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球形の季節
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球形の季節の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 1~20 1/2ページ
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NHKドラマ「六番目の小夜子」再放送をきっかけに恩田陸作品を再読しています。この「球形の季節」は「小夜子」の2年後の1994年に発表された第2作です。 地方の高校を舞台にしていること、何人かの高校生たちが平行して主役扱いになっているところは「小夜子」とよく似ています。一番出番が多い女子高生みのりは、明るいキャラクターも似ていることから、ドラマでヒロインだった鈴木杏さんの顔が浮かんで仕方ありませんでした。 ただ「小夜子」がホラーのように見せて結局ホラーではなかったのと違って、こちらは完全にホラー・ジャンルに入る作品です。 第3章までは東北の地方都市、谷津がどんな町なのか、どんな人たちが住んでいるのか、2つずつある男子高と女子高の校風、そして主要登場人物の紹介が展開されます。必要な部分ではあるのですが、ここは少しくどい感じがします。が、第4章で「5月17日に如月山でエンドウさんが宇宙人にさらわれる」という噂が本当になるところから一気に緊迫感が高まり、引き込まれました。各高校からメンバーが集まった地理歴史文化研究会の仲間たちはその噂の元を辿ろうと調査を始めます。 昔から人が消えることが多かった谷津という町、特殊能力のあるらしい人たちがいて、その人たちは別の”場所”とこの世界を行き来しているようだ、金平糖をばらまいて、好きな子がそれを最初に踏んでくれたら相思相愛になれるというジンクス、如月山の頂上にあるケヤキの木の洞に願い事を吹き込んだテープを入れておくとそれは回収され、”正しい”願い事だけがかなえられるという伝説・・抑圧された不満や不幸、一見のどかに見える日常生活の裏に流れる不穏さ・・このあたりの雰囲気作りは、恩田さんは本当にうまいです。 高校生たちがそろそろ気づき始める将来への恐れや人生のむなしさが描かれいるあたりはまさに青春小説です。いつものように印象的な言葉が散りばめられ、読んでいてはっとさせられたり、その通りだと共感したり。 最後にはっきりしたオチがないのはいつも賛否両論になりますが、この作品ではどこか明るい諦めのようなものが感じられ、それは登場人物たちの人生はそれぞれただ淡々と続いていくだけだと暗示しているような気がしました。 個人的には、小説としてのまとまりは「六番目の小夜子」の方が高いと思います。けれど凄みという点ではこちらの方が上で、さらに「常野物語」などへの萌芽も感じられます。恩田さん作品の不可思議な雰囲気が好きな方にはおすすめです。 | ||||
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恩田氏の作品といえば、私の印象では爽やかな印象がありました。サスペンス的要素が入っていても、残酷な殺人描写や性描写がない等、優しい印象でした。数例申し上げると、デビュー作『六番目の小夜子』や『夜のピクニック』などです。『ネバーランド』も面白かった。 しかし本作を読んで、この人は凄い人なのだと実感しました。本作はホラーなのです。 恩田色をじゅうぶん残しながらも、しっかり怖いのです。私は、ページを手繰る手が止まりませんでした。確かに裏表紙には「新鋭のモダンホラー」とありました。しかし、これまでの印象が強すぎて、殆ど信じていませんでした。ほんとにホラーかよ、と。読後の今、白旗を挙げますが、モダンホラーと呼ぶのにふさわしい作風と怖さでした。 ネタばれになりそうで申し訳ないのですが、本作のホラー要素の一つは、この世と並行して存在するもう一つの世界についてです。その世界については詳述されませんが、霊能力者のように簡単にアクセスできる人もいれば、大きな心的ショックを経てアクセスできる人に分けられるようです。そしてひとたびその世界に漬かると、仮に戻ってこれたとしても「人間」が変わってしまうという設定。 私は霊感なぞ全くありませんが、こうしたもう一つの世界には、興味が沸く一方で同時に恐怖を覚えます。本作ではこの異世界の恐怖がじわじわと味わえます。 シックスセンスの能力保持者とか異世界の話というと、モダンホラーの大家S.キングやD.R.クーンツが思い出されます。 しかしながら、舞台設定が学園という事もありますし、主人公がほんのり成長したような明るめの終わり方となっているところから、しっかりと爽やか系恩田節を味わうことができます。通して読んだ後に、やっぱり恩田氏らしい作品だと一人で納得してしまいました。 少し不満を申し上げると、はじめの第一章と第二章途中までは、何故か非常に読みづらく感じました。表現が固い?のか、多くの登場人物が出てくるため頭の整理がしづらいこともあるかもしれません(ただ、第二章以降は引きづりこまれるかの如く面白い!)。また、章タイトルが長いのだが、今一つその意味や意図が分からなかった(例:第三章は「長い間地元では遠巻きにされてきたという」とか)。その点は少し減点かもしれません。 纏めますと、本作は、恩田氏しか書けない爽やかでかつ怖いお話です。学園モノが好きな方、日本のモダンホラーに挑戦してみたい方、恩田氏のファンのかた等におすすめできる本です。面白かったです。 | ||||
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六番目の小夜子の次に読んだ学園ホラー。設定の東北地方のある町が異世界化されていく。小夜子の方が衝撃度は高かったが、こちらも異世界に浸ることができるお薦めの一冊。 | ||||
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20年ほど前の高校の時にこの本と出会って、恩田陸さんにハマりました。 まず表現が凄い。そして、小説の舞台の存在感。この世に存在してるのかと思うほどのリアル感。 登場人物も多いけど、ちぃさな事が後々に繋がってたりして、一度二度読んで分かることも……。登場人物の一人に自分もなってるような感覚、自分も谷津という場所に立っているかのように思えます。 恩田陸さんは凄いですー 学生の、皆経験してる年頃の話なので、どこかで過去の自分や今の自分と重ねるように読める気がします。 | ||||
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「六番目の小夜子」でも似たようなレビューを書いたが、結末から考えてそこに収斂するように書かれてはいない気がした。本作の場合も、ある地方都市の高校生の間で広まった噂話の秘密を探るうちに、というストーリーは面白くグイグイ読ませるのだが、その種明かしを読んでも釈然としない気分になったのは私だけではあるまい。又、登場人物は数多いものの特に魅力的と言えるほどのキャラクターも存在せず、その点でも「六番目の小夜子」より高くは評価出来ない。 それでもミステリアスな謎の提示やこれがどう収束するのかと期待させて読ませる技量は素晴らしい。ミステリのようにスッキリした結末を求めると肩透かしを食うがそれなりの評価は出来る。個人的にはもう少し登場人物を絞った方が良かったように思ったが、一つの地方都市全体を描こうとした意図は感じられた。 | ||||
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最後がちょい微妙な終わりでした。恩田さんぽいといえばぽいのだが、少し謎が残った。 | ||||
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はじめは、よく分からない謎に凍りつきつつ引き込まれました。 ですが終盤は、登場人物と伏線、エピソードが多すぎて、まとめきれずに終わった感じ。 噂を流し、実行し、信じさせ、次の噂をまく。繰り返して何がしたいのか。。 もやもやが残ったので、もう一度流し読みをしてみて、なんとなく落としどころを見つけた気がします。 最後にユミがみのりに言っている言葉に全て集約されているかな。 この何とも言えない、読者に考えさせる余韻が恩田ワールドなのかな~と思いました。 | ||||
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地歴研内、学校内…そしてついには どこか眠っている様な空気を纏った『谷津』という町全体にまで 広がってゆくミステリー/世界観が壮大! ラストについては、分かりにくいだとか色々と書かれてますが むしろこれなら、恩田陸の中では分かりやすい方だと思う なんだか、故郷を想い、ふと切ない気持ちに陥りました これが"ノスタルジアの魔術師"と呼ばれる著者の "魔術"たる技なのかもしれません この本から、恩田陸のファンになって 未だに結局は、この本に還ってきてしまいます | ||||
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外部から隔離された町、谷津を舞台に繰り広げられる青春ホラー。 町には二つの世界があり、裏の世界を知る者とそうでない者の間には大きな隔たりがあります。 また嫌な感じの風習や秘密、日本人特有の閉鎖的な空気が流れており、読者は嫌な脂汗を流しながら読めることを保障します。これぞ恩田ワールド、というった感じですね。恩田陸さんの作品の中でもかなりのお気に入りです。 | ||||
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「小夜子」の次の作品かな。こう言っては失礼だが、まだ「すれていない」頃の作品で、恩田氏独特の雰囲気が色濃く出ていて、私は好きだ。 何ということもない田舎町に重なるようにして存在する「あちら」。それを感じる人間と、一生感じずに済む人間と、行ける者と行けない者。その「あちら側」が、決して楽しい夢ような場所ではなく、荒涼とした草原が広がるだけの世界で、それでも行きたいと願う者がいる。 うまく表現できないのがもどかしいが、今ある「ここ」ではない「あちら側」にずっと惹かれ続けている私には、とても面白かった。残される者の哀しみをきちんと描いて終わるあたり、なかなかである。 | ||||
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いや〜またまた恩田陸の不気味ワ−ルドに嵌まってしまいました!ある田舎の町で高校生の間にたつ奇妙な噂…その内容の異色さから、出所をつきとめようと調べ始める地歴研グループ。誰から何月何日に、どこでその噂を聞いたのか?調べていくと、ある人物に辿り着くが…何の気無しに読み始めたけど、とまらなくなりました。こんな閉鎖されたような田舎では実際に起こる話だったりして。。と思うとなんともぞ〜っとします。この世界とは全く別の次元も存在してるのかも!と少しファンタジーな気持ちにもなり、怖くもあり。序盤から一体何なんだろう、何が起こるんだろうと思わせる感じがホントくせになる恩田陸です。最後はあれ、終わり?て思っちゃいました。まだ次の章があっても全然おかしくない終わり方だし、まあでもこうなるのかな…と予想させるような終わりも話の雰囲気に合ってるかもしれない、と思いました。 | ||||
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4つの高校に広まる うわさが軸になる話です。 ミステリーの雰囲気をたたえながらも 怖くて読めないなんてことは決してありません。 多感な時期である登場人物たちの心情描写で どんどん読み進めることができます。 | ||||
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モダンホラーとあるが、やっぱり何処かファンタジーで 恩田陸らしく、そして女性らしい作品だったように思う。 ファンとしてはそれで面白いが何処かについリアリティを求めてしまってついていけない感はある。 | ||||
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恩田陸らしい作品です。 設定、登場人物などは面白いのに、ラストが中途半端。 「え、だから、あれは何だったの?」的な感じになりました。 でも、決してつまらない作品ではないので★4つです。 | ||||
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タイトルからは、わかりにくいないようですね。 学園SFファンタジー、ですかね。 といっても、学園というよりは、とある町そのものが舞台になるので、学園物とはいえないかな。 彼女の小説に出てくる、“超能力者”たち。 どうしても、それで不可能が可能になってしまうところが、どうなのかな、と思う。 リアルさにかけちゃうんだよなぁ。 ただ、一方では、人間の描写とかは上手で、そっちの部分で惹かれていく。 知っているのに、わからないようにする、町そのもの。 人々の意志なのか・・・。 結末のない物語。 その不快感もまた、この小説の魅力だろう。 | ||||
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東北のある田舎町に伝わるひとさらいの伝説。その伝説の真相に高校生が直面する。 私は仙台に住んでいたことがあるので、読んでいて舞台となっている宮城県と岩手県の県境あたりの風景が目に浮かびました。そんな片田舎の狭いコミュニティの中で日々を暮らす高校生の外界へ飛び出したいという欲求と不安をファンタジーを通して描かれているように感じました。 外の世界に飛び出したら進化することができるのかもしれない。しかし、変わってしまうことに対する期待と不安。 広い世界に出て自分の中で何が変わっただろうか。少なくとも、外に出ることで枷は外れたような気がする。といったことを読んだ後に考えさせられました。 | ||||
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地方の進学校、奇妙なおまじない、眠ったフリしている土地。あちら側へ往きたい男の子といく必要のない女の子。高校3部作最初の「六番目の小夜子」が『場所のちからの小説』だとしたら2作目「球形の季節」は『土地のちからの小説』です。 | ||||
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地方都市に繰り広げられる謎の事件。どれ一つはっきりとはしないけれど、じわじわ恐くなってくる。あり得ない設定が妙に説得力を持っている。これが恩田さんの文章力なのでしょう。この頃、長編が好きになってきました。 | ||||
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恩田作品のエッセンスが詰まった作品です。 民俗学、文化人類学とファンタジーの融合が恩田作品の面白さのエッセンスだと思います。それが、強い作品。殊に都市伝説という観点から言うとこの作品はそれを強く反映していると思います。 都市伝説の基本は「噂」なんです。口裂け女、マクドナルドの肉はネズミの肉、etc・・・。 そんな都市伝説と恩田流のファンタジーの融合の傑作がこの作品であると思います。 しかし、それ以上の恩田流のファンタジー要素が含まれていて、かなりの完成度です。こういう作品は誰でも思い付くものですが、それを一つの作品として完成するということはものすごいことだと僕は思います。少しでも文章を書こうとした人なら分かることでしょう。 そういった見地で見てもこの作品は傑作です。 | ||||
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「六番目の小夜子」の次に発表された、恩田陸の初期の作品。高校生の間でいつの間にか広がった不思議な噂を発端に、東北の小さな地方都市の平凡な日常が少しずつ「なにか」によって浸食されていく。その謎を解明するために調査に乗り出す地歴研の高校生達。 金平糖をばら撒くおまじないや、宇宙人襲来の予言など、誰もが少年・少女時代に経験していそうな素朴な遊びを、背筋が寒くなるようなホラー風作品の材料に変えることができるのは、恩田陸の大きな魅力だと思います。爽やかな高校生男女の何気ない日常生活、土地の原型ともいえる不思議な空間に出入りできる特殊能力者の存在、閉鎖的空間で起こる神隠し現象、・・・などなど、初期作品ながらその内容は濃く、恩田さん好みのエッセンスがこれでもかという位詰まっています。後年に発表された、「月の裏側」、「光の帝国」、「夜のピクニック」、「ネクロポリス」などの作品を読んだ後読み返してみれば、この「球形の季節」が「六番目の小夜子」と共に、恩田陸の原点的作品だということが分かるでしょう。 ただ、色々なエッセンスを詰め込みすぎたせいか消化不良感も否めず、一連の事件が重大な転換点を迎えようとするところで物語が終了してしまうのがなんとも残念。私にとっては恩田さんの作品の中で、一番「もっと読んでいたかったのにどうして?」と感じさせられた作品です。 | ||||
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