羊の頭
評判
羊の頭の評価:
4.00/5点 レビュー 2件。 C ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1〜2 1/1ページ
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羊の頭の評価:
4.00/5点 レビュー 2件。 C ランク
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ドイツ人作家アンドレアス・フェーアの『 咆哮 』に次ぐ、警察小説《Wallner & Kreuthner》シリーズの第二弾です。前回同様、事件の第一発見者はクロイトナーですし、捜査の指揮を取るのはヴァルナー、ヴァルナーが暮らす祖父マンフレートは相変わらず扱いづらい行動を起こすものの、どうも憎みきれないところがある、といった具合です。
随所にドイツ語圏特有の文化や習俗が散りばめられていて、ドイツ贔屓の私には小説を読む楽しさが倍加しました。
書名になっている「羊の頭」はドイツ南部バイエルン地方で盛んなカードゲーム《Schafkoph》のこと。事件の関係者の間でこのゲームが行われていたということですが、事件そのものとの何か深い関係があるというようには思えないものの、そうしたゲームがあるということは初めて知りました。
ヴァルナーが、「俺はプロイセン式の謹厳実直を旨としている。部下が決めたとおりに動いていれば文句はない」と言い放つ場面があり、ドイツ南部を舞台にしたこの小説の主人公がドイツ北部の価値観を旨としているのは興味深い話に思いました。
ウィーンではトマトのことを「Paradeiser」ということや、戦時中、ナチス親衛隊員はトマトをアメリカから来た敵性野菜として1942年以降は食べなかったというエピソード、 その他、魔女話が出てきたり、マンフレートがカスラー(Kassler)のセロリピューレ添えを作る場面があったりと、ドイツ、ドイツしたところが次々と出てきて興趣が付きません。
そう思っていたところで、「木を見て森を見ないとかいって、日本人はそう(=全体像をみようと)する」なんて一節が出てきて苦笑します。
最終局面でヴァルナーとクロイトナーが、ある男を追跡する場面はいかにもテレビの世界で活躍していたフェーアらしい筋立てですが、そうこうするうち、最後の最後でクメーダー殺害事件をめぐる大どんでん返しがあって、息を呑みました。前著『咆哮』でも読者をうまく騙してくれたフェーアの作劇術は見事です。
この《Wallner & Kreuthner》シリーズは2021年現在、ドイツ本国で9作目までが発表されているとのことです。第3作の『Karwoche(受難週)』も酒寄進一氏の見事な邦訳で読める日が来ることを期待しています。
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