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悪魔の百唇譜
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悪魔の百唇譜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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<少しだけネタバレ注意> 後期の定番になってきた「警察もの」の一冊。 東京を舞台にした事件では、捜査を指揮する等々力警部が耕助を引っ張り込む展開がままある。それだけ聞くと、映画やドラマで描かれる等々力(若しくは彼に類する日和警部)のイメージから、さぞ傲慢でがさつなのだろうと想像しがちだが、原作シリーズを読んでいくと、そういったイメージとは随分違うことに気がつく。 休みを合わせて海水浴場で待ち合せたり(しかも何度もw)、緑ヶ丘荘の耕助のフラットで一緒に風呂に入ったりと、現代の間抜けなご時世ではあらぬ妄想を喚起することも可能だがw、時に耕助の懐具合にまで気を回して幾許かを融通したり、かなり仲の良い友人――というか、面倒見の良い兄のような雰囲気である。 金田一耕助は、捜査も終盤になって犯人の目途がついてくると、メランコリックになって時に自己嫌悪まで抱えるようになるという設定は、映画やドラマでは(わたしの知る限りでは)ついぞ描かれない点で、一方原作小説では何度も言及されてきたが、本書ではその耕助の癖を慮って、そういう孤独感を追い払って彼を活き活きさせるために、半ば無理やりにでも事件に巻き込むのだとまで描写されている。兄心であるw ついでながら、服装以外はむしろ西洋化されている耕助の朝食はこれまでも何度か描写されていたが、本書ではなぜか箇条書きで強調されている。曰く、 ・真っ黒焦げのトースト二枚。 ・みごとに煮えかたまった卵二個。 ・アスパラガスのかんづめ半分。 ・牛乳一本。 『獄門島』や『犬神家の一族』とはジャンルが違うということだけは銘記しておかねばならないが、かなり複雑な構造の事件を少しずつ解明してゆく秀逸な展開が楽しめる。 ただし金田一耕助ものの代表作のひとつに選ぶかと云われればまた別の話。 事件がほぼ解明された時点で、彼は結局メランコリックに襲われて逸早く退場wし、犯人確保には立ち会わなかったというのもあるが、徐々に追い詰められていく犯人側の焦燥がまるで描かれないことや、このなかなかのパワーワードだった「百唇譜」が、結局は強請りのネタに過ぎず、しかもそれとセットとは言え、強請りネタ本体は恥ずかしい写真なのだから、強いて言えば「百唇譜」がなくても話は成立してしまう。 このあたりは、そのパワーワードを作った変質者が、本作の開始時点ですでに故人というのもあるだろうが、個人的にはマイナスポイントだった。 | ||||
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角川文庫の金田一耕助シリーズ第16弾。シリーズ1冊目から何年もかけてゆっくりと読んできた本シリーズも、いよいよ終盤に差し掛かってきた。何年も経つが、読み始めは毎回楽しい。 本作品で犯人がとった犯罪の技巧は複雑である。一方で犯人像はあまり意外性もなく、ここまで技巧を凝らす必要はあったのだろうか、と思ってしまう。個人的には、本作品は金田一耕助シリーズの中では凡作にあたると思う。本シリーズを読み進めてきた中には、本作品と同じく、技巧に凝りすぎてしまったのではないかと思わせる作品もあった。如何に横溝正史先生と雖も、毎回毎回秀作を生み出すのは難しいということであろう。 シリーズ第17弾を楽しみに、本書を閉じた。 | ||||
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東京の離れた二地点で見つかった自動車のトランク内の死体。女の死体の方には、ハートのクイーンのカード、男の死体の方にはハートのジャックのカードが残されていた。被害者の男の方の身許から、「悪魔の百唇譜」事件で殺された男との関連が明らかとなる。「百唇譜」とは、女性の陰部の形を写しとったもので、それをネタにしてゆすりを働いていた男が殺されたというもの。 いかにも、横溝正史らしいテイストの通俗作品だが、地点・時刻・登場人物が複雑に絡みあっており、わかりにくく、ややこしい話だ。 容疑者のアリバイ、容疑者の事件当夜の行動の謎、巡査が目撃した男の謎、車内に残されていた鍵の謎、車の目撃情報の謎、男性被害者と女性被害者とのつながり、「悪魔の百唇譜」事件との関連性、2つの事件の時間的つながりなど、様々な謎が盛り込まれているが、真相説明が雑に感じる。 最後にあっさりとした真相説明があるのだが、これを読んで事件の全体像がすぐに理解できる人がどれだけいるのだろうか。 | ||||
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事件を解決すると孤独感に包まれ、旅に出たがる金田一。 ホームズならコカインの注射に手を伸ばすところかもしれませんが、金田一はアメリカ時代に麻薬からは足を洗っているので、その点は安心。とはいえ彼の憂愁を救おうと強引に事件に引っ張り込む等々力警部もちょっとどうかなと感じるほどです。静養先の岡山で決まって事件に遭遇する金田一が都会でこれでは過労死してしまいます。彼が昭和40年代に日本から脱出したのもうべなるかな。 夜警の巡査から始まる冒頭シーンは殉職の赤信号なのですが、今回の田村巡査の運命はいかに。 「百唇譜」をめぐっての脅迫というエロチックでスキャンダルな事件が本作品のメインテーマです。今でいうならリベンジポルノみたいなものでしょうか?「百唇譜」が事件のキーになるのですが、連続殺人事件を引っ張るモチーフとしては弱く、強い印象が残りません。真犯人が「悪魔」的な悪人としては小物なのです。金田一のシリーズには「悪魔の手毬歌」「悪魔が来たりて笛を吹く」「悪魔の寵児」「悪魔の・・・」とつく作品は多いですが、謎も犯人も小粒です。 金田一と等々力警部のやりとり、関係性を楽しみましょう。 | ||||
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昭和37年1月、『推理ストーリー』誌に『百唇譜』の題名で発表したものに加筆し、同年 10月に中編として刊行した警察推理もの。総合的にいささか地味な印象の作品である。 路上に放置された自動車のトランクから、胸をナイフで一突きにされた女性の死体が 発見される。更に別の路駐車のトランクから10代の若者の同様に刺殺された死体が 見つかる。若者・園部は高校生ながら、前年に起きた「百唇譜」事件の重要参考人で あることが分かり、一連の事件の捜査陣は総合本部を設け、事件の解明に奔走する。 「百唇譜」とは元歌手の都築がジゴロとして関係した婦人の唇紋を取るなど、相手の 肉体や行為を詳細に記録したもの。これを使い都築は多数の婦人をゆすっていたが、 自宅で刺殺体として見つかった。これらの事件が絡みあい、登場人物も多く、事件は なかなか複雑な様相を呈してくるが・・・果たして真相は。仕事の疲れから虚脱状態に 陥っていたところを等々力警部に無理に出馬を要請された経緯のせいか、この作品の 金田一はいささかキレがなく、解決に至ったのも協力者に恵まれたり、幸運の要素が 大きく、大活躍とは言いかねる出来。全般的に横溝テイストは薄めの普通の推理もの。 | ||||
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金田一もの。 プロットのひねりがきいた秀作と思う。物語の展開の仕方が上手いのだ。不思議な死体が見つかり、嫉妬深い夫のしわざかと思われるが、一年前に起きた事件との意外な結び付きが明らかになり、予想だにしない人物が犯人として指摘される。 推理小説のお手本のような筋立てだろう。ただ、話の流れとしては良く出来ているのだが、どこかすっきりしない後味が残る。 トリックとしては、ちょっとゆるい。 | ||||
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金田一もの。 プロットのひねりがきいた秀作と思う。物語の展開の仕方が上手いのだ。不思議な死体が見つかり、嫉妬深い夫のしわざかと思われるが、一年前に起きた事件との意外な結び付きが明らかになり、予想だにしない人物が犯人として指摘される。 推理小説のお手本のような筋立てだろう。ただ、話の流れとしては良く出来ているのだが、どこかすっきりしない後味が残る。 トリックとしては、ちょっとゆるい。 | ||||
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