではありませんでした。殺人に至る動機が弱く、もっと突っ込んで書いて欲しかった。全体的に淡々と書かれていて、話に入り込めずにどこか遠くにあるような感じでした。 誰が犯人か明かされないので、そういったミステリ的仕掛けは要所要所で見られます。そういうのが好きな方なら楽しめる要素があるかもしれません。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
日本シリーズ目前に、東京タワーに登った監督が忽然と消えてしまう謎を追う本格ミステリ。野球を絡めているのが新鮮で面白かったです。
事件を推理するのは新聞記者達。4人の個性が際立っていて魅力的でした。よくあるのは探偵と、いてもせいぜい無能な助手役。探偵からの視点を避けるための役でしかないのがなんともつまらないことがありますが、本作は一線を画していました。 複雑な事件であり、所々に謎の会話が挟まるので少しわかりにくいです。読んでる途中はハテナだらけでしたが、最後にはスッキリするので憎めません。 |
||||
|
||||
|
|
||||
【ネタバレかも!?】
(2件の連絡あり)[?]
ネタバレを表示する
|
||||
---|---|---|---|---|
これは評価が大きく分かれることも納得です。ミステリに何を求めるか、各人の好みの問題だと思いますが、私は読み終わって…どうでもいいわという感想しかありません。理解し難い結末と幻想的な話が絡み合って呆然としました。
著者の奇想は天外から来ていますし、力量は凄いなと思わずにはいられません。とはいえ読み物としては退屈です。嘘の自白をする容疑者や、他の人を犯人として陥れるトリックを何度も考察することには飽き飽きしました。 極め付けは、また一卵性の三つ子!?ということです。ロジャー・フェデラーの子供は二組の双子であることにもビックリしましたがそれ以上です笑。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
事件が起きて犯人確保!ここまでが前半で、続きはがらっと変わります。舞台はロンドンからアメリカへ。事件が起きたその背景が明かされます。正直後半の方が読み物としては面白かったです。物語の雰囲気も全く違っていて、とても同じ作品とは思えないぐらい印象が違います。短いながらも濃密な一冊です。
大西洋を横断してしまうことやいろんな国の人々が混ざり合って登場することは欧米では普通のことですが、そういったところに洋書を読む楽しさがありました。100年以上前に書かれているので、古典としての良さもありました、まだ西部開拓してるんだとか。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
なんだか魅力的なタイトルですね。「神のロジック 人間のマジック」リズムが良くて印象に残りますし、是非とも読んでみたい!となりました。結論から言うと、このタイトルと文庫本の表紙は内容と結び付けられません。良くも悪くも誰が読んでも、想像していたのとは違った!となること間違いなしでしょう。
読み始めてすぐに奇妙な世界感を味わうことができます。学校に連れて来られた時の記憶が曖昧な人々が謎解きの授業を受け、この学校の真実を探ろうとする、かなり独特です。 読んでいてモヤモヤするので早く結末が知りたい思いに任せて一気読みできましたが、結末にはちょっとガッカリです。悲劇の謎解きも合わせて収録されていますが、そこまでかなと。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
ある日、銃を拾った大学生の心情の移り変わりを描いた作品ですが、少し共感しにくい印象です。その要因は、まず銃に馴染みがない、それと主人公がかなり活動的で、怖いもの知らずなところ。
とはいえ誰しもこのような変化はあると思います。それが銃ではなくても。本作はそれが少し大胆です。とにかく人の心を丁寧に描いていてグイグイ引き込まれました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
探偵が登場する本格ミステリはあまり好みでないですが、これは良かった。本格物は謎解きにばかり主眼が置かれるために、物語の背景や登場人物の心理がお座なりにされている傾向を感じずにはいられませんし、どうしても探偵はハードボイルドなイメージが拭えません。
ですが本作は本格ミステリであるにも関わらず、温かみのあるキャラクターが魅力的でした。一つマイナスなのが禅問答のような会話で、最後の解決の場面を読んでもわかりにくいです。はっきり言えよって思うはずです。 短編集ですが、短い中で二転三転し、どの作品も普通には終わりません。ありふれたトリックもありますが、2話目の「宙を飛ぶ死」には驚嘆しました。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
想像していた作品と全く違いました。「愛」について書いているのでしょうが、非常に広義で多義に感じました。純愛を描いているのではなく、どれも変化球な作品な印象です。
1番のお気に入りは「やすらぎの香り」です。とはいえ4つの短編全てが心に重く響きました。今ある幸せをしっかり噛み締めて、大切なものを大切にすることの意義や、何かを失くして初めてその大切さを認識することなど、外から俯瞰すると気付けても実際に自分のこととなると気付けないことに気付かせてくれる一冊でした。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
この作品を読んでどれほど共感したことか、現実をここまで緻密に捉えているのは凄すぎます。主人公の拓人の心理描写が精密機械のごとく、実際の大学生活や就職活動、そして周囲の人々を捉えています。わかるわ〜と只々共感するばかりでした。それを文章にしてしまえるのが本当に凄いとそう思わずにはいられません。まるで朝井リョウ氏が大学生活や就職活動はたまたは人間社会の生みの親であるかのような笑。
反対の言い方をすると、フィクションとしての面白さは皆無とも言えます。事実は小説よりも奇なり、と言いますがこの作品は現実よりも現実な気がします。心躍る物語の世界へ飛び込める訳ではないのに、ハマってしまいます。 この小説はかなり毒があるというか棘があるというか、誰が読んでも心にチクリと刺さると思います、本当にカッコいい人以外は。 |
||||
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|
|
||||
|
||||
---|---|---|---|---|
|
||||
|