絶体絶命
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フランス心理サスペンスの巨匠ダールの初期作品で映画化もされた古典ミステリーです。まず、本書の日本での刊行は昭和33年(1958年)で51年後の2009年現在では完全な絶版本ですので、残念ながら古い図書館か古書でしか読めないでしょう。筋立ても今では古めかしく感じられる部分もありますが、それでも普遍的な男女の愛憎ドラマとして読後深く胸に迫る不思議な感動を呼び起こす秀作ですので、ぜひ何処かで探して読んで頂きたいと思います。 死刑囚監房で主人公の男シャルルが警官殺しの男フェラリと共に死刑執行の時を待っていた。最初にどちらが呼ばれるのか迫り来る死の恐怖に怯えながら、シャルルは妻グロリヤの浮気に端を発する凄絶な物語を回想し始める。偶然にも妻と若い男ノルマンの浮気現場を目撃してしまったシャルルは深く愛する美貌の妻に強い怒りを覚え、徹底的に苦しめてやろうと決意して脅迫者となる。やがて苦しむ妻の姿からサディスティックな喜びを得たシャルルが考えた悪魔の様な計略の為に、事態は予想を超える凶悪な殺人事件へとエスカレートして行く。 本書は警察の側から書かれた物語ではなく、犯罪者達の立場から露見しないはずの完璧な隠蔽工作が何故発覚したのか、男が結局どうして捕えられてしまったのかという興味に焦点が絞られます。しかし、それはよくある「刑事コロンボ」の様なパターンではなく、相当にねじれた意表を突く仕掛けで、最後の最後まで全く予想出来ないでしょう。本書が胸に迫るのは、シャルルが実際は殺人を犯していないのに処刑されてしまうという強烈な無念を感じる苦しみの思いと、最後まで愛した妻グロリヤの複雑な胸の内を理解して怨み憎しみを超越して許し、死後の世界で再び会おうと決意する凄絶な心情です。最後の頁の一文「グロリヤは、私が彼女なしには生きられないのと同様に、私なしでは生きられないのだ」という男の独白が深く心に残りました。 | ||||
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