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夜のエレベーター
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夜のエレベーターの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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クリスマスの日にアルベールは6年ぶりに実家に帰ってきた。母親はすでになく、実家のわびしい部屋で母の思い出に浸る。外に出て高級レストランに思い切って入ってみる。そこで出会ったのは、子連れの若く美しい母親。昔愛した女性に似ていたため、気になった。向こうもこちらをちらちら見ている。店を出たあと、映画館に入り、2人は急速に惹かれあっていった…前半は、孤独な男女の出会いを描いて、解説にもあるとおり、ウィリアム・アイリッシュ風。その後は、悪女ものに変貌する。登場人物が少ないので、舞台向きかも。エンディングは「読者のご想像におまかせします」みたいに放り出されたまま。 | ||||
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自ら甘い仕掛けに近づいて、仕掛けと気付かず仕掛けたつもりが、仕掛けにはまってしまった。甘い罠には気をつけるべし。 | ||||
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サクサク読めるが、翻訳がなにか学生の訳文にような硬さを感じる、というか、プロの翻訳とはとても思えない。 訳者の生前発表されなかったものだとのことで、こなれた訳にする前の段階のものを発表したものなのだろう ただ、解説にも書かれているように、ウイリアム・アイリッシュばりのロマンチックサスペンスで夜の甘い世界にストーリーが展開する著者の世界は絶品である。 ほかの作品はプレミアがついいるが順次読みたいと思っている。 | ||||
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1961年の佳作が読める悦びを感じました。謎が分かっても、再読に耐える良質なサスペンス$ミステリーです。著者はフランスでは売れっ子の冒険小説作家だったそうですね。『甦える旋律』では、フランス推理小説大賞を受賞(1957年)しており、ミステリーの範疇でも傑作が少なくない様です。 著者は言葉の洒落が得意だそうで、本作にも(翻訳には充分反映仕切れない)地口や掛詞の表現が幾つもあります。最後の部分の「鳥籠」と「檻」(カージュのルビあり)は明示されていますが、他にもあります。一番の「くせもの」はタイトル自体のダブルミーニングないしは洒落でしょう。それを示唆する表現が196頁にあります。 この著者に興味を惹かれて、『並木通りの男』から始めて、過去に出版された訳本を読んでいます。どれもサスペンス描写が秀逸です。やや表現がくどいあるいは冗長だと思われる部分もありますが、それはそれで、フランスの風俗を知る情報(かなり古いですが…)ではあります。 これを機にダールの再評価が進むといいですね♪ 一読の価値あり! | ||||
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久しぶりにフランスのミステリ小説を読んだ。『死者の中から』や『悪魔のような女』のボアロー&ナルスジャックや、『シンデレラの罠』『新車のなかの女』のセバスチアン・ジャプリゾなど、フランスミステリにも好きな作家・作品が結構ある。本書の作者フレデリック・ダールも、過去に『甦る旋律』と『生きていたおまえ…』の二作品を読んだ記憶がる。詩的な文章表現で心理描写を重ねながら、サスペンス豊かにに物語をつづり、ツイストの効いたプロットや仕掛けで、思いがけない結末へと読者をいざなう。フランスミステリというとそうしたタイプの作品がすぐに思い浮かぶが、本書もやはり例外ではなかった。 クリスマスの夜…女性を殺害した罪での服役から釈放された男…ミステリアスな美女との出会い…もどかしく揺れ惑う恋の炎…現れては消える不思議な男の死体…乗るたびに少しずつ時空のずれた世界へと人を運ぶかのような奇妙な夜のエレベーター…。陰った心理のあやをつづりながら、不思議に幻想的ですらある殺人事件の迷路へと誘いこみ、意外で皮肉な終幕へと読者を投げだす。読み出したら止まらない一気読み必至。フランスミステリの味わいを、充分に端野させてくれる、はかなく悲しくサスペンスフルな傑作である。 | ||||
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クリスマスの一夜だけ繰り広げらる殺人事件。娘連れの母親、ぼく、ちょっとだけの役割を演じるはずの中年男、そして殺された夫、という登場人物はたったこれだけのフレンチ・ミステリー。 もちろん日本人が思い描く典型的なフランス人たちはつねに「陰陽」「躁鬱」を持っており、言語は哲学交じりで大胆な行動にでる。トリック自体は現代の日本で「新本格派」を読んだことがあれば、途中で気がつくかもしれないが独特のエスプリと会話、古いエレベーター、アパルトメント、カフエなどの小道具に魅了されるうちに驚くべき結末をむかえることになる。 | ||||
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これは不思議な本だ! というのが第一印象。読み始めると引きずり込まれてしまい、二時間ほどで読み終えてしまった。登場人物も少ないし、物語もさして複雑ではない。ただ、やたら謎めいて先が見えないだけだ。 一人称文体による主人公の怪しげな帰宅で、物語は始まる。どうやら主人公の「ぼく」は、生前の母親が暮らしていたという実家に数年ぶりに戻ってきた孤らしい。「ぼく」は空っぽの家の中で、ひとしきり母親の想い出に浸って、それから、光に満ちた街へと足を踏み出す。謎だらけの「ぼく」は、ビアホールで子連れの見知らぬ女性と出会う。 そして闇に引きずり込まれるようにして、「ぼく」は、映画館でその母子と隣り合った席に座り映画を観る。そして母子のアパルトマンへ誘われ、本書のタイトルともなっている<エレベーター>に乗る。子連れの女性は何者で、一体何をしようとしているのか? そもそも「ぼく」とは、どこから来た何者であるのか? いろいろな事実が語られぬままの不安定な状況は続き、物語は徐々にダークなサイドへと滑り落ちてゆく。 作者フレデリック・ダールは、フランスの明るいシリーズで名を成した人気作家サン・アントニオの別名義。邦訳はハヤカワミステリなどで7作ほどにとどまるが、フランスでは何百冊という作者と同名のサン・アントニオ・シリーズがベストセラーであるそうだ。それに比してフレデリック・ダール名義で書かれた、数少ないまるで異なる味わいのサスペンスもまた出色の作品が眠っていたらしい。 なぜこの古い作品(1961年フランスで刊行)が、今になって出版されたのか? 当然そうした興味深い疑問が生まれる。ましてや翻訳者だって、2013年に亡くなっている。何故だ? その疑問には、実は巻末解説が答えてくれていた。翻訳者は、生前、この作品を気に入って出版の宛てもないまま自主翻訳をしていたらしい。そして、その翻訳原稿が、実は最近になって発見されたということらしい。それだけでも珍しい貴重な出来事であるし、作品にとっても日本の読者にとっても幸運なことだと思う。 本書を三分の一ほど読んだところで、「ぼく」の正体がわかり、そこで作品はいきなり別の色あいを帯びることになる。そして後半は、騙し絵に騙し絵を重ねたようなトリックが連続する。上へ下へのエレベーターの動きとともに、作中時間は強烈な犯罪の匂いに満ちてゆく。 ダークである。ノワールである。ヒッチコック映画みたいに誰もがこの作品の語りに引き込まれてゆくに違いない。 小編だが、実にぴりりと来る刺激的作品。これぞフレンチノワール。さあ、タイムマシンに乗ろう。是非とも1960年代初頭のダークサイドを覗いて頂きたい。さあ、「夜のエレベーター」に乗ろう。 | ||||
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