サイコトパス
- SF (392)
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この時期の山田正紀は、迷い、試行錯誤していたのだろう。本格SFが一般には受け入れられず、またシリーズ化したかった名探偵ものも不発に終わった。 SF専門誌から小説宝石という一般読者向けの雑誌に移して書かれたのがこの作品である。ただ、単純なミステリーではなく、小説の中にもう一つの小説がある形で始まり、主人公は何者なのか?がテーマになってる。このテーマは以降の作品にも継続される。 また他の登場人物もよく考えてあり、その意味でよく出来た作品である。 ただラストは、「やっぱり」と思った通りであった。でも「それでもいいのかな」とも思えた。ただし、そう理解してもらえるのはファンだけであろう。 | ||||
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ラストで結末を読者に委ねる放り投げタイプなので、 真相が明示されないので悩むが、 命題の真偽が決定不可能というだけで、 命題自体はエレガントな良い文で表記されているので、 判り易い。 天才山田正紀 は天才クルト・ゲーデル に興味がある筈だが、 今までには言及が無かったが、 本書はクルト・ゲーデル の「不完全性定理」 が出てくるので、 山田正紀 が「不完全性定理」 を小説化したと解釈するのなら、 真相は決定出来ないというのが答えだろう。 ラストは答えがAかBかのどちらかに収斂する直前に終わるが、 自分で自分を観測することが答えになる構成で、 ハイゼンベルクの不確定性原理のパロディも同時にやっているのか? サイコトパスの8人の全会一致性も破れているので、 アローの不可能性定理も小説化しているよな。 小説世界内の論理システムでは、 真相は不完全で不確定で決定することが不可能だが、 上位の論理システムの読者が決定することは可能である。 私が決定した真はオーダーの多い方である。 サイコトパス(ベラスケスエンジン)が作られた本来の目的を考えれば、 そうでなければいけない。 多いオーダーは少ないオーダーを含むので、 少ない方が真と考える人もいても間違いではない。 あっ、ラッセルのパラドックスも小説化してるかw 読者がどちらを正解として解釈してもかまわないが、 小説世界内の登場人物には正解を決定することは出来ないというのが、 この小説の正しい意味である。 意味と解釈の違いも正しく認識している、 言語学SFとしても傑作である。 | ||||
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人気作家である母と、その娘。それぞれが直面する猟奇連続殺人。 それらはやがて絡み合い、その解決の過程で「わたし」は果たして母なのか、それとも娘の方なのか、自分自身のアイデンティティーさえ見失っていく。「わたし」は一体誰なのか・・? ストーリー前半は、謎が謎を呼ぶ展開に、「一体どのように紐解かれてゆくのか」と、謎解きに対する読者としての期待が高まりますが、後半、その興奮は徐々に、二人の「わたし」という精神世界の中で、謎自体どこまでが謎であったのか、この謎を読者がともに追っていたのは母娘どちらの「わたし」だったのかと、作中の「わたし」と同様に読者の抱く整合性も徐々に崩れていくような、不安定な世界を読み進む戸惑いに変わります。 後書きで作者も言うように、本書は「広義」のミステリーではあります。しかし決して「論理的謎解き」を求める作品ではないということ。あくまでも本書の主眼は曖昧模糊とした精神世界にあるということに、読者としては注意が必要です。 個人的には、前半のトリッキーなストーリー展開があるだけに、無駄に惹き付けられて最終最後は突き放されたようで全くいい気持ちはしませんが、徐々に少しずつ世界が歪んでいくような不安感を、最後まで読者に読ませる作者の筆力はさすがと感じますので、星2つ。 読む人を選ぶ作品であることは間違いなく、書店で導入部分を立ち読みし、惹かれて購入した人にとっては、間違いなく期待を裏切られる作品でしょう。 裏切られ方を納得できるか、できないかは個人次第ですが、筆力の問題で裏切られることはまずないので、その意味では安心していいかと思います。 | ||||
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「援交探偵」シリーズの女流作家が、ある男の依頼を受けて調査を開始。事件の真相に近づくにつれて、ある事実が明らかになっていく、というサイコサスペンス。それのどこがサイコサスペンスなのか、というのがこの小説の読みどころでもある。 アイディアや展開の仕方、どれをとっても楽しめなかった。著者にとっては会心の作だったようですが…。山田正紀ファン以外にはお薦めできない。 | ||||
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「自分がバラバラ死体になってしまった」「その手足を探してほしい」という奇妙極まりない依頼を受け、推理作家の静香が、口唇言葉子だの、腕貫だの、これまた奇妙な名前の人物たちと遭遇します。このネーミングセンスは間違いなく山田正紀のものですが、読み進むにつれ、もしかして倉阪鬼一郎が書いたんじゃないか、と思わせるような眩暈感が襲ってきます。<女囮捜査官>シリーズを思わせるような密室を始め、不可能状況も色々な形で出てきます。しかし、全ての謎が解き明かされるわけではないので、純粋な本格ミステリとはいえませんが(もしかしたら『どちらかが彼女を殺した』ばりに、手がかりは全て提示されているのかもしれませんが…)、消化不良を起こさない程度の謎解きはしてくれます。本作のテーマは、SF、あるいは哲学チックに読者を迷宮に引きずり込むことにあって、それはしっかりと達成されていると思います。何しろ、主人公がデジャヴを感じるところでは、読者もちゃんと既視感を抱き、なおかつ“どこで”というのが咄嗟には思い出せないのです。作者の周到な計算と構成が伺えます。 | ||||
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