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バッドラック・ムーン
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バッドラック・ムーンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.65pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全23件 1~20 1/2ページ
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マイクル・コナリーの作品はボッシュシリーズをはじめとして、翻訳刊行されているものはすべて読んでいる ものと思って来た。この20年ほど前に刊行された作品は、私のコナリー作品の中で読み落としなのだが、 こんな面白い作品を読んでこなかった自分の深くを猛省している。コナリー作品にはハズレがないと いつも言ってきたが、この「バッドラック・ムーン」はハズレじゃないどころか、とんでもなく面白いのだ。 刑務所から仮釈放中の凄腕の女泥棒キャシーは久しぶりの仕事で、カジノで大勝ちした男から金を 盗むことを依頼される。だが、その依頼にはいろいろと罠が仕掛けられており、これも凄腕の始末屋 カーチに命を狙われることになる。というのが粗筋だが、まさに手に汗握る展開で、しかもコンゲーム的な インテリジェンス溢れる味付けもたまらない。とにかく、今風の些か大仰な言い方なら、面白すぎて 死にそう!というぐらいの傑作とだけ言わせてもらう。 | ||||
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他の方のレヴューがあまり良くなかったので面白くないのかなと思っていましたが、実際に読んでみるとボッシュシリーズよりテンポがよく読みごたえがありました。読みだしたら止まらなくなるのはボッシュシリーズ他と同じです。今まで役20年間読んでなかったのですが、今回手に取り読むことが出来て本当に良かったです。 | ||||
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下巻を読み始めて主人公のキャシーが鬱屈した精神状態から自分を解放したいがために再びラスベガスで同じような手口の窃盗をすることにリベンジするのには深い理由があったのが明らかになった。 ネタバレになるがすべてはこの深い理由に端を発してこの事件は始まったのである。 コナリーのシリーズもの以外でもこのような面白いストーリーを思いつく才能に今更ながら感心しきりで読み進んだ。 読者に息を継がせない緊迫感を与えるコナリーならではのストーリーテリングの上手さは相変わらずである。 少しネタバレになってしまうが、ジョディーを救出するためにルームサービスワゴン車にキャシーが隠れることなど不可能のように思えたことが唯一難点である。 が、とにかく夜更かししてもページを繰る手を休ませることなく『バットラック・ムーン』下巻を読み終えた。 巻末の解説で木村仁良氏が興味深いことに触れていたので評者も確認してみようと思った。 <その1> チャンドラーの『大いなる眠り』第一章にコナリーの考えた楽屋落ちに気づかれるはずだ。 <その2> 本書に登場するある人物のその後が気になる方は、『夜より暗き闇』の第十章(の最期の部分)をお読みいただきたい。 <その3> ボッシュ・シリーズを読んでいる方は、見覚えのある人物に再開することになる。 私立探偵カーチに警察の情報を売るメトロ警察のアイヴァースン刑事や本書で言及される犯罪組織の顔役ジョーイ・マークスは、ボッシュ・シリーズの『トランク・ミュージック』に登場している。 評者にとって読了本のことなど記憶の彼方へ飛んでいるから、解説の木村仁良氏のように読んでいる本を二度楽しむことができないのが悔しいと思いながら解説を読んでしまいました。(なかなかユニークな解説ですよ!) まだまだ未訳の本が各シリーズにあるようだから翻訳出版されるのが待ち遠しいと思いながら『バッドラック・ムーン』下巻を楽しみながら読み終えました。 <追記> 本書ともっとも関係が深い(その2)だけを『夜より暗き闇』上巻第十章の最期の部分から下の・・・・・内に転載します。 ・・・・・ マッケイレブは電話を畳み、車のロックを外した。屋根越しに保釈事務所を見やると、建物の入り口の上のファサードに青い文字が書かれた大きな白い横断幕がかかっていた。 お帰り、テルマ! もどってきたのを歓迎されているテルマというのは受刑者なのだろうか、従業員なのだのうか、と思いながら、マッケイレブは車に乗り込んだ。(『夜より暗き闇』p140より) ・・・・・・ 訳者の読み方の違いでテルマが本書に登場する仮釈放監察官のセルマ・キブルであることが判る。 コナリーの粋な計らいでセルマが無事仕事に復帰したことを『夜より暗き闇』の紙上を使って読者に伝えているのです。 | ||||
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マイクル・コナリーのノン・シリーズ一作目と三作目は最近読んだから二作目の『バッドラック・ムーン』(2000年)を読むことにした。 コナリー作品ではこの作品だけ訳者が古沢嘉通氏ではなく木村二郎氏である。 このノン・シリーズでは、作者のコナリーはまったく他のシリーズとは異なる物語を創作しているから、また違った魅力を読者に与えてくれている。 木村二郎氏の訳もまた本作の異質さに色を添えているようで読みやすい。 なんせ、この物語には法律を守るような人物は上巻を読み終えたところまで仮釈放監察官のセルマ・キブル以外ひとりも登場しない。 主人公の女性キャシー・ブラックは窃盗犯であるし、もうひとり登場するカジノホテルの雇われ探偵ジャック・カーチも並みの悪ではない。 キャシー・ブラックは、ラスベガスで恋人マックス・フリーリングとタッグを組んで窃盗を働き何かのトラブルに遭遇してマックスが事故死して失敗で終えた。 キャシーは逮捕され5年の刑期をお勤めしたのち仮釈放された。 そんな身でありながら鬱屈した精神状態から自分を解放したいがために再びラスベガスで同じような手口の窃盗をすることにリベンジする。 これ以上レビューを書くとネタバレになるからやめておきますが、カジノ・ホテルのセキュリティガードを如何にして破ってゆくかなど微に入り細にいたるまで描写するためにコナリーがネタ探しに拘ることに感嘆しながらこの物語を読みすすんだ。 上巻を読み終えたところではあるが、ハリー・ボッシュ・シリーズやミッキー・ハラー・ シリーズなどとは趣を変えた本作も楽しめる作品であると思いながら読み終えたのです。 | ||||
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コナリーの3作目のノンシリーズである本書はこれまでのコナリー作品とは色々と異なっているのが特徴だ。まず主人公がなんと女性である。元窃盗犯で仮釈放の保護観察の身であるキャシー・ブラックが主人公だ。 そして今までは刑事ボッシュを筆頭に、新聞記者のジャック・マカヴォイ、元FBI捜査官のテリー・マッケイレブが主人公を務めたシリーズ物、ノンシリーズ物も含めて犯人を追う捜査小説だったが、今回の主人公キャシー・ブラックは女泥棒。つまりクライム・ノヴェルであることだ。 そして書き方や物語の進め方も以前の作品とは異なっている。このキャシーが女泥棒と判るのは案外物語が進んでからだ。それまでは彼女は一体何者で、どんな過去があったのかがなかなか語られず、仮釈放の身でハリウッドのポルシェのディーラーに勤める、人の目を惹く美人であることが解っているだけである。前情報と知識がないまま物語は進む。そしてその中で断片的ながらキャシーの過去が浮かび上がってくるという、ちょっと変わった書き方をしているのが特徴だ。 今までのじっくり読ませる文体と違い、どこか軽やかな印象でクイクイと物語が進み、やもすれば物語の動向を十分に理解しないままにキャシーが物語のメインであるギャンブラーの持ち金掠奪計画まで一気に進んでいってしまうほどだ。 訳者が今までの古沢嘉通氏と異なり木村二郎氏であるのも一因かもしれないが。 そのせいだろうか、どうも物語が浅いように感じられる。 故殺罪で刑務所に入った過去のある元泥棒の女性が、仮釈放でポルシェのディーラーに勤め、普通の生活を送っていたところにある事情から大金が必要になり、再び根城にしていたラス・ヴェガスで高額ギャンブラーをターゲットにしたハイローラー強盗を計画するが、その男はマフィアの金の運び屋で、その大金を持って帰ったことからトラブルに巻き込まれる。 敵はホテルが雇った私立探偵だが、人格障害者である彼は凄腕の殺し屋でもあり、彼女を追う先々で次々と関係者を殺害していく。そしてその毒牙は彼女の大切な存在にも伸び、意を決した彼女はそれを救うために対決に臨む。そこはかつて自分の恋人が死んだホテルの部屋だった。 とまあ、実に映像向けのストーリーであり、起伏に富みながらもどこか深みを感じさせない。 コナリー作品の特徴と云えばハードボイルドを彷彿とさせる緊張感と暗さを伴った重厚な文体に、事件に関わらざるを得ない宿命のような物を感じさせる主人公がどこまでも謎を追いかけていく、泥臭さを匂わせる文体で物語を勧めながら、いきなり頭をドカンと殴られるような驚きのサプライズが仕込まれているという読書の醍醐味を感じさせる味わいなのだが、本書はなかなか主人公キャシーの氏素性と過去が明かされぬまま、物語が進み、訪れるべき終幕に向けて一気呵成に突き進む、疾走感がある文体で逆にそれが特徴である深みや味わいを逸している。 ただコナリー作品独特のテイストもないわけではない。占星術における十二宮のどこにも月が入らない時間帯は不吉なことが起きるヴォイド・ムーンというモチーフを用いて上手くいくはずの犯行を絶望的なトラブルに主人公たちを巻き込む。 また女泥棒のキャシーの造形も印象的ではある。 恐らくは男たちの目を惹く容姿をしている女性で、ヴェガスでブラックジャックのディーラーをしていたが、そこで出逢った強盗マックス・フリーリングと恋に落ち、そして彼の仕事を手伝ううちに一流の強盗の技術を身に着ける。出所後に大金が必要になり、仕事を紹介してもらうと、生活リズムを変え、必要な道具を揃え、万全の準備で臨む。仕事もやるべきことを心得て躊躇がなく、不測の事態についてもあらゆる手段を熟知している。例えば隠しカメラでなかなか金庫のナンバーが見えなければ、もう一度金庫を開けざるを得ない状況を作るために、小火を引き起こして、ホテルの従業員に成りすまして避難を促し、金庫を開けざるを得ない状況を作り出すなど。これら一連の手口が詳らかに語られることでキャシーの凄腕ぶりが印象付けられていく。 更に仲介屋のレオ・レンフロのキャラクターもなかなか興味深い。迷信好きで古今東西の色んなまじないやジンクスを信じ、実践している。中国の風水、易経に占星術。ヴォイド・ムーンについて教えたのもこの男だ。 ジャック・カーチはキャシーの恋人マックスを罠に嵌め、死に至らせた私立探偵。そのことがきっかけで彼はホテルの当時警備課長で今は支配人となっているヴィンセント・グリマルディによって専属の探偵となり、色々な後始末を命じられ、どうにかこの状況から脱したいと願っている。 しかしこのようなキャラクターにありがちなうだつの上がらない男ではなく、躊躇いなく引き鉄を弾いて人を殺すことも厭わない。勿論証拠を残さないように細心の注意を払った上で。 しかも車を見られた場合はナンバープレートを付け替え、追われないようにする。そして敵が手強いほど燃える男で常に人の優位に立って弄ぶことに喜びを覚える、人格障害者だ。このしつこいまでに残虐な探偵もまた敵としては実に申し分ない。 これほどお膳立てがされながらもどこかB級アクション映画を観ているような感覚はなぜだろうか? やはりそれはコナリー作品の持ち味である、サプライズに欠けるところにあるだろう。 上述したように今回はキャシーが服役するようになった過去、そして仮釈放して真っ当な仕事に就きながらもいきなり大金が必要になる動機などが明確にされないながら物語が進み、次第にそれらが徐々に明かされていくというスタイルを取っている。 従って五里霧中で読み進めながら次第にキャシーの動機という霧が晴れ、全体像が明らかになっていくという謎が解かれていく面白みはあるのだが、正直インパクトはさほど強くなく、驚きよりも納得のレベルに落ち着いている。 一方でラス・ヴェガスという享楽の都に縛られた人々の話でもある。 キャシーは幼い頃からここに住み、そしてブラックジャックのディーラーとなって泥棒のマックスと知り合い、高額ギャンブラー相手の泥棒になった。 ジャック・カーチもまた父親がアメージング・カーチと呼ばれた、フランク・シナトラやサミー・デイヴィス・Jrとも何度も共演したことのある名のある手品師で、自身も子供の頃に父親のアシスタントとしてステージに立っていた男。 しかし彼の父親は酔っ払ったマフィアによって両手の指を粉々に折られ、再起不能のマジシャンにされる。また6年前のマックス死亡の事件で、《クレオパトラ》の専属の探偵となり、逆に当時警備課長で支配人に乗りあがったヴィンセント・グリマルディにいいように扱われる身となる。 ラス・ヴェガスで育ち、そしてラス・ヴェガスをこの上なく憎んだ男なのだ。 全てが6年前のあの日へと収斂する。因縁の過去が彼ら彼女らを引き寄せていく。 コナリー作品はこのように限定された人物たちが過去の因縁によって再び引き寄せられるプロットが好みのようだ。あれほど広大なラス・ヴェガスでもう一度会いまみえる過去の因縁たち。それはどうやっても切っても切れない鎖のような絆で結ばれた運命の人々のように描かれる。 その宿命的な繋がりを断ち切ってこそ、過去に縛られた人たちに未来は訪れるのだというメッセージが込められているようにも思える。 その因縁に抗えない人たちはそのまま飲み込まれ、そこで死に絶える。犯罪に手を染めた者たちにとって因縁の鎖は容赦なくその身を縛り、そしてあの世へと誘う。そんな冷徹さが垣間見える。 最後まで読むとこれはキャシーの母性の強さを示した物語だったことが解る。キャシーの諦めない心の強さは母になった女の強さだ。 そして愛して止まない娘に自分が本当の母親であることを告げられない辛さ、ふと過ぎる、このまま連れていってしまいたいという愛おしさに苛まれるキャシーの心情が実に痛々しい。 凄腕の女泥棒がマフィアの大金強奪という厄介ごとに巻き込まれる物語が最後には娘への愛一心で困難に乗り切る強い母親の物語へと実にエモーショナルな展開を見せるコナリーのストーリー展開の妙に唸らされた。 やはりコナリーはコナリーだった。 だからこそ邦題の軽薄さが目に付く。『バッドラック・ムーン』は本書のモチーフとなっている悪運に見舞われるヴォイド・ムーンを示しているが、本書ではそのままの名前で使われている。 つまり原題と同様に『ヴォイド・ムーン』でよかったのではないだろうか?なぜならVoidという単語には他に虚ろなとか中身のないとかいう、空虚さ、虚しさが込められているからだ。 少しの幸せのために少しばかりの大金を願った女、いや母親。窮地に陥り、大金をせしめるしか生きる方法がなかった男。 大金のために人を殺しまわり、そして最後の最後で駆け引きに負けた男。 全てを掌握し、罠を仕掛けたとほくそ笑みながら飼い犬に咬まれ、死んだ男。 全てが虚しい享楽の夜の塵となった。誰もが望んだものを得られぬままに幕が引かれた。しかし唯一虚しい戦いに生き残ったキャシー・ブラックは孤独の道を行く。 彼女が目指すのは砂漠。 しかし砂漠が海になるところだ。かつての恋人と幸せな時を過ごした場所へ。 キャシー・ブラック。彼女もまた壮大なボッシュ・サーガの一片であればいつかまたどこかで逢うことになるだろう。それまでこの哀しき女泥棒のことを覚えておこう。 | ||||
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(短編集でない限り)基本一度読みだしたら最後まで読み切る派の人間ですが、この本はいただけません。 アマゾンビデオで一層注目される様になったボッシュシリーズとは違ってこれでもかというくらい単調で薄っぺらい感じです。 翻訳者のせいかもしれませんが、読者に読みたいと思わせる何かが足りない。そう感じました。 | ||||
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今までのコナリー作品とはテイストが結構違い、オチも少し弱い感じもしますが楽しめました。 コナリー作品を順番に読んでいますが、ボッシュシリーズは割と重厚なので、軽快な作品で息抜きができました。 | ||||
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題名の「VOID MOON」は占星術で使われる概念。 天体と天体の関わりをアスペクトというらしい。占星術では「月」は一番地球に近くてその動きが人の行動や運勢に影響を及ぼすと考えられおり、その「月」がどの天体ともアスペクト(かさなり)を持たない時間があり、これを”Voiod of Course of the Moon”という。この時間帯には「実行したことがあとで反故になる、実現しにくい」「気分や感情によるトラブルを引き起こしやすい」などなど、重要な事項を実行、計画するのには向いていない時間帯。 また、自分の星座の特色がマイナスに働きやすいと信じられている。そのため、この「月」がボイド(無)になる時間帯は「魔の時間、無の時間」とも言われている(んだそうだ)。 で、そのVoid Moonの時間帯に主人公の仕事上のパートナーであり恋人でもある泥棒、MAXはベガスの高級ホテル最上階ペントハウスに忍び込みゲストの睡眠中に大金の窃盗を計画するも失敗。MAXは最上階から劇的な転落死を遂げる。 墜落した彼の遺体にすがりついて泣いた主人公キャシーはMAXの共犯者として懲役刑に服すこととなる。数年後、仮釈放を経てLAで自動車セールスをするキャシーだが、人生をリセットするために最後の賭けともいえる大金窃盗を計画。LAの黒幕から与えられたヤマはかつて失敗したベガスの同じホテルの同じ部屋、しかもVoid Moonの夜。 なんとか大金をせしめるものの、様々なウラ事情のある金だったため、犯行直後から冷酷非情な殺し屋に後を追いかけられることと、、、。 人質を取られてしまい、最後の取り引きに追い詰められた彼女が向かったのは因縁のホテルのペントハウス。 またしてもVOID Moonと重なった夜、キャシーと殺し屋カーチの対決の結末、また、かつてのパートナーの死に隠された秘密は、、、、。 全体を通して暗い雰囲気が満載のストーリー展開。主人公キャシーが犯行を開始してから物語が終わるまでの約2日間をスピーディーなタッチで描くのはさすがコナリーだが、今一つノリが悪いように感じる。コナリーは人物や心理描写、犯罪をいろいろに推理していく過程の描写は上手いと思うが、メカニカルな描写はあまり得意でないようだ。前半の犯行に及ぶシーンもそうだが、後半のエレベーターシャフトとサービルーム、天井裏のダクトを使ってホテルの最上階ペントハウスに侵入していく様子もちょっとねぇ。あんなんで侵入できるのでしょうか、、、まるでミッションインポッシブルのご都合主義映画を見ているようだった。英文を読んでいてもちょっと想像力が働きにくくて、この侵入に至る経緯は??? 無理がある設定だからなのか、小説に描かれる場面を頭の中でビジュアライズするのが難しい。 コナリーらしさを求める人は読んでいてきっと消化不良を起こすだろう。ボッシュシリーズの合間にお口直し的に読むのにはいいかもしれないが。 それにしても、キャシーよりも雇われ殺し屋のカーチのほうが魅力的に感じるのは僕だけだろうか。 | ||||
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元窃盗犯の主人公が昔の仲間からまた裏仕事を依頼され・・・というお話。 コナリー氏の作品はボッシュ・シリーズを何作か読みましたが、単発の作品は初めてだったので、その出来は如何にと思って読みましたが、これがなかなか良く出来たサスペンスの仕上がっていて流石、と思いました。 前科持ちのヒロイン、昔の悪い仲間、悪徳私立探偵がくんずほぐれつ絡み合う、エルモア・レナードが得意とする様なキャラが動く事で話が転がるという感じの作品で、その転がり方がやはりコナリー氏がミステリをよく判っていると思わせる巧妙さで納得しました。各キャラも個性的でボッシュ・シリーズとはまた違った意味で楽しめました。 訳は悪くないですが、カリフォルニアをカリフォーニアとかデザインをディザインとか訳する所に若干違和感を感じましたが、それ以外は読みやすくて虚心坦懐に楽しめました。 ☆の数をこうしたのは読み終わった後に面白かった、以上の物がなかったのでこうしました。まぁ娯楽小説なのでそれでもいいですが。あまり気にしないでください。 コナリー氏がそのミステリの才能を遺憾なく発揮した佳作。機会があったら是非。 | ||||
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ハリーボッシュシリーズの邦訳を読破し、原書まで手を出すほどのMichael Connellyファンの私ですが、本書だけは作風の違いか、翻訳者の違いか、楽しめず、途中で読むのを止めてしまった唯一のConnelly本。これから本書を手にしようとする方は、そのつもりで読んでください。正直、私にはConnellyの本とは思えなかったくらいです。 思えば翻訳が好きになれなかったのもあるし、英語が平易だとのレビューもあることなので、原書で再チャレンジしてみようと思います。しかし、何故この本だけ絶版になっているんだろうか。古沢嘉道氏の翻訳での復刊を希望します!! 絶対良くなることと思います!!! | ||||
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原作者が好きで揃えようとしたが、やはりこの人のは、ボッシュ刑事ものに限る。 | ||||
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ハリー・ボッシュシリーズで人気の著者が、シリーズ7作目と8作目の間に書いた単発作品で、2000年発表、2001年邦訳。 本作品の主人公は、著者の作品としては珍しく女性で、キャシー・ブラックという元窃盗犯。 プロローグでは恋人のマックス・フリーリングとの最後の仕事が描かれ、本編では服役後、仮釈放を受けた彼女が、再び仕事の依頼を受け、ラス・ヴェガスで現金の強奪を実行する過程が描かれていく…。 ハリー・ボッシュシリーズを読んでいる方なら、読み始めてすぐに違和感を感じることでしょう。 作風が違い過ぎるのです。 ハリー・ボッシュシリーズにある、ハードボイルドならではの「重さ」があまりないように思えました。 翻訳者の違いかとも感じたのですが、著者は敢えてシリーズものと違うものを目指しているようで、これが成功しているかどうかは、微妙。 登場人物では、主人公キャシーの関与する事件の捜索をラス・ヴェガスの支配人から依頼された私立探偵、ジャック・カーチが印象的。 この人物が脇役でありながら、尋常ならざる個性の持ち主で、その人物設定が際立った分、キャシーの存在感が薄まってしまった感も。 また、著者ならではの、後半に二転三転する展開、確かに物語前半に張られた伏線は活きてくるのですが、あまり新味はなく、ハリー・ボッシュシリーズや他の単発作品にあるような、「これでもか」の気迫があまり感じられずに終わってしまったように思われます。 数多くのミステリ小説と較べた場合、間違いなく水準以上ではあるのですが、これまで読んできた中では、初めて「標準的」という感を強く持った作品でした。 | ||||
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スタンドアローン作品とされるが、 例によってボッシュシリーズのキャラが出てくるので、 ボッシュシリーズと同じ世界です。 女主人公のノワールである。 コナリー作品で一番出来が悪いせいか、絶版になっているが、 コナリーとしてはレベルが低いというだけで、 普通の小説としては水準作以上である。 女泥棒が主人公なので、 セクースシーンが無いのを私は高く評価する。 サスペンスとして時間の制限があり、 のんびり恋なんかしてる暇はない設定はgoodである。 ラストのアクションも銃撃戦になったら負けだと、 女主人公が自覚していて頭脳戦を仕掛けるのも水準以上。 惜しむらくは偶然の要素が入ったことであるが、 この作品は偶然の一致、共時性をテーマにしてるみたいで、 ワザとか? コナリーファンならもちろん読むべき一冊ではある。 看板作品のボッシュシリーズそのものが今一の人はもちろん読まなくていいです。 | ||||
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マイクル・コナリーが、<ハリー・ボッシュ・サーガ>シリーズ6作目の『エンジェルズ・フライト』と7作目の『夜より暗き闇』をはさんで’00年に書いたノン・シリーズ作品。 本書では、刑務所を仮釈放中の元窃盗犯、キャシー・ブラックが主人公として活躍するのだが、女性主人公というのは、コナリーの作品では初めての試みである。 また、訳者もいつもの古沢嘉通でなく、(今までのところ、コナリーの長編小説では唯一)本書に限っては木村二郎が訳していることからも、シリーズ、ノン・シリーズを問わず、他のコナリー作品とは、読んでいてずいぶん感じが違う。 キャシーは、ある目的のために昔の仲間レオに‘仕事’を紹介してもらう。彼女はラス・ヴェガスのカジノホテルで、持ち前の度胸と水際立った手際を発揮、見事に大金を手に入れる。しかしその金はマフィアがらみのヤバい代物だった。かくして彼女は、上巻第2章から登場する、表向きは私立探偵、実はカジノ支配人に雇われた‘用心棒兼殺し屋’カーチの執拗な追跡を受ける。キャシーの関係する何人もの命が奪われ、ついに魔手は彼女の最愛の人物に向けられる。そしてキャシーの、命を賭けたカーチとの最後の闘いが始まる・・・。 カーチが、人の命をなんとも思わない、血も涙もない冷血漢であるだけに、読者は一層キャシーを応援するのに力がはいる。 ともあれ、今回コナリーは、ハリー・ボッシュという大きなシリーズの存在をひとまず横に置いといて、自由に新境地に意欲的にチャレンジしたのではないかと思う。 | ||||
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過去に男性作家の手による女性を主人公にしたノベルを読んでいて違和感を覚えたことが何度かあり、「えっ、女性ならこんな場面でそんな行動はとらないんじゃないかな」とか「それって随分と男性的思考じゃないか」と、作者に向かって問質したくなったことがあります。Connellyのこの作品は、その意味で立派な成功を収めていると言って良いでしょう。違和感がありません。それは取りも直さずConnellyが感情を削ぎ落とした文章を得意とし、Cassie という、その体内に『outlaw juice』が熱く駆け巡っている女性を主人公に据えたからでしょう。以前に読んだConnelly作品もそうでしたが、彼は作中にmental面を伝える単語はほとんど使用しません。但し感覚を伝える単語は頻繁に顔を出します。Cassieと対峙するKarchに至っては実に淡々とした筆致で描写を進め、結果としてKoontzノベルに登場するサイコパスなど比較にもならないincongruous,gruesome,といった雰囲気を醸し出しています。障害になる相手には、実に無造作にSig9ミリを発射する男。しかし彼の行為は常にkillではなく、take care ofなのです。 さて作品は力強く読み手をぐいぐい引っ張って行きますが、相変わらず作中に幾つか展開に強引過ぎる点、ちょっと無理があるなと思わせる点がありました。ストーリー全体としては実に緊張感に満ちていてサスペンスノベルとしては一級品ですが、ミステリーとしての要素に目を向けると、大凡先の読める展開で終始し、読途中で予想した通りに終結したため幾分物足りなさを感じました。 | ||||
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仮釈放中のキャッシーは、刑務所の中で生んで養親と暮らしている5才の娘が遠くへ引っ越すことになったことを知って、娘と一緒に暮らしたいと考え、大金を手に入れようと、昔の知り合いに仕事の斡旋を頼んだ。 カジノで稼いだ男の部屋に、深夜、忍び込み金庫を開けると僅かな金しか入っていない。男が持ち歩いていた鞄の中に入っていると考え、鞄を探し出すが…。 6年前に捕まったときのことと奇妙に絡みながら、話はどんどんと展開します。 読みやすく面白いのですが、最後の謎解きの部分が今一つスッキリしませんでした。 | ||||
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Cassieは、ホテルから大金を盗み出す。不吉なことが起こるから、void moon の時間を避けて盗みを実行するよう助言されたが、void moon を避けられず…大金を取り返そうとする無慈悲な男が、またたく間にCassieに迫る。どうするCassie?最初はやや単調な気もしましたが、3分の2を過ぎたあたりから佳境に入ります。それからは、読むのをやめられません。思いがけない展開、スリリングな展開。社会復帰後地道に働いていたCassieの盗みを再開したことに隠されていた深い意味。そして、終章へ。たくさんの血が流れますが、読後感は悪くありません。作者の力量を感じます。難度の高い単語をあまり使っておらず、文も短め。侵入方法などについての細かい描写を理解するのに時間がかかりましたが、総じて、わかりやすい英語と思います。 | ||||
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Michael Connellyと言えば、Harry Boschシリーズを始めとする刑事物で有名だが、この作品には刑事は登場せず、女泥棒とラスベガスの殺し屋を中心に話が進むという全くの異色作。6年の刑務所暮らしの後、仮釈放されたCassieは暫くまじめに暮らしていたが、あるとき故あって、再びホテル荒らしをすることに。ところが、思わぬ大金を手に入れたために、容赦のない殺し屋に終われる羽目になる。そして、追い詰められた彼女が打ち出す対抗策は?シリーズ物で成功している作家が別系統の作品を書くと失敗に終わるケースが少なくないが、この場合は、Harry Boschシリーズにも劣らぬ、スリルとスピード感あふれるストーリー展開で、見事成功を収めている。私はこれまでにConnellyの作品を数冊読んでいるが、この作品は他の作品に優るとも劣らない。英語も平易で、最後まで一気に読ませてくれる。Connellyファンにはもちろんのこと、はじめてConnellyの作品を読む人にもお勧めである。 | ||||
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