(短編集)

光る鶴



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    初公開日(参考)2006年09月
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    短編集

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    光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)

    2006年09月07日 光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)

    捜査一課の吉敷竹史は、知人の葬儀で九州・久留米市へ。そこで出会った青年から、義父の再審への協力を頼まれる。二十六年前、三人の女性を殺して死刑判決を受けた「昭島事件」。すでに人の記憶は風化しており、冤罪事件を覆す証拠は見つかるのか(「光る鶴」)。―吉敷竹史は、なぜ刑事になったのか(「吉敷竹史、十八歳の肖像」)の他、文庫書下ろし(「電車最中」)を収録。 (「BOOK」データベースより)




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    光る鶴の総合評価:5.83/10点レビュー 6件。Cランク


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    全1件 1~1 1/1ページ
    No.1:
    (7pt)

    御手洗シリーズとの違いが色濃く出た短編集

    本作は2002年に当初『吉敷竹史の肖像』として刊行された短編集からエッセイや対談などを取り除き、純粋に吉敷シリーズの短編集として編み直した物で、文庫化に際して新作の「電車最中」という短編が書き加えられている。

    まず冒頭の「光る鶴」はかつて島田氏が物したノンフィクション大作『秋好事件』をモチーフにした吉敷シリーズの中編だ。
    吉敷はかつて逮捕した元やくざの藤波の葬儀に出席するため、福岡の久留米市に赴いた。その告別式で昭島悟と名乗る藤波の生前に親しくしていた若者と出逢う。
    26年前に久留米市に近い稲塚という街で一家3人を惨殺した「昭島事件」という殺人事件が起き、彼はその犯人の息子だという。実は父、昭島義明は義父であり、世話になった藤波の頼みで養子縁組を組んでいた。今まで昭島義明は自らが犯人だと認めており、死刑も確定していたが、藤波の強い説得の末、再審請求をしているという。そこで彼は吉敷に父の冤罪を証明して欲しいと頼む。
    26年も前の事件の再捜査に難色を示していた吉敷だったが、亡き藤波の熱意に押されるが如く、再捜査に乗り出す。
    秋好事件が同じく福岡の飯塚での事件、そして一家惨殺事件である事からかなり類似性が高い。題名の「光る鶴」とは事件当時、駅のホームに捨てられていた赤子の悟の胸に置かれていた銀の折鶴に由来する。これが冤罪の証拠となるのは自明の理だが、相変わらずの吉敷の粘りの捜査が描かれている。
    事件の真相は物語中盤で早くも吉敷と昭島との面接から明らかになるが、この作品の意図は昭島義明の冤罪をいかに証明するかに主眼が置かれているので当然だろう。この事件解明は島田の秋好事件に対する願望に外ならない。

    続いて「吉敷竹史、十八歳の肖像」は吉敷がいかに警察官になるに至ったかを描いた物語だ。
    広島は尾道市の町工場の息子である吉敷竹史は昔から権力を嵩に威張り散らす人間が嫌いだった。C大に合格し、東京に出てきた18歳の吉敷だったが、時は折りしも大学紛争たけなわの時代で吉敷の通う大学も例外ではなかった。
    吉敷は学内闘争には加わらなかったが、闘争学生の中の1人、桧枝という学生と親しくなる。桧枝は同い年とは思えぬほどの博識でしかも社会の仕組みを裏側まで知り尽くしているような感じだった。その桧枝がある日、学校のロッカーでリンチ死体となって発見される。学生紛争の混乱から単なる一犠牲者としか扱わない警察に愛想を尽かし、吉敷は単独で犯人の捜索に当たる。
    執拗な聞き込みの末、事件前日に犬猿の仲の佐々木という学生に会っていたとの情報を得る。吉敷は佐々木の住所を調べ、実家に赴くのだが・・・。
    幼稚園児が快刀乱麻の名探偵振りを発揮する御手洗シリーズを書いた同じ作者とは思えぬほど、この物語は対極にある。つまりここに作者の二つのシリーズの創作姿勢が現れているように思う。吉敷シリーズが極力現実の警察の捜査に即して描く事を主眼にしたリアルなシリーズにあるのに対し、御手洗シリーズは幻想味と奇想をテーマに掲げた一種のファンタジーだという事だ。
    あとラストに出てくる最後の宮沢賢治の詩、『雨にも負けず』は、確かに吉敷の人と成りを語るにこれほど雄弁な物はないと感心した。

    そしてラストの「電車最中」。
    鹿児島県の天文館通りのマンションで市役所の建設企画課長が射殺されるという事件が起きた。鹿児島県警刑事課の留井は捜査を進めるにつれ、一人の容疑者が浮上する。地元の暴力団K山会の幹部、福士健三だった。
    彼の犯行である証拠として、死体のズボンの折り返しの裾に入っていた食いかけの電車の形をした最中を福士が買ったことを立証すれば、逮捕は目前だった。しかし、九州中の市電のある県を当たってみたが、そんな物はないという知らせ。捜査を中国・四国地方に拡大したが、同じ結果だった。
    焦った留井は捜査を東京を除く市電のある全国各地の都市に広げたが、すべて空振りに終わった。途方にくれた留井はふと数年前の捜査で東京から鹿児島に訪れていた吉敷という刑事の事を思い出す。
    まさにこれこそシリーズを読み通した者が得る醍醐味というものだろう。留井が語る数年前の事件とは私の好きな『灰の迷宮』である。電車型をした最中を探す、これだけ単純な捜査にこれほどまでに物語性を持たせる島田氏の手腕に改めて脱帽。いやはやどこからこんな話を拾ってくるのだろうか?
    そしてこの作品でも御手洗シリーズとの相違がはっきりと書き分けられている。御手洗シリーズのスピンオフ作品では御手洗が電話や手紙での出演だけなのに、あっさりと事件の真相に迫るヒントなんかをアドバイスする超人ぶりを描いているのに対し、本作では吉敷は留井の捜査のお手伝いをするのみで助手に徹している。あくまで事件を解くのは留井である。この辺の身のわきまえ方が私をして御手洗よりも吉敷の方を好きにさせているところなのだ。
    そして最後の蛇足ともいえる留井の若かりし頃の東京での恋愛話もまた昭和を語る一つの因子となっている。

    今後の島田氏はこういった情の部分を積極的に取り入れるらしい。なんとも嬉しい話ではないか!

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    No.5:
    (4pt)

    光る一作

    島田氏のカッパノベルスから21世紀初頭に出した吉敷竹史の肖像に書きおろしを1作加えてタイトルを変えて文庫化した作品。
    メインの光る鶴は島田氏のテーマでもある冤罪をモチーフに描いた力作。
    トリック自体は懐かしい昭和テイストだが、それが本作には合っている。
    実際の事件をアイデアにして書かれているため地味だが、吉敷ものにはこのテイストがしっくりくる。
    この泥臭さが御手洗シリーズとは異なる魅力なのだ。
    しかし、マニアックな本格推理は御手洗もの、通俗向けは吉敷ものと80年代から並行して続いてきたシリーズだが、2000年代初頭の本作以降吉敷シリーズはピタリと刊行が止まってしまっている。
    本格ミステリーを一般向けに布教するという目的で書かれていた吉敷ものだが、本格ミステリーが成熟した今ではその役目を終えたということだろうか。
    後、1作くらいちゃんと決着を付けた吉敷ものを読みたい気がするが。
    光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)より
    4334741193
    No.4:
    (3pt)

    そんな面白くはないな

    他のレビューにある通り、島荘の「秋好事件」のまんま縮小版みたいな表題作。構成や被害者のキャラクター、現場の模様や付近の橋、そっから見える山・・とか、全部一緒。吉敷が出てきて、都合よく冤罪証拠を見つけ出すというのがオリジナルで、秋好読んでれば、コッチは読む価値は無い。秋好が分厚くて読むのがメンドイとか、ノンフィクションは好かんとかいう人にとってはいいかもしれない。

    吉敷の肖像は堅すぎ。この刑事がまじめな男ってのは、もう十分知ってる。なのに、またまたクソくらいに真面目一徹な学生時代を描かれても、読んでて面白くない。

    最中がまあ、こん中では一番読めたほう。「灰の迷宮」で活躍した鹿児島県警のデカなんだが、そのキャラクターがなかなか好印象で、そんな彼が主役をする短編ってことで、これは価値がある。まあ事件自体はなんてことないし、吉敷が端から手がけてれば1/3程度のページ数で終わったことだろう。そこが県警と警視庁の能力の違いとでも言いたかったのだろうか?
    光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)より
    4334741193
    No.3:
    (2pt)

    焼き増し

    自著の秋好事件(ノンフィクション)の焼き増しをして
    都合よく冤罪の証拠が見つかる様に変えただけです。
    日本人論とか冤罪論とかやりたいのは分かりますが、
    作品が主張に塗りつぶされるようでは…。

    光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)より
    4334741193
    No.2:
    (3pt)

    普通、かな

    <光る鶴>
    解説を読む限り、秋好事件にそって書かれているようです。その分地味。
    再審請求事件のための冤罪の証拠をいかに探すかというストーリー。
    もっと吉敷の近況を描写して欲しかった。謎解き部分は正直言って読み流しました。
    「天に昇った男」にかなり似てます。そちらの方が面白い。
    <吉敷竹史、十八歳の肖像>
    吉敷の学生時代。いかにして吉敷は警察官を志したか。
    学生運動のさなか大学時代を過ごしていたようです。学生運動に対する吉敷の考えに方は共感しましたが、話として面白いかというと・・・
    <電車最中>
    「灰の迷宮」に登場した留井十兵衛刑事が主人公。吉敷は情報提供して最後に一緒に飲むだけです。
    事件自体は地味でトリックもありません。地道な捜査が実るという感じ。
    ラストの居酒屋での吉敷と留井の会話がなんかいい。これで☆2つから3つにしました。
    光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)より
    4334741193
    No.1:
    (2pt)

    「涙流れるままに」と似てる

    これは「吉敷竹志の肖像」に収録された中篇になります。冤罪で捕まってるおっさんの事件に、吉敷が関わって真相を解いていく感じ。ただ、このおっさんが自分が殺ったんだと主張を曲げないところになにがあるのか・・?が肝心となってる。つまらなくはないけど、なんか「涙流れるまま」の恩田事件の二番煎じみたいに感じた。冤罪は島田さんの関心大の1つだけど、もうパターン化してるようなのでいい加減アキマすね・・。それに吉敷も、こういった事件ばっかりに首突っ込みだして、暇なのかタコなのか分からないマッポですね。
    光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:光る鶴 吉敷竹史シリーズ16 (光文社文庫)より
    4334741193



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