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(短編小説)
いのちのパレード
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いのちのパレードの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.60pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全15件 1~15 1/1ページ
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ちょっと面倒くさい話を。 人ってラベルを張りたがりますよね。〇〇って細かい人、私は文系、彼女は理系、とか。 もちろん、それは個々人の目立つ・印象的な部分を取り出して言っているわけで、それがすべてではない筈です。文系男にもロジカルな部分はあろうし、冷徹で詰めてくる上司にも詩的で感情的な心の動きがあるかもしれません。 ・・・ 何を言いたいかというと恩田陸氏です。一つの色に染まらない、実に多様な作品をかける方だなと。 私にとって当初恩田氏はヤングアダルト・青春系のラベルの方でした。氏の作品で一番初めに読んだ「夜のピクニック」の印象が強かった。作品も好きなのです。 ところが爾後色々読んでいくと、モダンホラー系の作品や舞台を想起させるドラマ等、当初の印象は徐々に書き換えなくてはならないと思うようになりました。 そして本作に至っては、「奇想短編」集です。 私の当初の印象からは、かなり遠いところに来てしまいました。そして、改めてその幅の広い作風に驚いた次第です。 ・・・ で本題。 短編はどれも作風が異なるのですが、どれもが明かに現実世界を描いたのではないので、読んでいて違和感を感じながら読み進めた次第です。 そのあたりの「引っかかり」「没中できなさ」が私にとっては星新一を想起させました。教科書の「おすすめ図書」みたいなのに名前を見つけて読んでみるも、どうにもしっくりこず、何だよ「おすすめ」のわりにいまいちじゃねえかよ、と。 今は長じて、この「没入できなさ」は自分の趣向と距離があるという解釈ができます。そして、別につまらないわけではないのです。このあたりは表現が難しいのですが・・・。なんというか、よくもまあこんな作品がかけるなあという驚き? で、その中でも印象的だったものを幾つか。 ・・・ 小学生と思しき三兄妹がことばの印象から幻影を具象化する「夕飯は七時」。擬態語など「ことば」の心象ってありますよね。そのような心象が形になるという着想がすごい。そしてこの子どもたちをこれを必死に防ごうとする姿が可愛らしい。 リアル野球版よろしく、リアルに双六が展開される王国を描く「SUGOROKU」はホラーチックな作風。王国を支配する三姉妹は、王国から女子を集め、リアル双六を行わせるのが慣例。「上がり」となると豪華な褒美を取らせて出身の村に返すという話だが、実際には・・・。 「エンドマークまでご一緒に」はミュージカルの主人公の独白の話。現実の生活をミュージカルで行うという奇想天外のストーリ。主人公は自己省察的に「寝起きに歌うなんて辛いけど、ミュージカルだから仕方ない」とか「僕を追いかけるオーケストラ連中も汗だく」など、この奇妙な設定をユーモラスかつ冷静に評価。タイトルも、仕掛けまで理解している読者を想定したネーミングであり、一層味わい深いものとなっていると思います。 これ以外にもホラー系・スリラー系は読みごたえのあるものが多かったと思います。 ・・・ ということで恩田氏の短編集でした。 解説で杉村松恋氏が海外の奇想作家と並べてアツく激賞していましたが、素人の私はそうした海外勢は全く知らない方々でした。 風変りな話、ホラー系、SFが好きな人にはお勧めできる作品だと思います。 | ||||
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かつて知人から「間違えて二冊買っちゃったからあげる」と言われ読んだ 『真夜中のピクニック』がぜんぜん肌に合わなかったので、以来氏の作品は 手にとったことがなかったのですが、図書館で短編集を見つけ、オビにはなんだか 美惑的な文言が書かれていたので(またその文字がネオンが発光しているような 素敵なものだったので借りてしまいました)短編集好きなこともあり私は借りてきて しまいました。 が、冒頭の不可思議な作品を読んで「ありゃ、これは私のでないなと・・」 残りは読む気になれませんでした。秘密の観光バスで秘密の村に行くと、不思議な◯◯◯が というシュールな設定は悪く無いのですが、「不思議」をただ提示しただけで終わってしまうのが 私には全く物足りませんでした。足りないものをたやすく補う想像力がある人には面白い 作品なのかもしれませんね。私はダメでした(笑)。 | ||||
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やはり私には恩田作品は長編しか向かないようです。 もう少し関連性が欲しかったかも。 | ||||
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久し振りに恩田陸らしさのある短編集でした 「幻想と怪奇」というシリーズものに捧げるオマージュというところがまたツボでした。 シャーリー・ジャクスン、ルース・レンデル、レイ・ブラッドベリ、ディーノ・ブッツァーティ、などなど。 読みながら先人の足跡が行間によみがえる不思議な感覚を味わえて、怪奇幻想小説に親しんだ読者にとっては、 2度美味しい短編集かもしれません。 内容といえば、とんでもないイマジネーションの塊。 とにかく1編ごとに趣向を凝らした恩田ワールドが展開され、読者をひっぱりまわしてくれます。 どれも面白いのですが、人によって好きな作品が全然違ってきそうなところもまた魅力の一つかもしれませんね。 私個人の一押しとしては 「蝶遣いと春、そして夏」 「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」 「SUGOROKU」 「夜想曲」 そして次点が 「いのちのパレード」 「観光旅行」 「夕飯は七時」 1作1作を取り上げるのもいいですが、全体で一つの世界が構築されていくのを見るのもまた、味わい深いものがあります。 | ||||
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あり得そうだけれども、決してあり得ない世界の物語たち。 つながりそうでつながらない世界たちの物語。 だからこそ、パレードという表現がぴったりなのかもしれない。 ホバークラフトの沈黙が非常に静かで静謐な世界観を表しているのだ。 | ||||
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1作目の「観光旅行」は、軽いタッチですがSF(すこしふしぎ)な世界を描き、めまいを誘います。このテイストは嫌いじゃないので、わくわくしながら次の「スペインの苔(こけ)」へ。がらりと変わった冷酷なそして突き抜けた怖さに「作者が違うのか???」と思いました。この路線に進むなら、途中でやめようと決意して3作目「蝶遣いと春、そして夏」あら、意外と面白いじゃん・・・・で、「橋」「蛇と虹」「夕飯は七時」「隙間」「当籤者(とうせんしゃ)」「かたつむり注意報」「あなたの善良なる教え子より」「エンドマークまでご一緒に」「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」「SUGOROKU」「いのちのパレード」「夜想曲」と最後まで。程よくいろいろ味わえて、お得感たっぷりの短編集です。好き嫌いあるかもしれませんが、15作のうちどれかは必ずツボにはまると思います。私は「エンドマークまでご一緒に」が一番気に入りました。 | ||||
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長編の恩田陸作品は最高。なのに、短編だとどうして読んでいてイライラしてしまうのだろう。出だしが長編と同じ様にゆったりと始まるせいだろうか?短編だと分かっているので、これでちゃんと終わらせられるのか、初めからヤキモキしてしまうし、思った通り終わり方も薄っぺらい。恩田陸の短編は絶対にもう買わないと思っていたが、それから何年か経つし評価も良かったので変化を期待して買ってみたが、同じ思いをしただけだった。 | ||||
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「ああ、ねえさん、血のような夕陽が沈むわ」 「あんな色、生涯で二度しか見ていない」 かあーーー。打たれる!! 【夕食は七時】に沁み込ませた幼き日の幻影。 恩田陸は、一体どんな人生を送っているんだろう。 普通、読んでいるうちは作家の背景などそうは気にならないかもしれないが、 それほどにイマジネーションの色彩に、翻弄される。 何度も読み返したくなるフェイクが、ふたつある。 あ、1作目の【観光旅行】も捨てがたい。。。。 | ||||
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あまりに面白くて一気に読みました。 一話ごとに違う設定ですが、根底に共通してじんわりと嫌な感じというか、うっすら怖い感じが漂っていて、この一冊のもつ世界観に引き込まれました。 15話どれも良いですが、特に少女を題材にしたときにぐっと切れ味が強まる感じがしました。 思わずぞっとする感じがして。 説教臭さはないのですが、一話読むごとに自分の行いを振り返りたくなります。 装丁も素敵ですね。 | ||||
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■早川書房のドル箱叢書《異色作家短篇集》(18巻、1959‐1963年)は、リチャード・マシスンやロバート・シェクリィやジョン・コリアなどの幻想怪奇風味溢れた極上短篇がぎっしり詰まり、読書家に愛された。70年代に新装再刊、近年全20巻の構成で三度復刊されるなど根強い人気を誇る。恩田陸は同叢書を深く愛好、強い影響を受けたという。本書は恩田が、同叢書にオマージュを捧げて編んだ《恩田版異色作家短篇集》。15作が収録されている。 ■幾つか小説の実験が展開されている。例えば「エンドマークまでご一緒に」は、まるでファンタジー・ミュージカル映画の台本のような構成で若い男女のロマンスが描かれ、ライオンまでもが歌を歌う。また「蛇と虹」は姉妹の対話形式で物語が構成されている。 ■どの作品も謎と幻想に満ちている。「かたつむり注意報」は伝記作家が異国の田舎の宿でかたつむりの大群に遭遇する怪奇譚。「夜想曲」は、創作の源泉あるいは〈物語の神〉のような存在がアンドロイドに憑依し超生命体として進化させる奇想SFだ。そして表題作「いのちのパレード」では、地球上の死に絶えた生き物が延々と行進を続ける。行進の観察者も既に死者であることを暗示させ、書評子はロッド・サーリングの傑作TVシリーズ「ミステリー・ゾーン」なども思い浮かべた。 | ||||
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さすが作家である、と唸るくらい感心した。一話いちわごと話の設定が全く違う、しかし共通のあやしく、おどろおどろしさは残っている。 本書を読んで文章表現も参考になった。一つひとつが短いので、しっかり鑑賞できた。 | ||||
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15篇の異様極まりない作品集。 どの作品にも「異様」という言葉に加えて「突飛」という言葉すら当てはまる。 それは、読者の予想が大きく裏切られるという、読み手側にとっての楽しみが大きいという意味だ。 例えば、前の方に配置されている「スペインの苔」では、少女とロボットのオモチャとの関係の解説は、十分に分かる。 ところが、ロボットのオモチャとスペインの苔との関係は、、、!!!??? いったんは、我が眼を疑ったが、とにかく突飛なのだ。 全作品が、こんな調子であって、ファンタジーとは、趣が異なる。 それでは、これらの作品群は何なのか? 著者の数々の長編推理小説には、度々、展開の予想を大きく裏切られて、悔しい思いをするが、それが楽しみでもある。 同様に、本書では、物語の流れの中で、予想する数ページ先には、まるで想像も出来なかった事が書かれている。 つまり、常人が通常、考えもしない様な事が描かれているのだ。 異様かつ突飛なのだが、決して悪い意味ではない。 ページをめくると、10分間隔で脳がしびれる、刺激的な作品群だ。 | ||||
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底意地の悪さを秘めた話、背中がひやりとする話、奇想天外な話など、色んなテイストの「奇妙な味」系の話を収めた短篇集。シャーリイ・ジャクスン、パトリシア・ハイスミス、ルース・レンデル、ディーノ・ブッツァーティ、ジャック・フィニイ、ジェラルド・カーシュ、星新一といった名手(銘酒)の作品への作者のオマージュを、あちこちで感じました。 2004年から2007年にわたって、「奇想短編シリーズ」と銘打って『月刊J(ジェイ)ノベル』に掲載された短篇に、トリを飾る書き下ろし短篇を加えて・・・・・・「観光旅行」「スペインの苔(こけ)」「蝶遣いと春、そして夏」「橋」「蛇と虹」「夕飯は七時」「隙間」「当籤者(とうせんしゃ)」「かたつむり注意報」「あなたの善良なる教え子より」「エンドマークまでご一緒に」「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」「SUGOROKU」「いのちのパレード」「夜想曲」の、全部で15篇を収録。 とても楽しめた作品から、さっぱり面白くなかった作品まで、玉石混淆の短篇集だったなあ。5点満点をつけたのは、「かたつむり注意報」と「夜想曲」のふたつ。幻想的な風景にひたひたと浸された「かたつむり注意報」(ハイスミスの『11の物語』収録作品と読み比べてみるのも一興)。英国怪談みたいな雰囲気の中に、心地よいファンタジーの煌めきと余韻を感じた「夜想曲」(星新一の名品「鍵」の風情あり)。 子供を素材に使っても、レシピ次第でこんなに異なるテイストになるんだなあと印象に残ったのが、「夕飯は七時」と「SUGOROKU」。前者のコミカルで奇想天外な味、後者の閉じた世界のユニークな味。不思議で風変わりなテイストの妙。ごちそうさまでしたっ! | ||||
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ホラー、SF、ミステリー、ファンタジー等15編から構成されています。なんとなくモヤモヤしていてそういう所、恩田さんらしいと言えばらしい作品です。個人的には、考え方的に面白いと思ったのは『SUGOROKU』。「上がり」を目指すゲームでお馴染みの双六だけれども発想を変えるとこんなにも異色な空気を醸し出してしまうのがすごい…。『夜想曲』も幻想的で好きです。様々なジャンルから成り立っていて独特のふいん気が漂っている作品です。今までの恩田作品とはまた異なる世界です。 | ||||
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表題作「いのちのパレード」を含む全15編の短編集。 恩田陸としては5冊目の短編であるが、今回は前作までとは明らかに毛色が違う。 ファンタジー、SF、ミステリ、ホラーと色とりどりの数々のジャンルを網羅しているのは前作までと同様。恩田陸らしさも同様。 しかし、後書きで本人が「無国籍で不思議な短編集を作りたい」と語る通り、一見無作為に見えて、上記のような明確なテーマと、海外の大作家たちの「異色作家短編集」へのオマージュという明確な意思を持って繰り広げられる作品群は圧巻。 評価の分かれる作品(特にもう一つの表題作に用意されていた「スペインの苔」は強烈。彼女の容赦のなさを垣間見られる珍しい作品)だとは思うが、私は恩田陸の短編集では最高の出来だと思う。前作までと異なり、他作品とリンクも一切無く、そこにも今までとは違う明確な意思を感じる。 個人的には「図書館の海」の「オデュッセイア」に似た「走り続けよ、ひとすじの煙となるまで」や、近年の彼女らしい演劇調「エンドマークまでご一緒に」がおススメ。 また、内容・テーマに呼応したかのような不思議な表紙、タイトルの洋訳、珍しいページ表記と作品群以外も素晴らしい出来です。 「これは罪でしょうか。それとも、時と場所による真実の善なのでしょうか。それを決めるのは誰なのでしょうか。」 本文217ページより | ||||
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