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盤上の敵
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盤上の敵の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.80pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全27件 1~20 1/2ページ
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どんでんがえしトリックを期待して買ったのですが、読後はその手法より話の重さで泣けました。 嫌な話でしたが、かなり話に入り込んでしまい、最後は清々しさのある終わり方でしたが、読後もしばらくは重さが消えませんでした。 | ||||
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本格推理小説は、そのミステリ要素が増すほど登場人物が無機質な「駒」になりがちと感じる。 そのため、自分はアガサクリスティのような作品を愛する一方で、日本の最近の推理小説は敬遠しがちだ。 そんな私が絶賛したいのが本作である。 流石北村氏というべきか、盤上の登場人物はミステリ的な構成のための「駒」ではなく、血の通った存在になっている。 そして、その人間的な内面にこそ、本作の謎を解く最大の鍵が隠されている。 チェス盤を前に、プレイヤーは何を考えているのか。 そこを推理しながら、駒たちの息使いを感じ取ってほしい。 本格的なミステリ要素と、純小説としての要素との見事な融合。 | ||||
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最後に全てが繋がります。それまでは何が起きているのかよく分からず退屈かもしれませんが、頑張って読んでください。あと、この小説は本格ミステリーではありません。驚くことは間違いないですが、本格ミステリーとしては強引過ぎます。 | ||||
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面白い作り。タイトルに合わせた小見出し。白のキング、クイーン、攻撃、防御。すべて、二人の視点を交互に行き来している。最後はトリックで読者を驚かせる。まあ、ミステリーってカテゴリーでしょ。一人主人公を一気に追い詰める女がいるが、この悪意の塊具合が物語に緊張感を持たせる。そう、こういう人間が必ず世界に多数いる。人の人生を物の様に扱い、徹底的にいたぶる。。黒いキングだ。これをどうやって攻略するか。それは秘密である。 | ||||
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ミステリー作品と聞いて読み始めると、序盤から急な展開が起こり章が進むごとに回想と現在の事件の進行が繰り返される その回想では読者がはっ、と息を呑み言葉が出ないような雰囲気があり心に響く。終盤に近づくにつれ、自分もこの事件が無事に解決されることを願っていることに気づく。 読み終わったあとは漠然と世にある不条理さを考えてしまう。読んだあと得られるこの感想はこの本のすばらしさを語っているだろう | ||||
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私は北村薫さんの作品が大好きで、ほとんど読んできました。 ただ、この作品はいつもの北村さんと違う、という話を聞いていて(前書きに北村さん自身書いていて)躊躇していました。いざ読んでみると、確かに辛い展開ではあります。どうしてこんなことが・・・と胸が苦しくなりました。しかし北村さん以外の作家がこのストーリーを書いていたらすごく嫌〜な作品になっていたと思うのです。いやらしくて女性にとっては特に苦痛だったと思います。北村さんの直接的な言葉を使わない優しい文体からは、どうしてこんなひどいことがこの女性に降りかからなければならないのだろう、と悔しさ怒り女性への慈しみが感じられ、辛い話ではあっても不快感というのはありませんでした。 「月の砂漠をさばさばと」の文庫版の解説を梨木果歩さんが書かれていて、その中に盤上の敵の話も出てきて私は深く共感しました。 梨木さんの言葉にも感動してしまったので、引用させていただきます。 「日常を愛すれば愛するほど、どうしたらそれを守り通せるか、人はこの世に起こりうるあらゆる残虐な場面に自分や自分の愛するものたちが遭遇したときのことを考えずにいられないものだから。友貴子の運命は変えられない。作者といえども。だから北村は自分にできる全ての力を使って彼女のために書く。・・・きわめてハードな場面描写に至っても北村の独特な叙情は情景ごと包み込み、決して読み手を突き放したりはしない。こういうことが、起こりうるのだ、と読み手の肩に手を回して共に唇を噛みしめているようだ。この作品は北村ワールドの陰画ではない。北村が常に見つめ続けた世界である。起こらなければいい、と祈りつつ。日常にしっかり根を下ろした視点で書かれているからこそ、その連続する地平上で起こったこととして書かれているからこそ、登場人物達は、揃って、あの日常に戻れたら、と激しく願うのだ。」 | ||||
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本作を読む前に、その評判を聞いてしまっていた。 だから、しばらく読むのを躊躇していた。 読まないままにしようかとも思った。 しかし、読んで良かったと思う。 著者の長編では、ベストの作品だと思う。 本作の仕掛けは、まさにミステリである。 実は、著者がこれだけのミステリ心を持っているとは、失礼ながら認識していなかった。 意外性のための、あざといほどの仕掛け、ミスディレクションともいえる。 でも、それがミステリの遊び心というものなのだ。 映画「アフタースクール」を見たとき、本作の仕掛けを思い出した。 そう、あの映画も、ミステリの遊び心に満ちた作品だった。 著者の異色作とも言われているが、著者の本質は実はここにあるんじゃないかと思う。 そして、著者がこのミステリ心を持っている限り、本作のような傑作長編を、またいつか書いてくれると期待している。 直木賞もいいが、連城氏のように、またミステリに戻ってきてほしい。 レベルの高いミステリがかける作家だと思っている。 | ||||
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北村作品としては異色作かもしれない しかし、代表作たりえる、力の入った作品だ! 終盤のドンデン返しには、たしかに驚かされた しかし、正直そんなことはどうでもよい ミステリとしての凄さよりも、各エピソードの素晴らしさを評価したい クッキー、桂、レジのやり取り、ピッコロ達のフルネーム等等 暖かな血の通ったエピソード また、逆にいじめ等のエピソードは読み進めるのがつらかった ラストは楽しそうで、美しい夢で締めくくられる しかし、夢はあくまでも夢 夢が実現される保障は全く無い 宮部みゆき著「スナーク狩り」も同様のテーマを扱っており、そちらも同様におもしろかった | ||||
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猟銃を持って家を占拠した凶悪犯から、妻を 救い出す夫の物語、と表向きは要約できる 本作。 本作にはその凶悪犯の他にも、妻の回想パートにおいて中高生時代の彼女を無惨 に蹂躙し、回復不能なトラウマを刻みつける、兵頭三季という絶対悪が登場します。 「善人」たる夫は、そうした理不尽な暴力から最愛の妻を守る ため、あくまで理にもとづいた冷徹な計略を仕掛けていきます。 本作は、あらゆる約束事を侮蔑し、踏みつけにする「悪」に対し、逆にその約束事が 持つ強みを最大限に利用することで欺瞞を謀り、「悪」を盤上から排除しようとする、 「善人」の物語なのです(白と黒の二種類の駒があるチェスに見立てられていること 自体が、作者の巧妙なミスリードといえましょう)。 夫は、自ら立てた作戦をやりぬき、戦いに勝利を収めますが、そのこと によって、彼ら夫婦の未来の幸福が、保証されるわけではありません。 なぜなら、妻だけでなく夫も、勝利の代償に、 重い十字架を背負うことになったのですから。 その十字架と彼らが今後どのように向き合っていくかによって、 結末の美しい情景の意味がさまざまに変化していくと思います。 | ||||
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完璧なプロット。寒くなるような事情と、トリックのすばらしさ。吸引力が並じゃない。すごい小説です。 | ||||
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一言で言えば、傑作になり損ねた本。北村薫特有のご都合主義には目をつぶるとして、あっと驚くようなトリック、緊迫した展開、人間の悪意への関心。どれをとっても一級品だと思う。 惜しむらくは悪が書き切れていないこと。登場する二人の悪意ある人物。しかし、その悪意の正体は結局のところ不明のままで終わってしまう。あえて人物の内面に踏み込まないことで抽象的・純粋な悪を描こうとしたのかも知れないが、失敗している。 トリック重視なのか、悪を描くこと重視なのか。北村薫は(彼の特質からして当然のことながら)トリックを選んだ。それが残念である。 | ||||
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TVディレクターの末永の家に男が立てこもる。人質になった妻の友貴子を救うために彼は一計を案じ、警察にも内密に男と取引を始める。果たして彼は妻を無事救出できるのか…。 人気の「円紫さんと私」シリーズでは、人々が日々抱える、犯罪とも呼べないほど些細な秘めごとを掬い上げてきた北村薫。しかし本作では胸に鋭く差し込むほど痛ましい、れっきとした犯罪を描いています。前書きには「この物語は、心を休めたいという方には、不向きなもの」とあり、普段の北村ワールドを期待して手にした読者は頁を繰るのも苦しく、心に大きなヤケドを負うことになるかもしれません。 副主人公が抱える心の闇の深さを目の当たりにして、読者は口に砂をすり込まれるかのような思いを味わうはずです。その闇には理屈らしい理屈が見当たりません。 この相手を諭すことはかなわず、末永に残された選択は、まさにチェスのごとく相手を徹底的に打ち伏す以外にありません。相手を完膚なきまでに叩きのめすことこそが唯一の目的であるゲーム。そこには容赦のかけらもありません。 これほどの苛烈さを見せる本作は北村薫のこれまでの物語世界とは全く異なるものなのではないか。心をヒリつかせながら読み進める私は、物語が緒についたばかりのところで友紀子が口にする次の言葉を常に思い出していました。 「心があるっていうのは、自分のだけじゃなくて、外の人の気持ちも、想像するためだと思うんです。その筈じゃないか。相手が何されたら嫌かな、とか、そういうことが分かるためじゃないか。それが分かれば、そんなことは出来なくなる。」 想像を絶するほど無残な出来事が引きも切らず人々を襲う時代。そんな時代にあってこの物語は、人類へのかすかな願いを綴っています。 これこそ北村薫が紡いできた物語です。 人間への信頼を捨てない、北村薫らしい物語として、私は本書を読みました。 | ||||
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ありがちな言葉ですが、トリックというよりもこんな現状があるということを分かっていてもらいたくなりました。人を(表面的にも、心理的にも)痛めつけることに対して辛さを感じてないような人たちを書くのががこの作者は上手ですが、その面を突出させた作品だと思います。読んで傷付いたという感想を作者に送った人もいたそうです。北村さんを初めて読む際にこの本は適していませんが、避けずに通っておくべき物語。そのときあなたはどんな感想を持つでしょうか… | ||||
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物語は妻を助ける為に動く純一の情景と、妻・友貴子の回想が交互に繰り返して進む。妻を助けるためには、警察を頼ることもできない。警察・犯人の先手を取り、裏をかき・・・。私はチェスをやったことはない。将棋ならば、お遊び程度でやったことがある。先を読み、相手の裏をかく・・・そっくりなもの。だが、これはチェスでなければならい、将棋では駄目だ。そうでなければ、おかしくなってしまう。トリックの鮮やかさ、ストーリーの収束性、見事だと思う。後味は決して良くないが。 | ||||
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純一が帰宅しようとすると、我が家に殺人犯が立てこもっていた。純一は妻を助けるため、殺人犯との取引に応じることにした。心優しい人物を探偵役にした短編が得意な著者の作品の中でも、異色を放つ「本格物」の長編。徹底的に叙述トリック作品である。読後も、物哀しく、殺伐とする殺人事件ものである。メインは純一とその妻・友貴子の独白による章が交互に並ぶ構成。ときおり、二人が過去を振り返ったり、その他のエピソード(というかプロローグか)が挟まれる。関係あるのか、ないのか、それさえもわからぬままに、読み続け、最後に収束していく展開は感動的だ。しかし、相変わらず、この著者の作品は、読み手に作品のバックグラウンドとなる見識を要求する。チェスを知らない私は、各章の見出しの意味など無視して読むしかなかった。チェスのルール、駒の意味をわかっていれば、更に面白く読めただろうと思う。 | ||||
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北村薫作品の中では、この作品は極めて異質な感じがするかもしれません。人が人を傷つけ、破壊する、という行為を読まされることは、読者にとってもとても辛いことだと思います。しかも、過酷な内容に比べて、文体はいつもの北村薫独特のやさしい感じなので尚更に辛かった。この本を読んでから、2年以上立ちますが、未だにその辛さと衝撃が頭を離れず、世の中の不条理なことを目の当たりにするにつけ思い出しては色んなことを自問する日々です。 | ||||
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たしかに悲しい話なのですが、わたしは好きです。悲しくとも、話の主眼は正義にあったので、読後感もすっきりとしていました。 一方では妻を人質に取られた夫の決死の攻防戦が描かれ、並列して妻の過去にまつわる物語が語られます。 その妻なんですが、彼女は穿った視点をもっており、人間社会にある不公平、ジェンダーの偏重、普遍的な暴力などを巧みに指摘しながら自らの過去を語るのです。文体も美しく幻想的で、わたしは夢の中にいるような心地でぐいぐいとその世界に引き込まれていきました。ラストの大逆転は素直に驚かされました。さして無理な感もないと思います。 そして、読み終わって後しばらく経ってから、タイトルの仕掛けに気付かされました。 | ||||
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「凄い」私が読んで一番感じたのはソレだった。レビューの通り、この本は「妻が殺人犯に人質にされてしまった」という物である。妻の身を案じる夫は妻を救う事が出来るのか…!?夫(旦那か?)がどのような行動に出るのか、是非読んでもらいたいと思う。ソレと同時進行で進むのが、妻の昔の回想だ。妻は、決して幸せとは言えない人生を生きてきた。読んでて苦しくなる様な、そんな思いを体感した。そして…現代の夫の「妻救出劇」と、妻の「昔の苦い思い出」がひとつになったとき、物語は予想もしていない結末を迎えるのだ。無駄のない登場人物、計算された、鮮やかなまでのその文章。この本はお勧めだ。 | ||||
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とにかく面白かった。一部心に重くのしかかるシーンもあるけれど、あっと驚く展開にニヤリ。盤“上”の敵というのがギミックか。ところがこの作品どうやら最も「北村薫らしからぬ作風」らしい。続けて「ターン」を読んだけれど評価はちょっと落ちる。(ファンの方ご免) | ||||
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この世に絶対的な『悪』が存在するのでしょうか。バカの壁ではありませんが、話せば分かるというのは、やはり幻想なのでしょうか。では、その絶対開くに対峙した時に、自分だったらどうすべきなのでしょう。それを考えると、登場人物のとった行動が止むを得ないと思うと同時に、でもやっぱり。。。と思う、両方の考えに揺れる自分がいます。北村氏の作品では、マイナーとも言える作品かもしれませんが、他の一見柔らかな雰囲気の作品でも、同様な厳しさは根底に流れていると感じていましたので、このような作品の出現にも驚きはしませんでしたが、正直そのあまりの厳しさになかなか手に取る事が出来ずに、それでも棄てる事も出来ず、いつかもう一度きちんと読もうと、本棚に眠っています。」 | ||||
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