北の夕鶴2/3の殺人

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北の夕鶴2/3の殺人の評価:

4.27/5点 レビュー 26件。 A ランク

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平均点4.27pt

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全35件 21〜35 2/2ページ
No.15
(4pt)

男の矜持のものがたり

週刊文春1985年 国内4位

吉敷竹史シリーズ第3弾。

吉敷刑事に掛かってきた元妻 通子からの電話。再会を期待し、夜行列車<ゆうずる九号>のホームへ向かう吉敷だったが、車内の通子の姿を見かけたとき、列車は北へ向けて出発してしまう。翌日、吉敷は、<ゆうずる九号>で女性の刺殺死体が発見されたことを知る。そこは、通子をみかけた号車であり、所持品も通子を示すものだった。 ・・・

列車ミステリと、北海道 釧路で発生する伝奇ミステリをひとつにまとめあげた作品。伝奇ミステリは、義経北行伝説を絡めた、不可能犯罪。
なにせ、犯人のみならず、死体が発見場所に存在すること自体が謎になっている。釧路の原野に忽然と建つ、3棟の不思議な形のマンションと、敷地内の夜鳴石。伝説のとおり夜鳴石が鳴き、マンション内の一室で二人の死人がでる。写真にしかあわらない鎧武者など、奇奇怪怪なムードは満点。

対する吉敷は、通子に逮捕状というイムリミットが設定された上、暴漢に襲われて満身創痍。男の矜持を賭けてのハラハラドキドキの謎解きという体なんだけど、あまり切迫感を感じない。可能かどうかは別として、トリックのアウトラインがおぼろげながら、わかってしまうからなのか。通子のエキセントリックな性格も、事件の真相を追うにつれて魅力が少なくなってくる。吉敷の痛ましいほどの心のうちが、共感できる作品ではあるのだが。

TVドラマ化されているけど、こちらは未見。
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688
No.14
(4pt)

男の矜持のものがたり

週刊文春1985年 国内4位

吉敷竹史シリーズ第3弾。

吉敷刑事に掛かってきた元妻 通子からの電話。再会を期待し、夜行列車<ゆうずる九号>のホームへ向かう吉敷だったが、車内の通子の姿を見かけたとき、列車は北へ向けて出発してしまう。翌日、吉敷は、<ゆうずる九号>で女性の刺殺死体が発見されたことを知る。そこは、通子をみかけた号車であり、所持品も通子を示すものだった。 ・・・

列車ミステリと、北海道 釧路で発生する伝奇ミステリをひとつにまとめあげた作品。伝奇ミステリは、義経北行伝説を絡めた、不可能犯罪。
なにせ、犯人のみならず、死体が発見場所に存在すること自体が謎になっている。釧路の原野に忽然と建つ、3棟の不思議な形のマンションと、敷地内の夜鳴石。伝説のとおり夜鳴石が鳴き、マンション内の一室で二人の死人がでる。写真にしかあわらない鎧武者など、奇奇怪怪なムードは満点。

対する吉敷は、通子に逮捕状というイムリミットが設定された上、暴漢に襲われて満身創痍。男の矜持を賭けてのハラハラドキドキの謎解きという体なんだけど、あまり切迫感を感じない。可能かどうかは別として、トリックのアウトラインがおぼろげながら、わかってしまうからなのか。通子のエキセントリックな性格も、事件の真相を追うにつれて魅力が少なくなってくる。吉敷の痛ましいほどの心のうちが、共感できる作品ではあるのだが。

TVドラマ化されているけど、こちらは未見。
北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス)より
4334025854
No.13
(4pt)

吉敷の男の矜持のものがたり

週刊文春1985年 国内4位

吉敷竹史シリーズ第3弾。

吉敷刑事に掛かってきた元妻 通子からの電話。再会を期待し、夜行列車<ゆうずる九号>のホームへ向かう吉敷だったが、車内の通子の姿を見かけたとき、列車は北へ向けて出発してしまう。翌日、吉敷は、<ゆうずる九号>で女性の刺殺死体が発見されたことを知る。そこは、通子をみかけた号車であり、所持品も通子を示すものだった。 ・・・

列車ミステリと、北海道 釧路で発生する伝奇ミステリをひとつにまとめあげた作品。伝奇ミステリは、義経北行伝説を絡めた、不可能犯罪。
なにせ、犯人のみならず、死体が発見場所に存在すること自体が謎になっている。釧路の原野に忽然と建つ、3棟の不思議な形のマンションと、敷地内の夜鳴石。伝説のとおり夜鳴石が鳴き、マンション内の一室で二人の死人がでる。写真にしかあわらない鎧武者など、奇奇怪怪なムードは満点。

対する吉敷は、通子に逮捕状というイムリミットが設定された上、暴漢に襲われて満身創痍。男の矜持を賭けてのハラハラドキドキの謎解きという体なんだけど、あまり切迫感を感じない。可能かどうかは別として、トリックのアウトラインがおぼろげながら、わかってしまうからなのか。通子のエキセントリックな性格も、事件の真相を追うにつれて魅力が少なくなってくる。吉敷の痛ましいほどの心のうちが、共感できる作品ではあるのだが。

TVドラマ化されているけど、こちらは未見。
北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス)より
4334025854
No.12
(4pt)

吉敷の男の矜持のものがたり

週刊文春1985年 国内4位

吉敷竹史シリーズ第3弾。

吉敷刑事に掛かってきた元妻 通子からの電話。再会を期待し、夜行列車<ゆうずる九号>のホームへ向かう吉敷だったが、車内の通子の姿を見かけたとき、列車は北へ向けて出発してしまう。翌日、吉敷は、<ゆうずる九号>で女性の刺殺死体が発見されたことを知る。そこは、通子をみかけた号車であり、所持品も通子を示すものだった。 ・・・

列車ミステリと、北海道 釧路で発生する伝奇ミステリをひとつにまとめあげた作品。伝奇ミステリは、義経北行伝説を絡めた、不可能犯罪。
なにせ、犯人のみならず、死体が発見場所に存在すること自体が謎になっている。釧路の原野に忽然と建つ、3棟の不思議な形のマンションと、敷地内の夜鳴石。伝説のとおり夜鳴石が鳴き、マンション内の一室で二人の死人がでる。写真にしかあわらない鎧武者など、奇奇怪怪なムードは満点。

対する吉敷は、通子に逮捕状というイムリミットが設定された上、暴漢に襲われて満身創痍。男の矜持を賭けてのハラハラドキドキの謎解きという体なんだけど、あまり切迫感を感じない。可能かどうかは別として、トリックのアウトラインがおぼろげながら、わかってしまうからなのか。通子のエキセントリックな性格も、事件の真相を追うにつれて魅力が少なくなってくる。吉敷の痛ましいほどの心のうちが、共感できる作品ではあるのだが。

TVドラマ化されているけど、こちらは未見。
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688
No.11
(5pt)

吉敷シリーズでは最も本格テイストの濃い作品

吉敷シリーズは、御手洗ものと比べると、警察の動きがメインである。
だから、どうしても地味な展開になってしまうのだがだが、本作だけは違う。
吉敷シリーズでは別格の大トリック、雰囲気であり、シリーズ中では最も好きだ。

何より、怪奇ムード満点であること、その怪奇ムードがプロットにおける必然だということが、高く評価したいところだ。
そして、サスペンスも十分だし、本シリーズ独特のメロドラマチックもまぶしてあるし。
惜しむらくは、そのサスペンスのかなりの部分が、吉敷のプライベートに依存するということである。
これは、必要以上に長くすることができないという、ノベルスミステリの宿命なのかもしれない。

島荘がメジャーになるためには、本シリーズが必要だった。
だから一時期、著者はかなり本シリーズを量産して、作品の質をかなり低下させた。
かなり著者的には、本シリーズに嫌気がさしていたのではないだろうか。
本作はまだそうなる前の、気力の充実していた、しかし御手洗ものを量産できなかった時期のものだ。
だから、吉敷ものなのに“このトリック”ということなのだろう。
やはり島荘には大技物理トリックが良く似合う。
実現性うんぬんではない。
説得力があれば、そして何よりも作品の密度の高さに必然であれば、それで良い。

いま、著者は本シリーズを中断している。
本作以降、「涙〜」まで、吉敷はよくがんばったし、その役割は十分に果たしたと思う。
でも、著者の看板スターのひとりであるし、また再び活躍を見たいものである。
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688
No.10
(5pt)

吉敷シリーズでは最も本格テイストの濃い作品

吉敷シリーズは、御手洗ものと比べると、警察の動きがメインであるため、どうしても地味な展開になってしまうのだがだが、本作だけは違う。
吉敷シリーズでは別格の大トリック、雰囲気であり、シリーズ中では最も好きだ。

何より、怪奇ムード満点であること、その怪奇ムードがプロットにおける必然だということが、高く評価したいところだ。
そして、サスペンスも十分だし、本シリーズ独特のメロドラマチックもまぶしてあるし。
惜しむらくは、そのサスペンスのかなりの部分が、吉敷のプライベートに依存するということである。
これは、必要以上に長くすることができないという、ノベルスミステリの宿命なのかもしれない。

島荘がメジャーになるためには、本シリーズが必要だった。
だから一時期、著者はかなり本シリーズを量産して、作品の質をかなり低下させた。
かなり著者的には、本シリーズに嫌気がさしていたのではないだろうか。
本作はまだそうなる前の、気力の充実していた、しかし御手洗ものを量産できなかった時期のものだから、吉敷ものなのに“このトリック”ということなのだろう。
やはり島荘には大技物理トリックが良く似合う。
実現性うんぬんではない。
説得力があれば、そして何よりも作品の密度の高さに必然であれば、それで良い。

いま、著者は本シリーズを中断している。
本作以降、「涙〜」まで、吉敷はよくがんばったし、その役割は十分に果たしたと思う。
でも、著者の看板スターのひとりであるし、また再び活躍を見たいものである。
北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス)より
4334025854
No.9
(5pt)

吉敷シリーズでは最も本格テイストの濃い作品

吉敷シリーズは、御手洗ものと比べると、警察の動きがメインであるため、どうしても地味な展開になってしまうのだがだが、本作だけは違う。
吉敷シリーズでは別格の大トリック、雰囲気であり、シリーズ中では最も好きだ。

何より、怪奇ムード満点であること、その怪奇ムードがプロットにおける必然だということが、高く評価したいところだ。
そして、サスペンスも十分だし、本シリーズ独特のメロドラマチックもまぶしてあるし。
惜しむらくは、そのサスペンスのかなりの部分が、吉敷のプライベートに依存するということである。
これは、必要以上に長くすることができないという、ノベルスミステリの宿命なのかもしれない。

島荘がメジャーになるためには、本シリーズが必要だった。
だから一時期、著者はかなり本シリーズを量産して、作品の質をかなり低下させた。
かなり著者的には、本シリーズに嫌気がさしていたのではないだろうか。
本作はまだそうなる前の、気力の充実していた、しかし御手洗ものを量産できなかった時期のものだから、吉敷ものなのに“このトリック”ということなのだろう。
やはり島荘には大技物理トリックが良く似合う。
実現性うんぬんではない。
説得力があれば、そして何よりも作品の密度の高さに必然であれば、それで良い。

いま、著者は本シリーズを中断している。
本作以降、「涙〜」まで、吉敷はよくがんばったし、その役割は十分に果たしたと思う。
でも、著者の看板スターのひとりであるし、また再び活躍を見たいものである。
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688
No.8
(5pt)

一匹狼的な色彩が濃い

吉敷シリーズの三作目。ロマンチックな導入部で幕開け,なだれこむサスペンス,鎧武者の亡霊に心霊写真等のホラー,そして大胆な着想としか
表現できないトリックが最後に待ち構えています。それらの要素を圧倒的な空想力で組み立てた力作でしょう。
名作・傑作なんて表記は似合わない,そんな作品。同じアイデアを使って他の作家が書いても全然駄目なんだなぁきっと。島田荘司だから。。
初期島田の魅力を残しながらも,そこから強烈に脱皮しようとしている姿が浮かぶ過渡期の作品だろう。
新本格派の普及に尽力した島田,だが皮肉なことにその後幕開ける一種のゲーム性と,もっとも一線を画しているのが島田でもある。
この一作を読んでいると,そんな孤高の一匹狼のイメージを強く感じてしまいますね。そして一匹狼と謂えば,作中でボロボロになりながらも
男の信念を貫き通す吉敷刑事もそうだ。その姿にはシビレますね。泣けてもくる。。ここら辺が推理作家の側面を越えて,純粋に小説読みも
うならせることができる魅力だと感じる。
とは言え,同時にミステリーファンとしてここで使われる大型トリックには興奮してしまう。現実味はまったくない。実際に行ってみたら
さぞかし面白い見ものになるだろうなぁ(笑)。でも,そんな横紙やぶりなことをやっても不思議と完成しているのが島田。そこが好いの。
北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス)より
4334025854
No.7
(5pt)

一匹狼的な色彩が濃い

吉敷シリーズの三作目。ロマンチックな導入部で幕開け,なだれこむサスペンス,鎧武者の亡霊に心霊写真等のホラー,そして大胆な着想としか
表現できないトリックが最後に待ち構えています。それらの要素を圧倒的な空想力で組み立てた力作でしょう。
名作・傑作なんて表記は似合わない,そんな作品。同じアイデアを使って他の作家が書いても全然駄目なんだなぁきっと。島田荘司だから。。
初期島田の魅力を残しながらも,そこから強烈に脱皮しようとしている姿が浮かぶ過渡期の作品だろう。
新本格派の普及に尽力した島田,だが皮肉なことにその後幕開ける一種のゲーム性と,もっとも一線を画しているのが島田でもある。
この一作を読んでいると,そんな孤高の一匹狼のイメージを強く感じてしまいますね。そして一匹狼と謂えば,作中でボロボロになりながらも
男の信念を貫き通す吉敷刑事もそうだ。その姿にはシビレますね。泣けてもくる。。ここら辺が推理作家の側面を越えて,純粋に小説読みも
うならせることができる魅力だと感じる。
とは言え,同時にミステリーファンとしてここで使われる大型トリックには興奮してしまう。現実味はまったくない。実際に行ってみたら
さぞかし面白い見ものになるだろうなぁ(笑)。でも,そんな横紙やぶりなことをやっても不思議と完成しているのが島田。そこが好いの。
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688
No.6
(5pt)

吉敷というキャラに初めて血が通った作品

これまでの吉敷モノ(はやぶさ、出雲)は、ただのかっこいいラーメン好きな刑事くらいにしか描かれてなかったのが、3作目のこれでえらく掘り下げに掘り下げ、吉敷というホンモンのキャラクターが生まれる結果となった。島田自身が吉敷に愛着抱き始めたんだろうか。これを読めばほとんどの人間が、吉敷を好きになるだろう。かくいうわたしも、実は御手洗よりも吉敷が好きだったりする。一人の女のために満身創痍で立ち向かう姿にマジしびれる。
さらにこの作品は、そんな吉敷の姿と同時に、御手洗モノもビックリな奇想天外なトリックが用いられてるのも見逃せない。前2作が、顔の皮剥がされたりバラバラに撒かれたりと猟奇ではあれどトラミスの範疇だったから手堅く地味な印象を受けるが、今回は本格ファンよだれモノの大トリック。まさに島田節炸裂で嬉しい限り。
北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (カッパ・ノベルス)より
4334025854
No.5
(5pt)

吉敷というキャラに初めて血が通った作品

これまでの吉敷モノ(はやぶさ、出雲)は、ただのかっこいいラーメン好きな刑事くらいにしか描かれてなかったのが、3作目のこれでえらく掘り下げに掘り下げ、吉敷というホンモンのキャラクターが生まれる結果となった。島田自身が吉敷に愛着抱き始めたんだろうか。これを読めばほとんどの人間が、吉敷を好きになるだろう。かくいうわたしも、実は御手洗よりも吉敷が好きだったりする。一人の女のために満身創痍で立ち向かう姿にマジしびれる。
さらにこの作品は、そんな吉敷の姿と同時に、御手洗モノもビックリな奇想天外なトリックが用いられてるのも見逃せない。前2作が、顔の皮剥がされたりバラバラに撒かれたりと猟奇ではあれどトラミスの範疇だったから手堅く地味な印象を受けるが、今回は本格ファンよだれモノの大トリック。まさに島田節炸裂で嬉しい限り。
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688
No.4
(5pt)

もっとメジャーになるべき作品

こういうトリックは、僕は無性に好きであります。
大胆でセコくない。これが島田文学の醍醐味。ただ、吉敷の個人的なドラマに焦点が絞られすぎ、「奇想 天を動かす」などに比べると、社会性が希薄なのが残念。 
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688
No.3
(4pt)

トリックは抜群だが構成に難が

本作のトリックは作者の代表作「斜め屋敷」に匹敵するスケールの大きさを持った素晴らしいものだ。しかし、話が吉敷刑事が別れた妻を追って苦闘する姿を中心に描かれており、チグハグな印象を与える。ミステリとしての物語とトリックがアンマッチなのだ。解決にしても、上記のように別れた妻の件で苦闘する吉敷刑事が突然思いつくという唐突なもので違和感が残る。ファンタスティックなトリックにはファンタスティックな舞台設定をと思うのは私一人ではあるまい。舞台設定を変えた状況で、このトリックを味わいたかった。ファンならではの思いである。
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688
No.2
(5pt)

時刻表トリックじゃないよ

今更言うまでもないですが、島田荘司作品には、「御手洗潔」シリーズと、「吉敷竹史」シリーズという、2つの人気シリーズがあります。御手洗シリーズは、トリッキーな謎、トリッキーな真相、を主題としたある意味クラシカルな本格ミステリであるのに対して、吉敷シリーズは、リアリズムを重視した社会派の匂いが強い作品群、という色分けで語られる場合が多いです。タイトルもいかにもそれっぽいですしね。乱暴な言い方をすれば、テレビの2時間サスペンスのニュアンスでしょうか。そんな中この作品は、御手洗シリーズを思わせるトリッキーな謎と一発トリック、壮大なケレン味、という点で魅せます。更に鎧武者、義経伝説、夜鳴石など伝奇的要素もいい感じで演出効果を上げてくれます。そしてファンにとってはお馴染みの、吉敷と通子の物語でもあります。トリックが現実的でない、という批判もやっぱり多いですね。然しながら作者もそんな事は先刻承知で書いていると思われます。という意味で、やっぱり御手洗シリーズ的かもしれないなあ、と。でも、実のところ、吉敷シリーズにも、大技トリックを駆使するタイプの本格ミステリは他にもあるんですよね。『奇想、天を動かす』とか。いずれにせよ、島田荘司氏が、本格ミステリ作家たらんとして、そして最も脂が乗っていた時期の傑作だと思います。ロマンティック。
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688
No.1
(4pt)

吉敷刑事、かつてないピンチ

 吉敷刑事シリーズ。別れた妻・通子が初めて登場するエピソードだ。年の暮れ、吉敷のデスクに通子から電話がかかってきた。上野駅に駆けつけると、発車する列車の窓に通子の姿を見つけた。一瞬の再会。その後、通子が命を狙われる危険に遭っていることを吉敷は察する。たったひとりで通子の行方と事件の謎をつきとめなければならない。だが、解決の糸口がなかなかつかめないまま、タイムリミットは目前に迫る。 この物語で、吉敷はかつてないピンチに襲われる。なぜ、そんな目に遭っても捜査を投げ出さず、立ち向かわねばならないかと思われるほどに。それは通子への愛情だけでなく、吉敷自身の信念、自らの決意への一本気さゆえなのだ。
北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫) Amazon書評・レビュー: 北の夕鶴2/3の殺人 (光文社文庫)より
4334707688