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1/2の騎士
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1/2の騎士の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.43pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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2008年に講談社ノベルスとして出たものの文庫化。 異常犯罪者ものである。しかも、もりのさる、ドッグキラー、インベイジョン、ラフレシア、グレイマンと5人も登場し、主人公が彼らと戦っていくことになる。あまりにも異様かつ想像を超えた犯罪であり、それがみごとに解き明かされるところは、ミステリとしてのおもしろさを存分に味わわせてくれる。 そして、物語の全体に満ちた、張り詰めたような、壊れそうな、美しさ。コミカルでリリカルで絶望的。 記憶に残る一冊だ。 | ||||
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登場人物が魅力的だし、設定もかなり個性的で面白い!更に話も面白いので、文句なし5つ星です。ミステリーとしても青春物としても良く出来ていて、久々に心にグッと来る作品でした。 | ||||
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マドカとサファイア、二人の物語。 きっかけは、学校でのちょっとした噂話や都市伝説、 そこから凶悪な事件へと姿を変えていく演出は秀逸でした。 一つ街で起きている出来事にすぎないはずなのに、 そうとは感じさせないスケールの大きさがありました。 マドカのまっすぐな気持ち、それを支えるサファイア、 時に困難な選択を迫られながらも進んでいく姿は、 青臭さを超えた眩しさがありました。 中篇的連作で構成され、私はハロの後日談が一番の お気に入りです。ハロとロク、マドカと友人、 彼らの人間性や関係を一幕のうちに凝縮して描いた 名シーンです。 結末だけを見れば、円満解決といえるものは少ないです。 しかし都合の悪い事実も受け止めて、それでも進んで行こう とするキャラ達には好感が持て、希望や勇気を強く感じさせて くれる作品でした。 | ||||
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この作品はデビュー作、2作目と比べれば はるかに「読みやすさ」の点で非常によいものになっています。 ちょっとばかり設定に「変態要素」がありますが 露骨な変態描写は出てきません、 安心して読んでください。 この本は1作完結形式の本です。 彼ら二人に待ち受ける敵は まさに狂気に満ち満ちたものたち。 時にマドカが危険に見舞われることがあります。 出てくる敵は4+1人。 最初の前哨戦の敵はちょっとした理由で 際したことのない相手ですが その先の相手はどれもが狂っている相手です。 ただし、「ラフレシア」のみはワケありです。 それはこの本のテーマでもある少数派、 にも関係してきます。 後半に及んでくるとだんだんと サファイアが消えつつあるようになります。 その姿のなんと痛ましいこと。 結構きつい描写があるのに関わらず そんなに読後感は悪くありません。 それは最後が未来のある終わり方だから。 ただし、犯人の性格は かなりきついのでそこのところは要注意。 | ||||
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2008年に発表された本作品は、短編集「退出ゲーム」のあまりの出来の良さに感銘し、手に取った長編ミステリ。 本作品の主人公、円(マドカ)裕美は、女子高に通うアーチェリー部所属の3年生。 時折見かける人物にサファイアと名付け、恋心を抱いた彼女は、ついに校内の資料室で話す機会を得るが、何と「幽霊」だったことが判明し…。 −−と、冒頭のシーンを読むと、「学園もの」に「ファンタジー」の要素を加えたような作風ですが、その後に続く各章を読んでいくと、様相は一変。 各章は、「騎士叙任式」「序盤戦」…と、騎士道に見立てた組み方になっているのですが、それは、「幽霊」であるサファイアがマドカを守る騎士という設定のため。 ミステリらしくなってくるのはここからで、その対決の相手が彼女が住む街で発生する「異常な犯罪」を犯した「5人の犯罪者」達なのです。 5人の犯罪者が起こすそれぞれの事件をサファイアが探偵役となって解決していくというのが、本筋です。 興味深いのは、普通「学園もの」や「ファンタジー」では、現実社会から遊離した物語展開になることが多いと思うのですが、本作品で描かれる「事件」は、現実社会を投影したものとなっていて、「社会性」に富んだ作りになっていること。 女子高生と幽霊が主人公という設定から、若い方が読んで楽しめる作品と言えますが、同時に、事件の謎解きの部分を見ると、社会人としてキャリアを積まれている方も、十分に楽しめる作品に仕上がっていると思いました。 ちなみに、この「ミステリ」の部分ですが、伏線が巧みに張られているのはもちろんのこと、「どうやってこの犯罪を犯したのか」というハウ・ダニットと、「なぜこの犯罪を犯したのか」というホワイ・ダニットに見事に応えているというところは、高評価に値します。 特に、3番目の章「中盤戦」の真相は、本当に驚かされました。 | ||||
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最初はかなり、なめ気味だった。 ずいぶんとかわいい物語じゃない?レズの女子高生だけに見える憧れの年下の正体は実は? ‥なはは。 しかし。 ファンタジーをまといつつも、設定されたトリックも背景も、かなり作り込まれている。 一見荒唐無稽な犯罪に見えてしっかりと裏付けがあり、「もしかしたら」と思わせる。 柔らかな地の物語と、縦線に入る亀裂のような悪意の犯罪が、妙に調和して美しい。 この作者の中にはいったい、悪意と夢のどちらがたくさん、詰まっているんだろう? 水の時計、漆黒の王子と読んできて、その作風の透き通った爽快感と、 救いある悪意のミックスに、今すごくはまりそうな予感。 | ||||
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序章を読んで、いきなり泣いてしまった。街を襲う禍々しい犯罪者達の用いるトリックは、充分、一本のミステリを支えるに値する素晴らしくも邪悪なものだが、こんなにミステリとして純粋で高度なことをやっておきながら、『物語』の面白さの方が勝っている。こんなミステリ、初めて読んだ。序章で書かれている、やがて訪れるサファイアとの別れを感じながら、読み進める。一章終わるごとに、序章をまた読み返す。そして泣く。『グレイマン』との対決のクライマックスシーンで、号泣してしまった。そして、ラストのラストで…嗚咽を漏らしてしまった。すべてを読み終え、また序章を読む。胸が温かくなる。なんて素晴らしい作品なんだろう。私の宝物だ。 | ||||
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タイトルに惹かれ、あらすじの「サファイア」の惹かれ、表紙の「サファイア」らしき絵に惹かれて手に取った。 …御免、侮ってた。 てっきり本の中から飛び出してきた「サファイア」が云々、って話だと思ったら、ちゃんと推理物。それに「サファイア」は何でもござれのスーパーマンじゃない。 かなり好み。 | ||||
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マドカが一目で恋に落ちた相手、それは 美しい少女の姿をした最強の騎士「サファイア」。 ただ、他の人にはその姿は見えなかったが。 盲導犬をその飼い主の目の前で殺害する「ドックキラー」 無差別に花のある場所で毒を散布する「ラフレシア」… 二人は「異常犯罪者」たちから 大切な人たちを、大切な街を守る為に戦いはじめる。 「社会的弱者」とされる人たちをターゲットにした事件が 起こるので終始不安というか、やるせない気持ちで いっぱいになります。 暗い…といえば暗いのですがマドカとサファイアの会話や テンポが良いので読みやすく、なにより読後感は爽やかです。 「漆黒の王子」で思ったのですが「 トワイライト・ミュージアム」で 私、この作家さんの話好きだなぁ…と再確認。 ファンタジックミステリというジャンルを とても魅力的に描いているというか ゲーム、RPGに慣れている私の世代だからかもしれませんが とてもワクワク、かつぞわぞわする設定を 作るのが上手いと思います。 ミステリとしても楽しめますが世界観も楽しめる作家さんは 最近少ないので嬉しいです。 まだ何冊か読んでいないのがあるので楽しみです… | ||||
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私見であるが昨今は壮大なファンタジーが受けるのであって、「昔々あるところに」というおとぎ話的ストーリーはもう駄目だと思ってました。でも、ここにあったんですね。大感激。 某名作漫画も「おとぎ話的」展開、語り口だったのを思い出しました。 テーマは1.少年と少女の成長、2.性別の揺れ、かな。2が特に難しいですよね、この問題を抱えたまま読者を引っ張る作者の力量に感服。 | ||||
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どうしてもっとはやくこの人の本を読まなかったのだろう。ぼくは本書を読んでいる間ずっとそう思っていた。それほどに、この作品に惚れ込んでしまったのである。なにから話せばいいだろう?この作品の魅力を系統だてて説明なんかできないのはわかっているが、未読の人にできるだけ本書の魅力をお伝えしたいとおもうのだ。 まず、第一に惹かれるのは、軽妙であまりにも巧みな会話文だ。絶妙の間と洗練された語彙、このふたつが合わさってまるで職人技のような会話の冴えをみせるのである。この会話の波に乗って、どんどん読んでいくうちに作者のもう一つの面、ミステリとしての構成のうまさが光ってくる。本書には各章『もりのさる』『ドッグキラー』『インベイジョン』『ラフレシア』『灰男』というとても魅力的な犯罪者が登場するのだが、彼らの実行する犯罪がそれぞれ独創的で揮ってるのだ。ましてそれをミステリとして昇華させる作者の手腕もすばらしい。それぞれ新機軸といっていいアイディア満載で、読んでいて感心しながら興奮するという大変忙しい状態に陥ってしまうのである。そして、これがこの作者の特徴みたいなのだが、只のミステリに徹するのではなくそこにファンタジーの要素を盛り込んで話を盛り上げるのだ。正直こういう設定は普通のミステリではうざったいだけなのだが、この作者にかぎってはそういう危惧はいっさいない。むしろ大歓迎。本書では主人公である女子高生のマドカ(これは苗字ね)が一目惚れした相手サファイアが実は人間ではなく幽霊であるというのが、その要素。この設定が実に巧みに活かされて、ラストで小さなサプライズをみせてくれるのである。話としてはこの二人が様々な人たちを介して上記の犯罪者と対決していくというものなのだが、登場するサブのキャラクターにも個性的な面子が揃っていて、445ページという長丁場を飽きさせず、グイグイ読ませてしまうのである。しかし、不満がないというわけではない。第一に主人公であるマドカのキャラがイマイチ微妙な匙加減で描かれており、どっちつかずの印象を受けてしまう。また、犯罪者以外の登場人物がいい人ばかりというのも、少し物足りない気もするし、犯罪者の描かれ方(裁かれ方)がちょっとあっさりしすぎなんじゃないかとも思う。 とまあ少々難もあるのだが、総じてこの作者は買いなのである。新人の作品を読んでこれだけ興奮したのもめずらしい。本書以前に刊行された本のチェックとともに、これから刊行される新作に大いに期待する次第なのであります。 | ||||
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女子高生マドカが、恋に落ちた相手「サファイア」は、 肉体がなく、普通の人には見えない幽霊的存在だった。 マドカとサファイアは、大切な人たちを守るため、 異常犯罪を暗喩する名前を持つ犯罪者と戦うことになる……。 連作中篇集的構成の作品。 同性愛者(!)ですが、心根がまっすぐなマドカと、女装癖(!)のあるサファイア というコンビは、かなり倒錯的ですが、ある意味、のび太とドラエもんの関係性に 通じるものがあります。サファイア以外にも、ヤクザや探偵など、ユニークなキャラ が登場し、強烈な存在感を発揮することで、脇を固めています。 その一方、マドカの周囲の人間は、ちょっと変わっていますが、基本的には皆、まっとうで善人。 そんな人々とのコミカルで温かい日常に、異常犯罪者の凄絶な狂気や根深い絶望が対置されます。 本作で描かれる犯罪は、どれも斬新なアイデアと仕掛けに満ちたものばかりで、中でも、 盲導犬を飼い主の前で殺す「ドッグキラー」の卑劣な意思や、家宅侵入しても何も盗らず、 犯罪の種を残すという「インベイジョン」の狡猾な手口、そしてその生い立ちゆえに善と悪 の間で引き裂かれ、無差別に毒物を撒く「ラフレシア」の哀しい犯人像が印象的でした。 しかし、本作の主眼は、あくまでトラウマを抱えるマドカの 再生と、相棒であるサファイアの驚くべき正体にあります。 サファイアの正体を暗示する伏線は、各章のエピソードのなかに、 巧みに盛り込まれており、真相がわかった時の感慨は格別です。 誰もが二人の行く末を祝福するに違いないラストシーンは、 じつにさわやかで、心地よい余韻に浸ることができます。 | ||||
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本作「1/2の騎士 harujion」は、新人作家である「初野晴」の第三作目となります。 今までの初野晴の作品は、ファンタジックミステリと言う形式であり、 物語の謎を追うと言うよりは、物語が進むにつれ、 主人公が登場人物の正体を知ることが主だった気がします。 しかし、今作「1/2の騎士 harujion」では、よりミステリの要素が高まり、 主人公が自分の住む街を守るために、 異常犯罪犯を追っていくというストーリーになっています。 また、「読者に事件解決のための手がかりが示される」 というミステリの基本も守られています。 さらに、初野晴らしく個性あふれるキャラクター (町を守るために戦う主人公、主人公の騎士「サファイア」、 協力者である「キリン」、「サイ」、「ゴリラ」たち)が活躍することによって ファンタジックで独特の世界観になっています。 もちろん、今までの作品同様に登場人物たちの意外な関係性も楽しめます。 その点では「本格ミステリ」が好きな人には冗長に感じられるかもしれませんが。 ただ、読んでいると少し物足りない気がするのと、 まだまだ伸びそうな予感からレビューは「星4つ」にしておきます。 | ||||
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