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大鞠家殺人事件
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大鞠家殺人事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.07pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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芦辺氏の作品、過去に何作か読んだが趣味が合わず、しばらく避けていたが、本作はフーダニットの王道を行く作品であり、一気に読み進んだ。 1906年から太平洋戦争終結後までに大阪・船場の大鞠家という「館」の中で起きた因縁とこれにまつわる惨劇。これは?という気になる点もいくつかあるが、読後感は悪くない。横溝正史の作品を彷彿とさせる。 船場といえば、山崎豊子や花登筐の作品が有名だが、本作にも乱歩が描いた戦前の東京とは明らかに異なる、船場独特の雰囲気が漂う。 冒頭に登場するパノラマ館。寡聞にして知らなかったが、大阪や東京に実在した当時最新鋭の娯楽施設。こういうものがあったとは。 大阪が地元の作者。大阪を舞台とする他の作品にも興味が湧いた。 | ||||
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物語としても面白いと思います。 「明治殺人法廷」もポチりました。 | ||||
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べたべたの船馬言葉を読んだ時脳裏に鳴り響いたのは故3代目笑福亭仁鶴の声でした。そして仁鶴師匠も出演したはった「けったいな人々」という茂木草介のドラマを思い出して、懐かしいなあと思いましたら、設定で「けったいな人々」へのオマージュが出てきて、ああやっぱり大阪商人世界というならそれやわなぁと。その上クラシックな探偵小説をご存じな方にはピンとくる、知らなくてもそのカラクリに納得する展開が最後まで心地よい小説でした。娯楽の原点に触れて満足しました。 | ||||
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装丁も綺麗で、満足しています。 | ||||
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大阪・船場の古風な商家を舞台にしたミステリーである。 明治から昭和戦前期にかけて化粧品で繁栄した大鞠家で、跡継ぎの失踪や当主夫婦のグロテスクな連続殺人が次々と起こるのは、横溝正史風の展開である。また、金田一耕助のパロディのような迷探偵が登場するのは横溝へのオマージュかもしれない。 そうした横溝風のグロテスクなミステリーの面白さというよりも、本書の素晴らしさは古き船場商家の雰囲気と言葉遣いを再現しているところである。著者自身が大阪出身とのことだが、今は失われた船場言葉や伝統的商家の奉公人の世界を再現するのは相当な取材と研究の成果であろう。婿取り婚の「誓約書」読み上げの場面など、いかにも古風な商家らしく興味深い。 また、戦時中の大阪市民の耐乏生活や、贅沢品である化粧品を扱う商家がどう生き抜いたかが描かれているのも興味深い。ガソリンがないため薪を炊いてエンジンを動かす木炭車などが登場するディテールも感心した。 | ||||
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力の戦災で繊細で灰燼に灰燼に帰すところなど、大河の雰囲気もある。本格好き、乱歩、正史好きの読者にはたまらないだろう。実は小生はこの手の本格はあまり好みではないが、それでもつられて読んでしまった。 | ||||
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2021年に刊行されたミステリーとしては傑作だと思います。著者の作品のなかでも一、二を争う出来だと思います。明治以降の大阪の船場の生活様式がよく描かれていて、その点でも興味深く読むことができました。また、この手のミステリーにありがちな、型にはまった登場人物の紹介と、事件ごとに繰り返される捜査側による聞き取りの繰り返しという、退屈極まりない展開に陥っていない叙述もうまい。素人作家はすぐこの欠点が出てしまい、読み手はそれにつきあわせられて退屈してしまうのですが、そうなっていない点はさすがです。また、著者の大阪に対する愛情が全編にただよっているのもよい。。☆1つ、という評価もあるようですが、これは、著者が愛好する乱歩以降の「探偵小説的」遊びこころの傾向を好まない方の評価だと思います。ただ、この作家さんは、そういう負の評価がありうることを十分意識して書かれており、またこうした趣向が探偵小説の魅力の大きな部分と意識して確信犯的にやっているので、作品的な価値を貶めているわけでは決してありません。むしろ、そうした「古い探偵小説」趣味を、本格的な小説の中に消化させているところがこの作品の見事なところだと思います。近年の大阪における「新興勢力」にたいする批判も見られてニヤリとさせられます(あ、☆1つはもしかしたらその所為か)。最後に、芦部さんに提案がひとつ。芦部さんの多くの作品は魅力的なものですが、探偵役に森江春作を多用するのはやめたほうがよいと思います。こう言うとご不快でしょうが、森江は探偵役としては魅力がない。法廷ものか、バラエティーものか、登場させる作品を限定したほうがよいと思います。今回の作品が傑作に仕上がっているのは、彼を登場させなかったこと(時代的には無理なのですが)に大きな理由があるように思います。その点で、担当編集者さんのご指摘はまったく正しい。 | ||||
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昭和20年、大阪船場で、かつて化粧品販売で財を成した大鞠家で起きた連続殺人事件。 終戦間近の統制の厳しい市井の雰囲気が良く分かり、当時の社会の仕組みや経済の発展を支えた丁稚制度についても興味深かった。 ミステリーとしても、惨劇や不可解な事象が次々と起こり飽きさせず、最後はしっかりと伏線も回収して、その醍醐味を味わえます。 | ||||
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上下2段組構成で、363ページと、ボリューム満点の探偵本。 明治後期、大正、それから昭和の戦時中、大空襲。 そして戦後にかけて。 商都、船場のジオラマが眼下に広がっていく。 その南久宝寺町の化粧品売りの商家が舞台。 船場言葉があちこちに飛び交う。 ぼんぼん、いとさん、こいとさん、ごりょんさん。 世界の探偵名作に囲まれつつ。 まさしく「魑魅魍魎が跳梁跋扈する」がごとくミステリー。 | ||||
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「大鞠家殺人事件」(芦辺拓 東京創元社)を読み終えました。 舞台は、大阪、船場。昭和を知る人間にとっては、或る高名なテレビ番組を真っ先に思い浮かべます。 明治三十九年、パノラマ館のエピソードが大正三年の「大鞠家」の祝言を経て、昭和十八年からの「連続殺人事件」へと繋がります。本格パズラーですから、これ以上語ることができません。語り出すと止まらなくなる内容が多く含まれているため、自戒しましょう。じっくりとお読みください。 戦中、戦後を生き抜いた「大鞠家」のクロニクル。特筆すべきは、徴兵によって男たち不在の<大阪>を生きる女たちが思いのほか悲しみをもって語られ、就中、数多あったであろう「薬問屋」の生業とそこを生きる<番頭はんと丁稚どん>たちの今では特異な世界が(ユーモアをたたえながら)丁寧に描かれ、郷愁を、切なさをもたらします。それは、サウダージと言っていいのかもしれません。 傑作パズラーだと思います。 | ||||
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