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不死蝶
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不死蝶の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.68pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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名探偵あるあるで、報酬は二の次に、興味を持った事件だけを引き受けるというのがあるが、本作の金田一耕助は、(移動当日朝に脅迫状が届くまでは)依頼内容にはまるで惹かれないものの、避暑の旅代わりになるだろと軽い気持ちで受けていた。彼らしいw 信州に位置していて、懐に湖水を抱いたロケーションは『犬神家の一族』であり、狭い村に並び立って確執のある旧家や地下に広がった鍾乳洞と言えば『八つ墓村』である。この両作品名は本文中にも触れられており、著者も意識的だったことは間違いない。 著者だけでなく、乱歩もまた『孤島の鬼』や『大金塊』等の作品で、地下洞窟巡りを効果的に用いているが、それらはいずれも怪奇、冒険、サスペンス、ロマンの雰囲気作りで、謎の構成のために必須なものではなかった。 本作の鍾乳洞には3つの入り口があり、いがみあう両家のそれぞれの敷地とカトリック教会の敷地にひとつづつ位置している。23年前の事件当時、カトリック教会に繋がる道は公にされておらず、それが発見されたのは、23年前の事件から一年経ってからであった。 こういった状況を配して、著者は鍾乳洞の構造をもっと直截にトリックに絡ませた作品を書きたかったのではないか。 しかし、結果としてはこの試みはあまり成功したとは言えない。 構成されたトリックは悪くはないと思う。23年前の事件と深く繋がっているのは確実なので、それで嫌疑を外れる人もいて、さして多くもない残りのキャラの中で、うまく構成されている。 しかし失った代償が大き過ぎる……。 屋敷の見取り図を作って犯人の動きを決めていくように、憶測だが、簡易な鍾乳洞の構成を思い浮かべてプロットを決めていったからだろうか、地下の暗闇に広がる洞窟というロケーションの怖さがごっそり抜け落ちているw 百歩ほど譲って、矢部、玉造両家の人間は、子どもの頃からこの鍾乳洞に親しんでおり、内部の構造に明るく、恐怖など感じないということは了解してもいい。 しかし「ゆくてには断崖あり、底なし井戸あり、さらにまた人跡未踏の魔の淵も」(P.192)あるというのに、夢遊病で入り込んだ(らしい)マリの母親を探して、マリやら耕助やらパーティーに居合わせた警察署長やらが、玉造家の少女(これが本作の由紀子だw)の案内で、標識も照明設備もない鍾乳洞に命綱もつけずにずんずん進んでいくのである。食っちゃべったり、皮肉をぶつけ合いながら、自分が遭難する可能性など一切ないが如く。 第一、かなりの閉所恐怖症であるわたしが、頁を繰る手を一切止めずに読める時点でダメだろw 少年向けの『大金塊』ほどの臨場感すらなかったよ……。 たしかに『八つ墓村』が名作として残っているのは、津山事件にフィーチャーされた過去の事件のインパクトや、村で何らかの共通項のある二人のどちらかが、連続的に殺されていくという魅力的なプロットを背景として、巻き込まれ型の怪奇冒険サスペンス&ロマン小説として面白いからであって、決して優れた本格探偵小説とは言えない。クライマックスの地下洞窟巡りもトリックとは結びつかない。 本格探偵小説の鬼として、そこにチャレンジする姿勢は尊敬に値する。 しかしそういった面白さを担保する雰囲気描写をないがしろにしても見合うほどには、本作の「謎」が魅力的だとは言えない。 なるべく優しくありたいと願っているwわたしは、この前に『吸血蛾』、その前は『幽霊男』と、THE 通俗味の強い作品を立て続けに読んでしまったので、その成分により敏感になった所為で、厳し過ぎる見方をしてしまったかもしれないとは考えたが、「いがみあう両家」とくれば定番のロミオとジュリエットネタだって、三世代に渡って繰り返されてるとなれば、これも通俗味がくど過ぎるんじゃないかい。【注1】 【注1】本書刊行のほぼ同時期から連載が始まった『甲賀忍法帖』は傑作だと思うがw | ||||
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約300ページの長編『不死蝶』と、約100ページの『人面瘡』からなる。 ともに金田一耕助が事件解明に関わる。 『不死蝶』では、2つの家が対立している信州のある地域が舞台となっている。そこにある有名人が来ることになり、事件へと発展していく。この展開は『悪魔の手毬唄』を彷彿とさせる。また、迷路のような鍾乳洞が重要な現場となっているという点では、『八つ墓村』にも近い。 事件の展開はあまり込み入っておらず、また、金田一による最後の謎解きもパッとしない。 『人面瘡』では、金田一とともに、岡山県警の磯川警部が登場する。二人で静養に行った先で事件が起こる。 短いが、起承転結のある構成になっており、いい作品だ。 | ||||
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不死蝶 | ||||
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安定の不気味さでした。 人面瘡の話に至っては余りにもリアルで、実際に人面瘡と言う病気があるのかどうかググってしまった。 強いて言えば、ブラジル生まれブラジル育ちのマリお嬢に余りブラジルっぽさを感じなかったのにほんの少し違和感を感じましたが、時代背景も違うし気にならない程度。 読みながら自分も湿った洞窟にでもいるような気分になりました。 | ||||
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本編は、過去に読んだこともあるし、テレビドラマでも見ているので、内容はだいたいわかっていました。 ただ、昔読んだときは、横溝小説の読み始めということもあって、結構わくわくしながら読みましたが、今ではもっとヘビーな(例えば八墓村)もの読みなれたので、少し拍子抜けしました。 寂しいことですが。 | ||||
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横溝正史は作品の質にむらがあって、特に中・後期のエログロサスペンスはいただけない。その作品群の中で、「不死蝶」は中期の佳作。作品自体はたいしたトリックが使われているわけではなく、洞窟が出てくるところは、八つ墓村や迷路荘の惨劇に似ていて、使い回しをしている感があるのは残念。 ただし、この作品をただの凡作にしていないのは、解決編での金田一と主人公のやりとり。主人公が犯人の動機がよくわからないと言ったときの金田一のセリフ「日本人がいちばん大切にしているものそれは愛する者への犠牲心ではないでしょうか」というひと言が、本作を佳作へと昇華させていると思う。 最後に、映像化作品について。ほとんどのファンは横溝正史シリーズを推すと思うが、僕はTBSの2時間ものをオススメする。普段は風体が上がらず、獄門島では早苗さんにふられるなど、女性についてはサッパリなのだが、本作では主人公から一目惚れされてしまう。しかも、美人でブラジルでコーヒー園を経営をしている大金持ちから、いっしょにブラジルに来て欲しいと請われるのだ。主人公を演じた有森也実がとても可憐。二人の恋の行方も本作の見どころである(もちろん、二人の恋などというのは原作にはなく、ドラマのオリジナルである) | ||||
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本作品は、ブラジルの大富豪の養女にして帰国子女であるマリと、その謎の母親・君江をヒロインとして、信州の鍾乳洞をメイン舞台に繰り広げられる連続殺人と、金田一耕助による謎解きを扱った作品である。君江が23年前の殺人事件の容疑者・朋子ではないかとの疑惑を絡ませながら事件が進行し、また舞台が鍾乳洞ということから名作『八つ墓村』をも髣髴とさせるが、舞台設定が大がかりな割には小粒な作品である。 縦横に張りめぐらされた伏線は謎解きによってきちっと解き明かされるのだが、その伏線の張り方が浅く、また第1と第2の事件により容疑者がかなり限定され、とくに宮田文蔵が足跡を踏み消すなどしてかばい立てする犯人となると、2人しか考えられないことから犯人の意外性には乏しい。 それに、犯人は第2の事件において、いったいどうやって洞窟内の他の捜索隊に出会わずに古林の居所を突き止めて殺すことができたのか、非常に不可解である。少なくとも犯人の心理として、わざわざ捜索隊員たちに見られるリスクが高い機会を選んで犯行を犯すということは、非常に考えにくい話である。 とはいえ、ベスト10級の作品群には落ちるにしても、全体としてはなかなか読み応えのある作品である。 かつて1976年に『犬神家の一族』が映画化されて空前の横溝正史ブームを迎え、その翌年にテレビで横溝正史シリーズ第一期が、翌々年に第二期シリーズが放映されている。本作品はその第二期シリーズに放映されており、当然、放映作品は代表作ばかりのはずだが、なぜか本書は「金田一耕助ファイル」として復刊されておらず、このまま埋もれさせるには惜しい作品だと思う。 | ||||
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本作品は、ブラジルの大富豪の養女にして帰国子女であるマリと、その謎の母親・君江をヒロインとして、信州の鍾乳洞をメイン舞台に繰り広げられる連続殺人と、金田一耕助による謎解きを扱った作品である。君江が23年前の殺人事件の容疑者・朋子ではないかとの疑惑を絡ませながら事件が進行し、また舞台が鍾乳洞ということから名作『八つ墓村』をも髣髴とさせるが、舞台設定が大がかりな割には小粒な作品である。 縦横に張りめぐらされた伏線は謎解きによってきちっと解き明かされるのだが、その伏線の張り方が浅く、また第1と第2の事件により容疑者がかなり限定され、とくに宮田文蔵が足跡を踏み消すなどしてかばい立てする犯人となると、2人しか考えられないことから犯人の意外性には乏しい。 それに、犯人は第2の事件において、いったいどうやって洞窟内の他の捜索隊に出会わずに古林の居所を突き止めて殺すことができたのか、非常に不可解である。少なくとも犯人の心理として、わざわざ捜索隊員たちに見られるリスクが高い機会を選んで犯行を犯すということは、非常に考えにくい話である。 とはいえ、ベスト10級の作品群には落ちるにしても、全体としてはなかなか読み応えのある作品である。 かつて1976年に『犬神家の一族』が映画化されて空前の横溝正史ブームを迎え、その翌年にテレビで横溝正史シリーズ第一期が、翌々年に第二期シリーズが放映されている。本作品はその第二期シリーズに放映されており、当然、放映作品は代表作ばかりのはずだが、なぜか本書は「金田一耕助ファイル」として復刊されておらず、このまま埋もれさせるには惜しい作品だと思う。 | ||||
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「不死蝶」と「人面疽」の2編が収められている。 いずれも金田一耕助の活躍する物語である。 「不死蝶」はなかなか思わせぶりな物語。これだけレッド・ヘリングのきつい話も珍しいだろう。それだけに、結末の意外さがきわだってくる。 また、横溝正史お得意の洞窟が出てきて、雰囲気も満点。 「人面疽」は、奇怪な話かと思わせつつ、きちんと合理的な説明を付けてくる点が偉い。そのぶん、平凡に堕してしまったような感もあるが・・。 | ||||
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「不死蝶」と「人面疽」の2編が収められている。 いずれも金田一耕助の活躍する物語である。 「不死蝶」はなかなか思わせぶりな物語。これだけレッド・ヘリングのきつい話も珍しいだろう。それだけに、結末の意外さがきわだってくる。 また、横溝正史お得意の洞窟が出てきて、雰囲気も満点。 「人面疽」は、奇怪な話かと思わせつつ、きちんと合理的な説明を付けてくる点が偉い。そのぶん、平凡に堕してしまったような感もあるが・・。 | ||||
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横溝作品に付きものといえばお金持ち。旧家やら資産家やらが必ずといっていいほど出てくる。まあ貧乏人には財産争いなど関係ないし名探偵を雇う金もない。 本作に登場する鮎川マリはブラジルのコーヒー王の養女で世界的な金持ち。氏が存命していればIT長者が登場する話しなんかも書かれたかもしれない。 | ||||
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横溝作品に付きものといえばお金持ち。旧家やら資産家やらが必ずといっていいほど出てくる。まあ貧乏人には財産争いなど関係ないし名探偵を雇う金もない。 本作に登場する鮎川マリはブラジルのコーヒー王の養女で世界的な金持ち。 氏が存命していればIT長者が登場する話しなんかも書かれたかもしれない。 | ||||
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