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災厄の紳士
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災厄の紳士の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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イギリスのミステリー黄金時代が去った1960年代にデビューし玄人好みの複雑なパズル・ミステリーを多く著した本格派の巨匠ディヴァインの邦訳七冊目となる第十長編の紹介です。ミステリーというジャンルは如何に読み手を巧く騙すかの手腕が問われる厳しく難しい面があって、また同じ傾向を続けるとすぐに飽きられますから、本当に長年に渡ってファンから支持され続けるのは至難の技だと思います。創元推理文庫で2年続けて紹介された「悪魔はすぐそこに」と「ウォリス家の殺人」はどちらも真に素晴らしい傑作でした。本作は前2作に比べて少し衰えが見えた残念な出来でしたが、どんなに偉大な作家といえども十割を打つ事は不可能ですので、次回紹介作での復活と挽回に期待しましょう。 怠惰な美青年ネヴィルはプロのジゴロで、今回大作家の父に恋人との仲を引き裂かれて傷心の美人令嬢アルマを標的に選んで近づく。実は彼には隠れた共犯者がいて周到な計画通りに事態は進むのだが、ネヴィルにとって最後に思わぬ災厄が待ち構えていた。 本書の面白さは、序盤から詐欺師ネヴィルの視点で語られる物語が一転し中盤でまさかの意外な被害者が判明した時の驚きでしょう。ここから騙された令嬢アルマの姉サラが主役に変わり、地元警察のボグ警部が進める捜査とは別に殺人事件の謎を追います。本書の欠点は背景事情が明らかになるにつれ真相の可能性の範囲が極端に狭まってしまう事で、残念ながら完全に先の予想がついてこういう風にはならないで欲しいと思った通りに終わってしまいました。フーダニット派の著者は最初から平凡な結末にはならないだろうと憶測される点からも不利ですが、それでも著者の実力を信じて残された未訳の6冊に期待したいです。尚、本書は不幸な男女の仲という暗いテーマに全編が覆われてはいますが、暗さを強調せずに仄かなユーモアとペーソスを漂わせる所が著者の愛すべき持ち味だと思います。 | ||||
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