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少女七竈と七人の可愛そうな大人
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少女七竈と七人の可愛そうな大人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全65件 21~40 2/4ページ
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本作は桜庭一樹氏による青春物語。 舞台は北海道、旭川。小さな地方都市。 高校生の七竃は、いんらんな母から生まれた非常に美しい少女。 彼女の美貌に振り向かない者はないほどの類い稀な「かんばせ」を持つ。 唯一、心許せるのは幼なじみの少年・雪風のみだが、彼もまた美貌持ち主だった。 趣味の鉄道を通じて言葉少なに心を通わせる二人には、決して口には出さない秘密があった。 本作の魅力のひとつは、七竃のキャラクターである。 丁寧だがどこかズレた言葉遣いがおもしろ可笑しい。 同じくズレた雪風との会話ではそれが増幅される。 自らの美貌を忌み呪う七竃は、確かに変わり者だが、決してネガティブさを感じない。 そんな彼女のキャラクターこそが本作のふわふわした魅力を造り出しているのだろうと思う。 また面白いと思ったのは、元警察犬ビショップの視点である。 「犬」という立場で客観的かつ的確に、七竃と彼女を取り巻く世界を表現してくれる。 これは人間の子供では代用きない、動物ならではの大役ではないだろうか。 本作は特に主人公の恋愛云々というテーマには発展しない。 高校生の少女が、自らの意思で、自らの出自と向き合い、折り合いを付け、決心をする。 これは少女七竃が、朽ちない為に、自ら道を切り開く物語である。 | ||||
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この作品をはじめて読み終えた時。 何も考えられなかった。この作品のこと以外、何も。 しばらくは頭のなかがふわふわしていて、現実に戻れなかった。 最後の七竈の一言が、頭から離れず 二人の情景が頭から離れなかった。 途中で視点が切り替わりながら話は進んでいきます。 最初の母の衝動の源、理由は後で明かされますが なんとなく予想はしていたとはいえなんともいえない気分になりました。 切ないような、なんというか。 同じ美しい顔をもつ雪風への感情は、途中であっさり明かされましたが 七竈の視点に合っていましたし切なさを引き立てたような気がします。 ああやはりそうなのだな、と胸が苦しくなりました。 私は桜庭さんのこの現実のような非現実のような曖昧な世界が大好きです。 何度でも繰り返し読んでは、ため息をつきたい。 | ||||
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”辻斬りのように男遊びをしたいな” と、冒頭、いきなり、倒錯的なつぶやきから始まる本作品ですが、 とても純粋な、恋愛・母娘愛が描かれた作品でした。 北海道旭川が物語の舞台。 地方の濃密コミュニティでは、ご近所さんが親戚だったりと、 色んな意味で、人々の間柄が近いものです。 そんな箱庭のような街に、美しい容姿で生まれた少女、川村七竈が主人公。 旭川の箱庭では、人々の想いは増幅・濃縮されます。 七竈は美しすぎるが故に、孤高であり、純粋です。 (言葉が非常に可愛らしく、この辺はラノベっぽいキャラ立ちです) 幼い頃から、幼なじみであり初恋相手の雪風と、 さらに小さい鉄道模型の世界にのめり込み、自身の世界の中で生きてきました。 そんな彼女に、選択の時がやってきます。 別れが約束された雪風との関係、そして自身の人生を、前に進めなくてはいけなくなります。 時を同じくして、物語冒頭で辻斬りになる七竈の母にも、想い人の死が訪れます。 美しくピュアな娘、平凡でいんらんな母、似ても似つかぬふたりが、 それぞれの成就しない恋愛が終わり、急速に近づき和解する様子は、 ことさら切なく、心温まります。 ふわふわした、夢想的な雰囲気で始まる物語ですが、 三話から、登場人物紹介が終わり、一気に霧が晴れたように、物語がシャープになります。 描くテーマは普遍的ながらも、それをこのキャラクタで煽り、描き切るのは、桜庭さんの持ち味ですね。 | ||||
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桜庭一樹作品を読むのは『推定少女』『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』『私の男』に続き4冊目だが、左記の3作には、才気に急き立てられて走り抜けたゆえの綻びのように見えるところが多少なりともあった。本作にはそれが無い。にもかかわらず、推敲を重ねたような構築感はなく、印象はあくまでライブ。これはおそらく、努力してなんとかなるものではなく、選ばれた人にしかできない芸当。この作家の才能のスケールの大きさを感じたければ外せない作品。 | ||||
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どれだけ思い続けても決して伝えられない思い…それでもいんらんな親からは美しい子供が産まれると言う何の根拠も無い理由を無理にでも信じ僅かな希望を作ろうとする七竈と雪風しかし周りの大人達はそれを許してしてくれない北海道の小さな田舎町で繰り広げられるあまりに痛く切ない別れの物語最後の七竈の一言読んで1ヶ月経ちましたがは未だに切なくなります… | ||||
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ある日まじめな教員を襲った「いんらん病」七人の男と交わり生まれたのが完璧な美しさを持った娘七竈、同じように美しい青年春風以外に心を開かず、彼と共に青春時代まで歩んできたが、ある日それに決別しなくてはならない日がやってきた。 この物語は彼らを取り巻く大人(そのうち一つの逸話の語り部は老犬だが)たちによって語られる。 しかし彼らの心の奥までのぞくことはできない。 美しさ同様はかない若さを思い「きゅん」となる作品。 少女時代と完璧な美への決別を感性あふれる文体で描いた一作。 | ||||
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ある日まじめな教員を襲った「いんらん病」七人の男と交わり生まれたのが完璧な美しさを持った娘七竈、同じように美しい青年春風以外に心を開かず、彼と共に青春時代まで歩んできたが、ある日それに決別しなくてはならない日がやってきた。 この物語は彼らを取り巻く大人(そのうち一つの逸話の語り部は老犬だが)たちによって語られる。 しかし彼らの心の奥までのぞくことはできない。 美しさ同様はかない若さを思い「きゅん」となる作品。 少女時代と完璧な美への決別を感性あふれる文体で描いた一作。 | ||||
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お互いに唯一無二の存在の、美しい少女『七竈』と、美しい少年『雪風』。その美しさゆえに穏やかに暮らせないふたりの切なく哀しげな毎日が描かれています。明るい話ではないけれど、凄惨な話でもないので重くなりすぎず読めました。文章も読みやすい。章ごとに視点が変わるのが、好みが分かれる点でしょうか。もっと七竈視点で読みたかったです。 | ||||
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七竈と雪風の気持ちが苦しくてせつない。 どんなに想い合っても赦されない一線をいつも見つめてる感じがする。 七竈が自分から離れていくことを知って彼女を叩いてしまうところに雪風の弱さを見れた感じ。大人は駄目だなぁと思う。最後私的には2人のハッピーエンドがよかったけど、やっぱりうまくいかないところがせつないです。 | ||||
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人並み外れて美しく生まれてしまった七竈。でも彼女が望んでいることは 人並みな母親からの愛情であり、恋愛であり、人生。 美しい高校生に成長しても、自意識過剰になるでもなく、手軽な恋愛に逃げるでもなく、 悲劇のヒロインにも、人気者の「いい子」になるでもなく。 まだ母の愛情を心から欲し、趣味の鉄道に没頭したりする子供らしさ・純粋さが そこここに見え隠れ、いっしょうけんめいに生きる姿を素直に見守ってあげたくなりました。 そんな七竈の母親も、自分の母親の生きざまが強く影響して今のような姿になった―― 母と娘という関係は、親子であるとともに「おんな同士」なんだと考えさせられました。 ときどき現れる、ペットの犬からの視点の描写がやさしく、 美しいが少し(否、かなり)変わった七竈の言動も謎めいていて心惹かれます。 読み終わった後、もう一度、このカバーイラストをちゃんと見てみてください。 なんてよくできたイラストなんだろう、と実感します。 (自分と同い年の女性の作品とは、思えません。) | ||||
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美しさの秘密…物語の終盤になって、「そういうことだったの」と思う場面が出てきます。つまりあの2人は…。私は本を読む時に、登場人物を有名人に当てはめて読む癖があるのですが、もしもドラマ化されたりしたら、七竈の役は栗山千明さんだな〜などと考えながら読んでいました(笑)雪風は…まだ思いつきません。 | ||||
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桜庭さんの小説を読むのは、『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』に次いで二冊目です。 ブレイクされる理由もわかりました。だって読ませますもん。 桜をモチーフにした話はありますが、七竈とは。まことに遺憾ながら、 初めてそんな木があるのを知りました。 一気読みできるエンターテイメントではなく、 味わいながら1日一、二話、あるいは数ページ読むのがちょうどいいペースです。 七竈の母が「辻切りのような」行動にでますが、 話のクライマックスで時間をさかのぼって、その発端や行動原理に触れるので 切なさが増します。本質は「いんらん」ではなく、素朴で純粋だったのでは。 少女・七竈は狭い地方都市にあって、 「ここにはいられなく」なるほど、あまりにも残酷な状況です。 誰も何も言わなくても成長すればするほど真実がいぶり出されていく一方で…。 それでも、「君がそんなに美しいのは、母がいんらんだから」 と超自然の理由にして誰も何もいえないのが痛切。ひたすら痛切。 緒方みすずの存在は、最初は緊張が走りましたが救いになりました。 また、違う自分になろうとした七竈の母と、その母が憧れていた、 年をとることで本当の自分を知ろうとした往年の人気アイドル「乃木坂れな」。 この二人は、見事で皮肉なコントラストをなしてます。 「若くて美しくて特別ならば素晴らしい」 という常識など滅びてしまえって訴えを、機関銃に込め、うぉん!って感じ。 | ||||
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美しい娘と、美しくない中年の母。 不思議キャラの七竃と雪風、哀愁漂う母親たち。 雪風の母が七竃の母をぶん殴るシーンが良いですね。 現実感が希薄なふわふわした物語に鋭いクギを刺します。 | ||||
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女の人生ってのはね、母をゆるす、ゆるさないの長い旅なのさ。 人物の名前がとても素敵。 やっぱり住むなら自然がたくさんのところがいいな。 | ||||
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「カルビーのカッパえびせん」じゃないけれど、桜庭一樹の小説には、「止められない・止まらない」癖になる面白さがある。「砂糖菓子」の次に本書を立て続けに読んでしまった。 ”君が、そんなに美しく生まれてしまったのはね、母親がいんらんだたからだ” 旭川の郊外にこれほど世間の狭い地域があるとは思わないが、そうなんだろうか? どうでもいい事かもしれないけどな、七竃を「広辞苑」で調べてみると、高さが約10メートルにもなる結構でかい街路樹なのだそうだ。 角川文庫の宣伝文によると、本書は桜庭一樹の「ブレイクポイントとなった名作」ということらしいが、なるほどそれだけの面白さがあるワイ。 | ||||
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文芸分野に限らず豊富な読書経験があり、しかも数少ない「書き続けることができる」作家の一人だと思う。『私の男』で直木賞を受賞し、一躍有名になった作者だが、作者のカラーはこの作品の方がしっかり出ていて面白い。ライトノベル作家であることもあって、ライトノベル作家が文芸を書くことについてもしばしば言及されてはいるが、違う土俵であっても文章の力で魅力ある作品が生み出せるのは地の力がしっかりしているからなんだろなぁ、と羨ましくなる。文芸作品に出てくるような陰影を持ったキャラクターよりも、この作品のように極端なくらいに特徴づけられたキャラクターを、文芸で用いられるようなテーマにぶつけていって欲しいなと思った。文芸書は今では以前ほど売れないと言われているけれど、この作者なら新しい読者層も取り込む違う地平を切り開けるかもしれないと期待します。 | ||||
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この本を読み終えたときの感想が「あぁ・・」でした。 自分でも、何を表しているか分からない呻き(?)でした。すごく呆然としたような。 桜庭さんの言葉を借りるとすれば、「撃たれた人のような」って感じでした。 本でこんなに、ぼっーと、したのは初めてでした。 読んでいくうちに、どんどん七竈と、雪風の会話などにのめりこんでいって、 気付いたら、「読み終わっちゃった・・・」って感じでした。 あぁ・・もうなんて言ったらいいか分からないんですけど、とにかく・・ 私はすごく好きなんです。このお話。 ちぃさい、ちぃさい会話が暖かくて、頬が緩んでしまいましたww このレビューは読み終わってすぐに書いているので、まだぼっーとした感じです。 だからレビューになってるかどうかも。 でも、このレビューをみて、この本を読んでくれて、私のように感じてくれた人が いたら、すごく、嬉しいですww なんか、参考になってなくてすいません↓ でも、最後に。 すごくオススメの本です! | ||||
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この本を読み終えたときの感想が「あぁ・・」でした。 自分でも、何を表しているか分からない呻き(?)でした。すごく呆然としたような。 桜庭さんの言葉を借りるとすれば、「撃たれた人のような」って感じでした。 本でこんなに、ぼっーと、したのは初めてでした。 読んでいくうちに、どんどん七竈と、雪風の会話などにのめりこんでいって、 気付いたら、「読み終わっちゃった・・・」って感じでした。 あぁ・・もうなんて言ったらいいか分からないんですけど、とにかく・・ 私はすごく好きなんです。このお話。 ちぃさい、ちぃさい会話が暖かくて、頬が緩んでしまいましたww このレビューは読み終わってすぐに書いているので、まだぼっーとした感じです。 だからレビューになってるかどうかも。 でも、このレビューをみて、この本を読んでくれて、私のように感じてくれた人が いたら、すごく、嬉しいですww なんか、参考になってなくてすいません↓ でも、最後に。 すごくオススメの本です! | ||||
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とてもまじめで控えめであったごく普通の女性・優奈が、 町の全ての女性から嫌われるような存在に変わります。ある日突然に。 そしてその娘・七竈が絶世の美少女というのですから、酷な話です。 小さな町で、いつも好奇の目で見られるかわいそうな七竈には、 幼なじみの男の子・雪風がたった一人の理解者だったのですが・・ 高校生という、最も多感な時期を丁寧に描いた、 本当にピュアな作品です。 最初は変な名前の女の子が主人公の、これまた風変わりな小説だろうと、 高をくくっていたのですが、最後まで読んで思いました。なんと奥の深い! 甘酸っぱい初恋の思い出と、大人のエゴ、親子の葛藤。 全てを網羅した、特異な作品です。 優奈の立場で読むと、自分に正直に生きる意味を考え、 七竈の立場で読むと、大人になる難しさと切なさを感じました。 誰もが読後に何かを得ることの出来る作品だと思います。 真っ白な雪の中でも、赤い実が自己主張している、 ナナカマドの木を思い浮かべて読んで欲しいです。 | ||||
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少女を描くことにかけては抜群の桜庭一樹が、どのように「白雪姫」を解題するか。断然の読みやすさ、ユーモア、そして、風土。モチーフは匂うごとくに漂うだけで、桜庭らしいオリジナルの物語になっている。 いんらんな母から生まれた子どもは美少女であり、平凡ではなかった。その顔が、母の罪を露呈する。 母親の平凡であるからこそのもの狂いせずにはいられぬような苦しみと、主人公の非凡であるからこその真綿で首を絞められるような苦しみと。 成就せぬ初恋の物語であり、母と娘の桎梏の物語。男性には見せず、女性だけで共有しておきたくなる作品だと思った。 | ||||
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