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光源
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光源の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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映画の裏話がよくわかった。邦画の色の具合って、裏方の方々がどんなことを考えて仕事されてるのかが少しわかった。作品中の映画も、北海道の寒い感じの色、侘しさなんかが文章からリアルに想像できて映画を観てる感じがした。登場人物の心理描写が相変わらずとても細かく繊細で良い。この劇中映画、『ポートレート24 』映画化してほしいところ。高見は西島秀俊かな。 | ||||
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人間臭いといえば人間臭い。 欲望のありとあらゆる要素がつまりに詰まっている。 だけれども、その毒気は強烈。 そりゃあそうですよ、何せこの作品で扱われる 映画、もう訳ありも訳ありですよ。 出演者ももうね、いろいろと勝手気まま。 何せ撮影時期にヌードとかフツーに出ちゃうぐらいにフリーダム。 あと俳優がまあプライドの塊。 監督が頭抱えるぐらいに。 まあその撮影がどうなったかは大方予想通りでしょう。 ただし、最後には意外な結末を迎える人がいます。 まあ人によっては予想通りかな。 見事にその名誉さえも、こいつに関しては捨て去ります。 だけれども待ち受けるのは…だろうね。 毒気が強烈です。 そういうのでもいいんだよ!!という人以外は推奨しません。 毒好きで、最後因果応報もあるのでそういうのが好きな人は面白いかと。 | ||||
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この小説の始まりは、あまり入り込めなかったが、新人監督が出てきた辺りから、どんどんのめり込んだ。 脚本を認められて、資金不足から監督に抜擢され、自分の映画を初めて撮ることになる。 映画研究会に入っていたけど、実際に映画関係の仕事に就いたこともない新人監督が、映画を撮ることがどういうことなのかということを学んで行く。 新人監督ということもあり、自分のやりたいこともできず、有名俳優の意見や老練なカメラマンの意見に翻弄され、妥協に妥協を重ねる。 その中で、監督として目覚め、これからいい作品が作れるという矢先に、撮影が頓挫して、水泡に帰す。 自分も映画監督になったつもりで、映画作りに夢中になっていたので、この映画をあのスタッフで完成できなかったことがとても残念だった。 映画作りということに目を開かせてくれたいい作品だった。 「映画は足し算だ」という言葉が印象に残っている。 | ||||
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他の桐野作品と違い、大きなドラマもなければ、毒もない。そうしたドラマチックな作品を期待するとがっかりするだろう。昔、著者はシナリオ作家だったらしいが、映画作りの現場を使って、映画を作ることとは何か(そして小説作りとはどうちがうのか)を描いている。映画では、脚本家、監督、カメラマン、製作者、役者、その他のスタッフが集まって、それぞれがベストを尽くしつつも、エゴとエゴとのぶつかり合い、感情のもつれ、資金の不足、どうにもならない天候、ヤクザなどと格闘し妥協しながら、当初のそれぞれの意図とは少し違ったものにならざるを得ない。小説は著者が神の眼で、結末まで支配できるが、映画では誰も支配できない。従って、語り手も小説の中で、何人も登場し、それぞれの立場で同じことを語る。まるで小説・映画の藪の中のように。小説としてもとても面白いが、映画好きは是非読むべし。 | ||||
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本作品は、いわゆるミステリーではありません。 映画の製作に関わるプロデューサー、映画監督、撮影監督、男優、女優が、それぞれの打算、体面、野望を賭け、生き残りの為にぶつかり合う物語です。 人間の非常にどろどろした部分が良く描写されていて面白いです。 迷う新人監督、それを御せないプロデューサー、疑心暗鬼になる俳優....。 どこかで見た事あるな、と感じる読者も多いのではないでしょうか? 実社会で、特に珍しくもなく繰り広げられている光景です。 本作品の登場人物を、自身の周りの人物に置き換えて読んでみるのも面白いかと思います。 | ||||
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ストーリー展開と人物造形の両面でスリルとサスペンスに満ちたすばらしい作品。「OUT」と同じく出口(突破口)を求めてさまよう人間の群像をみごとに描いている。物語への没入をやや阻むほど鋭い作家の乾いた視線に感心しながら心震わせつつ読み進めた。間延びしたところが皆無、贅肉のまったくない見事な文体もすがすがしい。世界中のどこに出しても恥ずかしくない日本文学の誇りである。 (302ページの11行目「優子が吐き捨てると」は「佐和が」の誤りに違いない。編集者はしっかり原稿を読むべし) | ||||
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個人個人の思惑がぶつかり合うことにより事態が変化していく様子が面白いです。 政治の世界、仕事などでも、個人個人の思惑により、物事が進まなかったり、 とんでもない方向に向かっていってしまうことがありますが、 そういった状況を上手く表現しているかと思います。 | ||||
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この本を一言でまとめるとしたら、「人生とは川のようなもの」ということでしょうか。物語が多重構造になっていて、最後までだれを主軸に物語を読み解けばよいのかわかりませんでした。でも、人の一生を大河に例えるなら、絶えず注目を集める大きなうねりと、日陰にはいってしまっている小さな淀みがあるように、この物語は登場人物の人生すべてが主人公であり、それぞれの人生の一番劇的なところにスポットライトをあてたものなんだと思います。 | ||||
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動作とか会話の外表現よりは、心情とか思考の内面表現が多い、 桐野夏生さんっぽい本。共感が持てる汚さが読んでて楽しい。 あらすじだけ聞くとドロドロした内容だけれど、読み終わった後には 妙な爽快感がある。 登場人物全てに、主眼から描かれる章が存在するために、 誰が主人公なのかわからないけれど、誰もが自分勝手に生きている、 という意味であえてそうしたのだと思えば納得できる。 桐野さんの本は人を選ぶと思っているけれどコレは万人受けしそう。 | ||||
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ひとつの映画製作にかかわる人々の、欲望の交わる顛末記である。私自身は映画製作にはまだ『夢』を持っているほうなので、このような物語は、心理の駆け引きやら打算やらを垣間見ることが出来て大変興味深いと思うと同時に、ちょっとやりすぎではないのというところもあった。もちろん無理も無いと思わせる設定にはなっている。この映画のねらいは単館上映、芸術肌の作品である。監督はなんと新人監督で、オリジナル脚本。プロデューサーはベテランの女性。しかし、大監督の夫とは離婚危機の途中。プロデューサーのもと恋人の撮影監督。新進の主演男優。アイドル上がりの主演女優。普通なら監督がしきるか、プロデューサーが有無を言わせない進行をするはずなのであるが、この設定では監督は頼りなく、プロデューサーの力は弱く、すべての登場人物たちがふらついているので、先が見えない。唯一の望みはうまく創れたとしたらちょっとしたら傑作になるかもしれない脚本の出来だけである。私が思い出したのは寺島しのぶが主演した『ヴァイブレータ』という作品である。スタッフも内容もまるきり違うのではあるが、ロードムービー、単館上映であるところと、この作品で一人の女優が開花したという点で共通点がある。この作品が出来あがる過程には『光源』のようなどろどろもあったかもしれないと思った。『ヴァイブレータ』は成功した。一方この作品中の映画『ポートレート24』は…。 | ||||
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映画製作を軸にして、プロデューサーや映画監督、俳優たちの思惑や私利私欲が絡んだ駆け引きを描いている。私は基本的に多くの登場人物の人間模様を捉えた群像劇が好みなので、この作品もかなり面白く読んだ。下手に倫理観など持ち出さずに、エゴはエゴ、欲望は欲望として真正面から生々しく描いている。こういう作品こそ大人が書いた小説だと思うし、ある意味ノワールにも通じるものがあると思う。以前読んだ桐野の作品に、ヒロインが職業としては軽蔑しているくせにAV監督に惹かれて関係を持ってしまう場面があって、微妙な心理描写のリアリティが凄いなぁと感嘆したものだが、『光源』でもそうした筆力は遺憾なく発揮されている。例えば、女性プロデューサーと寝たきりになっている映画監督の夫、その前妻の三者の愛憎など、特にページが多く割かれている訳ではないが、確かなリアリティを伴って読み手に伝わってくる。俳優が放った「俺は映画の奴隷じゃねえよ」という啖呵が作品の隠れたテーマなのか、最後の一行にまで効かせた構成には正直、やられた、と思った。 | ||||
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まさに 帯の文句そのままの作品ですよくもまあこんな自分勝手なヤツラばかりでてきたもんですある意味すがすがしいくらいに桐野作品を読むのは OUT 柔らかな頬についで3作目ですが本作の欠点は主人公の視点が前半と後半で変わってしまっていることこれは作者の狙いなのか?だとしたらこの手法はもうやめたほうがいいと思う話が散漫になるし人物描写の密度が薄くなる | ||||
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魅力溢れる登場人物やドラマチックな展開があるわけでないが、読み出すと途中でやめられなくなる作品である。ある映画の製作過程が、カメラマン、プロデューサー、監督、出演者などの視点から描かれている。誰もが自分の仕事に誇りと情熱を持ち、より良い作品を作り上げようとしているのだが、逆にそれが様々な軋轢を生む。これは映画製作にとどまらず、人間社会全般に言える普遍的な問題なので、この作品に没頭してしまったのかもしれない。実際の製作現場がどんなものか、私には知る由もないが、ここに書かれたことを参考にして、いろいろな映画の舞台裏を想像してみるのも楽しい。 | ||||
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女プロデューサー、新人監督、達人のカメラマン、人気男優、元アイドル女優。それぞれのいろんな想いが絡み合う。暗い調子で話は進む。それぞれが光を求めて、みんなに光は当たるのか?桐野夏生の達者さが感じられる佳品です。 | ||||
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ストーリーはミステリとはいえないが、さまざまな思惑が絡み合う人間模様は実にミステリ的だ。映画の撮影現場の様子も非常にリアルである。序盤、有村、玉置、薮内の心象が代わる代わる描写されるが、中盤以降、高見の視点でストーリーを収束させていくくだりは、作者の並々ならぬ力量を感じさせた。 | ||||
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