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嫌われ松子の一生



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嫌われ松子の一生の評価: 3.74/5点 レビュー 218件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.74pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全218件 101~120 6/11ページ
No.118:
(5pt)

太宰「人間失格」との共通点?

小説中にも太宰の話がでてきますが、私は「人間失格」と通ずるものを強く感じました。それは「人間のどうしようもなさ」とか「弱さ」というものを描いているところです。人間ってどうしようもないものです(中には物凄く強い人もいるのでしょうけど)。とことんまで弱いものです。何かに縋りたくなるし、多分、何か縋るものが必要なのですが、何に縋ればいいのかはよく解らない。この小説ではキリスト教に縋って救われた、とする龍一が出てきますが、人間失格の葉蔵も松子も、最後まで何に縋っていいのか解らず、縋れそうなものからは全て裏切られて死んでいきます。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)より
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No.117:
(5pt)

誰もが自分の居場所を求めている

親の愛情を得たいばかりに、必死で勉強し、良い成績を取り、本当は理学部に進みたかったのに文学部に進学し、地元の中学校の教師となった松子。彼女は「いい子」でなくなった瞬間に暴走を始めてしまいます。最近、「キレるいい子」が取り沙汰されていますが、松子はその極端な例であると言えるでしょう。
自意識過剰で、常に世間体を気にしている生真面目な女性。
教師時代は、あまりにも不器用な彼女にハラハラ・イライラしてしまいます。
窃盗事件をきっかけに学校から「追放(ある意味解放)」され、「いい子」のレッテルを剥がされた松子は、女性として必要とされることに幸せを感じ始めますが、貢いでいた恋人の自殺、不倫などを経てからはソープ嬢として自分の居場所を見つけます。
極端ではあるけれど、これは松子なりの「自分探しの旅」のような気がして、まったくの他人事とは思えません。社会や家庭などでの自分の居場所を求めてもがく時期は、誰にでもあると思います。
生前、その存在すら知らなかった甥の笙が、松子の死をきっかけに彼女の送ってきた人生に興味を持ち、彼女のことを調べ始めます。少しずつ明らかになっていく真実と松子の回想がどこまで重なっていくのか、後編を読むのが楽しみです。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.116:
(4pt)

同情と共感

普通のまじめな女性が不運な事件をきっかけに転落していく人生を描いたこの作品、
そのスキャンダラスなほどの転落ぶりに、ついつい引き込まれてしまう。
しかし、そんな松子の数奇な人生に同情しつつも、共感はできない。
「誰でも松子のように人生が暗転していく可能性はある」というのは否定できないが、
こんな結末になってしまったのは、彼女自身のあさはかさや、
心の弱さが大きな原因だと思う。とはいえ、決して悪人ではなく、その時々で
一生懸命に生きている松子の姿、不器用さは憎めない。
不幸な女性の一生を描いた小説なのに暗くならなかったのは、死んだ松子の
人生に興味を持ち彼女の人生と死のなぞをおいかける大学生の甥とその恋人の
関係や行動、考え方がさわやかだったから。
著者は男性なのに女性の心理をすごくうまく表現していると思う。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.115:
(4pt)

手軽に読める手軽ないい本

かなりとんとんと、勢い良くよめる本。空気がとても出来上がってて良い。
後半あたりから松子の話と、元教え子で元恋人の話しが重複して、
そこらへんから説明臭さを感じたし、テンポの良さにダレも出来たけど、
それが無ければ評価5でもいいかなと思うほど読みやすく面白い。
真面目な教師から風俗嬢に、そして薬物乱用、殺人、逮捕、
そんな浮世離れしたドラマティックな転落人生も興味深いが、あまりに不器用でまっすぐ(短絡的!)な
生き方に親しみさえ感じさせる生身の女の物語でもある。
中谷美紀さんが映画で演じてるイメージもあって更に世界に入り込みやすかったです。
甥と伯母松子の2つの視点で交互に書かれているけど、両方抒情詩的な為、
終始主観的で人間のエゴが強い節があり、シビアなストーリーなのに若干リアリティーに欠ける様に感じるのが勿体無い。
コンセプトの灰汁もインパクトも強い筈なのに、あまりにすらっと読めすぎて
何か残るものが非常に少ない。
情景描写は多いが、シリアスなだけにもう少し細やかに心理描写がされているともっと心に何か残ると思う。
情景や状況の描写の比重が多すぎるとイメージが掴み易いが
全体的に説明臭くなるのが気になるので。
でもやっぱり普通に面白い。
嫌われ松子の一生Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生より
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No.114:
(5pt)

小説の造りは戯画的におさえ、テーマはとことんリアル

映画がすごく面白かったので、原作にも関心が向いて読みました。
原作は原作で、面白い。読みやすいし、独特のスピード感のある文章で、一気に読めました。
しかし実は、ちょっと疑問に思う点がいろいろあります。いや苦情じゃなくて、フシギな読書体験でした。その理由は以下のとおり。
1)プロットの問題。まず、松子は聡明な女性であるにもかかわらず、人生の状況判断がかなりマズイこと。
とくに、教師を辞めることになる経緯が、いちばん良くないです。聡明なひとならけっしてやらないことを繰り返している。
2)ややマンガみたいな、ありえない表現。編集方針なのかもしれませんが、登場人物には、ちょっとフシギな言動がいろいろあって、マンガみたいだなと思いました。総じてオーバーアクション。「やれやれ……」と思うところがいろいろありました。わざとそうしているのかな?
以上の1、2だけで、ふつうに考えれば小説にならない。ところが、すごく良かった。どうしてなのかなと振り返って気づくのは、書かれている内容が「とことんリアル」だということ。救いもないし、松子の死に方も、ふだんこのクニで普通に起きていることです。気が滅入るけど。
そのリアルさが、この小説の価値なんだなと思いました。自分にも誰にも関係のある話として読めるし、そんな現実がしっかり書かれているから、再読に足る値打ちがある。いい本だと思いましたよ。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)より
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No.113:
(3pt)

縋るべきもの

 自称「寂しく生きている」自分には、ちょっとした怖さも感じるお話であった。自分にも縋(すが)るものがなく、そして縋りたいからだ。
 自分に手を差し伸べる人に対して素直に接することができず。自分が縋ろうとする人には捨てられる。そんなことは世間では当たり前のように起こることだ。小説はそれを大げさに見せてくれる。自分の人生と照らし合わせながらいろいろ考える部分もあり楽しめた。
 読みようによっては作者に宗教的な意図があって書かれたのでは思えなくもない。別に悪いことでもないが、自分は宗教ではなく松子のように誰かと支え合って生きたいと思う方だ。そうかだから怖かったのか。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.112:
(2pt)

主義主張が無くてきわめて日本的、かつ筆力不足

中谷美紀さんの表紙に惹かれて買った。上巻の初めのほうは、話のつじつまも合うし、続きを読みたい気持ちにさせる展開があった。
でも、普通のまじめな教師はいくら追いつめられても人の財布をだまって開けへんやろ。(もっとうまく状況を作り上げたら納得できるかもしれへんけどね。)その後の展開も、単なるだらしない人の話だったのかぁということで、人は学歴じゃないよねそれにしても分からんもんですねぇというワイドショーの視聴者みたいな視点でしか読むことができなくなってしまった。
ドラッグのことはどちらかといえばひいき目、殺人を犯した少年たちがせめて小説内で私刑にさらされて読者の溜飲が下がるようなこともない。なら現実を冷酷なまでに淡々と書くようなスタイルかと言えば、妙な感情がこもってる部分も多い。だから僕は最後までこの本にのめり込むことはできなかった。
最初の方で、中谷美紀さんが上にいる姿を想像した自分が本当に情けない。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)より
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No.111:
(4pt)

川尻松子の一生

「わたしは、自分の机に戻った。椅子に腰を落とすと、全身から力が抜けてしまい、立ち上がれなくなった。職員室では、一時限目の空いている教員が二人、机に向かっている。わたしを無視して、授業の準備をするふりに専念している。
 田所校長の口にした『処分』という響きが、わたしのプライドを粉微塵にしていた。小学校の頃から優等生だったわたしが、通信簿もオール5だったわたしが、何回も学級委員や生徒会の役員をまかされたわたしが、処分される。」
転落の物語である。
それが淡々と綴られる。
松子自身の回想に、松子の人生を追う若い甥の視点がシンクロして、松子の物語は「死」という用意された結末へと近づいていく。
村上龍が司会をしている『カンブリア宮殿』というTV番組を毎週見ている。
経済の成功者達をスタジオに呼んでインタビューするという番組。
ついさっきもそれを見ていた。
今週のゲストはワタミグループの渡邊社長。
彼の言論は、明快で、力強い。
そういう人の言説を聞いていると単純に元気になるし、勇気づけられる。
しかし当たり前のことだが、全ての人間が成功するわけではない。
「店の入っているビルを一歩出ると、縁日のような喧騒が、通りに満ちていた。スーツ姿のサラリーマンは赤ら顔で笑い、流行のブランド服に身を包んだ若い女性たちは、我こそ銀座の主役という顔で闊歩している。
 どうしてそんなに笑えるのか。どうしてそんなに自信ありげに振る舞えるのか。いったい、何がそんなに楽しいのか。
 わたしは、自分とあまりに無縁な光景に、軽い目眩を覚えて、立ちすくんだ。
 自分の居るべき場所は、たぶん、ここではない。わたしにとって安住の地は、どこか他にある。きっとある。あるはずだ…。」
そういうふうに思うことは、きっと誰にだってあるはずだ。
嫌われ松子の一生は、不幸だったのだろうか?
松子は敗者だろうか?
それはきっと、誰かが決めることではない。
ノンフィクション調のサスペンスを得意としているという筆者の作品。
不必要な抑揚がなく、読みやすい。
感動の涙も、心を揺り動かされる衝撃もない。
そこにあるのはただ、川尻松子という一人の女性の一生である。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.110:
(4pt)

作者はフェミニストかな?

この原作にしろ、映画にしろ、松子の”生き様”が好意的に解釈される向きがあるようだが、わたしはあまりそういった印象は抱かなかった。少なくとも映画のキャッチコピーにあるような「この上もなく幸せ」な一生だったとは思えない。
晩年の松子の生活や末期を読めば、作者にもそういう描き方の意図があったとは思えない。
松子に限らず、人間は誰しも幸せになりたいものである。
わたしは、むしろ、それを阻む様々な要因(社会悪)の存在が胸に痛い。厳格で心の屈折した父親に始まり、卑劣なセクハラ校長、安易な不倫で女性を弄ぶ男、女に貢がせ文字通り食い物にする男、暴力を振るう男、そして、人間を虫けらのように殺して憚らない輩・・・次から次へと尽きない。次から次へとそうしたものに遭遇してしまう(あるいは身を委ねてしまう)松子も松子だが、そうした様々な不幸の原因が、どれをとっても存在していて当たり前になっているこの社会そのものに対しても少なからぬペーソスと皮肉を感じずにはいられない。
作者は、甘さを一切加えず、愚かなまま、悲惨なままに描き切ることで、むしろ逆説的に、松子というキャラクターに深い愛情を注いだように思えるのだが、深読みしすぎか・・?
読者は誰も松子を嫌ったりしないのだが、「嫌われ松子」の一生というタイトルになっている、その謎や如何に??
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.109:
(5pt)

自分にも起こりえる物語

映画は観ていませんが原作とても良いです。
ありえない展開といえばそうですが、暴走しがちな性格な人間には
起こりえる内容だと思います(男女問わず)
主人公の負のオーラが詰まった内容ですが前向きに生きていく
大切さを教えてくれた作品でした。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.108:
(4pt)

松子の一生をかけた幸せ探し

昨日上下巻をまとめて購入し、一気に読んでしまいました。
松子というごく普通の女性が歩んで行った転落人生のおはなし。。。
おかしいくらいに安易な異性に対する松子の愛情は同性としては賛同し兼ねるけど。。
松子と同じような女性は沢山いると思う。
私の隣に居てもおかしくない女性、松子の生涯は面白いように悪い方へ悪い方へと進んでいくのですが、
恐ろしい位にプラス思考な所がまた憎めない。
過去と現在が交差して進んで行くし、程よいスピード感があって面白かったです。
特に女性が見るべきだと思う。
これを見て「普通じゃん!」と思う女性は危険だよ!
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.107:
(1pt)

マイナスイメージ。。。

ずっと手に取る気のしないタイトルでした。
わざわざこんな時代にマイナスイメージな言葉を
タイトルに持ってくるなんて、と。
映画評で「人生前向きに生きた〜」なんていうものを目にしてしまったので、それなら、と読んでみたのですが。
後悔してます。現実にいたたまれない事件がたくさん起きていて、
でもそれらの当事者が本心を知る事はまず不可能であること。
それでも少しでもいいからなぜ、どうしてそんな事になったのか知りたいのが人間。この小説ではとにかくジェットコースターの様にこれでもかと落ちて行く女性の人生を淡々と積み上げて行って、最後に死んで行くところまで見せておしまい。彼女の心情、周囲の心情もどこか平面的で、ここまで至る必然性が感じられませんでした。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)より
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No.106:
(3pt)

“激しく”、“濃く”、精一杯生きた松子

中谷美紀主演でミュージカル仕立ての映画になったことにより、’03年に書かれた本書が、原作として一躍ブレイクした。
川尻松子の、23才の新任中学教師時代から53才で孤独な死を迎える、昭和45年から現在までの波乱の生涯を描いている。
この小説は、映画とは異なり、松子の存在すら知らなかった甥が、彼女の辿った人生を追跡してゆく章と、松子自身が実際の出来事を語る章とが交互に交錯して展開してゆく。彼がつかんだ事実から謎が広がり、それを松子の一人称が明らかにしてゆく。さすがはミステリーの新人賞で世に出た著者ならではの、読み手の関心を先へ先へとどんどん進ませ、ページを繰る手を休ませない叙述スタイルである。
一般に本書は「転落の人生」、「男運のない女」、「流転の生涯」の物語として受け止められるのだろうが、私は読み終えてまた別の印象も受けた。
松子は、最初と最後の事件を除いて、情熱的で激情的な性格ゆえ、「今はこれしかない」、「思い込んだら命がけ」とばかりに、自ら過酷な状況に飛び込んで、いずれも裏目に出て幸せにはつながらないのだが、その時その時を精一杯生きたといえるのではないだろうか。
能天気で軽薄大学生だった甥は、はじめは興味本位だったが、次第に松子の人生の軌跡を追うことに没頭し、ついには裁判所の傍聴席で激情するまでになる。彼は単に松子の生涯の悲運に同情したのではなく、彼女の生き様の凄まじい迫力とか情念といったものに心を突き動かされたのだと思う。
本書では、松子の41才から50才までがわずか1ページで記されているだけだが、彼女は40代の10年間分をそれだけで済ませられるほど、それまでの20年弱を“激しく”、 “濃く”生きてきたのである。
嫌われ松子の一生Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生より
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No.105:
(4pt)

ライクアローリングストーン

先に映画を見て、あまりの面白さに原作を購入。
原作も非常に面白く、上下一気に読みました。
とにかく、「何でそうなるの!!」という松子の行動。
恐ろしい思い込みの激しさ。
その結果、加速度的に転落していきます。
その根底にあるのは愛情が欲しくてしょうがない、
子どものような純粋さ。
どこまで墜ちても魂はピュアなまま。
そして、なにより笙の存在によりただ悲惨な話ではなくなってます。
いちばん普通の感性をもっている笙に
感情移入しやすかった人も多いと思います。
映画では入っていなかった最後のシーンが特に好きです。
読みながら泣きましたが、読後感は非常に爽やかでした。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.104:
(4pt)

そんな松子を愛おしく思う

ある日おこった殺人事件をきっかけに
甥が今までその存在を知らなかった「松子」を
どんどん知っていく物語。
甥っ子「笙」の場面と「松子」の場面が交互に現れます。
前半部分はその暗いトーンに何度も息継ぎをしましたが、
一山越えた後は止められなくなりました。
誰もが生きているのと同じ、ごく平凡で平和な生活を
送るはずだった松子が、どんどん道を逸れていってしまいます。
誰にでもあるであろう松子のその流れに妙に説得感があり、
そんな松子をどうしても愛おしく思わずにはいられませんでした。
ちょっと心が豊かになる、そんな一冊です。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.103:
(1pt)

使い古された表現

タイトルの奇抜さに引かれて購入しましたが、内容が薄っぺらでがっかりしました。
現代と過去が交互に登場しますが、現代の会話のやりとりが、本当に今の時代なのか?と思うほど古臭くてベタすぎます。かといって、過去の方も、こんなやりとり、どこかで読んだことあるような・・・と思うほど。
松子という人物は、美人で優秀というキャラクターのはずなのに、描写が少なすぎて、感情移入できません。
教師を辞め、作家志望の男性と同姓、妻子持ちと不倫、ソープに身を落とす・・・と、ステレオタイプに堕落していきますが、なぜこうなってしまったのか説得力ありません。
女性の堕落ストーリーでしたら「グロテスク」の方が秀逸。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.102:
(5pt)

人はかくも けなげで、やがてかなしく

素晴らしい作品だ、と思った。
いわゆる「上手い」作品ではない、しかしそれがルポか、と思わせるような不思議な現実感を与えている。
例えば、会話の文章が上手いとは言えない。どうしても途中で止まってしまうような違和感があった。
松子は、僕の周りにも何人もいる、そして僕の中にもいる。
人はこれだけ愛を渇望しているーその事に真正面から何度も向き合わされる事になった。
嫌われ松子、しかし松子を嫌っていたのは彼女自身だった。
あまりにも不器用で真摯な松子の生き方を他人事と捉えるか、自分の中の松子に出会えるか、それでこの作品の評価は極端に分かれる、そんな気がする。
それでも作者のこの作品へのこだわりは十分に伝わる。
著者をこれほどまでに突き動かしたのは何だろう?
これは著者の身近な人へのオマージュなのだろうか?
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.101:
(4pt)

意外ではありますが

いったいどんな嫌われ者なんだ!と思って読んだこの小説。
松子は意外にも嫌われ者じゃありませんでした。
一人の女の転落人生を書いた作品ではありますが、不思議と根底に優しいものが流れてる。
多分この作者が書きたかった事はそこじゃないかと。
自分の人生は自分の責任で生きてみろよと。松子のように。
この題材ならいくらでもドロドロの小説にでもできたと思いますが
そうしなかったところに作者の趣味の良さをを感じ、むしろさわやかさまで感じました。
そう松子は不幸の連鎖の中でもうらみつらみといった感情に囚われることなくいつも前向きに生きている。
誰かのせいにしないで生きている。
松子は自分を殺した犯人さえもそれほど憎んでいないんじゃないかと想像してしまう。
多分松子ってそういう人じゃないかな。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)より
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No.100:
(4pt)

周りの評判よりおもしろい

映画の原作ということであまり期待せずに読んでみたが、
想像以上におもしろく、一気読みしてしまった。
周りの評判はメロドラマ風、感情移入できない、と評判が良くなかったけど
個人的には普通におもしろいとおもった。
撲殺体で発見された松子の一生を、甥が調べて行く過程と
松子の思い出が平行して進んでいく形式をとっている。
転落していく松子の人生を読んでいるうちに
「どうしてそうなっちゃうかな?」と強く思うと同時に
「どうせなら、少しでも幸せな時間が続けばいいのに・・」と
松子のささやかな幸せを願っていた。
松子は確かに不幸な人だったが、その不幸はまぎれもなく
彼女の激情的で・一途な性格に起因していて、まぁ
自業自得のような気もする。
1つだけ、「明日香」と「松子の一生」に何か接点があれば・・
と個人的に期待していたが・・・。
映画も個性派・豪華キャストでおもしろそう。
★4つ
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.99:
(4pt)

松子の謎を追っかけてどんどん引き込まれていきます

この上下巻で、上巻は、松子の謎の人生を知りたいと
いう、読者のデバガメ的好奇心を刺激され、主人公である、
笙と明日香と一緒に、松子の謎を追う、という追体験を共有
できます。
世間知らずなのか、のんきなのか、とにかく、秀才で器用で、
器量のいい若き松子は、節目の出来事で、なぜか、悪いほうへ
運命が傾いていく判断と行動を選択します。
笙と明日香、中学教師であった若き松子、教え子、龍洋一。
主要な登場人物が、現在と過去を、一人称で語る形式で、交互に
場面転換を語られることによって、緻密な構成により、読者
の好奇心をおおいに刺激し、上巻を一気に読ませます。
上巻の最後では、一家から見捨てられ、地域からも村八分に
され、ふるさとから逃げ出す、松子の悲しさで幕。
下巻に起こるであろう、松子のもっと数奇な運命の大展開を
読者におおいに期待させます。
最近では、結構、面白い、日本文学です。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617

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