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首挽村の殺人



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【この小説が収録されている参考書籍】
首挽村の殺人
首挽村の殺人 (角川文庫)

首挽村の殺人の評価: 2.65/5点 レビュー 17件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.65pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(4pt)

横溝ワールドの再来。足りないのは・・・アレ

著者=大村友貴美のデビュー作であるが、タイトルも内容も、
横溝正史の『獄門島』や『八つ墓村』などいわゆる「地方もの」へのリスペクトが色濃く出ている。
地方に伝わる伝説(むかし噺)に「見立て」られたかのような連続殺人事件の不可解さに、
赤熊(幻の巨大熊)の襲撃事件という恐怖が加わって、最後まで興味が尽きない。
犯人の意外性も充分だし、酷評されるような作品ではないと思う。
ただ、不満を言わせてもらうなら、金田一のような「名探偵」が不在であること。
藤田警部補は決して快刀乱麻を断つような推理を発揮してくれるわけでなく、存在感がかなり薄い。
いかにも横溝的な舞台・道具立てを用意したのに、名探偵は不在・・・とは。
なんだか肩透かしを食らったようで不満が残ってしまう。
この著者には描写力や教養や引き出しの多さを感じるだけに、
何より魅力的な「名探偵」の登場を期待したい。
首挽村の殺人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:首挽村の殺人 (角川文庫)より
4043943067
No.2:
(4pt)

”横溝”と名づけられたことがかえって不運だったかも

どちらかと言えば酷評が多いようですが、私はおもしろく読みました。このシリーズは3作発表されていますが、実は先に2作目を読んでいます。個人的には処女作のこちらの方がよくできていると思いました。”横溝”風ということであれば、むしろ2作目の「死墓島の殺人」の方がそういうおどろおどろな雰囲気を強く打ち出している気がします。3作目はまだ読んでいないのですが、”横溝”ではなくわりと”普通”の作品だと聞いています。そんなことを考えれば、むしろ”横溝”というタイトルをつけて紹介されたことがかえってよくなかったような気がしてしまいました。横溝正史ミステリ大賞受賞と言えば、当然、横溝ファンは手に取ってみたくなりますし、比較してしまうでしょう。けれど、横溝作品の個性は、一昔前の封建的で陰鬱な時代設定の上に成り立っていたのであって、現代では同様の雰囲気を出そうとしても、どうしても無理があるような気がします。この作品も、”横溝”という先入観なく、ただ「新しいミステリが出たな。」と、そのまますっと読んでいたら、そこそこいけてるレベルだったのではないでしょうか。

  雪に閉ざされた東北の山村の様子が圧倒的な雰囲気で迫ってきて、吹雪の中に埋もれた人々の生活が目に見えるようです。何百年に渡って飢饉で苦しんできた村の歴史や伝説もよくできています。細かな複線が細部に渡って張り巡らされ、どれもおろそかにされず、後できちんとオチがつくようになっています。作者はかなり苦労して、計画的に細部を考え、構成を練られたんだと思います。
  最初にあげてある登場人物紹介以外にもたくさんの人間が出てくるので、もう少し掲載人数を増やした方がわかりやすかったと思いますが、人物の個性もそこそこ書けていて、特に山と共に生きてきたマタギ桜田雄鶴の存在感は圧倒的で、とても渋くてカッコイイ爺さんです。作者は岩手県出身ということで、東北弁のセリフも生き生きとして味があります。山から下りてきて人を襲う伝説の赤熊との闘いにもかなりページがさかれていますが、なかなか迫力があり、手に汗を握ってしまいました。巨大な熊が目の前に襲いかかってくるシーンが実感がこもっていて結構怖かったです。
それから、2作目「死墓島の殺人」のように、村の地図を掲載した方がもっと臨場感が出てわかりやすかったのではないでしょうか。
  
 犯人は意外な人物でした。ただ、それゆえに、動機という点では、ストーリーの流れからはやや唐突な印象を受けちょっと違和感がありました。それでも、処女作ということを考えればかなり良いできだと思います。これからさらに期待できる作家だという気がします。
首挽村の殺人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:首挽村の殺人 (角川文庫)より
4043943067
No.1:
(4pt)

好みは出るかもしれないが、面白い。

冬の東北を舞台に、人々の暮らし、因習、社会問題、想い、
そういったものをないまぜにしながら物語は進む。
その、いわゆる「地方」の生活のいい意味での泥臭さのようなものが、
多少誇張を含んだ形ではあるにせよ、良く描けていたと思う。
熊のくだりも、個人的には好きだ。
「え?熊なの?人なの?人為なの?自然なの?」と戸惑わされる感じも、悪くない。
というか、場面を想像すると普通にドキドキ胸が高鳴って怖く、
その恐怖感が物語の雰囲気づくりに一役買っていた。

確かに、様々な伏線が張り巡らされている割には、
それが綺麗に1本に収束される感がないのはモヤモヤするポイントではある。
が、最近、理論武装を重ねて、
綺麗すぎるほどシャープに物語が片付いてしまう作品が多い中で、
妙に宙ぶらりんだったり、想像の余地を含ませて終わる部分があるのは、
むしろ現実に近いというか、
(※別にこの作品の主人公にリアリティがあるというわけではない。
そうではなくて、実際は何もかもがそんなにピシッと片付くわけではないだろうし、
そういう、完全にカタがつくわけではない部分の現実という意味でね)
個人的には新鮮で「そうか、まぁ、こういうのもアリかな」と思えた。
これからが楽しみな作家さんだし、この作品も私は好きだ。
変なアタマを使うこともないので疲れず、
夜更けに夢中になって読んでしまった。
首挽村の殺人 (角川文庫)Amazon書評・レビュー:首挽村の殺人 (角川文庫)より
4043943067

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