■スポンサードリンク
愚行録
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
愚行録の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全66件 61~66 4/4ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田陸さんの「Q&A」のように、 インタビュー形式で構成されていて いろんな人の証言を元に様々な角度からの真実が見えてきます。 同じ人の話をしていても、 人によって見方・感じ方はまったく違っていて 人の本質の不透明さが興味深かったです。 しかもそのインタビューもだんだんエスカレートしてきて、 あとになればなるほど不快な話がでてきます。 出身地・学歴・育ち・・・ 人の価値をこんなことで評価するのはとにかく愚かの一言に尽きる。 この事件の根本にあるのは すべてこういった歪んだ羨望感や嫉妬。 そんな心の汚らわしさこそが「愚行」ならぬ「愚考」。 読んでて本当に嫌な気持ちになるけど、 著者の狙いはそこのはず。 本筋である一家惨殺事件。 冒頭に出てくる幼児虐待の小さな新聞記事。 合間に挟み込まれた女性が兄に語りかける独白。 この3点の関連性が最後の最後でキレイに合致した時は 不快ながらも爽快でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
人々の善良さの裏にある悪意を、「藪の中」の手法で描く。 描写は宮部みゆきの「火車」や有吉佐和子の「開幕ベルは華やかに」を髣髴とさせる。新しい方法ではないが失敗ではない。 内容は桐野夏生の「グロテスク」を思い起こさせる。 ただし、女の悪意を描くことにかけて、所詮男の作家の筆ではかなうはずがない。 だから、貫井は女だけを描かず男のなかの悪意も描くことにしたのだと思う。 でもやはり桐野夏生には勝てていないなあ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
粗筋等は省かせて戴きますが、結局はこの様な事件は簡単に起こりうるという事。六人のインタービューは単なるそれぞれの主観から形成されたある夫妻の虚像に過ぎない。六人のインタービューが重要視されているわけではなく、要するに一人の人間に対し見る人間、見方が違えばそれぞれの解釈があるという事。決して他人から恨まれる事のない人間などいない。完璧な人間などはいない。他者が存在する限り。恨み、恨まれ、そんな悪循環の繰り返し。本当に我々人間は愚かだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
タイトルは言語矛盾しているかもしれませんが、凄惨な描写があるわけでもなく心理描写の重なりだけで、ここまで強烈な印象を読者に残す筆者の力に圧倒させられました。 ↓の方で、主人公の夫婦はポジティブなだけ・・と書かれていた方がいますが、そのポジティブの方向先や手段のあまりの稚拙さにタイトルの「愚行」が現れているのではないでしょうか?現代は欲望に素直であること、それだけでよしとされるような価値観がいつのまにかしみこんでしまっているのですね。 しかしかくいう私も登場人物たちの愚かさや弱さを軽蔑しながら読み進めていくうちに、ふと過去や現在の自分にも同じような部分があった、またはあることに気がつき、冷や汗が流れることが何度もありました。 というわけで読後感は最悪です。しかし作者の筆力に気持ちいいように振り回される快感はここ最近ないほどのものです。 AERAの特集を「くだらない・・・」と思いながらもつい手にとって読んでしまうようなあなたには特におすすめ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
作品の構成から考えて、この本が下手ではないから★4にしたが 個人的には減らしたいのが本音だ。 育児放棄の新聞記事から始まるこの本は、インタビューと兄へ語る妹との二部構成で進む。読み進めるうちに育児放棄の事件とは違う一家惨殺事件のインタビューなのはまず分かる。が、兄に向けて語る妹は最後まで不明のままだ。 そのからくりは読み終わると分かるが、読後の印象は暗くなる。 『グロテスク』を連想させるけど、この本の方がもっと哀しい。 それは、男も女も姑息になっている本だからかもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
都内で起きた一家惨殺事件。被害者である田向一家を襲ったものは何か? 一家と関わりのある人々のインタビューが彼ら、人間の肖像を作り上げていく…。 いやー…「最悪に不快な読後感を残す話を構想しました」とは、著者のHPにあるこの作品の紹介文だけど、読了後、本当にそんな感じになった。 この作品の構成は実にシンプル。被害者である田向夫妻と係わり合いのあった人々に対するインタビューと、兄に語りかける妹の独白が繰り返される形。『理由』(宮部みゆき著)とか、『Q&A』(恩田陸著)みたいな形を思い浮かべていただければ良いと思う。 作中で語られる田向一家は幸せを絵に描いたような一家。真面目で優しく、ハンサムな夫。美人で、おしとやか、気立ては良いが、決して他者を不愉快にさせることのない妻。そして2人の子供達。彼らを語る人々も、決して彼らの事を嫌っているわけではない。しかし、その一方で、彼らの嫌な一面、負の面も垣間見える。勿論、話の中心となるのは一家なのだが、そこには語り手の側が持つ、野次馬根性であり、はたまた、劣等感であり、妬みであり、憧れであり…というような「負の感情」も凝縮される。一家の嫌な面を見せつけられながら、同時に語り手の嫌な面も目の当たりにすることとなわけだ。これで嫌な気分にならないことがあろうか? もう一つのパートで語られる妹の独白もこれまた嫌ーな感じだ。そこで語られるのは、愚かな両親のもとに生まれ、虐待を繰り返された兄妹。両親を蔑みながら語られる日々もまた凄くいやーな気持ちにさせられる。 この作品、ミステリ作品として考えた場合の驚きはそれほど無いと思う。読み終わって「納得!」とか、そういう感じではない。むしろ、「人間の負の面を描く」というのがこの作品の主題で、結末だとかは、それほど重要ではないのかも知れない。驚きを求めて呼んだ場合、ちょっと不満が残るかも…。 とにかく、今すぐ、嫌な気分になりた人にお勧め。って、そんな人がいるのかは不明だが。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!