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帝都衛星軌道



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帝都衛星軌道 (講談社文庫)

2009年08月12日 帝都衛星軌道 (講談社文庫)

一人息子が誘拐された。身代金の額はわずか十五万円。受け渡しの場所として山手線を指定され、警察側は完璧な包囲網を敷くが…。前後編の間に、都会の闇で蠢く人びとを活写した「ジャングルの虫たち」を挟む異色の犯罪小説。大胆なトリック、息をつかせぬ展開、繊細な人間描写が織りなす魅力に満ちた傑作。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

帝都衛星軌道の総合評価:7.14/10点レビュー 21件。Bランク


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全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

野心的な作者の新たな小説形式への意欲を買う

本来であれば本書は中編集というべきだろう。表題作の誘拐事件を扱った「帝都衛星軌道」と亡くなった詐欺師との回想に浸るホームレスの男の独白ような「ジャングルの虫たち」という2つの作品が収録されているからだ。

しかし通常の中編集と違うのは、前者の表題作が前後編に別れ、しかも前編と後編の間にもう1つの中編「ジャングルの虫たち」が挿入されるという、極めて特異な特徴を持っていることだ。

ノンシリーズである本書には島田氏のシリーズキャラクターは出ないものの、警察の実捜査を噛み砕いた内容や、詐欺師のありとあらゆる詐欺の手口を会話調で説明する語り口は非常に読みやすく、相変わらずのリーダビリティを誇る。登場人物の仕草や台詞や地の文に織り込まれる心情など、その登場人物の生活レベルに根ざした言葉が選ばれているようで、血が通っているように感じる。
年齢を重ねるごとにその筆致は練達の域に達しているようだ。特に飾り気のある文章ではないが、その人と成りがすっと頭に入っていく自然さを持っている。

そして表題作の後編で立ち昇るのは島田氏のライフワークとも云うべき、冤罪事件と日本の都市論だ。

そして東京の地下鉄はかつて戦時中などに作られた無数の地下経路を結んで作られているという事実。だから東京の地下鉄路線は歪な形をしているのだと島田氏は述べる。私も東京に来て通勤に地下鉄を利用することになり、路線図を眺めて思ったのはなんともおかしなルートをしているなぁということだった。この素朴な疑問に1つの回答が得られた思いがした。

ただ途切れないトランシーヴァーの真相はあまり驚愕を抱かない。
山手線に乗る美砂子との通信が途切れない謎の真相はなるほどとは思った。

しかし2番目の被害者の紺野貞三のマンションへの連絡方法に関する真相はいささか残念な思いがした。
21世紀に生み出された島田作品にはこういうある特殊な知識を持っていないと解けない謎が多いように気がする。この是非については既に述べているのでここでは語らないが、とにかく読者との知的ゲームという観点での本格ミステリであればアンフェアであると認めざると得ない。ただ新たな知識を得るという観点での本格ミステリであれば、肯定も出来るだろう。

また中間に挟まれる中編「ジャングルの虫たち」はミステリではなく、一種のファンタジーともいえるだろう。
表題作の後編を読むとこの中編が後編を補完するような役割を果たしているのが解る。しかし非常にそれとなく書かれているので上のようにある関係性を持っているとも書けるし、全く独立した2編でなぜ表題作の前後編の間に挟んでいたのかが解らない読者もいることだろう。

私は本書を1つの新しい中編、いや長編の形の試みと評価する。成功しているか否かは別にしてやはりこの意欲は買いたい。
御年60を超える島田氏のアイデアを物にするストーリーとプロットを思いつく知性はまだ新しい本格の型を模索する貪欲さがあり、後続の本格ミステリ作家にはまだ負けないという気概さえ感じる。もっと後輩作家、特に新本格作家連中は島田氏を見習ってほしいものだ。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

帝都衛星軌道の感想

久しぶりの島田作品でしたが、とても作者らしいと言う感じの物でした。まず冒頭に不可解な謎の提示。そして論理的に解決された様で、なんか良く分からなくて全部は納得出来ない結末。また、言いたいテーマがあり、それにストーリーを後付した様な所。しかしそういう意味では、今回は結構バランス良く出来ていたと思います。
長編を前篇と後編に分け、その間に別の中編を挟むという構成でした。どちらの話も人間味が有り、しんみりとした読後感が良かった。

なおひろ
R1UV05YV
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No.19:
(3pt)

普通です。なんか騙されたかな。

自信ありみたいなコメントがあったので楽しみに、よみました。ます、メインの誘拐?話で普通。真ん中の暗い話しで普通。なんで大したことない普通の話しで関連性が分かりにくいものを挟むか?それが
ファン最大のミステリー。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.18:
(4pt)

ジャングルの虫たち

間に挟まれている中編の『ジャングルの虫たち』は、ずっと日雇い、
ホームレス暮らしだった男と、詐欺師の男の話。

ホームレスが行路病院をたらい回しにされる様子や、詐欺の手口が詳細に描かれ、
作家の情報収集能力は大したものだなと感心させられる。
そして社会の底辺、暗部で生きていく人々の様子が印象に残る。

芥川賞を受賞した西村賢太氏の『苦役列車』を読んで、この中編を思い出した。
推理小説の間に挟まれたことで、多くの読者には「何この作品?」と
感じさせたかもしれないが、『苦役列車』のように東京の底辺で生活する人々を
描いた作品だと考えれば納得できるのではないだろうか。
(ただし『苦役列車』とは文体も視点も異なるので、あくまで別の作品として読むのがいい)

それが山手線を舞台とした推理小説の間に挟まれているわけだ。

『苦役列車』は私小説だが、この作者は作家としての地位を確立して
もう長いから、自分の体験がそんなに入っているわけではないだろう。
それでもこんな救いのない底辺で生活する人々を描けるものなのだなと思った。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.17:
(3pt)

普通

一つのミステリ作品としてそれなりには楽しめるのだが、途中に入る
ミステリですらない無関係な中篇作品が謎だ
それにしても誘拐というテーマとあの犯人の動機は個人的に相容れない
作者買い人向けの作品
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.16:
(4pt)

前半と後半のノリが異なる

前書きを読むと、島田氏がデビュー前の作品に手を加えて今回新たに発表した作品と受け取れるのですが違うんでしょうか・・・・・。
なので初期の頃の作品の改良版なら近年のイマイチな作品に比べて期待できそうだと手に取ったのだが。
80年代の吉敷もののような誘拐サスペンスで前半は山の手線を使ったダイナミックな動きのある展開で近年では最高峰の面白さである。途中、よく分からない短編を挟み、後半が展開されるがこの後半の社会派な重い展開は賛否分かれるところ。個人的には前半の調子のトリッキーなサスペンス調で行ってもらった方が好みだったなあという気がする。まあ、読んで損のない久しぶりの手に汗握るサスペンス作としては評価できます。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077
No.15:
(1pt)

もううんざり

またか、という感じです。最後の方なんか謎解きそっちのけで、いかに昔の軍人達、あるいは政治家が愚劣で人を人とも思わぬ連中かって事を延々と語る始末。それと作者の中では死刑囚はすべて冤罪で国家の(というか愚かな警察と検察の)犠牲者なんでしょうか?日本ってそんなに駄目な国ですか?警察官や検察官の家族読んだらがっかりすると思うし、私の友人は法務省の役人だがしっかり人の為働いてますよ。最近発表される作品そんなのばっかりでうんざりなんです。『斜め屋敷の犯罪』の頃のただトリックに驚き、カタルシスに酔っていた自分が懐かしい…。
帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:帝都衛星軌道 (講談社ノベルス)より
4061826077



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