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頰に哀しみを刻め
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頰に哀しみを刻めの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 1~20 1/2ページ
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「黒き荒野の果て」が面白かったので期待していたのですが、個人的には微妙な 評価でした。前作のシンプルでストレート、かつスピーディにキレ味よく物語が 進み、息つく間もなく読み終えてしまう、そんな内容とは違ったものだったので。 まず物語のスケール感のなさが気になりました。息子を惨殺された父親の復讐が テーマなのですが、基本的に暴走族との戦いなのが微妙です。黒幕もチープなキ ャラクターで、全体的に低予算映画を観てるような気分になってしまいました。 また前作でも黒人が主人公であり、差別や偏見が云々というくだりはありました が、今回はそこへLGBT要素も加わってきたことでシンプルなノワールではなく、 ゲイの息子を取り巻く世の中の風当たりや父親の葛藤といった場面も多いです。 それなのに(相変わらず)プロット自体には目新しさや意外性は皆無なので、前 作にあった疾走感やキレ味が失われているのです。結末の納得感も薄く、この手 の物語で最も重要な復讐劇によるカタルシスを充分に得られなかったと感じます。 作者の描きたかった世界観、方向性みたいなものがいまいち私には伝わりません でした。今の時代ならではの問題提起が含まれているのかもしれませんが、それ がエンターテインメント作品として上手く消化されていなかったという感想です。 | ||||
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この作者は高倉健の映画を観ている気がしてしかたがありません。人の罪をかぶって刑務所暮らしをしたのにその間に約束を反故されてさらに出所後の仕打ちはあまりにも過酷で、それでも耐えるのですが身内への攻撃が容赦ないものでついに爆発して単身殴り込みをかけるのですが、相棒の池部良がなぜか途中の柳の木で待っていて傘をさしかけます。そこからふたりでドスと日本刀で大暴れ、という筋立てのシリーズです。 さすがに現代のアメリカですのですべては銃と圧倒的な暴力で解決を図ろうとするのですが、前科者、黒人、LGBTなど差別は重層的に繋がり、復讐は連鎖を繰り返します。どうしたら終息できるのか?それがある意味テーマだと思います。 | ||||
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個人的に最も感情を揺さぶられたのは、突然パーティを抜け出してやってきた元妻のクリスティンが後悔の念で号泣しているくだり、バディー・リーの心の内がわかる数頁の場面です。 彼女に腕をまわして、慰めてやろうと思ったけれど「バディー・リーは動かなかった」。 人間の内面の葛藤をこれほどまで哀しくそして正直に表現した描写に感動しました。原文英語がどうなっているのか確認しようと思います。 | ||||
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クライムノベルにはそれなりの社会背景があると思って読んでいます。今回は以前”ヒルビリーエレジー”を読んで知った、ラスト・ベルト地帯での貧困層で育って犯罪に走って 社会から疎外された親たちから、貧困から”奇跡的”に脱出したその子供たちがゲイであることで また疎外されている状況が、どんより影をおとしている感じ。LGBTQといった 自分が分からない事に出合ったときには、何も見ないで顔をそむけた方が楽だという箇所には 感銘しました。 | ||||
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息子を殺害され、警察の捜査は進歩せず、二人の父親が自分の息子のため情報集めをして、犯人を割り出し仇を討つ。 途中孫娘もさらわれるけど二人で救出。 読みやすく、途中翻訳の文章が可笑しな部分あるけど読めなくはないです。 初著者さんでしたが、読みやすく、面白かったので次作も購入しました。 | ||||
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前2作は犯罪者側からの咆哮。 3作目は犯罪者を追い詰めてゆく側からの獅子吼だ。 コスビーは、裏を返して馴染みになってくれた。 読者と切り結ぼうという作者の覚悟と凄みはこれまで以上に濃厚だ。 「では、あなたはどうなのだ」 という物語を通した問いの切っ先が 読み手に突きつけられているようではないか。 突然発生した凄惨な殺人事件が、 これまで知られていなかった酸鼻な連続殺人事件を掘り起こす。 南北戦争以前を古きよき時代と考える頑迷固陋な人々が暮らす 現代のアメリカ南部の田舎町で、 元FBI捜査官で地元の保安官に転職した黒人男性が対峙してゆく。 登場人物は住民たちをはじめ膨大であり、 それぞれの人々、酒場や学校、保安官事務所や 多くの教会などにまつわるエピソードが積み重ねられながら物語は進行する。 確かに一義的には主人公は保安官だが、 読み終えてみれば、実は町そのもの、 つまり、南部の地方都市というアメリカの断面が 最も存在感ある登場人物だったことに気づく。 ある意味、それは絶望と諦念なのだが、ラストで読者は希望に導かれる。 ところで、一定数の時代錯誤の人々が存在するのは 米国に限ったことではなく、たいてい碌なことにならない。 | ||||
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特にひねったような話しではないけど、 海外のアクション映画を見ているような感じで、 とても楽しめました。 | ||||
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白人と黒人の悩めるおっさんふたりが殺された息子の復讐を繰り広げていくバイオレンスちっくなストーリー。LGBT問題で起きた家族の歪や闇の世界で繰り広げられるちょっと恐ろしいやり取り、そこにおっさんのキザなブラックジョーク溢れる傑作。ぜひ読んでみて。 | ||||
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昨年度「このミス」を始め、週間文春のベストミステリーなどの評価で最高点を得た作品だ。まるで 米国の映画を観ているが如く、速い展開と過激な暴力描写で元犯罪者である黒人主人公の 復讐劇が描かれる。彼の息子が同性愛者の白人男性と「結婚」したのちに何者かによってこの 白人男性と共に惨殺される。この白人男性の父と共に、この主人公は残虐な暴走族やその背後に いる巨悪と徹底して闘っていくストーリーである。映画を観ているようにスムーズに読めるし、面白い。 だが、はっきりと言ってこの作品にはインテリジェンスが感じられない。筋にひねりがあるわけでもないし、 登場人物の描き方も陰影ガない。私自身何故この作品が「ミステリー分野」で最高評価を受けたのか 些か疑問である。マイクル・コナリーあたりの作品のほうがずっと筋に推理性もあるし、作品としても厚みが あるように思うのだが。 | ||||
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殺人犯がなぜ捕まらないの、被害者は悪人だとしても殺人はだめでしょう、この小説のどこがいいのか理解できない。 | ||||
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かつてはギャングで、殺人罪で服役後は庭園管理会社を経営する黒人のアイクのもとに、ある日警察から息子が殺害されたとの知らせが入る。白人の夫とともに頭を何度も撃ち抜かれるという残忍な手口だった。警察の捜査が行き詰まるなか、息子たちの墓がレイシストたちによって破壊される事件が起こる。アイクは、息子の夫の父親で、酒浸りでトレイラーハウスで独り暮らしをするバディ・リーと組んで犯人探しを始める。二人の父親はどちらも、同性愛者である息子を受け入れることができず、心にわだかまりを抱えたまま、息子たちとは疎遠に暮らしていたのである。 著者のS・A・コスビーはアメリカ人で、現在50歳。「黒き荒野の果て」に続き、2021年に発表された長編3作目の本作で、2年連続で米国の重要な推理作家賞を3つ受賞し、さらにエドガー賞長編部門の最終候補にも挙げられました。 この作品の特異な点は、LGBTQと人種差別の問題を正面から取り上げ、尚且つおざなりな扱いをしていないところにあります。その点で、父親と息子という普遍の主題でありながら、非常に今日的なスタイルをもった作品になっています。生前の息子に対して無理解な態度しか示せなかった父親たちの悔恨、懺悔の念に全編彩られており、そういう意味で、大変情緒的な小説と言えるでしょう。映画でもそうですが、アメリカの作品というのは、欧州のものにくらべ、エモーショナルな要素が強いと感じています。そこが日本人の心性に訴えるのではないかとつねづね考えているのですが、どうでしょうか。映画と言えば、この作品、とても映画的で、すぐにでも映画化できそうな気がします。もしかしたらすでに話が進んでいるのかもしれませんが。 | ||||
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. 舞台はヴァージニア州リッチモンド。殺人罪の前科がある黒人アイクは、息子のアイザイアが惨殺されたことを警察から知らされる。一緒に殺害されたのは白人でアイザイアの夫デレクだ。デレクの父バディ・リーも前科者であり、アイクともども息子がゲイであることを受け入れられず、ずっと疎遠なままだった。 警察の捜査は進捗を見せず、業を煮やしたアイクとバディ・リーは独自に息子殺害の犯人を探し始める……。 ------------------- 『 このミステリーが凄い 2024』 』海外部門1位に選ばれたアメリカのミステリー小説です。異人種の前科者二人が、ゲイの息子の殺害犯を追うハードボイルド・バディ小説といった括りができそうです。現代社会の性や家族、そして経済格差や人種差別の問題が輻輳的かつスピーディに展開するので、物語にぐいぐい引き込まれます。加賀山卓朗氏の翻訳本を手にするのは初めてですが、大変読みやすい和文で、一度として倦むことがありませんでした。 とはいえ、私にはいくつか気になる点が残りました。 ひとつは、この物語が父親二人の愛情の発露としての復讐劇という、読者の当初の想定をまったく裏切らずに進む点です。主人公側からしてみれば〈成敗(せいばい)〉とか〈誅殺(ちゅうさつ)〉という大儀のもとに進めらる殺戮は、一点の曇りもない〈正義〉なのでしょう。そしてまた、忠臣蔵のごとく、そこに読者の多くがカタルシスを感じるであろうことも想像に難くありません。 ですが、今の私にはそれだけの物語を読みたいという意思がありません。物語の末路に主人公が抱く感慨を前に、私は自分の予想を裏切る展開がなかったことに淋しいものを感じました。 ふたつめは、警察があまりにも無能すぎる点です。現代アメリカの捜査担当者が、素人探偵二人に出し抜かれすぎです。復讐劇の末にエピローグ的に描かれる警察官の様子も、少々だらしないとしか思えませんでした。 みっつめは、真犯人が底抜けの悪党である点です。真犯人が意外な人物であって、おやっと思わせる点は認めますが――ネタバレを避けるために詳細は伏せるとして――主人公と真犯人が警察署で対峙する場面で、真犯人が絵に描いたような人非人であることが描かれ、物語に深みが見られません。 よっつめは、病人の扱いです。病人の命は健常者の命よりも軽いと取られかねないような展開に辟易としたのです。病人が死んだ場合と、健常者が死んだ場合とでは、読者に与える深刻度に差が出ることを見越しているようで、作劇術としては少し古い気がします。19世紀半ばのディケンズの小説『二都物語』を思い起こしました。 あまり否定的なことばかり書くのも心苦しいので、ひとつ、心に残ったセリフを引き写します。 「別の人間の視点でものを見ようと努力するより、砂のなかに頭を突っこんで見えないふりをするほうが楽だ。無知は祝福ってやつだ」(298頁) 肝に銘じたいと思います。 . | ||||
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様々な要素をつめこんだ非常に欲張りな作品でありながら、すべてをきれいにまとめあげてあり、カタルシスが得られるのがすばらしい。 | ||||
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これは凄い。基本はヘイトクライムへの復讐劇なのだが、バディ物、黒人成功者、貧乏白人、家族愛、組織犯罪、ミリシア、ゲイ、トランスジェンダー、ガンアクション、格闘と全部盛りで、しかも無駄な要素がひとつもない。これらがどっしりとした文章で絡み合っており、なおかつ細切れにした章立てで読みやすかった。このミス一位になるのも納得の作品。ものすごく面白かった。 | ||||
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「メタルギアソリッド」を世に送り出したゲームクリエイター・小島秀夫氏が絶賛していた、2023年度ヒデミス10位の作品。動画レビューに惹かれて読んでみた所大当たり。 まず翻訳小説特有の読みにくさがない所を評価したい。比喩は多めなものの一文が短く、センテンスがテンポ良く区切られてるのでサクサク読める。なのに情景が映像として脳内に浮かぶ。まさに映画を見てる感覚。 黒人白人のゲイ夫婦が惨殺され、両者の父親がバディを組んで復讐に乗り出す話。片や貧乏白人のアル中、片や造園家の黒人でどちらも刑務所服役経験のあるギャング上がり。息子の性的嗜好に理解を示さず、生前喧嘩別れしていたのも共通。 結論から言えば、ミステリーとしては弱い。なんなら登場人物紹介を見ただけで黒幕が誰かわかる。大物が裏で糸引いてると仮定して、逆算したらヤツしかいないし……。 ただそれは主眼にあらず、本作のストーリーラインを引っ張っているのは差別や偏見への怒り・憎しみの感情、凄まじい後悔と自責の念。 これは最愛の息子を不当に奪われた父親二人の物語にして、父親失格の烙印を捺された彼等が、祖父としてやり直すチャンスを与えられる話。 デレクとアイザイアの夫婦は代理出産で娘をもうけているのだが、この純粋無垢な孫娘・アリアンナの存在がシリアスな物語において一服の清涼剤になっている。 人種差別やLGBT差別に焦点を当てた物語は時に重苦しく、アイクとバッド・リーのさりげない会話の中で、差別する側の無知と傲慢が提示される。 重くなり過ぎないのはバッド・リーの軽口に救われているから。「クソ」の使用頻度が高すぎるなど引っかかる点を差し引いても軽妙な文体はスピード感を保ち、息子を喪失した悲しみと犯人への憎しみでチェインギャングのように繋がれた男たちから目が離せなくなる。 派手な銃撃戦はじめアクションシーンの見ごたえもさることながら、最も読ませるのはアイクとバッド・リーが、息子たちの死後に自らの愚かさに目覚めるくだり。 亡き息子たちの足跡を追い、その軌跡を辿る中で、彼等に「普通」を押し付けていた自分たちの罪深さに直面し、「あんたの息子が明日の朝目覚めるなら、今日の夜誰と寝てようがどうでもよくなる」境地に辿り着く。 アイザイアとデレクが理想的に描かれ過ぎてるのが少し違和感だが、だからこそ双方の父親の悪影響を受けず、最期の瞬間まで立派な「親」で在ろうとした人間性に打たれる。 寡黙で無愛想な黒人アイクと女好きで軽薄な白人バッド・リーのコンビも良く、初老のおっさんが暴走するバディものとしても楽しめた。 アイクの妻・マヤの包容力と公正な見方、そうはなれなかったバッド・リーの前妻クリスティンの孤独など、夫婦の対比の仕方も上手い。 難点は視点が入り乱れる読み辛さ。アイク視点で状況描写したと思ったらシームレスにグレイソン視点に移行する為、やや戸惑った。顕著なのは敵味方がドンパチする戦闘場面。ここは改善してほしい。 キーパーソン・タンジェリンが抱える秘密も切なく、昨今SNSなどで炎上している社会問題の是非を考えてしまった。「略称で語られる人たち」を雑に一まとめに審判するんじゃなく、個人と向き合って判断する事が大切。 タンジェリンがアイクたちへの協力を承認したのは、曇りない目をしたアリアンナの、「あの人きれい」の一言が決め手だったと思いたい。嬉しかったろうな……。 ともすると復讐系ノワールものの主人公は因果応報の末路を迎えがちだが、本作は片方が生き残る。が、ラストは納得できるものになっている。孫娘を育て上げる役目を終えたら彼もまた召されるのだろう。 絶対映像映えする作品なので、ぜひ実写映画化してほしい。 | ||||
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性別観の更新を迫られた父親世代の歪みが生んだ、かなり乱暴な復讐譚。依然文学的言い回しに淫しがちだがハイテンポ。 | ||||
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枯れた親父2人が殺された息子二人のため立ち上がる話。 カッコイイおじさんが頑張ってるのがいいね。 著者の前作も似た雰囲気のようなので読んでみたい。 | ||||
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今流行りのテーマ(LGBT)を絡めたお話 ゲイカップルの父親同士が息子の仇を討つのだが、もっとハードボイルド路線を期待してたのでいまいちだった | ||||
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子どもをころされた親が、殺人の原因を探り、犯人への復讐に向かっていく。 日頃は、子どもに対し肯定的に接することがなかった父親が、自らの過去の生き方を自問しながら、息子との関係を考えていく部分が好き。 | ||||
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全体的に少しオーバーなのではと感じる箇所があるが面白い。 人種差別、LGBTなどの社会問題もテーマの一つとしてあるが、しつこさがなく、犯罪小説モノとして読めた。 | ||||
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