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夏、19歳の肖像
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夏、19歳の肖像の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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『確率2/2の死』と、『サテンのマーメイド』・『夏、19歳の肖像』の3作は、出版社にホテルに缶詰にさせられて書いたらしい。そして、『確率2/2の死』は、1985年9月に光文社文庫書き下ろしで、『サテンのマーメイド』は、同じ1985年9月に集英社からハードカバーで、『夏、19歳の肖像』は、翌月10月文藝春秋社からハードカバーでリリースされている。つまり、島田荘司はこの時期、出版社から新人作家として続々と作品をリリースできるかを試されていたのだ。 『夏、19歳の肖像』は、九段のホテルグランドパレスで書いたらしい。後書きで島田荘司自身が書いているが、若い時にしか書けない書きぶりだ。冒頭の部分だけ、ヒッチコックの作品の影響は確かに感じる。一方で、様々な映画の好き嫌いがはっきり書かれていて、『2001年宇宙の旅』の感想には笑った。 読み進めるほどに、『良いなあ、この作品、好きだなぁ』と思わず声を発してしまう。当時の銀座の風景は、ぼくの青春時代とほぼ重なっていて、出てくる建物の名前まで懐かしい。そして、この作品は、2017年に中国で映画化されている。Amazon Prime Videoにあるようなので、後で観てみようと思う。 何しろ、全く異なるタイプの3つの作品をほぼ同時に完成させた島田荘司の地肩の強さは相当なものだと思う。読み逃さなくて良かった、と思った。 | ||||
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島田荘司さんのミステリは何冊か読んだことがありましたが、この作品はだいぶ前に映画を見ていたので、推理がメインのミステリではないことはわかっていました。しっかり青春恋愛ものですね。 最初に、主人公が憧れた女性が死体を埋めたかもしれないシーンを目撃するあたりはスリリングで、その真相を追う流れもありますが、次第に主人公の女性に対する思いと2人が知りあってゆく様子がメインになります。 主人公の行動は現在の視点から見ると確かにストーカーっぽいのですが、この小説が書かれたのは1988年、まだ日本人がしっかり肉食系だった頃(笑)。知らない女性に一目惚れして、なんとか彼女と知り合いになりたいと、決してあきらめずにがんばったという見方もできるわけで、その点では主人公の一途さ、積極性をほめてやってもいいと思います。 彼女に対する強烈な思慕、敬愛しすぎて彼女に触れることもできない、その若さと純粋さが痛々しいです。 美しい彼女はいったい何者なのか?彼女は本当に父親を殺したのか?そして異常にも見えるその母親は?主人公が受け取った脅迫メッセージはいったい誰からのものか?そして現れた屈強で凶暴な3人の男たち・・謎が謎を呼び、引き込まれてしまいます。 個人的にはここまではとても魅力的でした。ただ、真相がわかってみると・・・一気に俗世に引きずり下ろされた感じでがっくりきてしまいました。青春と恋のあの透明感がなくなってしまった・・なにか他の結末は考えられなかったんでしょうか。 この作品は主人公が若かった自分を15年後に回想する形で書かれています。若くて純粋でまっすぐで無謀だった自分を、大人になってしまった自分がもう戻ることのできない時代としてなつかしむ、自分が親しんでいたあの建物も、あの風景ももうそこにはない、そんな気持ちがとても切ないです。 たぶん誰もが、20代後半あたりからもうそういう感覚がわかってくるのでは・・。一見普通のおじさんおばさん、おじいさんおばあさんも、このような思い出のひとつやふたつは心の中に秘めているのかもしれません。年を取るのは切ないです。 島田荘司氏ご本人が書いておられるあとがきが興味深いです。文庫の改訂版が出ると決まった時に読み返してみたら、まったく内容をおぼえていなくて、完全な「読書」になってしまったそうです。自分が書いた作品でもそんなことがあるのですね。 そして「相当に下手クソで未熟」だったと猛烈にけなしておられて、ゲラが真っ赤になるほど加筆訂正したということ、現在のものは非常に流麗な文章なので、最初のものがどれくらい下手クソなのか返って読んでみたい気持ちになりました(笑)。 とにかくいい作品だと思います。ほとんど青春文学の領域です。 | ||||
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【夏、19歳の肖像】読んでよかった。 映画作品 | ||||
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島田氏の2回目のそして今のところ最後の直木賞候補作である。 勿論、本作が島田氏の著作の中でずば抜けて傑作だから候補になったということではなく、単に文藝春秋社から本書が刊行されたからというだけのことである。 青春小説の趣が強い作品だが、勿論島田氏らしい謎要素もあるが、種を明かされれば、何だという他愛のないものである。 どう考えても青春小説としても本格推理としても異邦の騎士の方が数段出来がいいが、文藝春秋から出てないからというだけで直木賞候補にならないという出版社刊ヒエラルキーが悲しいものがあるが・・・。 島田氏の作品としては平凡な出来であると言わざるを得ないが、独特の感傷的な余韻はなかなか印象的である。 | ||||
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擦り傷やへたり・汚れ等もなく綺麗な状態で届いたので大満足です。 | ||||
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これは切ない。現役19歳ボッチ童貞の私には胸に詰まるものあって、思うところあり、読み終わった後カレーで煮詰めて食いました。 さて、この小説のレヴューを書きます。タイトルからも想像できる通り、ミステリーの要素はありません。読み止しの状態で完璧な解答に至ることはナンセンスです。かといって、これは特別に難しいということではなく、ネタバラシ前の段階で推理に必要な情報は与えられないし、そもそも解明すべき謎の輪郭が曖昧だということですので。本格ミステリーの部類に属さないと考えず、青春群像劇みたいなもんだと思ってくださいまし(書かなくてもわかるか)。島田荘司に本格ミステリーだけを求める人には必要ありません。もはやエッセイに近い。きっと『異邦の騎士』とか『御手洗潔のメロディ』とかが好きな人は受け入れます。巻末には新装版あとがきがあって、そういうのが好きなコアなファンの方は一読するとおもしろいですよ。 ↓以下ちょいちょいネタバレ↓ 前述した『異邦の騎士』ですが、石岡が同様に交通事故にあってますね。島田荘司の描く青春が、バイク事故にあった頃の島田自身の青春時代をバックボーンにしているとよくわかります。なんとなくやるせなく、人によっては孤独感に苛まれてしまうあの鬱屈とした感じに、私は共感しました。若さの不安定さ、未熟さがなんともいえん。 事件の方は、結局主人公の力で解決されたと言い難い結末ですが、しかし読了後の浮遊感はとても爽やかで、若干救われた思いです。そういう意味ではパワーのある作品だと思います。まさに青春小説と言ったところですね。 最後に、私はこの小説を読んでバイクがほしくなりました。今年の夏は免許を取るゼ☆ | ||||
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プロローグの文章がどうにも好きで、そこだけたまに読み返してしまいます。 全体としては、やや少年少女向けの甘くライトな?ミステリ少女です。 | ||||
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面白い青春サスペンスもので、若者の劇画的恋を巡る話。確かにドラマテツクですが、残念ながら少年、少女向きのお話。人生経験の有る方には,小説の中でしか通用しない劇画の世界です。娯楽本としては、良いと思います。 | ||||
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週刊文春1985年 国内10位 恋した女性が人を刺し、工事現場に埋めるところを目撃してしまった青年。偶然を装って、彼女の務め先でアルバイトを始めることに。 ・・・ ミステリというより青春小説としてみるべきなんだろう。青年のひたむきな愛情と、彼女=理津子の、ころころとかわりやすい気分。私を含めてだが、こういう女性に弱い男はいっぱいいるよなぁと感慨ひとしおであった。事件の顛末だけを期待してしまうと拍子抜けしてしまうが、ビルドゥングスロマンは好きなジャンルなんでここを評価したい! 新装版は内容を大きく改訂したようなので、出版当時との差異はわからないなぁ。残念。 | ||||
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週刊文春1985年 国内10位 恋した女性が人を刺し、工事現場に埋めるところを目撃してしまった青年。偶然を装って、彼女の務め先でアルバイトを始めることに。 ・・・ ミステリというより青春小説としてみるべきなんだろう。青年のひたむきな愛情と、彼女=理津子の、ころころとかわりやすい気分。私を含めてだが、こういう女性に弱い男はいっぱいいるよなぁと感慨ひとしおであった。事件の顛末だけを期待してしまうと拍子抜けしてしまうが、ビルドゥングスロマンは好きなジャンルなんでここを評価したい! 新装版は内容を大きく改訂したようなので、出版当時との差異はわからないなぁ。残念。 | ||||
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どうにもならない青春時代の無力感、 そんなものを思い出させる作品でした。 異邦の騎士にも似た、島田氏の若さを感じる作品です。 | ||||
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異邦の騎士で島田ファンになってまだ日が浅いが、 本書は第2の異邦の騎士という感じの、恋愛青春小説。 主人公の過去の思い出の回想という展開が、ほろ苦く かつ共感をよぶ。 筆者の作品には、本書のように、ミステリーだけで なく恋愛小説的要素が含まれてるものもあり、 好きです。 | ||||
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異邦の騎士で島田ファンになってまだ日が浅いが、 本書は第2の異邦の騎士という感じの、恋愛青春小説。 主人公の過去の思い出の回想という展開が、ほろ苦く かつ共感をよぶ。 筆者の作品には、本書のように、ミステリーだけで なく恋愛小説的要素が含まれてるものもあり、 好きです。 | ||||
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この頃の島田は、色んなジャンルのミステリー手がけてるのでいいです。 最近の氏に、この頃思い出してほしいです。 入院中の主役が、望遠鏡で見てた女が、なんか殺人らしいことして興味持った! それ以上に娘に惚れてしまって、退院してからストーカーして親しくなろうと・・・ そうとうストーカーですからね・・。まだこの頃はストーカー犯罪もなかったんでしょうか? いまだと、一発でお縄の主役でありますが そこを抜きにして、かなりで気がいいです 惚れた女のために。。うーん、熱いです!! 娘のおかあさん、いいキャラでした! 電話で、声変えて娘のの振りするところが笑えます!! | ||||
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いかにもサスペンススリラーという内容で始まる作品だけど,最後まで読むと19才の青年の一途な恋心を描いている青春恋愛小説だと気づかされる。バイク事故で入院中に病院の窓からのぞき見していた女性に恋し,その彼女とで恋に落ちる過程は安易としか言えないが,19才のアルバイト学生が年上の彼女を抱えての逃避行。強力な力を持つ大人たちに対してのあまりに無力な挫折感。19才の青年の一途な想いと弱さがそのまま描かれていて共感がもてる。最後に入院の原因となったバイクにまたがり,捕らわれた彼女を救いたい一心で高速道路を疾走していく彼。前半部分は若者の弱さばかりが出ていたのに,自分の命がこれで終わっても「彼女が僕を好きになったことはまちがいじゃなかった。」と思わせるためにアクセルを握る彼の姿に若者の強さを感じた。作品の冒頭がここで活かされることに感心した。これらのドラマチックな出来事が全て過去の出来事として回想している彼の姿が現実の世界に戻されたようで少し寂しかった。 | ||||
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島田荘司さんの著書の中では、「異邦の騎士」と並ぶ青春小説の名作です。とはいえ、この作品が「異邦の騎士」と異なるのは、回想という構成をとることによって、物語全体に追憶のフィルターのようなものがかかっている点です。癒える間もない傷のような痛切さというよりはどこか小高いところから自分の生家を見下ろすような感覚がこの小説にはあります。好むと好まざるとにかかわらず、時間の流れによってあの頃とは別の場所に運ばれてしまった。何かの拍子に当時の感情や思いは静かに発熱するが、現在の自分はそれを「含む」ものとして存在する。そのような青春の当事者では感じえないリリカルさがこの作品の素敵なところなのではないでしょうか。もちろん島田さんの作品なので、サスペンス風味のミステリとしても充分に楽しむことはできますがそれだけではもったいなさ過ぎます。ちなみに「新・異邦人の夢」というエッセイ集に作者本人の二十歳前後について触れた文章があります。 | ||||
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