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サイコトパス
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サイコトパスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全4件 1~4 1/1ページ
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この時期の山田正紀は、迷い、試行錯誤していたのだろう。本格SFが一般には受け入れられず、またシリーズ化したかった名探偵ものも不発に終わった。 SF専門誌から小説宝石という一般読者向けの雑誌に移して書かれたのがこの作品である。ただ、単純なミステリーではなく、小説の中にもう一つの小説がある形で始まり、主人公は何者なのか?がテーマになってる。このテーマは以降の作品にも継続される。 また他の登場人物もよく考えてあり、その意味でよく出来た作品である。 ただラストは、「やっぱり」と思った通りであった。でも「それでもいいのかな」とも思えた。ただし、そう理解してもらえるのはファンだけであろう。 | ||||
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ラストで結末を読者に委ねる放り投げタイプなので、 真相が明示されないので悩むが、 命題の真偽が決定不可能というだけで、 命題自体はエレガントな良い文で表記されているので、 判り易い。 天才山田正紀 は天才クルト・ゲーデル に興味がある筈だが、 今までには言及が無かったが、 本書はクルト・ゲーデル の「不完全性定理」 が出てくるので、 山田正紀 が「不完全性定理」 を小説化したと解釈するのなら、 真相は決定出来ないというのが答えだろう。 ラストは答えがAかBかのどちらかに収斂する直前に終わるが、 自分で自分を観測することが答えになる構成で、 ハイゼンベルクの不確定性原理のパロディも同時にやっているのか? サイコトパスの8人の全会一致性も破れているので、 アローの不可能性定理も小説化しているよな。 小説世界内の論理システムでは、 真相は不完全で不確定で決定することが不可能だが、 上位の論理システムの読者が決定することは可能である。 私が決定した真はオーダーの多い方である。 サイコトパス(ベラスケスエンジン)が作られた本来の目的を考えれば、 そうでなければいけない。 多いオーダーは少ないオーダーを含むので、 少ない方が真と考える人もいても間違いではない。 あっ、ラッセルのパラドックスも小説化してるかw 読者がどちらを正解として解釈してもかまわないが、 小説世界内の登場人物には正解を決定することは出来ないというのが、 この小説の正しい意味である。 意味と解釈の違いも正しく認識している、 言語学SFとしても傑作である。 | ||||
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「自分がバラバラ死体になってしまった」「その手足を探してほしい」という奇妙極まりない依頼を受け、推理作家の静香が、口唇言葉子だの、腕貫だの、これまた奇妙な名前の人物たちと遭遇します。このネーミングセンスは間違いなく山田正紀のものですが、読み進むにつれ、もしかして倉阪鬼一郎が書いたんじゃないか、と思わせるような眩暈感が襲ってきます。<女囮捜査官>シリーズを思わせるような密室を始め、不可能状況も色々な形で出てきます。しかし、全ての謎が解き明かされるわけではないので、純粋な本格ミステリとはいえませんが(もしかしたら『どちらかが彼女を殺した』ばりに、手がかりは全て提示されているのかもしれませんが…)、消化不良を起こさない程度の謎解きはしてくれます。本作のテーマは、SF、あるいは哲学チックに読者を迷宮に引きずり込むことにあって、それはしっかりと達成されていると思います。何しろ、主人公がデジャヴを感じるところでは、読者もちゃんと既視感を抱き、なおかつ“どこで”というのが咄嗟には思い出せないのです。作者の周到な計算と構成が伺えます。 | ||||
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実に山田正紀氏らしい快作でした。ミステリ風に始まり、サイコサスペンスを経由して、最後はSF風になるという、山田正紀作品のある一面の特徴と楽しさを見事に詰め込んだ作品です。途中矛盾や混乱もあり、純粋ミステリマニアには不満な作りかもしれませんが、ジャンルに囚われない読み方をすれば、その矛盾さえもが作品の雰囲気や味を構成する役を果たしており、とても刺激的な作品として楽しめると思います。 | ||||
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