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クレイジーヘヴン
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クレイジーヘヴンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 21~24 2/2ページ
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この作品に限らず、作品の内容を簡単に伝えることは難しい。しかしミステリーファンの方々にはこの一言で伝わると思う。作者は着実に「馳化」している。「ワイルドソウル」は、本当に感銘を受けた作品で、すごい作家が出てきたものだと、「午前3時のルースター」にさかのぼり、作者の全作品を読んできた。しかし、残念ながら、徐々に「平凡な」作家になってきている。おそらく、本作品では、平凡なサラリーマンにおこる自己の崩壊・あるいは解放というようなことを書きたいのかもしれないが、なにぶんにも登場人物に感情移入できず、作品に気持ちが入り込めなかった。あえて、舞台装置を小さくして、登場人物の心情の変化に的を絞りたかったのかもしれないが、スケールの小ささのみが心に残った。少なくとも私が作者に求める作品像からはどんどんかけ離れていって行くのが残念だ。厳しい言い方をすれば、主人公が殺人を犯していなければ、「三文官能小説」である。同じ時期に出版された、「愚か者死すべし」「6ステイン」。同程度の金額を出すなら、このような上質な作品をお薦めしたい。 | ||||
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普通に生活する顔に下に、危ない一面をもつ男「恭一」と、しがないヤクザの情婦「圭子」の、恋物語と言うより、人間物語。 ひょんな事から二人の人生が交差し、二人の関係が始まっていく。男はなんとなく女をそばに置き、女は誰かに必要にされたいとこの男につくす。なんとも妙な二人の関係がテンポよく描かれていて、ラストの爽快さは、いつもの垣根流の終わり方。二人の人間の物語としてまあまあ楽しめました。 しかし、不満点も若干。ちょっとご都合が多すぎます。登場人物を取り巻く環境が狭すぎ。いくら田舎(!?)とはいえそれぞれのキャラがあんなに頻繁に出会うのはちょっと強引。恭一の行動もうまく行き過ぎで、なんだかなあ。 ヤクザ事務所に忍び込むのも簡単にうまくいき過ぎるし。 まあいつもの調子で主人公の困難はほとんどなく、ちょっとうますぎる話。まあこれは垣根さんのと小説全般に言える事なんですけど、ちょっと安直な気がしました。 それと垣根さんの作品としては初めてではないだろうか、カーキチが出てこない!?(笑)。恭一の乗るRX-8には著者のこの車えのイメージが含まれているのは面白かったですけどね。主人公の性格とシンクロさせているところはにくい表現でした。 | ||||
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坂脇恭一と田所圭子旅行会社に勤める恭一と、ヤクザの美人局をさせられている圭子が繋がる一見境遇が違う二人が重なるのは、二人の本質が同じだから。自分の育った家庭に恵まれず、郷里を捨てた二人。恭一は会社員をこなしながらも、自分が車上荒しに逢うと、自力で犯人を探し出し相手を徹底的に傷めつける精神的にギリギリの男だ。車上荒しが恭一の保険証を圭子のヤクザに売ったことがこの小説のキィワードとなる。つまり、恭一と圭子が繋がるのだ。自分の本質を認めたくない恭一自分の過去に縛られている圭子思わぬ殺人からセックス付きの同居を始める二人お互いが抱えていた重しを、相手を通じて解放する行動が二人を芯から自由にする夏から始まる二人の物語が最終章・春に向けて、常に暴力とセックスがつきまとうがエグイ描写には感じない。それは、恭一と圭子が冷静に自分達の状況を掴んで行動しているからだと思う。不思議と二人の幸福を願ってしまう本だった。 | ||||
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垣根涼介著作品の例に漏れず、今作の主人公もクールで頭の切れる男ででした。体の中心に一本芯の通ったというか、曲がらない折れない強さ。垣根先生著作の主人公における特徴を恭一も踏襲しています。トラブルに遭ったとき、不愉快な目にあったとき、ただ曖昧に過ごすだけでなく、それが不当であったり屈辱を受けたのならば昂然と反抗する強さが印象的です。キッチリ落とし前をとる所になにやら凄味があります。ヒロインの圭子も初めはなんじゃそりゃ?とか思いますが、途中からなんかもうかわいいかわいい。恭一に感化され、心境が変化していくのも優しく描かれていて好印象です。ただ主人公達を取り巻く環境の変化が弱いので(詳しく説明するとネタバレになるので割愛)これに不満を持つ人はいるかも。恭一と圭子の心の繋がり方は淡々と進むフランス映画のような趣です。本の帯にも書かれている「その瞬間、世界はすべて鮮やかになる」という一文。読み終わって強く心に響きました。読後感も爽やかでした。お勧めの一冊です。 | ||||
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