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嫌われ松子の一生



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嫌われ松子の一生の評価: 3.74/5点 レビュー 218件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.74pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全218件 21~40 2/11ページ
No.198:
(4pt)

あまりに救いのない話 でも熱中する何かがある

松子は中学校教師を首になってから
人生うまくいかないことばかりで
同棲しても男に裏切られ~
殺人も犯してしまい~
また男に裏切られ・・・(本人的には)
家族との縁も断絶し
天外孤独な松子は愛が欲しかったのだと思います。
でも、その愛を感じた期間というのは非常に短く、不幸な期間があまりに長く
最後も野垂れ死にのようなものであまりに救いのない話です。
ただ、今の時代、多くの人がちょっとしボタンのかけ違いで、ここまでではないにしろ
苦境に陥ることもあるのかもしれないとも思いました。
先が気になる何かを感じる作品でした。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)より
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No.197:
(3pt)

人の業のあれこれ

読んでいて、人間には様々な業の形があるのだなと感じざるを得なかった。

両親から受ける愛に満足ができなかったために恋愛依存症のようになるのも業なら、年齢問わず周囲の異性を惑わせる美しさも醜さも業である。
世間知らずであるために状況を悪くしてしまう判断をするのも業であるならば、目的意識を持てないために暴力という形であっても自分を求める人間をタイミング無視で盲目的に求め返すのが幸せだと感じる生き方もまた業なのではないだろうか。
上手く大人になれなかった主人公は、私でもあなたでもありえるという解説は鼻につくが、異論のない話で、上手にまとめられている。
解説まで含めて、時間のある時に読む分には良い読書ができるのでは。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.196:
(5pt)

前を向くこと

落ちてゆく松子の主観から描かれる人生。
死んだ叔母松子の人生に触れ、その人生を知りたいと
思うようになる主人公。

2つの時代も視点違う話が、
松子の死の真相と歩んだ人生へ向かって進んでいく。

悲劇に似た人生を歩み、不幸の海に揺られる松子だが、
感じたのは、どんな状況でもリスタートを決意し、
それに向かって努力する前向きな女性の姿だった。

その人生は壮絶であるものの、
とても人間らしく、愛を純粋に求め、
我々が平然に享受する平凡な暮らしを望む。
ただそれだけのことであった。

読み終わりと同時に松子への同情が湧くとともに、
主人公の甥とその彼女の変化が
読者へ伝播していく事になるのではないかと思いました。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.195:
(4pt)

(下)編も無料にしてください

自分の守り方が分からない松子は嫌い。
ものがたりのストーリーは跌宕起伏、惹かれました
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.194:
(3pt)

一般的な小説であれば脇役になる女性の物語です。

著者も言いましたが「どうでも良いような女性の物語がウケた」とあります。
好きか嫌いかは読む人によると思います。
主人公と親和性の高い女性はリアルに存在していますから
どう読むかはそれぞれに違いますよね。
一般的な小説であれば脇役になる女性の物語です。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.193:
(5pt)

これでもかと転落していく主人公が美しい、著者一世一代の傑作

映画は観ていないが、小説は一世一代の傑作。真面目で美女で優等生で、地方の中学校教師として赴任した主人公・松子が、校長に強引に関係を迫られたのをきっかけに、とめどない転落の一途をたどってしまう、という話。もう、人生に多々ある分岐点で、主人公がこれでもかというほど間違った道を選ぶのだが。
 実は読んでみて分かったのだが、主人公が本当にしくじるのは、ごく最初の、修学旅行で起きた事件のさばき方くらい。
 あとは「くじ運が悪い」としか言いようがない可哀想さで、それでも人生の道々で立ち上がろうとあがく主人公の姿には、多くの人が共感をいだくのではないだろうか。
 実際、「この道を選べば幸福になる」とうすうす分かっていながら、なぜか負け筋を選ぶ心理を多くの人は持っている。
 幸福が怖いのか。
 幸せによって人生の道がなだらかになってしまうのが嫌なのか。
 幸福になってみたら案外つまんなくて失望するのがダメなのか。
 弱かった時代の阪神ファンみたいに「負けていると安心する。勝っていると眠れなくなる」みたいな気分なのか。
 僕もその典型的なひとりなのだが、そういった、あまりに人間的な「あるある」の心理を抱えつつ、無謀な側へと突進していく主人公。誰だって自分の姿を重ねてしまいそうだ。
 「ああ、俺も(私も)あそこでああいうことをやった」と。
 作者の山田宗樹は、松子の突進と転落を描きつつ、その舞台として、ソープランドと女子刑務所、美容師の世界を緻密に取材し、リアルに再現してみせる。
 そして底辺のように見えるそれらの世界で、また雄々しく立派に生きている女性たちの姿も描いていくのだ。ラストの松子も美しい。十年休んでいても、手が覚えているという、あの感覚。何かの技術を必死に学んだ人なら、みんな「分かる」と思うのではなかろうか。
 しかも(傑作というのはどれもそうだが)、全編を通じてユーモラスな味わいが漂うので、暗黒の世界を描きながら、読んでいて陰鬱な気分にはならない。
 小説も映画も評判が良いので、ためらっていたのだが、読んでみて良かった。読みやすくすらすらと読める名作である。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
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No.192:
(5pt)

嫌われたがり松子の嫌いになりきれない一生

タイトルの「嫌われ松子の一生」は「嫌われたがり松子の一生」の略だと思う。
松子が愚かすぎて感情移入できないという意見も一理ある。
しかし私は男にだまされ利用され捨てられるばかりの松子を馬鹿な女と突き放せるほど賢くも強くも正しくもなく、またそうなりたいともあんまり思えない。

人を信じては裏切られる松子の一生。
だがもし彼女と出会った人達がほんのちょっとでもやさしくなく、彼女に情をかけなければ、松子も浅はかな期待をせず、安心して嫌われきることができたのでは?

松子は確かに弱く愚かで衝動的に流されて生きている。けれど少なくとも狡くはなかった。一度自分をだました男すらも信じ続けた。

嫌われたがり、愛されたがりだった松子。

彼女の晩年の生活と最期はたしかにどん底の悲惨なものだが、きっとそれだけじゃなかったと信じたい。

旧友と再会した松子が嘗ての勘を取り戻そうと一心不乱にカットの練習をする場面、私はそれ自体が「救い」だと思った。

報われなければ努力する意味がない?
成功が前提になければ耐え忍ぶ価値もない?

そうは思わない。
あの頃松子の中で培われ磨き抜かれた技術は、今の松子の中で確かに生きて光っていた。
それは松子が悲惨な人生の過程で得た数少ない誇るべきもので、何もかもに捨て鉢だった晩年の松子が、あの時一心不乱に鋏を握った事実こそが、彼女の人生に射した一条の光のごとく心に響くのだ。
嫌われ松子の一生Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生より
4344002857
No.191:
(1pt)

ここまでくだらない内容だとは思わなかった

15年近く前にヒットして映画化ドラマ化された原作なので、どんなもんかと読んでみましたが、一言、くだらない。あんまり頭のよくない高校生がプロットだけの思いつきで書いた感じの話。発想が幼稚で粗雑。
人生の要所要所で短絡的に物事を決めてしまう、ある種の人間の愚かな一面は私にも思い当たるし、一般論としては普遍的なテーマになり得るでしょうが、ここでの主人公松子のストーリー展開は荒唐無稽すぎて途中から全くついて行けませんでした(男子生徒の盗金の穴埋めのために主人公が同僚女教師の財布から金を盗むあたりから、「そんなこと普通やらんだろ」とついていけなくなった)。心理描写等のディテールが粗雑すぎることもあって、全く感情移入できません。また、主人公が最期殺されたことが甥の語りとして冒頭で明らかにされている一方で、その後主人公が一人称で時系列に沿ってストーリーを語っていく構成も、必然性がなく違和感を感じます。
主人公が殺された謎だけを知りたく、途中からストーリーだけを追って2時間位で上下巻読み飛ばしました(なお下巻に至ってはもっとくだらない)。
この小説がヒットしたのは「嫌われ松子の一生」という題名がキャッチ―でつい中身を読みたくなるからかと。題名をつけたであろう編集者の勝利でしょう。商業主義ここに極まり、と思います。
(なお、この本の存在がなければ、後年「マツコ・デラックス」という名の巨体オカマタレントも生まれなかっただろうと思います笑)
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.190:
(5pt)

読後に不思議と前向きな気持ちになれる作品

原作しか読んでいません。そもそもタイトルの時点で古臭くて面白くなさそうだなぁ。。。という第一印象でしたが、"聖者は海に還る"の山田宗樹ということで信頼してブランド買い。結果、非常に良質で楽しめる&心地よい余韻の残るコンテンツであることが確認出来ました。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.189:
(5pt)

読後に不思議と前向きな気持ちになれる作品

原作しか読んでいません。そもそもタイトルの時点で古臭くて面白くなさそうだなぁ。。。という第一印象でしたが、"聖者は海に還る"の山田宗樹ということで信頼してブランド買い。結果、非常に良質で楽しめる&心地よい余韻の残るコンテンツであることが確認出来ました。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)より
4344405625
No.188:
(5pt)

人間の黒い部分を凝縮したような作品

主人公の川尻松子の一生を、生前の過去と死後の現在から明らかにしていく物語。
過去と現在が交互に描かれており、過去は本人の語り口、現在は甥が事件を追っていくところから始まる。

タイトルから察して、嫌われ者が迫害される物語かと思ったら少し違った。
ただ、人間の黒い部分というか、生々しい部分は濃厚に表現されていた。

かなりこってりした内容。
主人公の松子は不幸で不運で人に恵まれず、それでも懸命に生きようとして裏目に出る。
決してそれは本人のせいではなく、周りの人にも原因があるのに、それでも…。
コインを投げてずっと裏が出るようなそんな感覚にもなった。

人間にはどんな人にも表と裏があるけど、この作品では松子に対して裏の人しか出てこない。
それは決して特別な人ではなく、人間であれば誰しも持っている裏の顔なのである。
だから、この本を読んでいてつい顔をそむけたくなった時もあるし、それでも読まずにはいられなかった。

ドロドロしているけど、決してそれは昼ドラのような非日常感ではなく、そこらへんの日常にあふれているものなのだと改めて思った。
スカッとするような小説ではないし、読んでいて気持ちの良い小説では決してないけれど、人として失ってはいけない何かを得られるようなそんな小説に感じた。

結末はいまいちのように感じたけど、読んだ後に心に何かが残る小説。
これきっと好き嫌い分かれるんだろうなぁと、このレビューを書いていて思いました。
私は好きではないですが、人に薦めたい一冊だと思いました。
嫌われ松子の一生Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生より
4344002857
No.187:
(4pt)

面白かった

賛否両論あるけど、
「一気読み出来た」。
ということは面白かったと云う事なんだ(内容が軽かったという見方ももちろん出来るけれども)。

取材から執筆までかなりの年月を要したと思う。
作者、幻冬舎の編集者に敬意を表す。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.186:
(4pt)

どこへゆくのか

転落していく人生。
どこかで歯止めが利かなかったのか。
何かの強い意思があれば止められたのでは。
下巻に続きます。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.185:
(4pt)

気になって読んでしまいました

10年くらい前に映画になっていましたよね。
当時は全く興味ありませんでした。
なかなかこんな人生ありませんね。
もう少しどこかで踏ん張れなかったのでしょうか。
前半はかなり冷や冷やしました。
後半はかなり慣れました。
いろいろありすぎて、それはないんじゃないかって思ってしまいました。
先生を続けていた場合だって劇的な人生だったと思います。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)より
4344405625
No.184:
(5pt)

恵まれた家庭で育ち、勉強ができて、容姿もよい松子の淪落の人生

恵まれた家庭で育ち、勉強ができて、容姿もよい松子が、淪落の人生を送ることになったのはなぜか。不運ということもあるが、松子が自分の生き方の軸、しっかりした価値観を持っていなかったことが大きいのではないか。これは女性に限ったことではなく、当然ながら、男性にも言えることだ。

松子は懲役8年の刑に服し、出所後、美容師として再出発を期すが、まだまだ悲運が彼女にまとわりつく。

「松子伯母の人生は、何だったのだろう。悲劇とか、不幸とか、そんな言葉では言い表せそうにない。そもそもの躓きは、教師生活二年目の、修学旅行での盗難事件だ。いや、その前に、当時の校長に乱暴されかけた事件もあった。それらの事件さえなければ、平穏な人生を歩んでいたかも知れない。失踪することもなかったかも知れない。小さな俺と遊んでくれたかも知れない。いっしょに久美叔母さんの看病をして、そのうちにいい人を見つけて結婚して、子供もできて、たまに遊びに来たら、俺が子供の相手をしてやって・・・。気がついた。俺はまだ、松子伯母が最初に躓いた年齢にも、達していない。松子伯母の人生を他人ごとのように考えてきたが、この先、俺に同じことが起こらないという保証はない。・・・殺人まで起さなくとも、生きている以上、予想もしなかった出来事に、数多く遭遇することになるのだろう。確実に言えることは、俺も松子伯母と同じように、時間が経てば老いていくし、いつかは必ず死ぬということだけ。時間は限られている。その限られた時間と、どう向き合っていくか。たぶん、俺はまだ、わかっていないのだろうな、と思う。松子伯母のほんとうの哀しみも、人生のことも。・・・(それにしても・・・)。いったいどこの誰が、何のために、松子伯母を殺したのか。死因は内臓破裂だと親父が言っていたが、なぜそこまで暴行を加えなければならなかったのか」。

まかり間違えば、松子に起こったようなことが自分にも起こり得るという現実感・切実感が本作品の最大の強みと言えるだろう。
嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (下) (幻冬舎文庫)より
4344405625
No.183:
(5pt)

才色兼備の中学教師・松子が、トルコ嬢になり、殺人まで犯したのはなぜか

久しぶりに、物語がどう展開していくのかが気になり、貪り読んでしまった小説に出会った。『嫌われ松子の一生』(山田宗樹著、幻冬舎文庫、上・下巻)がそれである。

この作品の成功が、松子の甥が語り手として登場し、53歳で惨殺された伯母・松子の過去を探る部分と、松子自身がその時その時の状況を率直に語る部分が交互に綴られていく形式にあることは否めない。しかし、本書の魅力がこのミステリー的手法だけでないことは明らかである。読む者に生々しい臨場感を与える著者の筆力と、それを可能にする情報収集の積み重ねが根底にあるのだ。

「わたしは小さいころから、一所懸命に勉強した。学校でいい成績を取れば、父が喜んでくれる。父に誉めてもらえる。認めてもらえる。それがなにより、励みになった。(病弱な妹・)久美から父を取り返すには、父にとって理想の娘になるしかない。そう思っていた。だから大学に進学するときも、ほんとうは理学部に行きたかったのに、父の希望どおり、文学部を受験したのだ。そして(国立大学)卒業後も、父の言葉に従って、自宅から通える中学校の教師になった。わたしは、父の期待にことごとく応えてきた。理想の娘のはずだった。しかし結局、勝ったのは久美だった。父は帰宅すると、仏前に座る前に、まず久美の顔を見るため二階にあがる。身体の様子を尋ね、優しい言葉をかける。しかしわたしには、笑いかけてさえくれない。遠い昔、あの磐井屋の屋上で聞いた笑い声が、記憶にある最後だった。あの笑い声をもう一度聞くために、わたしは頑張ってきた。もしこれで、問題教師として免職されたら、わたしの十五年に及ぶ努力は、無駄になってしまう」。

担当生徒の窃盗を庇ったことから事態が紛糾し、教師を辞めざるを得なくなった松子は、作家志望の青年と同棲するが、彼は自殺してしまう。その後、彼の親友と不倫関係が生じるが捨てられ、自暴自棄になって福岡・中洲のトルコ(ソープランド)嬢となる。

「いまのわたしは、(トルコ風呂)『白夜』の雪乃。自他ともに認めるナンバーワン。お金はある。欲しいものは何でも買える。あと二カ月ちょっとで、二十六歳の誕生日が来る。小さな犬でも飼おうか、と思った」。

「涙が涸れてから、部屋の中を見渡した。乱れたベッド。脱ぎ散らかした下着。仄かに漂う、自分たちの体液の匂い。冷蔵庫には覚せい剤。明日になればまた店に出て、十人以上の見知らぬ男に身体を売る。疲れて部屋に戻り、目が覚めたらシャブを打って、(ヒモの)小野寺と抱き合って、店に出て客を取る。ずっとその繰り返し。仕事をしている充実感など、かけらもない。心と身体を、ひたすら摩耗していく毎日」。

ヒモの男が松子の稼ぎや貯金を使い込んでいること、女子大生を囲っていることを知った松子は、彼と口論になり、出刃包丁で刺し殺してしまう。

刑務所に入った27歳の松子は、こう述懐している。「あのとき小野寺から投げつけられた言葉を思い出すと、憎しみだけが蘇る。やはりわたしは、おかしいのだろうか。自己中心的? 場当たり的? 狭い視野でしか対人関係を築けない? ほんとうにそうなのだろうか。欠陥人間なのだろうか。思いやりのない人間なのだろうか。人間失格? そうかも知れない。もう、どうだっていいけど」。

恵まれた家庭で育ち、勉強ができて、容姿もよい松子が、このような淪落の人生を送ることになったのはなぜか。不運ということもあるが、松子が自分の生き方の軸、しっかりした価値観を持っていなかったことが大きいのではないか。これは女性に限ったことではなく、当然ながら、男性にも言えることだ。

松子は懲役8年の刑に服し、出所後、美容師として再出発を期すが、まだまだ悲運が彼女にまとわりつく。

「いったいどんな人生を送ったのだろう。松子伯母のことをもっと知りたいという気持ちが、膨らんできていた。しかし、失踪以後の松子伯母の消息を知っていそうな人間は、あの男しかいない。松子伯母と同棲したあと、殺人で服役し、最近になって出所したという男」。

「松子伯母の人生は、何だったのだろう。悲劇とか、不幸とか、そんな言葉では言い表せそうにない。そもそもの躓きは、教師生活二年目の、修学旅行での盗難事件だ。いや、その前に、当時の校長に乱暴されかけた事件もあった。それらの事件さえなければ、平穏な人生を歩んでいたかも知れない。失踪することもなかったかも知れない。小さな俺と遊んでくれたかも知れない。いっしょに久美叔母さんの看病をして、そのうちにいい人を見つけて結婚して、子供もできて、たまに遊びに来たら、俺が子供の相手をしてやって・・・。気がついた。俺はまだ、松子伯母が最初に躓いた年齢にも、達していない。松子伯母の人生を他人ごとのように考えてきたが、この先、俺に同じことが起こらないという保証はない。・・・殺人まで起さなくとも、生きている以上、予想もしなかった出来事に、数多く遭遇することになるのだろう。確実に言えることは、俺も松子伯母と同じように、時間が経てば老いていくし、いつかは必ず死ぬということだけ。時間は限られている。その限られた時間と、どう向き合っていくか。たぶん、俺はまだ、わかっていないのだろうな、と思う。松子伯母のほんとうの哀しみも、人生のことも。・・・(それにしても・・・)。いったいどこの誰が、何のために、松子伯母を殺したのか。死因は内臓破裂だと親父が言っていたが、なぜそこまで暴行を加えなければならなかったのか」。

まかり間違えば、松子に起こったようなことが自分にも起こり得るという現実感・切実感が本作品の最大の強みと言えるだろう。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.182:
(4pt)

読み進めるのがつらい

あまりの松子のクズさに読み進めるのがつらい小説です。
それだけ力のある小説ということではないでしょうか。
人間の弱さをこれでもかと凝縮した感じ。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.181:
(4pt)

脚本のような小気味よさ

これはもう抜群に面白い。スピード感あり、内面をうじうじ描かず、ともすると明らかに脚本的。頭がいいのに、手先が器用なのに、努力を惜しまないのに、よく考えない女・松子。美しくても、頭が良くても、先を見据える力に欠ける・聡明じゃないとこうなるということ。文章は文学的じゃないのに、内容が実に文学的だと思いました。物語の構想が抜群です。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.180:
(2pt)

辛い、、

どんな映画でも救いのある話が好きなので、この話はただただ辛かったです。最後は殺される上に、作者には嫌われ松子というあだ名までつけられ散々じゃないですか。しかも他の人のレビューにもあるようになぜ嫌われ?嫌われてなくない?みたいな。

せめてどこかにひとすじの救いが欲しかったです。
松子にだって人としての尊厳があり幸せな一生を過ごす権利があったはずで。
反面教師にしなくては、という意味で星2つくらいにしか私にはできません。
嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生 (上) (幻冬舎文庫)より
4344405617
No.179:
(4pt)

う~む・・・・・・

地元の福岡出身です。読了後は何か胸に嫌なものが残る。
少し時間をおいてほかの方のレビューを見ている中で、胸のつかえが無くなった。
嫌われ松子の一生Amazon書評・レビュー:嫌われ松子の一生より
4344002857

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