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沼地のある森を抜けて
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沼地のある森を抜けての評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.76pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全45件 21~40 2/3ページ
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前半は発想の面白さにぐんぐん引き込まれていった。 ぬか床が物語のキーという発想がばかばかしくて 登場人物がみんな真剣なのがよけいにおかしい。 それに比べると後半はいまいちすっきりせず、残念。 | ||||
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『家守綺譚』以来、彼女の小説は好きで読んでいるが、この小説も不思議な幻想小説。 ぬか床から人が出てくるっていう設定も不思議で面白いけど、彼女の文体がまた、不思議。知らず知らず、ストーリーに引き込まれていく。 ラストシーンも味わい深い。男女の性、人間って何だろう、なんてことを考えさせられる。 | ||||
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先祖代々伝わるぬかどこから、 人が生まれる。 という嘘を中心に描かれた話。 このお話は前半の主人公の女性が面白い。 この女性は、 ぬかどこから人が生まれた。 というボケに対して、実際的に付き合っていくのだ。 はいはい、しょうがないな。 といった具合に。 ときに、そのボケに対して、 おもしろいじゃないの。 といった具合に反応したりもする。 こんな感じが、読んでいて面白い。 しかし残念なのは後半だ。 だんだんと。 ぬかどこから人が生まれる、 というボケがボケではなくなり、 普通になっていくのだ。 ボケのSF化が進行するのである。 そもそもの最初から、 これはSF小説なんだ、という前提で読んでいれば 楽しめるのかもしれないが、 ぬかどこから人が生まれる、 という設定をSFにするには ちょっとムリがあると僕は思うのだ。 これはボケではないかもしれないが、 「リング」というホラー小説のボケが 「らせん」という続きでボケに解説を つけてしまって、白けてしまったのと 同じような感じだ。 あれは何かようわからんけど テレビとか井戸から髪の長い女性が 出てくる、ということが怖いのであって、 そこを解説できてしまったら 怖さは半減するのだ。 あぁやっぱり出てきたね。 そりゃ出てくるよ。 ってなったら、そこまで怖くはない。 僕にとっては、 ぬかどこのボケもこれと同じである。 ボケはボケだとわかっているから、 笑えるのであって、それがボケではなく、 普通になった瞬間から、笑えなくなるものだ、 と僕なんかは思うので、後半になって、 これはしまったと思ったのだった。 ボケはボケのままがいい。 そう思った小説だった。 | ||||
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大学で真菌の研究をしている上、梨木さんの作品が大好きなので、読むのが楽しみでした。 実際に読んでみた感想としては、・・・まあ、そこそこかな、というところです。 テーマは「菌」ということですが、真菌(カビ・酵母等)と細菌を混同し、まとめて「微生物」として扱っているように感じられました(酵母は酵母態ならば真菌中では珍しく出芽という形で分裂するので、そこに細菌との共通点を見出し、あえてごちゃごちゃにしたのかもしれませんが)。そして、真菌の研究者が「菌類は解体屋、他の生物への脅威にならないと思う」と言うのにはお手上げでした・・・植物の病気の8割は真菌の仕業です・・・ 否定的なことばかり書いてしまいましたが、作品としては一風変わっていて興味深い内容でした。細かいところでん?と思うところはあっても、全体として見れば楽しめましたし、内容が少し混乱しているのは単に「生命」というテーマが大きすぎたせいだと思います。 自分の持っている生命観と梨木さんの持つ生命観が合致すれば、本当にお気に入りの本になるのではないでしょうか。 | ||||
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「先祖伝来のぬか床」から始まる物語は、 「いのちの繋がり」を素晴らしく、恐ろしく描いている。 梨木香歩独特の世界観ではあるけれども、 これまで読んだどんな作品より、作品そのものに重みがある。 間に挟まれる「かつて風に靡く白銀の草原があったシマの話」 で、少しずつ気分を変えて読んでいかないと、吐きそうになるほど。 自分にのしかかる、これまで何代・何十代もの命たち これを呪縛と捉えるか、進化と捉えるか・・・ 物語は、明るく終わっているが、 読み終えた後、まだなんとなく、重みを感じ続けてしまう。 すごいパワーで書かれた作品なんだろうなと思う。 | ||||
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不思議なぬか床から始まるこの物語が、細胞が永遠に己という生を繰り返す分裂を止めて死と交わって有限の生をリレーして生きることになったのかという、人類の発生から滅亡にいたる壮大にして、結局は個人的な関係で生殖するという矮小さに収束する話で、その筆の奔放さには驚嘆を禁じえません。なぜこの書き出しでファンタジックな閉鎖世界に生きる少年の物語やら孤島のサバイバルまで筆が及ぶのか。 最後は結局そこか…、と嘆息しましたが、しかもダブルでくるし、そこまでは本当に胸躍る間違うかたなきSFでした。この物語に漂ってるのは一貫して陰の、すなわち女性の論理であり価値観であり世界観でありそして都合という一見してとっつきにくい感じが拭えないとは思いますが、滅亡テーマのSF好きな方にこそ読んで欲しい作品だと思います。 | ||||
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読みながら何回も、だれの本だっけと思った。いい意味で、ごく自然に進化を遂げた作品だ。「ぐるりのこと」で、どんなことを考えながら暮らしている方なのか漠然と知ってはいたが、こう来るとは思わなかった。わけがわからなくなった(笑)分、少々鼻についていたお説教くささが抜け切って、でも「家守」や「村田エフェンディ」とも全く違う新境地。うまく表現できないが、読み終わった後、風の音だけが耳に残るような、そんな作品だ。 それにしても、皆さんの分析は、どれもすごい(褒め言葉です)。ひたすら雰囲気を味わい、夢の世界を彷徨い続けた後の心地よい疲労感に浸るのが楽しみ、という私は、ただただ脱帽するばかりだ。 | ||||
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「西の魔女が死んだ」を読み梨木さんの著作に興味を覚えた。 読み終えて最初の感想は凄いの一言である。 長編小説と言う分類が正しいのか? 誤解を恐れずに言えば、生命哲学がまずあり、生物学、心理学、民俗学、生態人類学、進化学そして地球環境学等々。 「僕」の存在が名前を得て行く過程などはまさに哲学的存在論であり、ヌカ床と沼地は「心脳問題」の本質だろう。ヌカ床から生まれ出る存在は記憶であり、その実態は学習や経験からの記憶ではなく生まれる前から存在する記憶でもあるのだろう。 クライマックスに登場する島、そして森、海はまさに「僕」でもあり「地球」でもあり、「宇宙」でもよい。細胞壁あるいは生体膜に区切られている存在が交わり時に新たな出発(進化)をする。 それは単に人間と言う種だけの問題で無い事を複雑系である森(環境)を通して、全ての生物と非生物の折り合いという混沌の中にいる「僕」を表現している。 同じ歳の作者のあまりにも凄い才能と洞察そして思索に嫉妬を超えた感情を覚えた。 | ||||
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しみじみとした充実感で読み終わった本を閉じた。人間存在の不可思議と不条理が、酵母や菌類などの命のなりたちを背景に幻想的に語られる。女が担ってきたぬかみそという日常の食をめぐる営みから、命の連鎖と意識のありかの不可思議を語っていく細部、SF的な異次元の世界の物語をはさむことで、私たちの存在の不確定さも際だつ。そして上淵久美という研究者や、男性性を否定して生きて生きたきた風野さんという人物も好ましい。また最後のセックスの描写の美しさは極上のものだった。 読後少しして、10代の頃に時間を忘れて読んだ、アシモフの「銀河帝国の興亡」を思い出していた。 でも、この作品にはちょっと別の祈りが感じられる。生まれ出る命に希望が託されていること、命の流れの最先端のいうことばに一条の光がある。 | ||||
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はじめ読んでいて「ぬかどこ」から!?と少し怖かったが、物語も佳境へと読み進めると、梨木香歩さんの神秘的な展開に惹かれました。全ては細胞からなんだ!!と、生きる原点に立ち返るような何かを強く感じさせられました。 | ||||
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ぬか床という、あまりファンタジックではない、むしろ生活臭の溢れた とても日常的なものに、別世界を植え付けてしまった、 その作家の発想にまず驚かされます。 物語は、規則正しくきれいには進みません。一瞬、物語の尻尾を見失いそうに なることさえある。でも、だから私は夢中になりました。 生物学的な堅苦しい解説も、意外にも全体から浮いていなかった。 生命を見すえている梨木さんならではの、流れや結末もすばらしかった。 物語りに振り回され、追いかけることができるのは、 私にとってはとても豊かな時間なのです。 | ||||
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帯のない状態で手に取り、ちょっと変わったところのある、 理科系の頭脳を持つ生活者の小説だと思って読んでいた。でも違った。 「西の魔女が死んだ」もそうだったけど、不可思議なことを含む世界の小説なのだった。 ファンタジーの系譜。 代々伝わるぬか床を託され世話することになった上淵久美。 しかし、そのぬか床からは人が生じてくるのだった。 酵母の研究者である「男の性も女の性も選ばない」風野さん。 ぬか床を先祖の土地に返すため、彼と島に渡り、 延々と続く、そして画期的な飛躍も含む大きな生命の営みに触れる‥‥。 挿入される、細胞の内部そのものの中での新たな生殖活動の飛翔の物語。 読んでいて、自分の言葉に翻訳できない(知識がない)もどかしさは感じるものの、 土着的な不思議さを発酵レベルで語りきってあり、 世界を見る目をもうひとつ増やしてくれる小説である。 | ||||
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「ファンタジーなの?児童小説なの?」ってタイトルですが、どう見ても子供向けではありません。むしろ現代小説っぽい雰囲気。ただし大半の女性作家と違い、梨木さんの作品は全体的に恋愛要素が薄いです。 冒頭で独身だった叔母が急死し、主人公の女性はとある遺品「ぬか床」を引き継ぎます。 ぬか床が悲鳴を上げたり、ぬか床から卵が出てきたり、ぬか床から幽霊みたいなのが出てきたりと、とにかく摩訶不思議な事ばかりが起こります。荒唐無稽な話なのに、書き手と登場人物と人間関係が至って現実的なので、不思議と地に足が着いた感覚のまま読み進められます。 がっつくように読む感じではないですが、梨木さんの持ち味でもある(と思う)嫌味のない文章のせいか、読んでいると心が穏やかになれます。 | ||||
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梨木果歩ワールドを期待して読んだらがっくり来るかもしれない。いつからこんな頼りないあやふやなファンタジーもどきになってしまったのだろうと。だって、今までならば生きる事への暖かいまなざしや厳しい信念、時を越えて繋がり続ける思い、目に見えぬ情緒や葛藤へのこだわりが決して後ろ向きではなく、抱えて生きていくものへの優しさを秘めていたのに・・・。 今回は何だ? 何が言いたいのだ? どうしてぬかみそから悲鳴はうめき声や卵なのだ? そのファンタジー性を理解しようとしても、人間関係から生きる事への姿勢を探り取ろうとしてもわからなかった。雰囲気だけで読み進める事ができるとはいっても、これでは・・・って感じ。 あえて言うなら、筆者自身、物語世界のぬか床をかき回し損ねたか、入れた材料が悪かったのか、水出ししていない、過発酵の、色の悪い、味に深みが無い、そういう漬物を羅列された感じ。恩田陸の「常世系」亜流。・・・次回に期待。 | ||||
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「裏庭」と「西の魔女が死んだ」が好きな世界だったんでこれも読んでみる気になったんだけど、 上の2作とはうって変わった不思議な不思議な世界。 この発想はどこから来るのか? もしかして、いや、かなりの妄想族に違いない。 「ぬか床」から生命が誕生するんだよ。 んなことあるかい! と、突っ込みを入れると言うよりも 「そ、そ、そうなの?」 と訝しんでしまうほどストーリーに操作されている自分に気がつく。 途中、理解できない部分があるのだけれど「わけが分からないことを書いている」というよりは「あぁ、アタシの感性がこれに追いついていないんだな」という感じ。 再読したら理解も深まるのかもしれないけれど、読むのに5日もかかったので再読はないな。うん。 | ||||
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内容紹介文の壮大さと梨木さんの本が好きで購入しました。 紹介文の通りに最後辿り着いた結論?にはとっても圧倒され なるほど…といろいろ考えさせられました。 だけど読み進んでいくほど話の進む速度が速すぎでついていけなくなりました。 梨木さんが書くほのぼのと充実した生活の営み、みたいなものに惹かれている人(私ですが…)にはちょっと受け入れにくいかな 読む人がそれぞれどう受け取るかが問題だと思います。 | ||||
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地球上の生命がたった一つの単細胞から始まり、アメーバーをたどり、進化していったという進化論。 人間の受精卵が母親の胎内で胎児に成長することを、何十億年にわたる生物の進化がみれるという説。 二つの視点の進化論をぬか床と、酵母菌をからめて表現っちゅうとこまでは斬新な発想で素晴らしいです。 これにDNAによる、種の個性遺伝と、人格的個性を絡めて、作品は独自の世界を展開していきます。 ファンタジックに且つ和風テイストで小説にまとめた作者の意図は、個性的で魅力的です。 | ||||
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新聞や書店で紹介されているので読んでみたが、 こねくりまわしたような表現の文章や、突飛な話の構成、最終的には何が言いたいのかよくわからない終わり方で、良さが全くわからなかった。 コアなファンならまだしも、一般受けはしないのではないだろうか・・。 | ||||
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いつもの梨木作品を期待して読み始めるとちょっと違うなと不安を感じる。 曾祖母から代々受け継がれたぬか床から人が出てくる。手入れする人間のことが気に入らないとぬか床がうめく…。両親、おばの死因にもぬか床が関係しているらしい。 家系とぬか床との関係のミステリー、微生物を研究している風野さんのジェンダーに関するエピソードなどは興味深く読めたが、後半のスケールの広がり方にはついて行けなかった。 梨木さんの新しい試みなのかも知れないが、もし届けたいものがあるとしたら私は受け取ることが出来なかった。 | ||||
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自分を形成しているものについて、性格などの精神面については考えたことはあるけれど、物質的なことについては考えたことがなく、意表をつかれて読みました。結局その答えは私にはよく理解できませんでしたが…。 | ||||
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