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頰に哀しみを刻め
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頰に哀しみを刻めの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 1~20 1/2ページ
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この作者は高倉健の映画を観ている気がしてしかたがありません。人の罪をかぶって刑務所暮らしをしたのにその間に約束を反故されてさらに出所後の仕打ちはあまりにも過酷で、それでも耐えるのですが身内への攻撃が容赦ないものでついに爆発して単身殴り込みをかけるのですが、相棒の池部良がなぜか途中の柳の木で待っていて傘をさしかけます。そこからふたりでドスと日本刀で大暴れ、という筋立てのシリーズです。 さすがに現代のアメリカですのですべては銃と圧倒的な暴力で解決を図ろうとするのですが、前科者、黒人、LGBTなど差別は重層的に繋がり、復讐は連鎖を繰り返します。どうしたら終息できるのか?それがある意味テーマだと思います。 | ||||
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個人的に最も感情を揺さぶられたのは、突然パーティを抜け出してやってきた元妻のクリスティンが後悔の念で号泣しているくだり、バディー・リーの心の内がわかる数頁の場面です。 彼女に腕をまわして、慰めてやろうと思ったけれど「バディー・リーは動かなかった」。 人間の内面の葛藤をこれほどまで哀しくそして正直に表現した描写に感動しました。原文英語がどうなっているのか確認しようと思います。 | ||||
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クライムノベルにはそれなりの社会背景があると思って読んでいます。今回は以前”ヒルビリーエレジー”を読んで知った、ラスト・ベルト地帯での貧困層で育って犯罪に走って 社会から疎外された親たちから、貧困から”奇跡的”に脱出したその子供たちがゲイであることで また疎外されている状況が、どんより影をおとしている感じ。LGBTQといった 自分が分からない事に出合ったときには、何も見ないで顔をそむけた方が楽だという箇所には 感銘しました。 | ||||
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息子を殺害され、警察の捜査は進歩せず、二人の父親が自分の息子のため情報集めをして、犯人を割り出し仇を討つ。 途中孫娘もさらわれるけど二人で救出。 読みやすく、途中翻訳の文章が可笑しな部分あるけど読めなくはないです。 初著者さんでしたが、読みやすく、面白かったので次作も購入しました。 | ||||
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前2作は犯罪者側からの咆哮。 3作目は犯罪者を追い詰めてゆく側からの獅子吼だ。 コスビーは、裏を返して馴染みになってくれた。 読者と切り結ぼうという作者の覚悟と凄みはこれまで以上に濃厚だ。 「では、あなたはどうなのだ」 という物語を通した問いの切っ先が 読み手に突きつけられているようではないか。 突然発生した凄惨な殺人事件が、 これまで知られていなかった酸鼻な連続殺人事件を掘り起こす。 南北戦争以前を古きよき時代と考える頑迷固陋な人々が暮らす 現代のアメリカ南部の田舎町で、 元FBI捜査官で地元の保安官に転職した黒人男性が対峙してゆく。 登場人物は住民たちをはじめ膨大であり、 それぞれの人々、酒場や学校、保安官事務所や 多くの教会などにまつわるエピソードが積み重ねられながら物語は進行する。 確かに一義的には主人公は保安官だが、 読み終えてみれば、実は町そのもの、 つまり、南部の地方都市というアメリカの断面が 最も存在感ある登場人物だったことに気づく。 ある意味、それは絶望と諦念なのだが、ラストで読者は希望に導かれる。 ところで、一定数の時代錯誤の人々が存在するのは 米国に限ったことではなく、たいてい碌なことにならない。 | ||||
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特にひねったような話しではないけど、 海外のアクション映画を見ているような感じで、 とても楽しめました。 | ||||
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白人と黒人の悩めるおっさんふたりが殺された息子の復讐を繰り広げていくバイオレンスちっくなストーリー。LGBT問題で起きた家族の歪や闇の世界で繰り広げられるちょっと恐ろしいやり取り、そこにおっさんのキザなブラックジョーク溢れる傑作。ぜひ読んでみて。 | ||||
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昨年度「このミス」を始め、週間文春のベストミステリーなどの評価で最高点を得た作品だ。まるで 米国の映画を観ているが如く、速い展開と過激な暴力描写で元犯罪者である黒人主人公の 復讐劇が描かれる。彼の息子が同性愛者の白人男性と「結婚」したのちに何者かによってこの 白人男性と共に惨殺される。この白人男性の父と共に、この主人公は残虐な暴走族やその背後に いる巨悪と徹底して闘っていくストーリーである。映画を観ているようにスムーズに読めるし、面白い。 だが、はっきりと言ってこの作品にはインテリジェンスが感じられない。筋にひねりがあるわけでもないし、 登場人物の描き方も陰影ガない。私自身何故この作品が「ミステリー分野」で最高評価を受けたのか 些か疑問である。マイクル・コナリーあたりの作品のほうがずっと筋に推理性もあるし、作品としても厚みが あるように思うのだが。 | ||||
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かつてはギャングで、殺人罪で服役後は庭園管理会社を経営する黒人のアイクのもとに、ある日警察から息子が殺害されたとの知らせが入る。白人の夫とともに頭を何度も撃ち抜かれるという残忍な手口だった。警察の捜査が行き詰まるなか、息子たちの墓がレイシストたちによって破壊される事件が起こる。アイクは、息子の夫の父親で、酒浸りでトレイラーハウスで独り暮らしをするバディ・リーと組んで犯人探しを始める。二人の父親はどちらも、同性愛者である息子を受け入れることができず、心にわだかまりを抱えたまま、息子たちとは疎遠に暮らしていたのである。 著者のS・A・コスビーはアメリカ人で、現在50歳。「黒き荒野の果て」に続き、2021年に発表された長編3作目の本作で、2年連続で米国の重要な推理作家賞を3つ受賞し、さらにエドガー賞長編部門の最終候補にも挙げられました。 この作品の特異な点は、LGBTQと人種差別の問題を正面から取り上げ、尚且つおざなりな扱いをしていないところにあります。その点で、父親と息子という普遍の主題でありながら、非常に今日的なスタイルをもった作品になっています。生前の息子に対して無理解な態度しか示せなかった父親たちの悔恨、懺悔の念に全編彩られており、そういう意味で、大変情緒的な小説と言えるでしょう。映画でもそうですが、アメリカの作品というのは、欧州のものにくらべ、エモーショナルな要素が強いと感じています。そこが日本人の心性に訴えるのではないかとつねづね考えているのですが、どうでしょうか。映画と言えば、この作品、とても映画的で、すぐにでも映画化できそうな気がします。もしかしたらすでに話が進んでいるのかもしれませんが。 | ||||
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様々な要素をつめこんだ非常に欲張りな作品でありながら、すべてをきれいにまとめあげてあり、カタルシスが得られるのがすばらしい。 | ||||
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これは凄い。基本はヘイトクライムへの復讐劇なのだが、バディ物、黒人成功者、貧乏白人、家族愛、組織犯罪、ミリシア、ゲイ、トランスジェンダー、ガンアクション、格闘と全部盛りで、しかも無駄な要素がひとつもない。これらがどっしりとした文章で絡み合っており、なおかつ細切れにした章立てで読みやすかった。このミス一位になるのも納得の作品。ものすごく面白かった。 | ||||
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「メタルギアソリッド」を世に送り出したゲームクリエイター・小島秀夫氏が絶賛していた、2023年度ヒデミス10位の作品。動画レビューに惹かれて読んでみた所大当たり。 まず翻訳小説特有の読みにくさがない所を評価したい。比喩は多めなものの一文が短く、センテンスがテンポ良く区切られてるのでサクサク読める。なのに情景が映像として脳内に浮かぶ。まさに映画を見てる感覚。 黒人白人のゲイ夫婦が惨殺され、両者の父親がバディを組んで復讐に乗り出す話。片や貧乏白人のアル中、片や造園家の黒人でどちらも刑務所服役経験のあるギャング上がり。息子の性的嗜好に理解を示さず、生前喧嘩別れしていたのも共通。 結論から言えば、ミステリーとしては弱い。なんなら登場人物紹介を見ただけで黒幕が誰かわかる。大物が裏で糸引いてると仮定して、逆算したらヤツしかいないし……。 ただそれは主眼にあらず、本作のストーリーラインを引っ張っているのは差別や偏見への怒り・憎しみの感情、凄まじい後悔と自責の念。 これは最愛の息子を不当に奪われた父親二人の物語にして、父親失格の烙印を捺された彼等が、祖父としてやり直すチャンスを与えられる話。 デレクとアイザイアの夫婦は代理出産で娘をもうけているのだが、この純粋無垢な孫娘・アリアンナの存在がシリアスな物語において一服の清涼剤になっている。 人種差別やLGBT差別に焦点を当てた物語は時に重苦しく、アイクとバッド・リーのさりげない会話の中で、差別する側の無知と傲慢が提示される。 重くなり過ぎないのはバッド・リーの軽口に救われているから。「クソ」の使用頻度が高すぎるなど引っかかる点を差し引いても軽妙な文体はスピード感を保ち、息子を喪失した悲しみと犯人への憎しみでチェインギャングのように繋がれた男たちから目が離せなくなる。 派手な銃撃戦はじめアクションシーンの見ごたえもさることながら、最も読ませるのはアイクとバッド・リーが、息子たちの死後に自らの愚かさに目覚めるくだり。 亡き息子たちの足跡を追い、その軌跡を辿る中で、彼等に「普通」を押し付けていた自分たちの罪深さに直面し、「あんたの息子が明日の朝目覚めるなら、今日の夜誰と寝てようがどうでもよくなる」境地に辿り着く。 アイザイアとデレクが理想的に描かれ過ぎてるのが少し違和感だが、だからこそ双方の父親の悪影響を受けず、最期の瞬間まで立派な「親」で在ろうとした人間性に打たれる。 寡黙で無愛想な黒人アイクと女好きで軽薄な白人バッド・リーのコンビも良く、初老のおっさんが暴走するバディものとしても楽しめた。 アイクの妻・マヤの包容力と公正な見方、そうはなれなかったバッド・リーの前妻クリスティンの孤独など、夫婦の対比の仕方も上手い。 難点は視点が入り乱れる読み辛さ。アイク視点で状況描写したと思ったらシームレスにグレイソン視点に移行する為、やや戸惑った。顕著なのは敵味方がドンパチする戦闘場面。ここは改善してほしい。 キーパーソン・タンジェリンが抱える秘密も切なく、昨今SNSなどで炎上している社会問題の是非を考えてしまった。「略称で語られる人たち」を雑に一まとめに審判するんじゃなく、個人と向き合って判断する事が大切。 タンジェリンがアイクたちへの協力を承認したのは、曇りない目をしたアリアンナの、「あの人きれい」の一言が決め手だったと思いたい。嬉しかったろうな……。 ともすると復讐系ノワールものの主人公は因果応報の末路を迎えがちだが、本作は片方が生き残る。が、ラストは納得できるものになっている。孫娘を育て上げる役目を終えたら彼もまた召されるのだろう。 絶対映像映えする作品なので、ぜひ実写映画化してほしい。 | ||||
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性別観の更新を迫られた父親世代の歪みが生んだ、かなり乱暴な復讐譚。依然文学的言い回しに淫しがちだがハイテンポ。 | ||||
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枯れた親父2人が殺された息子二人のため立ち上がる話。 カッコイイおじさんが頑張ってるのがいいね。 著者の前作も似た雰囲気のようなので読んでみたい。 | ||||
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子どもをころされた親が、殺人の原因を探り、犯人への復讐に向かっていく。 日頃は、子どもに対し肯定的に接することがなかった父親が、自らの過去の生き方を自問しながら、息子との関係を考えていく部分が好き。 | ||||
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全体的に少しオーバーなのではと感じる箇所があるが面白い。 人種差別、LGBTなどの社会問題もテーマの一つとしてあるが、しつこさがなく、犯罪小説モノとして読めた。 | ||||
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自分はどういう人間なのか。 世界をきちんと見ようと努力してきたのか。 目を塞ぎ、見えないふりをし続けてきたのではないか。 息子を亡くした二人の父親は復讐の最中、こうした問いと向き合うことで過去の自分たちとの決別を試みる。 つまり本作で描かれる復讐とは怒りにのみ依拠するのではなく、懺悔・後悔・贖罪・失望感といったものが混在しているのだ。 だからこそ我々読者は知らず知らずのうちに彼らの悲哀や、やるせなさに共感、自己投影をしてしまう。 今更何をどう足掻いたって取り戻せないと分かっていても尚、そうしなければならないという使命感に胸を打たれるのだ。 そして本作のもう一つの魅力は、前作「黒き荒野の果て」同様、徹底した暴力の描写である。 内に巣食う暴力の衝動に葛藤する主人公の内面の機微、それが解き放たれた時に引き起こされる凄惨なシーン、そして何より暴力を描くことでしか表現できない一種のカタルシス。 それらが完璧な比率で調合されているため、暴力を描いているにもかかわらず不快感は一切なく、むしろクライムサスペンスに求めているのはこれだと強く思わされてしまうはず。 息子を殺害した相手に対する怒り、息子を愛してやれなかった自身に対する怒りと嫌悪感。 互いにそれらを抱いた二人の父親は、対話を通じて、息子たちに想いを馳せることを通じて、無知からの脱却を図ろうとする。 そう、彼らは復讐することを選択したように、学ぶことを選択したのだ。 この世の無慈悲さ、渇き切った諦観、燻ぶる暴力の衝動のみならず人種やジェンダーに関する差別を真正面から描いた本作は、現時点でのS・A・コスビーの最高傑作と言っても過言ではない。 クライムサスペンス史に名を刻むであろう一作。 | ||||
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血と暴力満載のサザンノワールの新旗手で男臭い筆致が格好いい。葬儀屋や清掃員・作業員を経験し小説家に転身したという経歴が興味深く、見た目も迫力の著者。おすすめです。 | ||||
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展開は最初はゆっくりだが、徐々に早くなり、スマホをいじっていられなくなる。久しぶりにスッキリした。構成もうまい | ||||
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昨年『黒き荒野の果て』で国内外の賞を総嘗めにした作家が、二年連続のキングをほぼ射止めたであろう、そう確信させる作品が早々に登場した。ぼくは前作にも際立つものを感じたのだが、新作では、そのスケールアップぶりに震えた。まさに現代のキングと呼ぶに相応しい非凡の才が、世界の影の部分に鉈を振るう。 人種間分断や同性愛差別と言えば、最初に頭に浮かぶのがアメリカ南部。作家コスビーは、まさにその南部ヴァージニア州居住。ヴァージニア州と言えば、パトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズが州都リッチモンドを中心に展開するシリーズだし、南部を舞台としたリーガル・スリラーの第一人者ジョン・グリシャムは、この州を舞台にしたいくつかの傑作で記憶に残る。 さて、昨年来、翻訳ミステリー界に一石を投じた感じのあるS・A・コスビー。写真ではタフな面構えをした黒人である。まさに本書の主人公の一人を思わせる味のある風貌なので、興味のある方はネットで検索してみて頂きたい。 無残な死を遂げた二人の青年を見下ろすそれぞれの父親の姿で、本書は幕を開ける。あまりにショッキングな、あまりに強烈過ぎるスターティング・シーンである。無残に横たわる二人は、黒人と白人の男性同士の夫婦で、代理母を使って一人娘をもうけていたと言う。日本ではなかなか想像できないことだが、アメリカ南部でこんなにも勇気のあるケースがあるというだけで眼が覚める想いである。 異人種間ヘイト。同性婚ヘイト。別にアメリカ南部に始まったことではない。日本人の我々ならば、この国が同性婚はまだまだ手をつけられていないヘイトの温床であることはつい昨日今日の首相秘書官の更迭問題のニュースでもお馴染みかと思う。G7議長国でありながらG7中唯一同性婚の認められていない国であることも。邦訳されたこの作品が、日本に読書文化という側面からショック療法を与えてくれれば良いと深刻に思う。 さて、作中では二人の父親は息子たちのしてきた決意や行動を理解してやれないでいたようである。二人の無残な死は凄まじいショック療法として息子たちへの理解を推進するエネルギーとなる一方、これまでの親としての責務のあり方についてはどちらもそれぞれのやり方で激しく後悔する。息子たちの生前は互いに距離を取ってきた二人でありながら、この事件を機に徐々に行動を共にし始める。父親としての哀しみの上に、積み重なるのは、息子への理解を示せなかったことへの悔恨の雨。二人は、境遇や人種の違いを互いに理解しながらも、徐々に心を一つにして息子たちの復讐を誓い、事件のディープな真相を探り始める。 秀逸なのは二人の言葉少なだが心をずんと突いてくる会話だ。辛さを隠し、人種間の壁を貫き、ためらいながら、互いに徐々に起動させてゆくのは、確固たる復讐心である。 本書はダブル主人公の傑作である。現代の『手錠のままの脱獄』である。私的制裁を目的とするバイオレンスな主人公たちは、二人ともまっとうな生き方をしてこなかったか、改心してはいても十分ではなかったとの不安定な心境下での日常に、元々置かれてきた男たちだった。自分の面倒もろくすっぽ見られずに生きて来た男たちが、歳を取ってそろそろまともになろうかと見える世代。二人を取り巻く家族、隣人、などとの関係も丁寧に描かれているのは前作同様である。この作家の深みはどこから来るのか? 不思議になるくらい洞察力に満ちた物語。触れれば折れそうなくらい、デリケートな作品なのである。 野太く暴力的な男たちの荒っぽいやりとり。容疑者と思われる組織の思わぬ巨大さ。そのバックにいる者の意外な正体と、やはり意外過ぎる殺人の動機。驚くべき真相。アクションと疾走感。ミステリーとしての仕掛けも、文句なし。心の熱さも。哀しみの深さも。 是非ともコスビーという作家の熱波のような作品ワールドを体感して頂きたい。ちなみにぼくの今年の一押しはこの作品に決定しました。早すぎ、ではないと思う。 | ||||
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