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威風堂々 明治佐賀風雲録
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威風堂々 明治佐賀風雲録の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.40pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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良く調べて書かれています。読んでいて楽しい。 | ||||
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大隈重信さんの人生を書くには、筆力が足りないと思わざるを得ない。上はまだましだが、下になると、同じようなセリフばかりになっていく。他の人の手による伝記を勧める。 | ||||
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大隈公の活躍した期間が長いので、すべてを書こうとしてやや上滑りな感じがありますね。 | ||||
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少し荒っぽい感じですね。深みが欲しい。 | ||||
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伊東潤氏の作品は長らく愛読している。以前は戦国時代の関東地方のマイナー武将を取り上げる作品が多かった気がするが、近年は分野が広がり、明治維新をテーマにする作品も手掛けるようになった。 ただ、他の作家が光を当てることが少ない人物を主人公にする点は同じで、例えば薩摩藩の下級武士の川路利良を主人公にした「走狗」は傑作であった。本書も滅多に取り上げられることがない大隈重信が主人公である。 大隈重信と言えば早稲田大学の創設者ぐらいのイメージしかなかったが、いざ読み始めると実に面白い。佐賀藩出身であることを初めて知ったが、若いころから自分が正しいと思うことは従来の制度を壊してまで貫こうとする硬骨漢で、藩の伝統的な教育方法の変更を訴え、それをかなり強引な方法で実現してしまう。大隈という人物の凄いところは、自分の理想を主張する理論家にとどまることなく、それを実現できる実務能力の高さを兼ね備えている点にあると思った。その能力が薩長の元勲にも評価され、中央政府に招聘されて、近代日本の礎となる様々な改革を成し遂げて行く。 政治家になってからは、頑固な性格が災いになり必ずしも大きな成果を残したとは言えないかも知れないが、中国・朝鮮政策に関して、相手の恨みを買う武力占領は避けて、貿易相手として育成すべしという大隈の主張は後から振り返ると実に正しいものであり、それが実現できなかったことは残念に思った。 ただ、最終ページの「無残な敗戦を経て、初めて大隈が理想とした民主主義国家が樹立される。天の大隈はそれを見て、ようやく安堵したのではないだろうか」の一文は余計だった。大隈ならアメリカに日本の防衛を任せて、自主独立した外交政策を取ることができない戦後の日本を良しとはせず、これを改めようと奮闘するのではと思った。 | ||||
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早稲田大学を創設し、総理大臣経験者でもあったことぐらいしか、認識がありませんでした。明治維新の際の財務の活躍、反発政治との対決など見事に描かれている。早稲田大学誕生の模様、岩崎弥太郎や福沢諭吉との交流など明治期の活躍者の動きが大変面白かった。 スケールの大きい大隈重信を更に知りたくなりました | ||||
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「青天を衝け」で一躍有名になった大隈重信。その一生を記した前編。 スピーディーで読み応えがある。 作者の代表作のひとつとなるであろう。 | ||||
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大隈重信という人物像がよくわかる内容であった。 | ||||
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明治維新の雄藩といえば、薩長土肥。この中で肥前がスポット当たることは少ないですが、威風堂々上下を読むとその凄さが明らかになります。幕末から明治、大正の時代を駆け抜けた大隈重信の成し遂げた数々の功績・貢献がわかる小説です。藩閥にとらわれずに、邁進していった人生はまさに波乱万丈。そして、岩崎弥太郎や坂本龍馬など偉人たちとの関わりも必見です。 | ||||
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伊東潤の最新作のレビューである。上下巻800ページの大作でありながら、幕末、明治維新、その後の明治・大正期の政治過程を実に読みやすく整理して、その時代に生きた大隈重信という大政治家の事績、人柄や人情を、好意をもって描ききっている。正統的な歴史小説であり、快作である。 大隈は幼名を八太郎と言い、佐賀藩の上級家臣の子として生まれた。幼少期は他に抜きんでるほど優秀でなく、腕っぷしも強くなかった大隈は、十二、三歳の頃から「ハシクリ」と呼ばれる暴れ者になっていく。その行動が現れたのが、藩校弘道館で、朱子学と「葉隠」の画一的な授業に限界を感じ、わざと騒ぎを起こして、弘道館を退学になったことである。しかし、大隈の目論見通り、それを機に、弘道館長の鍋島安房守茂真に対し教育方針の変革を訴え、自らの蘭学寮行きを認めさせた。大隈は、蘭語では蘭学寮一になるが、自らの「窮理(現在の物理学)」の才能に限界を感じていた。そこに、万延元年の遣米使節団から帰国した小出千之助から「これからは蘭語より英語が大切だ」、「あらゆる新技術は英語で書かれている」という話を聴いて、副島種臣とともに、佐賀藩に英語学校を創設する運動を始め、大隈は長崎に出て、英語教師を探す役割を担うことになる。長崎に行くことで、大隈は生涯の知己である岩崎弥太郎を知り、英語教師フルベッキを通して英語を学び、さらに商業の仕組み、法律、キリスト教の教義、西洋算術など様々な知識を得ることになった。 やがて時代は、薩長と幕府の対立が徐々に進行し、大隈は坂本龍馬から、佐賀藩も時代の動きに乗り遅れないよう忠告を受ける。しかし、藩主の鍋島閑叟は、科学技術への情熱は高いが(佐賀藩は、日本初の実用的な蒸気船を開発した)、政治権力への関心は恬淡としていて、政局には乗り出さない。大政奉還の献策ができる最大のチャンスであった慶応三年の上京の際にも、閑叟は病状悪化から、徳川慶喜に対して何も言わないまま帰佐してしまった。そして、土佐藩の献策により大政奉還が行われ、さらに王政復古の大号令がなされ、ついに鳥羽・伏見の戦いが行われた。佐賀藩は新政府軍に参画するが、新政権誕生には完全に乗り遅れたように思えた。しかし、東北での戊辰戦争が続くことになり、強力な近代軍事装備を持つ佐賀藩を政府軍に投入したいという薩長の思惑から、大隈、副島、大木喬任は、新政府の参与職という中枢に取り立てられる。 政府中枢に取り立てられた大隈は「浦上キリシタン事件」、横須賀造船所の借金問題、「イギリス人水夫殺害事件」など外交問題を鮮やかに解決し、さらに財政・貨幣改革に取り組み、政府内で頭角を現す。ただ、薩長とは違い、佐賀藩出身者の結束は弱く、さまざまな形で力を削がれていく。佐賀の乱で江藤新平は刑死となり、そして大隈は明治十四年の政変にて失脚、政府中枢から追放される。 その後、政党政治家として人気を高め、外交能力の高さから、黒田内閣や松方内閣で外相に就任したほか、首相の座に二度就く。また、東京専門学校、後の早稲田大学を設立し、教育の発展にも尽力する。八十三歳まで生き、まさに威風堂々とした人生だった。 以上が、おおまかな要約であるが、この小説の良いところを幾つかあげたい。まず第一に、大隈重信という政治家を、ポジティブに描いていることだ。私はかつて、日本政治史の権威、岡義武著「近代日本の政治家」(岩波文庫)を読み、大隈のマイナスイメージばかりを植え付けられた。岡義武の大隈への評価は「自己顕示にきわめて急」、「権力への根強い欲求」、「情操に乏しく散文的」、「内面性の乏しさ」など、悪い面ばかり強調されているように思う。この小説のなかの大隈も、独断専行の面は強く、鍋島閑叟や五代友厚から、その欠点を指摘、非難されている。しかし、欠点ばかりで、これだけの事績を成し遂げ、国民的人気を得ることはできるのだろうか。また、現代日本のような、変革が全く先に進まない時代には、大久保や伊藤や山縣よりも、大隈のような明るいオープンなリーダーシップのあり方が、求められているのではないか、と思うのである。さらに、大隈の妻や馴染みの遊女に対する態度や、福沢諭吉との交流など教育を重視した側面についても、好意的に描いている。 この本の良いところの二つ目は、薩摩、長州、土佐からの視点ではなく、佐賀藩の視点から描くことで、これまで多く描かれてきた幕末・明治維新の物語に、新鮮さを与えていることである。なぜ佐賀藩が、志士活動をしないで、明治維新で「薩長土肥」と言われる、大きな地位を占めたのかがよくわかる。それは閑叟の推進した科学技術の力と、佐賀藩の教育の力、長崎との関わりが強く開明的であったからであろう。科学技術や教育を重視する姿勢や、世界に向けてオープンであることは、現代日本に求められていることであり、幕末の佐賀藩から学ぶことは大いにあるような気がする。また、大隈を中心に、佐賀藩の武士が、幕末から明治維新、そしてその後の政治過程において、いかに生き、そしていかに死んだかを描き、人情味に溢れていて、それぞれの人間像がきちんと立ち上がっている。 そして、この本の良いところの三つ目は、大隈を主人公とすることで、幕末から大正期までの長い時代を俯瞰できるということである。そして、幕末から明治維新、そして大正期までの時代を、現代と重ねてあわせて読むことで、停滞する現代に生きる私たちに、改革の精神や教育の重要性を喚起する本となっている。熱中して読みきってしまった。評価は「最優秀の作品」の☆5つとした。これは私の書いた35番目のレビューである。2022年1月27日読了。 | ||||
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