■スポンサードリンク
イギリス人の患者
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
イギリス人の患者の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.20pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
第2次世界大戦末期にドイツ軍が敗走していったイタリアのフィレンツエ北の丘陵地にあるサン・ジローラモ修道院だった屋敷に男性3人(イギリス人、カナダ人、インド人)、女性1人の4人がとどまって、一つの時間軸に沿ってメインストーリーが展開していく。その展開の途中途中で、4人各人の過去の経歴・行動が披露されていくので、注意しないと人物同士の関係を見落としがちになる。イギリス人は飛行機事故で重症の火傷を負って顔の判別ができないほどになっている。カナダ人男性は元来泥棒稼業に勤しんでいたが連合軍側のスパイ活動に従事し、インド人は連合軍側の若い工兵で爆弾処理に関わっている。看護師の女性はどういうわけかイギリス人に懸命の手当を施している。本のタイトルの「イギリス人の患者」から、彼の正体を知りたくて読み進めるのだが、ミステリーとは違って注意して読めば、途中で正体をあかせるようになっている。文中でも、癖のあるカナダ人が彼の正体をあばくようになっている。でも、本書の面白さは、謎解きではなく4人が織りなす振る舞いの拡がりにあり、一体誰が主人公なのだろうかと思わざるを得ない。車中では決して読めない優れた作品である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
戦争中の廃墟にイギリスの患者が収容され・・・というお話。 登場する人物3人か4人が、それぞれ戦争を巡る回想をし、戦争の虚しさや悲しさを浮き彫りにする・・・という展開の小説に思えました。 その回想の部分が詩的な断片に思え、イギリス人の患者を軸にしながらそれらをコラージュして小説にしている様に思えました。 この作家の方の他の作品の「ディサピデロ通り」を読んでおりましたが、内容を忘れていたので、検索して読んだら、似た様な感想が書いてありまして、著者のオンダーチェ氏は、直線的に物語が進むのではなく、軸になる様な人物や事象を据えて、それを介しながら、輻輳する断片を詩的に絡めるタイプの作品が多いみたいで、その個々のイメージが主筋よりも大事に思えました。 解説や訳者あとがきで、上記の様な展開の性か、筋を辿りにくいという感想が多い様で私もそうでしたが、筋よりも、個々の回想が大事な作品らしいので、そのイメージを鑑賞するのが一番いい様に思えました。 個人的にはユーゴの作家のダニロ・キシュが「若き日の悲しみ」や「死者の百科事典」で戦争を静かに告発している様に、本書もそれぞれの登場人物の回想で戦争の辛さや悲しみを表現している様にも思えましたが、穿ち過ぎかも。 登場人物の断片的回想を詩的イメージで喚起してコラージュした小説。是非ご一読を。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!