大切な舟が水漏れするようになったが、金の工面に悩む小籐次。

仲秋八月一日は、吉原でも「八朔」と称して大紋日であった。またその日は、白無垢を着た花魁道中が行われるのが仕来りだ。

秋の気配を漂わす西海道を急ぐ直心影流の達人、坂崎磐音。

近ごろ呆けの進んだ新兵衛が妙な間合いで「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えるため、みんなは困り果てていた。

いよいよ江戸に帰るべく、金杉清之助は徹宵して南下し、師が眠る鹿島を訪れる。

心の臓の発作で父親に先立たれ、母親も殺されて孤児となった三歳の弘喜を引き取ることになった養護院草の実荘。

ふた月前に妊娠中毒症で女房を亡くした鞆吉は、残された四人の子供を立派に育ててみせると誓ったはずが、蒲団にくるまって泣いてばかり。

日々堂のお葉の元に山源の総元締源伍から文が届いた。だが、筆蹟があまりにも弱々しく、女ごの手になる文にみえる。

千鳥ヶ淵一番町にある高家の屋敷に、おこんらと冬桜見物へと出かけた佐々木磐音。

豊後関前藩を後に、商人箱崎屋次郎平の招きで博多を訪れた坂崎磐音とおこん。

坂崎磐音とおこんの帰りを待つ江戸。

享保八年秋、飛鳥山の菊屋敷は、棟方新左衛門と久村りくの結納を祝う一座で賑わっていた。

木戸番のおすえが面倒をみている三兄妹の末娘、まだ四歳のお梅が生死をさまよう病にかかり、照降町の面々は、ただ神に祈るばかり――生きることの切なさ、ままならなさをまっすぐ見つめる人情時代小説第五弾

養護院草の実荘の新しい二階家が完成し、増改築に携わった職人衆をはじめ、 日頃から草の実荘を支援する面々を招いて盛大な宴が催されていた。

飛鳥山の菊屋敷で、剣術家が独り稽古を続けていた。

赤穂浪士を斬れ。〈影〉からの指令に総兵衛は苦悩する。

女密偵おまさは、万年橋から川面を見つめている女に気づく。以前、同じお頭の許で、「引き込み」をつとめた女賊のお元であった。

この商品はセット買いができます 『鬼平犯科帳＜新装版＞ 全24巻セット』 こちらをチェック 2017年、本格時代劇アニメ「鬼平 ONIHEI」登場。

将軍の御社参を前に緊迫する日光で、死んだはずの国定忠治が目撃された。

川越から甲府に転封となった柳沢吉保は、武田信玄の昔に勇名を馳せた赤備えの騎馬軍団、武川衆を復活させた。

巨大帆船大黒丸の乗組員だった船大工箕之吉に柳沢吉保一派が目をつけた。

仙台を発って海路を北に向かった清之助は、巷を悩ます海賊サンボトジ党や、子供たちを拐かした妖しげな巫女を成敗するべく、刀を振るう。

札差の筆頭行司を巡る争いが激化する御蔵前で、当代の伊勢亀半右衛門宛てに不可解な投げ文が届く。

豊後森藩の厩番の息子・赤目小籐次は、貧乏暮らしで日々を内職と剣術の稽古で過ごしている。

杉下幽斎が町医者の看板を掲げる施薬院幽々庵。その幽々庵で働くおつゆが、藪入りに里帰りしたきり戻らなくなった。

日々堂の女主人・お葉は店衆の政女を見舞いに訪れた。

日々堂で代書をする戸田龍之介を、無二の友桜木小弥太の姉が訪ねてきた。突然の来訪に戸惑う龍之介に姉は弟の失踪を告げる。

恋する女に唆されて親分を手にかけ遠島送りになった黒岩のサブが、江戸に舞い戻ってきた――!? 喜びも哀しみもその身に引き受けて暮らす市井の人々のありようを描く大好評人情時代小説シリーズ、第二弾!

「おもしろいものを、見せてつかわそう」と、筆頭与力・佐嶋忠介を伴い市中見廻りへ出た平蔵だが、変事の予感を覚える。

食い気盛んな同心・木村忠吾の大好物は、深川の一本饂飩。柚子や摺胡麻、葱などをあしらった濃目の汁で食べる。

火付盗賊改方の同心・小柳安五郎は、一昨年、妻と子をうしなった。以来、人が変わったように、われから危難に立ち向かっている。

舟の上で“隠居”を待ちながら、のんびりと交わす老船頭と平蔵のかけ引きの妙味(「大川の隠居」)。

シリーズ累計35万部突破！ うまいものには“謎”がある!? みたらし団子、猪鍋、菜の花飯……旬の女性時代作家による江戸の料理×人情アンソロジー 「福袋」（朝井まかて） 妻と離縁をしたいが、持参金を使い切ったために別れられずにいる乾物屋の旦那。

夏目影二郎の元に、旧知の韮山代官・江川太郎左衛門からの依頼がきた。

突如伊勢詣でが流行しはじめた。大黒屋小僧の丹五郎、恵三、栄吉の三人も抜け参りで店から消えた。

八丁堀北島町の同心組屋敷街に、一人の幼い子供が白縫半兵衛を頼って迷い込んできた。

天保の改革の一環で贅沢が禁止されるなか、歌舞伎の名題役者、七代目市川團十郎が襲われた。

肴は豆腐の一品のみの、味も素っ気もない居酒屋が麻布にある。

同心・松永弥四郎は、自身の奇妙な性癖を平蔵の息子・辰蔵に知られ、戦々恐々の日々を送る(「夜針の音松」)。「酒もうまい。

豊後相良藩二万石の徒士組・金杉惣三郎は、固い絆で結ばれた藩主・斎木高玖から密命を帯びる。

子連れの刺客、須藤平八郎を討ち果たし、約定によりその赤子、駿太郎を引き取ることになった赤目小籐次。

“この頃、お江戸に流行るもの　地震、大水、船幽霊”本所、深川に貼られた怪文書の探索に出た隼新八郎。

「鬼勘」と仇名された名御用聞き勘兵衛。

天保の改革の煽りで料理茶屋「嵐山」までが営業停止に追い込まれた。

江戸に炎熱舞い落ちる頃、稼ぎが減って干上がる間際の坂崎磐音。

尚武館佐々木道場で朝稽古に励む磐音を、元師範の依田鐘四郎が訪ねてくる。

小籐次一家との身延山久遠寺への代参旅から戻ったお夕は、父のもとで錺職修業を始めた。

日本橋室町の小間物屋紅梅堂の周辺をうろつく遊び人風の若い男を探りはじめた臨時廻り同心白縫半兵衛。

大身旗本佐橋主計の嫡男京一郎が、覆面の侍に襲われ重傷を負った。

瀬戸物屋の主・文造が何者かに襲われ殺された。

鎌倉河岸で大工の留吉が殺された。

「同心にも矜持あり」盗賊の父親を売った娘の心の裡に零れる哀切の涙

日本橋の茶道具屋『香風堂』の若い手代が、お店の一人娘おくみを勾引した。

旗本成島家当主の平四郎が、人に逢いに行くと云って出掛けたきり消息を絶った。

浅草鳥越明神の参道にある古い茶店に、ある晩、何者かが忍び込み、床下に大きな穴を掘っていった。

一年前に甲府へ買い付けに行ったまま、行方知れずになっていた薬種問屋の若旦那がひょっこり帰ってきた。

古着大市開催の二日前。

佐吉とおきぬの恋、鹿一の家族の和解、おたみに初孫誕生……めぐりゆく季節のなかで、猫字屋の面々にも、それぞれ人生の転機がいくつも訪れて……江戸の長屋に息づく情を豊かに謳いあげる書き下ろし第四弾!

大晦日、王子稲荷に現れた狐火。正月、三ケ日を過ぎた頃、王子稲荷の裏で殺しが！？神官と巫女は、女が斬られるのを見たという。

さまざまな人生の交差する吉原で二十年余、按摩稼業で身を立てていた孫市が殺害された。

金座裏の宗五郎たちが、湯治旅で熱海峠に差し掛った頃、江戸鎌倉河岸では、金座裏十代目政次の許へ、蝋燭問屋・三徳の隠居をめぐる騒ぎが持ち込まれていた。

“影”本郷康秀を誅殺した総兵衛一行は、上野、越後、越中を経て盛夏の加賀に入った。

新栄橋完成に沸く大黒屋に、深浦の船隠しを監視する眼を報告してきたのはおこも姿の忠吉だった。

奉公人たちの藪入りの時期、金座裏では、亮吉の考案により大店などから頂いた品々を宝引きで分ける遊びを楽しんでいた。

改築中の佐々木道場の地中から古甕が見つかった。

かつての許婚・奈緒が身請けされた紅花問屋前田屋が、取り潰しの危機に瀕しているー。

京の錦市場で忽然と姿を消した桜子としげの消息は依然として知れないままであった。

謹厳実直な亡父・長谷川宣雄の隠し子出現に、平蔵は苦笑い(「隠し子」)。

近年、いよいよ兇悪化する盗賊どもの跳梁。

妻を亡くし、隠居の身であった平蔵の従兄・三沢仙右衛門が突如、茶屋女を「嫁にもらいたい」と言い出した。

幕府の練兵場から演習の最中、鉄砲十挺と設計図が盗まれた。

昌平橋の袂で若侍が怒声をあげ、野菜売りの百姓に言いがかりをつけていた。

父・常磐豊後守秀信の影御用を務める夏目影二郎の前で巫女が襲われた。

従姉妹の祝言に呼ばれ、亡き両親の故郷である川越に出立したしほ。

金杉惣三郎の肩口が存分に斬り下げられ、血飛沫が舞った。惣三郎はお杏の目の前で川に落ち、消息を絶った。

武士を捨て喜三次が照降町自身番書役になってから４年近くが経つ。

放蕩者だったが改心し、雪駄作りにはげむ丑松が猫字屋に小豆を一俵差し入れる。

北郷陰吉の報告では、鳶沢一族の荷運び方の文助の様子がおかしいという。

御側衆本郷康秀が将軍家斉の代参として日光に向かった。

上覧剣術大試合まで半年余りとなった初夏。金杉清之助は仙台・伊達家城下で修行に励んでいた。

惣三郎の次女結衣が姿を消した。昇平によれば、結衣が宮地芝居の小屋から出てくるところを見かけたという。

天明八年の正月、吉原にある引手茶屋の沽券が次々売り渡される事態が発生。

汀女の手習い塾に通う遊女に、偽の文を使って客から金子を詐取した疑いがかかる。

日本橋北内神田堀江町、小舟町、小網町の三町は、雪駄屋、下駄屋、傘屋の問屋が軒を連ね、一方は晴天を、一方は雨天を望むので、通称照降町と呼ばれている。

一年に及ぶ柳生逗留を終え、惣三郎と結衣が江戸に帰ってきた。しのと結衣は抱き合って再会を喜ぶ。

禁裏の刺客・不善院三十三坊を斬った幹次郎。その直後から、禁裏と、ある西国の雄藩の影が祇園の町にちらつきはじめる。

京での修業先が決まった幹次郎と麻。その新生活は不穏な空気に包まれていた。

吉原遊廓の陰の用心棒・神守幹次郎は、姉妹の売れっ子見番芸者が、禁忌を犯して客と床入りをしているとの噂を聞く。

久しぶりに幹次郎を訪ねてきた左吉。身代わりで入牢した間に財産を盗まれたという。

鎌倉の旅から帰った裏同心の幹次郎らは、玉藻と正三郎の祝言を控え、忙しい日常に戻る。

再建前夜の吉原。幼い孫娘のおみよを連れ、地蔵を背負った遍路が現れた。

深川の便り屋・日々堂の女主人・お葉は怒っていた。縄張りを狙う飛脚問屋の山源が、近くに商売敵・便利堂を出させたことに。