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ベルカ、吠えないのか?
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ベルカ、吠えないのか?の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.06pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 1~20 1/3ページ
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"与圧服を着用した雄犬と、雌犬が。宙から地球を見下ろして、ふたたび地上に帰った。イヌ族の生誕した大地に。それは二頭のイヌだった。それぞれの名前は、雄犬がベルカで、雌犬がストレルカだった。"20世紀を軍用犬という視点で切り込んで紹介した意欲作の本書は、その熱量が素晴らしい。 個人的には猫好きなのですが。そう言えば【犬が活躍する本】あまり読んでないな。と前情報なしに本書を気軽に手にとったわけですが、よくある人と犬の【心温まる交流話】なんかでは全然なく、本書が旧日本軍に残された四頭を始祖としたスケールの大きな20世紀サバイバル叙事詩である事にびっくりしました。そして、イヌ(たち)が執筆中の著者にまるで憑いていたかの様に、各時代の人間たちの都合に振り回されつつも、それぞれの犬生?を【漢として全うしていく姿】が凄みのある独特な文体で描かれていて印象に残りました。 軍用犬の視点から20世紀を振り返りたい誰かに。また可愛らしい犬が好きな愛犬家。。というよりは【犬好きな誰か】にはオススメ。 | ||||
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犬が主役の話なんだけど、犬好きの人に勧められるような話ではなく、生生しい描写に逆に嫌悪を覚える犬好きもいるのではなかろうか。恐らく普通の人はまず読んだことのないような種類の小説で、熱量が高いカオスな内容をクセのある独特の文章で畳み掛ける、古川日出夫らしい作品。 軍用犬と言う視点で米ソの冷戦時代に切り込んだ意欲作で、虚実混じった内容は迫力があり、非常に面白かった。歴史の表には登場せず「見えない」アウトロー達と犬の活躍が見どころで、駆除された筈の犬とアウトローな少女が現代世界の転覆を狙うラストが感慨深い。 | ||||
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異色の小説だと思う。 今までにも動物を主人公にした小説は読んだことがあったが、犬の一族の年代記などは読んだことが無い。 この小説の主人公は犬達である。 第二次大戦中日本軍がキスカ島に残していった三頭の軍用犬(四頭いたが一頭は米軍上陸の際、戦死)の血筋に連なる犬たちが本小説の主人公たちである。 戦争の世紀と呼ばれた20世紀の世界を舞台にしてアメリカ、ソビエトをはじめとして様々な国で生きてゆく犬達、主に軍用犬として、またその他多くの役割を担いながらその血筋は広がり、いかなる環境でも生き抜き続け、血を次世代に繋いでゆく。様々なエピソードが混然一体となり、20世紀という人類史上特筆すべき時代を一つの壮大な叙事詩の様に紡いでゆく。 壮大なストーリーの物語である。 所々で作者が文中に入れる犬達の鳴き声”うぉん”がいい味を出していて気に入ってしまった。 | ||||
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「アラビアの夜の種族」で知った作家で、本書も手に取ったが、あまりの面白さ、筆力に引き込まれ一気に読破。 犬サーガ。どうしてこんな面白い小説が書けるのか。全編に滾る熱量が凄い。まるでロックンロールのグルーヴだ。 | ||||
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1942年アメリカの領土である太平洋の北部アリューシャン列島のキスカ島を占領した日本軍。 その島には4頭の犬がいた。 寒さに強いアイヌ犬の「北」。 ジャーマンシェパード犬の「正勇」と「勝」。 アメリカ軍捕虜のシェパード犬「エクスプロージョン」。 1943年,日本軍は密かに島から撤退し,4頭の犬だけが残される。 本書は,この残された犬たちの血を引くものを巡る約50年間に渡る犬のクロニクルである。 ある犬は犬橇用の優秀な能力を発揮し北極圏で活躍し,ある犬はベトナム戦争の軍用犬になり,ある犬はアフガニスタンでの軍用犬になる。 ロシア籍になる犬,中国籍になる犬,アメリカ籍になる犬,メキシコ籍になる犬。 本書は,実にユニークでクールな小説だ。 「イヌよ,イヌよ,お前たちはどこにいる」と筆者がイヌたちに語りかける形で物語は進行する。 そしてイヌの思考は 「オレハ生キテイルンダ」 「アタシタチハ,疾走スルヨ」 「アタシタチハ,ツカマラナイヨ」 とカタカナで表記される。 そして,このイヌたちのクロニクルの章と交互に,ロシアで捕らわれたヤクザの娘の物語が展開する。 この娘が囚われの身でありながら,なんとも図太く生き抜く力を持っている。 そして娘はいつしか,ロシアの軍用犬との間に徐々に信頼関係を築きあげていく。 20世紀は戦争の世紀であり,軍用犬の世紀でもあった。 そしてその戦争が終わった今,イヌたちはどこへ向かうのか。 さて,本書の格好良さは冒頭の献辞に表れている。 「ボリス・エリツィンに捧げる。おれはあんたの秘密を知っている。」 うーん,クールだ。 | ||||
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犬はかわいい。その仕草が、垂れたりとがったりした耳が、裏切りを知らない面持ちが、振れる尻尾が、速く浅い息のリズムで揺れる舌が、とにかくかわいい。 でもちょっと考えてみると、犬はオオカミであるということに気付く。犬の本質は恐ろしくて、そして強いのだ。古川日出男の小説、『ベルカ、吠えないのか?』は、そう教える。そこには、第二次大戦後からの犬の歴史が、人に最も近い獣であるが故に人に翻弄されて、それでも拙く続いた歴史が描かれている。そり犬や軍用犬、麻薬犬として人に訓練される「犬」がいる。犬達はひたすらそりを引き、東西に分かれ、ベトナムやアフガンでのど笛を噛みちぎる。あるいは麻薬犬として鼻をしめらせる。しかしひとたび捨てられ見放されれば、野生に回帰し「イヌ」となる。イヌは生命体として自分の遺伝子を刻もうともがき、生きる。猛々しく吠え、交配し、子孫を増やす。そして一部のイヌ達は、またもや人に拾われ、再び犬となる。 短いセンテンスを積み重ねた文体は、斬鉄剣の切れ味を思わせる。冷戦、毛沢東、フルシチョフ、ケネディ、アポロ、スプートニク、ペレストロイカ、固有名詞によって語り尽くされてきた二十世紀を解体し、壮大で痛快な犬のフィクションに摩り替える。古川が匠の鍛冶でこしらえた「ベルカ」は、教科書に書かれ、語り尽くされた冗長な歴史をばっさりと斬り捨てるのにうってつけだ。 | ||||
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とにかく面白い。 チワワなんてクソ食らえ、イヌは強くてこそナンボのもんだ、 と思っているイヌ好きなら一生読んでいたいほどハマリます。 どのイヌも漢(おとこ)です。雌イヌも、漢(おとこ)です。 可愛くいじらしいイヌを描いた名作は幾らもありますが、 人間をして「かくありたい」と思わせるイヌを描いた物語など、 見たこともありません。 星4つにしたのは、政治情勢を説明する部分のできがあまり良くないこと、 人間の描写がイヌほど深く描けていないこと、 ラスト部分で、えっイヌこんなに弱かったの?と思えてしまうことです。 代々のイヌたちの物語部分は、星10個です。 | ||||
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ベルカやストレルカはライカ犬だけど、 「北」「正勇」「勝」「エクスプロージョン」はシェパードとか日本犬だっただろう? | ||||
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数世代に渡る犬たちの数奇な運命を描く、ありそうにも無さそうな、まさしく犬仁義伝。これは面白かった。読む、というより紡ぐイメージで、ストーリーが目新しいわけじゃ無いですが、極めて独特で、脳髄に働きかける本といった印象。 本書のイメージを決定づけるのは、その特異なストーリーだけでなく、(文庫本だけかもしれませんが、)冒頭に出てくる家系図ならぬ犬系図でしょうか。当初はさっぱり理解出来なかったその犬系図が頭の中で解きほぐされていく瞬間、物語は加速度的に面白さを増していきます。 犬系のレイヤーが頭の中で縦横無尽に積み重なるイメージは古川さん独特のスピード感ある文体あってこそと思われます。 ハッピーエンドを求めるわけじゃないですが、ラストの終わり方があまりに物悲しいのが残念。とは言え、この独特の読み応え、一読の価値はあります。 | ||||
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壮大な叙事詩のようなハードボイルド軍用犬ファンタジー歴史小説。明確な主人公の設定がないタイプの小説は初めて読みました。1人のキャラクターに小説を通して感情移入することもないままに、何か凶暴なエネルギーに飲み込まれるように読まされてしまったのが不思議。人間の傲慢さに翻弄され世界に散らばった犬達の血脈が、やがて因果な運命に吸い寄せられるように再び収束される物語展開は少々荒唐無稽というか乱暴なのに、理屈を超えて、官能的な感動を覚えました。犬の思考を表現するぶつ切り文体が面白かった。○○犬の子供は○○でその子供の○○はどこどこに広がった…みたいな犬の血統と戦争歴史の事象を語った数ページは創世記を読んでいるかのよう。そこらへん叙事詩的な印象を色濃くさせていたような…。やくざの娘である少女がいい!あの子の物語をもっと読みたかった。 | ||||
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こういうタイプのエンタメ小説もあるのかと、勉強になります。いろんな種類の本は読んでみるモノです。 作者が語り部となったり、出てくる犬が読者を誘導したり、ハードボイルド調の物語になったりと、3つのタイプの小説がひとつに纏まっています。 私は、様々な視点がシームレスに、作品の中で縦横無尽に移り変わるのが好きですから、この本が誘導するままに任せて読み始めたら、超ノリノリで読めましたね。 この作者の他の本も読んでみたくなりました。 | ||||
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二十世紀の地球上を駆けめぐる犬たちの血統史。 「お前」という二人称で語られる本作は、マジックリアリズムを思い起こさせる。時に宇宙にまで行く犬たち。それらはまるで神話のように壮大である。二人称で語られることの生み出す緊張感と力が、他にない小説世界を作り出している。 全体的に、着眼点も取材も表現も構成も文句なしだと思う。多くの人におすすめしたい本だ。だが終盤で少々書き急いだ感があるのが惜しい。 | ||||
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大東亜戦争のさなか、キスカ島に3頭の軍用犬が取り残された。そのへんまでは史実かもしれない。しかし、その後のそれぞれの犬の生涯、そして生き残るために血統を絶やさず強靭に生き抜く軍用犬魂。読んでいて、どこからフィクションに入ったのか分からない巧妙な手腕に舌を巻く。物語はそれぞれの血統が戦争、犬橇、麻薬等と関わりながら、旧ソ連のスプートニクの犬の血統に収斂していく様を描く。一方で、それらの血統と世代が巻き込まれた冷戦下の局地戦争、すなわち朝鮮戦争、ベトナム戦争、アフガン侵攻、最後にはソ連崩壊の裏側を同時並行に描き、犬を交えた様々な人間模様も絡まっていく。犬に対して徹底的に「お前」という二人称を使い、対する犬語がカタカナで記述される様子は不思議でもあり、この本の魅力でもある。傑作と言っていいだろう。 | ||||
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初めて古川日出男の本を読みましたがとても面白かったです。本書は歴史と物語の織り込み方がとてもよいと思います。また読みながら情景が目に浮かぶように感じた本でした。近現代史が好きな方にはお勧めです。 | ||||
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イヌの、何と分かちがたく人間の営みに寄り添っていることか。四頭のイヌの子孫たちは、時を経て何度も運命的な邂逅を繰り返すが、イヌたち自身はそれを知るはずもなく、読んでいる私らが「ああっ、今二つの血筋が重なり合った!」と勝手にわくわくするだけの話。そしてその血筋が、スプートニク5号で宇宙を旅して生還した初めてのイヌ、ベルカとストレルカの血筋と交わる…わくわく。このイヌたちの物語を縦糸とすると、横糸であるところの物語、人間側の主人公とも言えるかつてのソビエトの英雄(英雄、と書いてイヌ、と読んで下さい)である老人と、やがてストレルカを名乗ることになるわが日本のヤクザの娘、この二人の孤独な孤独な物語にも強烈に心惹かれる。 | ||||
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最近、お気に入りの作家。『13』、『アラビアの夜の種族』など、卓抜したストーリーテリングを発揮する。この小説も読ませる。第2次世界大戦から連なる現代史を、犬を軸として描く。 しかし、私が好きなのは、そのストーリーではない。マジカルでリリカルで、リズムのある文体。決して長さを感じさせないトールテラーである。 もっと長いものが読みたい。 | ||||
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戦争の世紀/軍用犬の世紀/20世紀。実は20世紀は犬の世紀でもあった。1957年(イヌ紀元元年)、人間よりも4年も早く宇宙に行った動物こそ犬であり、太平洋戦争、朝鮮戦争、冷戦、ベトナム戦争、アフガン侵攻、そこにはかならず犬がいた。本作は犬を中心に描かれた歴史エンタテインメント小説である。 読んでいて、「カムイ伝」を思い出した。あんまりよく覚えていないのだが、確か「カムイ伝」は、カムイとか正助とかの本筋のストーリーの間に急に、狼だとか、熊だとか、自然の営みの話が挿入される。それと、どことなく似ている。本作は、本筋がイヌのストーリーであり、イヌの周りの人間の話が挿入される、といったイメージである。あと、実際にあった戦争を違った視点(イヌの視点)でみる、というのもなんとなく「砂のクロニクル」の様相である。もう、これらの作品を思い出すってことは、相当面白いってことですよ、これは。 始まりは、太平洋戦争時のキスカ島。取り残された4頭の軍用犬の血筋の系譜がどのように巡り、「ベルカ」と呼ばれるイヌにいきつくのか。ソビエト連邦を取り戻そうと画策する(うそかも。ちょっとこのキャラクターの目的が読み取れない。。)「大主教」と日本のヤクザの娘はその系譜にどう絡むのか、といったところも見どころ。歴史もちょっと知れて、エンタテインメントも楽しめて、さらにボリス・エリツィンの秘密も知れるという、「ムツゴロウの動物王国」ばりのフィクションな小説である。 でも、最後ちと尻切れトンボ??文章から意味が読み取れなかった。新たなる時代の始まり、ってことでいいのかしら?? | ||||
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読み応えも歯応えもある一冊だった。エンタメ小説に分類されるのだろうが、ハードボイルド的な文体は独特。作品紹介にもあるがここまで文体に特徴(作者にとってはこだわり)がある作品は純文学といってもいいのかもしれない。好き嫌いのはっきりしそうな文体だ。作者は、この作品において犬を擬人化してしゃべらせることはせず、自分自身が犬に語りかける(犬の気持ちを代弁する)形をとっているが、これがこの作品を硬質で魅力的なものにしているのだと思う。小説ではないが、軍用犬を出自とする犬を主人公とした作品に谷口ジローというマンガ家が描いた「ブランカ」とその続編「神の犬」という傑作マンガがある。この「ベルカ、吠えないのか?」を読んで谷口ジローのことが頭をよぎった。彼のことは「孤独のグルメ」というマンガのことで知っている方もいるかもしれないが、80年代中盤までの谷口ジローはいわゆる劇画をフィールドとするマンガ家であり、その描線も現在よりも太く劇画的なものであり、現在の彼の繊細な描線とは異なるものだが、この劇画時代の描線や世界観(多くが関口夏央原作の作品)が、この小説の文体や世界観にピッタリだと思う。しかも、彼は原作なしのオリジナル作品では多くの野性動物を主人公に据えたマンガを描いておりその描写力は圧倒的だ。わたしは、小説をマンガ化することについては否定的な部分もあるのだが、この「ベルカ、吠えないのか?」を読み終わった後、谷口ジローにマンガ化して欲しいと切実に思った。この気持ちは、谷口ジローのファンならわかってもらえるような気がするし、谷口ジローを知らない方でも、彼の描く“絵”だけでも見てもらえればわかってもらえるような気がする。 | ||||
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通常の小説で、一定期間のある断面を切り取って、そこにドラマを作りこむ構成は見慣れていますが本作で切り取られた時間軸はまったく違います。時代背景は1943年から1990年約50年間での人間の現代史が舞台になっています。通常この期間であればその50年間を生きた誰かが主人公になるのが普通ですが、本作ではその時代と歩みを共にする特定の主人公は存在しません。つまり本作は50年間の時間軸を主人公なしで一遍の作品をなしているというやや実験的な作品となっています。では、おもしろくないのかと言えばこれがめっぽうおもしろく、一気読みしてしてしまいました。 本作で時代と歩みを共にするのは犬の血脈といえましょう。三匹の日本軍軍用犬が太平洋の北側、アリューシャン列島に置き去りにされてから、それぞれの子孫が戦争とともに世界に拡散し、人間の戦いとともに世代を超えて命を繋げていく営み自体がドラマとなっています。作中何匹もの兄弟姉妹、親子が出てきますが、家系図は大きな問題ではないでしょう。彼らの生命力は人間の争いや善悪、敵味方とは関係なく生きることを目的に環境に順応していきます。彼らの生命力を見せつけられると、現在地球に君臨している人間の営みがなんとも小さく見えてしまいます。そんな犬たちの生命力を感じることが本作の楽しみ方だと思いました。 | ||||
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犬達を中心に繰り広げられる戦争の歴史と犬達の視点による壮大な叙情詩。軍用犬の存在というものをこの本を通して初めて知りました。戦争の歴史の中にも人間以外にも運命を狂わされ、時代に奔走された多くの犠牲者(犬)がいたんだと・・・。そういった意味でも非常におもしろく読めました。昨今の小説にはめずらしい重厚な読み応えの小説でそれが新鮮でした。軽いポップスやボサノバが流行の中、ひさしぶりにフルオーケストラのクラシックを聞いたような感がありました。作中、数少ない犬側の人間として描かれている少女をありがちなパターンで美少女にしないあたりも独特の重みをだすのに役立っていて他のアバンギャルド系小説世界と一線を画しているように思えました。日本人が書いたと思えない全編を通してロシア的な美意識と世界感にあふれています。 | ||||
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