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平凡すぎて殺される



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【この小説が収録されている参考書籍】
平凡すぎて殺される (創元推理文庫)

平凡すぎて殺されるの評価: 2.80/5点 レビュー 10件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点2.80pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全4件 1~4 1/1ページ
No.4:
(4pt)

コメディアン兼作家によるダブリン発ユーモア・ミステリー

翻訳までされる海外のユーモア・ミステリーは、たいてい外れがない。しかも本書は翻訳者が原書で読んで、いたく気に入ったための持ち込み企画作品だそうだ。さればこそと読者側からの期待値も込めてしまう。無論ただものではないはずだ、と。

 しかし出だしを読んでゆくにつれ、少し後悔の念が。ぼくの場合、食べ合わせがよくなかったのかもしれない。ルースルンドの『三日間の隔絶』、ウィンズロウの『業火の市』といった超ド級のシリアス・アクション大作ニ作の読後だったので、この本を読み始めた途端、思わず膝が砕けそうになった。そこら辺にいる人たち皆にこの本を読ませたら、吉本興業の公演のお笑い芸人たちみたいにどどどっと、倒れちゃうんじゃないだろうか。それも何度も。

 タイトルから既に気が付くべきだった。何しろ『平凡すぎて殺される』だもの。帯には「このミステリ面白すぎる!!」とうたい文句。面白いとは、そういう方向の(つまりユーモアの)面白さだったのか。やられた! そう、本書はミステリーの内容を持ったユーモア小説である。

 主人公は特に何のとりえもない地味ぃ~な青年。無職なので日銭を得るために病院でして老人患者たちの介護をしているというどうも頼りない男なのだが、いきなり事件が起こる。死にかけた老人にナイフで襲われ怪我を負ってしまうのだ。老人は実はやくざの親玉で、彼を襲った直後に死んでしまう。と同時に主人公は命を狙われ始め、行動も口も達者な看護婦がそれを救い出す。老人の正体は誰だったのか? これが本書を貫く謎の肝となる。

 ぼくの場合前半は、登場人物が次々増えてくる様子や、小さなギャグのために割かれるページが多いことに、しばしの間慣れることができなくて、実は苦労したのだが、徐々にこの作品の持ち味としてのユーモアに馴染みができて頭に入ってくるようになってからは、急速にページがめくられてゆくようになった。そう、本書は笑って面白く読まなければいけなかったんだ。「このミステリ面白すぎる!!」なんだから、とこの辺りでようやく気づいたわけなのさ。

 逆にそうなると後半部で、練りに練られた仕掛けや錯綜した人間関係図、それらを整理してゆく二人の素人探偵と、彼らを助ける定年間際の刑事、との主役トリオの役割や、敵・味方・脇役のそれぞれの人間関係が明らかになってゆくとともに、面白さと比例して読書速度は一気にスピードアップした。

 巧い仕掛けに満ちたミステリーだな、と読後感はすっきり。アイルランド作家によるダブリンを舞台にしたミステリーで、作者がTVの放送作家かつコメディアン出身という裏事情も興味深い。同じアイリッシュ作家でも、IRA健在の時期の危険極まりないキャリックファーガスという北アイルランドの田舎町を描き続けているエイドリアン・マッキンティとの毛色の違いは甚だしい。読み比べても意味がないだろうし。

 本作はシリーズ化されているそうである。二作目も出るなら読もうかどうか迷ってしまいそうだが、この主人公の今後も気になる。そう。シリーズに甘い読者なのだよ、ぼくは。
平凡すぎて殺される (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:平凡すぎて殺される (創元推理文庫)より
4488165044
No.3:
(5pt)

最高です(原題:A Man with One of Those Faces)

とある事情でケアホームで慈善活動をする主人公ポール。とある老人に、誰かに勘違いされて襲撃されるたことがきっかけで、ダブリンの大物犯罪者に狙われることに。
アグレッシブな女性看護師と共に逃亡生活が始まる。
一方、定年直前の刑事と、ポールと因縁のある暴力的な刑事も、ポールのことを追っていた。
果たしてポールは無事逃げ切ることができるのか、という話。

話の展開はややスローなものの、見開き1ページの会話の間に4回は、ブラックジョークやウィットに富んだギャグが盛り込まれており、全く飽きない。常に苦笑してしまうこと間違いなしです。
登場もちょい役を含めて味があり、愉しめます。
ストーリーも基本的には面白いし、ボリューム感もたっぷりあって、読みでがあります。
個人的には非常にお勧めの一作です。是非、続編の刊行をして欲しい。

創元推理社やハーパーコリンズ・ジャパンが、ハヤカワ文庫のお株を奪う海外の良書を出してくれているのでうれしいです。
黒き荒野の果て、などや、獣狩り、などもお勧めです。
平凡すぎて殺される (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:平凡すぎて殺される (創元推理文庫)より
4488165044
No.2:
(5pt)

もう読んじゃった!!

次から次に湧き起こるトラブル、誰が敵なのか味方なのか、そして平凡な主人公は本当に平凡なのか?どんどん物語に引き込まれて、あっという間に読み終わってしまいました…
続きは原作では出ているそうですが、まだ邦訳が出ていません。続きがあるなら読みたい!!活力あふれるキャラクター達のぶつかりあうさまも面白い!!続きを出してください!!
平凡すぎて殺される (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:平凡すぎて殺される (創元推理文庫)より
4488165044
No.1:
(4pt)

ダブリン。スラプスティック・ユーモア・スリラー

著者の初長編だそうですね。「平凡すぎて殺される "A Man with One of Those Faces"」(クイーム・マクドネル 創元推理文庫)を読み終えました。舞台は、珍しくダブリン、アイルランド。
 平凡な青年・ポールが主人公。彼は元ギャングの最後に立ち会ってしまい、30年前に起きた大富豪の新妻誘拐・失踪事件に纏わる秘密を聞いたと勘違いされ、組織から執拗に命を狙われる羽目に陥ります。バディは、看護師・ブリジットとはみだし刑事・バニー。三人は、満身創痍、下品で(笑)とても"カッコ悪い"活躍を見せつけながらも組織の謎に次第に迫っていきます。巻き込まれ型のヒッチコック・スリラーのような味わいに加えて、コミック・スリラーでもあり、特に前半は行きつく先が見えない極上のストーリー・テリングだと思います。ガドリング砲のように畳み掛けるユーモアが炸裂し、そのユーモアが次のストーリーをぶん回していくスラプスティック・スリラーと言ってもいい。そして、最初から最後まで、一人としてまともな人間が登場しないスリラーでありながら、立ちのぼる「悲哀」もあってかなり読み応えがありました。
 随所にアイルランド・ネイティブであれば理解できるようなユーモアが隠れているような気がしますが、その点は、何とも言えません。若干、後半はその面白さが失速しますね。少しだけ、慌ててまとめにかかった印象はありました。
 とは言え、訳者あとがきによると「ダブリン・トリロジー」の一作目だそうですから、これからの「たいていの男は酒を買えるようになったただの男の子」(p.226)たちの活躍に期待したいと思います。訳出されますように。
平凡すぎて殺される (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:平凡すぎて殺される (創元推理文庫)より
4488165044

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