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太陽黒点
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【この小説が収録されている参考書籍】
太陽黒点の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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これは凄い!!山田風太郎は、ミステリー作家としも超一流である。この『太陽黒点』余りにも見事な大どんでん返しに、声もでない。間違いなく【金字塔】である。 | ||||
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Very nice | ||||
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星1つに設定してはいるが、もちろん内容にではない。廣済堂文庫版は帯や裏表紙のあらすじでネタバレしているので購入時に注意が必要である。 山田の鬼才ぶりを堪能できる文句無しに面白い作品。が、何をどう説明してもネタバレになってしまいかねず、人に勧めるのが非常に難しい作品でもある。(ネタバレ無しと書いてある書評であっても結果的にネタバレしてしまっている物が多数存在する)。 事前にレビューや書評に目を通してしまったが為に興を殺がれてしまった、というしょんぼりな報告が散見されるので、もし本作未読の方がこのレビューを読んでいらしたら是非とも予備知識を入れずに作品に当たってみて欲しい。 | ||||
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時代色、と言うべきなのか、文体にしても形象作法にしても人物造形にしても少し上滑りしている印象が強い。トリックにプロットも首を傾げてしまう。発表当時に読めばそうでもなかったのだろうが、文学も時代の制約や時の流れの洗礼をきつく受けるのだなあと思うと、今日まで生き残っている古典の生命力に感嘆を禁じ得ない。何とか読み進められたので、可も無く不可も無しの星3つ。 | ||||
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読んでいる最中は、若者の破滅を描いた青春小説としか思えなかったが、最後にある人物の独白があり、ミステリー作品へと変貌する。 事件の構造と動機に特色がある。 また、戦争による犠牲の無意味さへの作者のメッセージが込められている。 (ネタバレ) 犯人はこの犯罪を「遠隔操作の殺人」と称しており、これがこの作品の狙い、特色になっている。作品の初めの方に出てくる、ある書物の内容が事件の真相に直結する核心となっているところが実に巧妙である。 「プロバビリティーの犯罪」で、遠大で相当大掛かりな計画に基づく犯罪であり、このようなタイプのミステリーを読んだときにいつも感じることだが、そんなに都合よくいくだろうかという疑問は持たざるをえないが。 各章の「死刑執行・〇〇前」という見出しがミスリードになっているところも面白い。 動機の間接性、屈折している点も、この作品の特徴である。犯人の戦争時の体験と、その後の人生で気づかされた戦争犠牲の無意味さ。「誰カガ罰セラレネバナラヌ」というメッセージに触発されて行われた「観念」による殺人である。 | ||||
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この小説の発表は1963年だから、1964年発表の中井英夫『虚無への供物』の前年になる。 どちらもやり場のない怒りが動機の根底にある。 『虚無への供物』では洞爺丸事故での不条理な多数の死者、そしてこの小説では太平洋戦争と特攻隊の悲劇。 「いったい、あの大犠牲に何の意味があったのか?」 犯人の内面で繰り返され、増幅してきた問いが、ある時目にした言葉で明確な形になる。 「誰カガ罰セラレネバナラヌ」 ここで語られる犯罪、謀略は、風太郎の初期の短編『眼中の悪魔』にも萌芽が見られるが、この小説で複雑かつ綿密な構成を備えて完成し、数年後の『妖説太閤記』での謀略の怪物としての太閤秀吉へと発展していく。 シェークスピアの『オセロー』に出てくるイアーゴーの奸計を思い出す人もいるかもしれない。 やり場のない怒りの種があふれ、その怒りの矛先も、そして罰を実行する手立ても、ネットやSNSなど容易に見つかる現代、いつでも我々はこの目に見えない遠隔の悪意の実行者にも、被害者にもなりうる。 | ||||
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アラン・ドロン「太陽がいっぱい」と黒澤明「天国と地獄」を足して2で割ったようなプロットで始まるミステリ。最初の章タイトルが「死刑執行・1年前」で、次が「死刑執行・8ヶ月前」。それだけでドキリとする。 「1か月前~1日前」の章までは不穏な恋愛小説として話が淡々と進むが、そのすべてにまったく違う意味が隠されていたことが、終章「死刑執行当日」で明らかになる。 この終章はかなり長いのでファイナルストライク的な衝撃はないが、論理のあまりにアクロバチックな展開に、読者は愕然とする。これは犯罪小説なのか、ミステリなのか。呆気にとられボーゼンとしてしまう。 動機はあり、周到な準備のもとに時間をかけて犯罪が行われ、人が殺された・・・ 確かに完全犯罪だが実に漠としているので、人はこれを犯罪とは認めないだろう。 犯罪の動機、構造とトリック、すべてが類例をみない奇想だ。傑作かどうか出来は別として、風太郎以外には絶対に書けない異様なミステリだ。 構造としてはほかの風太郎作品、「妖異金瓶梅」「誰にでもできる殺人」「明治断頭台」同様、最後のエピソードでそれまでに完結していた話が全部ひっくり返り、まったく違う物語が現れる“積み木崩し”タイプ。 いちばん下のピースをコンと弾き出すと全体が一瞬で崩壊する、その感覚が爽快でいいのだが、本作で風太郎は戦中派の想いを珍しいくらい生々しい語り口で書きつけており、重苦しくて爽快感は生まれない。しかし、それがこの小説の眼目だろう。 | ||||
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イケメン苦学生は,アルバイトで金持ちの家を訪れ, そこで知り合った女性に誘惑されたことから人生が狂い始める. 恋人やバイト先の同僚まで巻き込んだ転落の真相は? ミステリーのテーマとなるのは,Who done it?,またはHow done it?であるが, 本作品のテーマは,ストーリー全体を通して裏で何が行われたのか,すなわちWhat is done?である. 殺人があって,トリックがあって,真犯人と真相を暴くという古典的ミステリーとは違うタイプの 今風のミステリーであり,終戦から間もない時代を舞台にこんな作品が書かれていたことに, 作者の先見性を感じる. 真相の隠し方やミスリードもうまく機能しているし, このような犯罪にリアリティを持たせる時代背景もよく描かれている. 転落する2人の若者の心理など,今の時代では成立しないであろうが, 一方で犯罪の動機は現代の愉快犯的であり,このあたりのギャップも面白い. ただ,途中で断りなく一人称視点が変わったりするので, 明かされていない真相の存在に気づいてしまうのが少し残念. | ||||
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山田風太郎の推理作家としての、技量は素晴らしいと思います。 時代設定も面白いですね。 この時代を生きた人にしか書けない小説だと思います。 | ||||
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山田先生の長編ミステリーを代表する傑作と言って良いのではないか。全体を構成するミステリー的技巧もさる事ながら、戦争体験を経た山田先生の思惟がこれ程ストレートに出ている作品は珍しいのではないか。常に戦争及びその首謀者を批判し、その反動とも言うべき反骨精神を体現していた山田先生の中にこうした感情が潜んでいたとは新鮮な驚きでもあった。作中の、「誰カガ罰セラレネバナラヌ」との言葉が重く心に響いた。 勿論、構成上の工夫にも新規性がある。こんなに巧く行くものかという皮相な批判は重いテーマの前に吹き飛んでしまうであろう(そうした批判をかわし得る用意周到な記述ぶりでもある)。なまじの戦争文学では及ばない深みがあるのである。山田先生の作品の中では異色作と言って良いと思うが、ミステリー的アイデアの秀逸さと共に、深い文学性を兼ね備えた貴重な一作だと思う。 | ||||
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小説の構造は、ミステリーとして他のレビューにあるとおり秀逸で 無軌道で、且つ計画的なトリックは著者独特の味わいがある。 他の短編でも見られる著者の奇想には改めて驚かせる。 水木しげる先生の「総員玉砕せよ!」を思い出せるシーンがあった。 無意味ともいえる戦場で、報われることもなく亡くなった兵士たちに 水木先生と同じく、著者は非常な哀惜の念で書いたようにも思える。 「誰カガ罰セラレネバナラヌ」 表に表出する殺人と、作者が訴える作中で描かれない大量殺人への想いがとても切なく感じる。 これ読むと、不景気な世を腐っている場合ではないですね。 | ||||
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今まで忍法帖と明治物に比べて、ミステリにはこれといった傑作はないなぁと(恐れ多くも)思っていたのですが、 これを読んで考えを改めなければならなくなりました。 さすが山田風太郎と言わざるを得ない仕掛けが施されています。 読み終わった後には太陽黒点という、およそ内容と合いそうもない表題の意味に気付き、してやられた!と思うこと間違いなしの傑作だと思います。 | ||||
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著者の敗戦後の日記に垣間見られるような戦後の世相への違和感と無責任な権力への憤りが最もストレートに現れた作品としても重要。明治物や忍法帖にも伺えるその思いが剥き出しで描き出されている云わば怒りの書。もちろんミステリとしての驚きと巧緻さは言うまでもない。特に本書はミステリ史上類を見ない大胆な企みが隠されている。著者はミステリ作家としての自分を低く評価していたようだが、明治物や忍法帖でもその面白さを支えているのは謎解きやトリックの意外性だ。初期ミステリのさらなる復刊と再評価を大いに望む。 | ||||
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山田風太郎は忍法帳ものからエッセイまで、どのジャンルでも優れた作品をのこした才人。太陽黒点はその風太郎作品のミステリにおける代表作である。妖異金瓶梅、明治断頭台、誰にでもできる殺人、といった連作短編集のミステリと並んで、太陽黒点が現在の作家に与えた影響は大きい。有名どころでは京極夏彦の絡新婦の理などに影響が読み取れる。それだけこの作品のアイディアが独創的で新しかった、といえる。ミステリ好きなら必読の傑作。ちなみに小説以外の分野なら臨終図鑑や同日同刻なども独創的な発想の面白本。 | ||||
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山田風太郎は忍法帳ものからエッセイまで、どのジャンルでも優れた作品をのこした才人。太陽黒点はその風太郎作品のミステリにおける代表作である。妖異金瓶梅、明治断頭台、誰にでもできる殺人、といった連作短編集のミステリと並んで、太陽黒点が現在の作家に与えた影響は大きい。有名どころでは京極夏彦の絡新婦の理などに影響が読み取れる。それだけこの作品のアイディアが独創的で新しかった、といえる。ミステリ好きなら必読の傑作。ちなみに小説以外の分野なら臨終図鑑や同日同刻なども独創的な発想の面白本。 | ||||
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天才・山田風太郎の本格ミステリ作品。このお人はミステリ作家としても歴史に刻まれる超一級品を数々残されているのです。で。貧乏学生である恋人の借金の肩代わりの為、一度だけ身体を売った女性。それがきっかけで彼女は恥辱を受けるに至り、苦悩の末自殺を考えます。そしてそれを知った、彼女に恋心を抱いていた若者は彼女の為に…。恋愛劇、愛憎劇のような展開が長く繰り広げられ、やがて悲劇的な結末を招くのですが――実はその裏に潜む驚愕の真相。登場人物が限定されている為、真犯人を当てるのはさほど難しくないでしょう。そういう意味で、これはフーダニットの作品ではないと思います。然し。天才・山田風太郎が仕掛けた、超絶技巧のトリックが、この作品の肝ではないかと。そこを読み込むべし、と思うのです。そして、犯人の動機と、戦中・戦後日本の在り様が対比される時、真の悲劇が読者の眼前に晒されるでしょう。山田風太郎のミステリに興味をもたれたら、他にも絶品が数多くありますのでそちらもお奨めです。 | ||||
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天才・山田風太郎の本格ミステリ作品。 このお人はミステリ作家としても歴史に刻まれる超一級品を数々残されているのです。 で。 貧乏学生である恋人の借金の肩代わりの為、一度だけ身体を売った女性。それがきっかけで彼女は恥辱を受けるに至り、苦悩の末自殺を考えます。そしてそれを知った、彼女に恋心を抱いていた若者は彼女の為に…。 恋愛劇、愛憎劇のような展開が長く繰り広げられ、やがて悲劇的な結末を招くのですが――実はその裏に潜む驚愕の真相。 登場人物が限定されている為、真犯人を当てるのはさほど難しくないでしょう。 そういう意味で、これはフーダニットの作品ではないと思います。 然し。 天才・山田風太郎が仕掛けた、超絶技巧のトリックが、この作品の肝ではないかと。そこを読み込むべし、と思うのです。 そして、犯人の動機と、戦中・戦後日本の在り様が対比される時、真の悲劇が読者の眼前に晒されるでしょう。 山田風太郎のミステリに興味をもたれたら、他にも絶品が数多くありますのでそちらもお奨めです。 | ||||
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