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マルドゥック・アノニマス7
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マルドゥック・アノニマス7の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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冲方氏の目に入ることも期待して ここにレビューの形で残したい。 私の個人的な予想だが おそらく冲方氏はかつてのような「文芸」を復興(もしくは新生)させたいのだろうと感じている。「文芸」の定義は?と聞かれると私も答えられないが 本当に沢山の本が出版される平成~令和の現代ではなく 一冊の物語との出会いがもっと貴重な時代の「文芸」である。 そんな貴重な物語を 一日で読み飛ばせるか? -否。かつて物語はじっくりと時間をかけて楽しむ娯楽であった。 そして かつての「物語」は一度読み終えて終わりという性質の娯楽ではない。何度も読み返すそのたびに新しい発見があり むしろ二回目・三回目の読書体験こそが本当の面白さを味わえるものだった記憶がある。 そういう前提であれば 複雑な筋立ても多すぎる登場人物も問題にはならず 逆に作者のサービス精神とすら言えるだろう。 例として挙げられるのは 冲方氏が途中から脚本を務める「蒼穹のファフナー」シリーズである。 氏のテイストが全面に出ている「HAE」(映画版)「EXODUS」(アニメ二期)は「初見殺し」という異名をとるほど展開が早くわかりづらいが 何度も視聴して話が繋がった時の面白さ(快感 と言い換えても良いとすら思う)は本当に素晴らしい。 しかし「蒼穹のファフナー」シリーズは あくまでもアニメーションである。 アニメーションであれば アクションを始めとした映像や音楽など 脚本以外に楽しめる部分が多くあり また家事やほかの事をし「ながら視聴」も十分に可能だからこそ 二回目・三回目を観て楽しめるチャンスがある。 だが 小説を読むためには「ながら」は不可能である。 私は冲方氏より年上である。仕事も家の事もあり 時間が無限にあるわけではない。 正直なところ このマルドゥック・アノニマスシリーズも「一巻から読み返したい」と思っているのだが そういう時間はなかなか取れない。 そしてこの令和の世の中では 他の優れたクリエイターたちによって物語は次々に生み出されている。 「世の中には面白く かつ自分の人生観に多大な影響を与えてくれる『私の知らない』物語があるかもしれない」いつもそう思っている。 だから 現実問題として 一つの物語だけに集中するのは不可能である。 かつての内藤陳氏の言葉を借りるなら「読まずに死ねるか!」である。 私はマルドゥックシリーズが好きだ。特にヴェロシティはもう20回は読んだ。 だからこそ 集大成たる「アノニマス」は 願わくばもう少し書きたいことを絞って整理してほしかった。 この「アノニマス」シリーズも 時々本が手放せないくらい面白いシーンがあるし、冲方氏の「語りたいこと」にも共感しているが、それゆえにテーマと登場人物をもう少し絞って 気軽にもう一回読みたくなるような分量にして貰いたかった。 「読者の時間と寿命は有限であること」を今一度意識してほしい。 どんなに素晴らしい精緻なプロットであっても 読者がついていけなければ意味がない。切なるお願いである。 | ||||
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