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悪魔の百唇譜
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悪魔の百唇譜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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「悪魔の百唇譜」は横溝正史の長編推理小説。昭和37年1月「推理ストーリー」誌で発表された「百唇譜」という短篇を、改稿・改題し長編化した作品で、名探偵・金田一耕助が登場する。 東京都世田谷成城町で、放置された2台の車のトランクから相次いで男女の刺殺体が発見された。女の方は中国人貿易商・李泰順の内妻である本郷朱美。男の方は園部隆治という高校生である。両者の死体には同じトランプの「ハートのクイーン」と「ハートのジャック」が置かれていたことから、2つの事件は同一犯による連続殺人の可能性が高いと考えられた。 やがて捜査が進むにつれ、この事件の裏には都築克彦という男の死が関係していることが明らかになっていく。都築は昨年何者かによって殺されており、その死体の第一発見者が内弟子の園部であった。また、卑劣な強請り屋でもあった都築は関係を持った多くの女性の唇紋を集め、「百唇譜」と命名したノートに記録していたという。 かつて都築は朱美を強請っていたことも分かり、園部が「百唇譜」を持ち去り二代目の脅迫者となった可能性も出てきたが、だとするとなぜ二人が同時に殺されなければならなかったのだろうか……。 この時期の作品は社会派ミステリを意識してか、都会を舞台とした地味な物語が多い。本書もご多分に漏れず外連味に欠けるきらいがあるが、プロットはよく練られており、犯行の動機やアリバイの検証など正統派の謎解きを楽しむことができた。 ただ、警察関係者だけでも登場人物はかなり多く、人間関係も複雑なため、全体を把握するのに少々骨が折れるのは難点か。全編にわたって登場するわりに金田一の推理にキレがないのも残念だった。容疑者宅のお手伝いさんの方がよほど有能に見えるほどで、知り合いの中国人に秘密の隠し場所を教えてもらうなど、たびたび幸運に助けられている。 しかしながら、金田一の日常についての描写が多い点は好ましく感じた。まず、物語の冒頭からして、事件を解決した結果ひどいメランコリーにとりつかれた金田一を励まそうと、等々力警部が新たな事件を紹介するところから始まるのだが、旅行に出ようとする金田一を強引に引き止めるくだりが実に微笑ましい。金田一の美味しくなさそうな朝食風景が描かれている点もめずらしく、これだけでもファンにとっては貴重な作品といえるだろう。 <登場人物> 本郷朱美 … 車のトランクから死体で見つかる。李泰順の内妻。 李泰順 … 中国人貿易商。江南産業を経営。 古川ナツ子 … 李家の女中。探偵小説のファン。 坂巻啓蔵 … 江南産業の営業部長。 渡部貞雄 … 江南産業の外交員。 水原ユカリ … 東京キネマで売り出し中の純情派スター。 都築克彦 … 白金会館で刺殺された流行歌手。百唇譜の収集家。 園部隆治 … 車のトランクから死体で見つかる。都築の弟子。 藤野磯吉 … 白金会館の掃除夫。昔、満州で特務機関にいた。 王文詳 … 金田一が助けた中国人実業家。李泰順とも親しい。 有吉医師 … 成城町にあるM病院のベテラン医師。 青木医師 … 世田谷病院の医師。 山川警部補 … 成城署の捜査主任。金田一とは顔見知り。 志村刑事 … 成城署の老練な刑事。金田一とは顔見知り。 三浦刑事 … 成城署の刑事。金田一とは顔見知り。 江馬刑事 … 成城署の刑事。金田一とは顔見知り。 田村巡査 … 成城署の巡査。車のトランクから死体を発見。 宮崎警部補 … 世田谷署の捜査主任。 須藤刑事 … 世田谷署の老練な刑事。 松宮刑事 … 世田谷署の刑事。 佐川巡査 … 世田谷署の巡査。盗難車を発見。 加納警部補 … 高輪署の捜査主任。病院坂で金田一と旧知の仲。 辰野刑事 … 高輪署の刑事。 田所刑事 … 高輪署の刑事。 新井刑事 … 警視庁捜査一課所属の刑事。等々力警部の腹心。 等々力警部 … 警視庁捜査一課所属の警部。金田一耕助の相棒。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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ややこしいプロットを創作し、 手際よくさばいていく筆力は、さすが熟練の芸。 綺羅星のごとき名作群に並べると いかにも地味な一冊ではあるが、 久しぶりに金田一耕助ものを読んで楽しかった。 犯人は最後まで分からず、ドキドキした。 あえて難をいえば、 小説の長さ(約250ページ)に対して、 出てくる刑事の人数がやたらと多いことだろうか。 横溝正史の会話文の書き方には、 「…と○○が言った」というようにはいちいち書かず、 どの発言が誰のものか、だいたいの感覚で 分からせるようなところがあるので、 皆がいっぺんにしゃべると混乱することがある。 まあ、それは本質的なことではないので、 あくまでついでの話だけれど。 ところで、Amazonの解説に 「暗闇の中の猫」を併収と書いてあるが、 角川文庫の最新版である本書には そんな作品は収録されていない。 ん? と思ってネットで調べてみたら、 かつての春陽文庫版には収録されていたらしい。 情報の精度がいい加減だなあ。 | ||||
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最後のほうでようやく犯人が分かるという結構複雑なプロットの作品です。 金田一さんの推理も見事に冴えわたり、なるほどねっと唸ってしまいました。 又最後の警部と金田一さんのイニシャルトークが結構お気に入りです。 最初の数ページの中国人の同胞がやった麻薬事件と最後に絡んでくるのも面白い。 ボリュームは少ないですが、密度の濃い作品です。 | ||||
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