■スポンサードリンク
血の葬送曲
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
血の葬送曲の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.25pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 1~20 1/2ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
旧ソ連の恐怖政治時代、レニングラードを舞台にしたフィクション。 凄惨な状況で転がった5つの死体。そこから始まる物語。 主人公は元音楽家の警察官となります。 元音楽家というのもしっかり意味があるのが面白い。 世界観が好きそうという方には是非読んでみて欲しい作品でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
旧ソ連を舞台にした、歴史警察ミステリーです。表紙に雪の中に線路が描かれてますが、その情景や、寒さなどがものすごく伝わってくるような臨場感あふれる文章だったのでとてものめりこみました。線路に並べられた5つの遺体というのが帯にも大きく描かれていますが、物語はそこから始まります。特に難しい表現もなくすらすらと読めました。著作権があるので内容が細かく言えませんが、刑事ものが好きでない人にもオススメです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
生硬な文体とグロテスクな描写のせいで、いやな本を買ったなと思ったが、楽譜が出てきたところで、驚いた。歴史物で、しかも警察小説。 こういう作品には、松江さんのミステリ小説としての解説のほかに、ショスタコービッチの第七交響曲誕生の本当の背景、初演のための演奏者かき集めの苦労、歴史に残るベリヤの猟色犯行、ベリヤとマレンコフが同志でありながら政敵であったことなど、歴史的背景の解説も加えてほしいと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読みやすい文体で一気に読めました。 フィクションですが、実際の出来事や人物が出てくるためソ連の不穏な空気が伝わってきて、涼しい部屋で読みながら罪悪感を覚える程のリアリティ。 ただ歴史も音楽も詳しくないため、知っていたらもっと面白かったかと。読後に調べました。 ラストは少しあっさりでしたが、続編を楽しみにしています。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
舞台は1951年のソヴィエト社会主義共和国連邦・レニングラード。 疑わしくは罰せず、ではなく、疑わしくなくても逮捕な時代に 二本の線路の上に5つの死体が置き去りにされていた。 なぜ彼らは殺されたのか、人民警察警部補、主人公レヴォル・ロッセルが事件を担当することになるが 事件を解決しようと動く主人公が、捜査を進めるうちに 連続殺人犯の正体を突き止められるのは自分しかいないと気づく。 元ヴァイオリニストの自分しかできないその理由とは…。 その時代背景の恐ろしさと、残忍な殺人事件。 これらがうまく融合され、始終なんともいえない怖さがつきまとう作品。 冒頭の死体を発見するシーンからもう面白いなこの小説はと感じさせられ 見事読み終わるまでその印象は変わらなかった。 作者は本書がデビュー作で、今秋には本書の続編が刊行予定らしい。 そちらもぜひ翻訳して出してもらいたいなー。面白いの一言。おすすめです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「1951年、レニングラード」「線路に並べられた5つの死体」という帯の言葉が眼を引く。大戦後、スターリン支配下の共産国家の恐怖政治下の警察小説ということで、かなりの変わり玉だと思いつつ読んだのだが、期待通りの突然変異的な作品。どこにもないこの個性的作品に出会えたことはまさに収穫だった。 物語に未だ尾を引くナチスドイツとのレニングラード攻防戦について、作品では少なからず触れているが、兵糧攻めに合ったレニングラードは、長期に渡る攻防の下、圧倒的な飢餓に襲われ、その後遺症は物理的にも精神的にも戦後復興に向かおうとするこの都市には、まだまだ存分に吹き荒れていた。 スターリン指揮下の秘密警察による拉致と拷問と処刑の嵐が国中を席捲する中、人間同士の不信が高まり、少しでも油断すると密告され、疑獄の果ての処刑や行方不明へと繋がる。いわゆる足元からの危うさでいっぱいの恐怖時代と狂喜の如き国家制度の下で、本書登場の人間たちは一人残らず息苦しいほどの緊張を強いられる状況なのである。 警察官たちすら連れ去られると二度と帰らない。「線路に並べられた5つの死体」の警察官もほぼ全員が聖女の暗闇の中に消えてしまったため、捜査する者がいなくなり、レニングラード人民警察署のメンバーが雪を蹴立てて犯罪現場となった鉄路に赴く。五つの死体はすべて、指紋を採取すべき腕が切断され、全員の顔が剥がされ、完全な身元不明状態。ある者はレールに頭を乗せられ、ある者はレールの間に転がされている。 主人公の捜査官レヴォル・ロッセルは、かつて交響楽団のバイオリニストだったが、拷問を受けた際に左手の指を二本切断されたことで、楽器演奏ができなくなって久しい。この物語のタイトルが示すように、この奇妙な殺人死体は、音楽の世界にどこかで繋がっているかに思われる。 ロッセルの指を切断した拷問者ニキーチン少佐も本件に乗り出し、二人の奇妙な因縁のコンビはあろうことかこの運命の事件に、協力して捜査に絡んでゆく。凄まじい宿命の絡むこの事件を、遠い時代遠い向こう側の国に追いかけてゆくこのストーリー・テリングが凄まじい。格調高い芸術域に及ぶ音楽世界の語り口と、見えない影の国家による暴力の時代に真っ向踏み込んだ、逆境ミステリーの世界とが、ロッセルの眼を通して深刻に絡み合う。 対立と、処刑と、拷問と、裏切りと。凄まじい時代。歪んだ残酷な事件。それらを扱って、なお高い格調を保つ本小説は、フィリップ・カーによるナチス三部作の恐怖と緊張に満ちた捜査を思い起こさせる。二人の新人作家による極めて特異なシチュエイション設定が格別である。作家の一人は音楽家だそうだ。主人公ロッセルのモデルに投影された音楽への愛着には魂を込めているように感じられる。 各章の小題が音符で記されていることや、徐々に判明してゆく音楽との繋がり。眼を離せない伏線と、複雑な仕掛けに騙されつつ、ストーリーテリングの重厚な巧緻さに、最後には魂ごと持って行かれそうになった。当代における大変貴重な怪作として是非とも注目しておきたい作品である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
極寒の地で、線路上に5つの死体が並べられていた。 ロッセル警部補は、捜査を進めていくなかで、これらの死体と自分が無縁でないことに気づいていく——。 正直言って、難解な小説です。 ベリヤやショスタコーヴィチといった実在の人物が登場しますので、彼らがどういう人物なのか多少知っていれば少しは読みやすくなると思いますし、人民警察とMGBの関係などの知識があれば、なお良いでしょう。 それでも、独特の言い回しをそのまま日本語訳していることもあって、すらすら読み進めるのはなかなか大変です。 翻訳に関して言えば、もっと自然な日本語にしてほしいと思う一方で、こういう内容なのでそれも難しかっただろうと推測します(ところで、翻訳者はこれまで女性向け海外恋愛小説を多く翻訳されてきたようですが、そのようなジャンルではこのような翻訳調の言い回しが良しとされるのでしょうか…?)。 一部誤訳が見られるのは、残念でした。 例えば、123ページに、主人公のロッセルが学生時代の友人について冗談まじりにこう語る場面があります。 「もう何年も会っていない。〔…〕いま頃は〔…〕魅力的な司祭の妻の誘いに抗えず、ペルミ東部のどこかで岩を砕いてでもいるんじゃないのか」 私は最初、司祭の妻と関係をもったために採石場で強制労働に処されている、という冗談がなぜ冗談として成立するのか理解できませんでした。 無神教が猛威をふるっていたソヴィエトでは司祭の地位は特権的ではなくなっていました。また、正教会では司祭で妻帯が認められるのは在俗司祭のみ、しかも輔祭叙聖前に限られます。それを踏まえてもなお、先の台詞は理解できません。 なので、原文を確認してみました。 すると、「司祭の妻」にあたる箇所は「minister's wife」、つまり「大臣の妻」だったのです。 「大臣の妻と関係をもったから強制労働」という、なんてことない台詞だったわけです。 また、372ページ以降「文化人民副委員長」なる役職が出てきます(原文では「Deputy Kommissar for Culture」あるいは「Deputy Cultural Kommissar」)。 ソヴィエトの文脈で「Kommissar」は「委員長」ではなく「委員」です(例えば第二次大戦中のモロトフは外務人民委員、ベリヤは内務人民委員)。 したがって、「Deputy Kommissar」は「副委員長」ではなく「委員代理」と訳すべきです。 ソヴィエトの事情を多少知っている人がこの小説を読むと、こういう細かいところが気になってしまいます。 ソヴィエト事情の話ついでにもう一点だけ。 123ページに「国防省」なるものが出てきます。しかし、ソ連で国防省が設置されるのは1953年なので、51年を舞台とするこの小説で「国防省」が出てくるのはおかしいです(51年の時点で存在したのは軍事省)。 これは、翻訳の問題ではなく、原著の問題ですが。 気づいた点はまだありますが、長くなりますのでこれくらいにしておきます。 とにかく、ソヴィエトの事情を知らないと読み進めるのが大変で、知っていたら今度はこういう細かいところに引っかかってしまって進まない、という小説でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読み応えある歴史ミステリー大作。 スターリン政権下のレニングラードで起きた5件の猟奇殺人、 密告社会の恐ろしさをヴァイオリン奏者であった警部補があばいていくスリリングな作品。 大国ロシアの一つの形を知りうる資料としても興味深いです・・。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ロシア文学の長編を思うと、どうなんだろうと 思いつつ、レビューに惹かれて、読み出したら 止まらなくて一気に読み終えました。 日本語のタイトルが全く原題とは違っている ようですが、とにかく面白かった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
最後まで息つく間もなく、緊張しつつ読めた。 1951年のロシア、元ヴァイオリニストの人民警察警部補が主人公。彼は彼で、音学家としての道を閉ざした過去を背負っている。 はじめな慣れない歴史背景に戸惑ったが、飲み込めるようになると読むスピードが上がった。 ミステリーの感想はいつも、なにかネタバレがあってはならないと悩む。なので、明確に言えることとしては、面白いの一言に尽きるだろう。 面白いの一つの理由として、訳文がスムーズであることも挙げられる。 翻訳小説に置いて、翻訳者の文が好みに合致するかはかなり重要だが、この翻訳者の文章はかなり読みやすいと思った。 読むと夢中になって読んでしまう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1951年 レニングラード 歴史警察ミステリーという単語に惹かれて興味を持ちましたが、 思ったより歴史分が重くて楽しめました。歴史がただの背景と化しておらずむしろ物語と密着した関係で、 かといってミステリー分がないがしろにされているわけではない点は良かったです。 全く歴史背景が分からないと(レニングラードの包囲戦、ベリヤ、ソヴィエト等) 読んでいて面白味が薄れるかもしれません(このあたり親切な説明はなかったので 事前に頭にないと想像しにくい箇所もあります) ロシアの地名(レニングラード周辺)等いろいろ出てきてそれも楽しかったです。 460ページ位ありましたが、一気に読めるポテンシャルはありました。 同じ主人公で続きも刊行されるようなので、続きも読んでみたいと思えました。 普段ミステリー読まず歴史ものの方が好きという人にも良いと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1951年の旧ソ連のレニングラード(現サンクトペテルブルグ)で起きた猟奇殺人事件の物語。 第二次大戦の集結から僅か6年後、また2年半程の長きに渡ってドイツ軍の包囲下にあり困窮を極めたレニングラードが舞台ということもあって、未だ戦争の傷が癒えておらず、街の人々はそれらを引きずっている。さらにはスターリンの独裁、恐怖政治下がそれらに拍車をかける。それらと、また厳冬期ということもあり全体的に暗く重苦しい雰囲気のストーリーである。ちなみに、説明がないので分からない方がいるかもしれないが、作中にある大祖国戦争とは対ナチスドイツ戦のことである。 事件を捜査する主人公が素晴らしい推理力を持っているとかというわけではなく、また犯人に意外性があるというわけでもなかったのだが、読んでいてすごく感じたのは、映像が頭に浮かんできて、まるで映画を観ているかのように感じたことだ。表現力が巧みだとは特別に感じなかったのだが、何故かそのように感じた。展開や場面の切り替わりが本当に映画のようで、思わず巧いと感嘆する。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
翻訳が読みやすくて良いと思います。登場人物が比較的多く、日本人にはなじみのすくない地名、人名が頻出するので巻末に詳細な人物相関図や、簡易な地図を付けるとより理解しやすかったかとも思いました。音楽(音列というべきか)が物語の重要な伏線になっているので挿絵に楽譜があっても良いかもしれません。冒頭から凄惨な事件描写があり、社会を暴力が支配する時代を舞台にしているので、苦手な方にはおすすめしませんが、現代作家の長編ミステリーとして楽しく読むことができました。回収できていない伏線、少々無理のある音楽用語と物語の結び付け方など賛否あるかもあ入れませんが、続編や映像化など商業的な面を意識して作るのはわるいことではないとおもいます。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ベン・クリードの『血の葬送曲(City of Ghosts)』を読了した。思いもかけず、大変な作家のデビュー作にぶち当たったようだ。ある意味、その衝撃は、ジェフリー・ディーヴァーの『ボーン・コレクター』以来の大きさだった。これは、すごい作家だ。 1951年のスターリン恐怖政治下にあるレニングラードを舞台にしたミステリーなのだが、バックボーンに圧倒的な音楽的素養があるのに、まず驚いた。この作品では、スターリン恐怖政治下において、作曲家ショスタコーヴィチと指揮者ムラヴィンスキーの立ち位置が実に明確に表現されているのに、驚いた。ベン・クリードというのは二人の作者の合同ハンドル・ネームなのだが、この内の一人、バーニー・トンプソンは、サンクトペテルブルグ音楽院で指揮者イリヤ・ムーシンの元、2年間指導を受けていたとのこと。それが、このミステリーの土台をしっかりとしたものにしている。 この舞台になっているレニングラード(今のサンクトペテルブルグ)は、2019年に行っていて、街や通りの雰囲気なども、すごくよく頭に入っている。今でも、ソ連時代の影が建物の随所に残っていた。有名な作曲家や作家などが、この街のこの通りで過ごしていたなどといった説明を随分受けた。 このミステリーに多く登場してくる『キーロフ劇場』は、今の『マリインスキー劇場』のことだ。サンクトペテルブルグ同様、何度も何度もその名前を変えさせられている。そして、クラシック、分けてもバレエに詳しい方なら、この『マリインスキー劇場』こそ、ロシアのバレエ最高峰であり、あのヴァレリー・ゲルギエフが、1988年から(この時は、まだ『キーロフ劇場』だった訳だ)芸術監督に就任し、今や世界最高のオーケストラの一つになっていることは周知の事実だろう。 そして、この時代のロシアは音楽的才能が、世界で最も多く登場している。そういったものを知った上で読むと、この作品が実によくできているのが解る。 それ以外にも、作者の素養が随所に感じられる。天才作曲家として登場させているヴロンスキー。ヴロンスキーという名前は、トルストイの『アンナ・カレーニナ』に登場してくる人物だし、そういったロシアを彩る様々な要素が、この作品には散りばめられている。 凄い作家が出てきたものだ。2番目の作品として、『A Traitor 's Heart』という作品がリリースされるらしい。是非ともフォローしていきたい才能だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ロシアの独裁時代のミステリーです。 海外のミステリーはあまり読まないのですが 一気に読んでしまいました。 暴力的な圧迫感でロシアの恐怖を 肌で感じられて胸が締め付けられます。 音楽に詳しいとより面白いと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
1951年のレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)、密告と抑圧の跋扈するスターリン恐怖政治下のソヴィエトを舞台に、個人が如何に正気と正義を貫くかを問う、警察小説の紛れもない収穫。 拷問でヴァイオリニストとしての未来を奪われた主人公が捜査する猟奇殺人。発端から中盤までのテンポは緩やかだが、いささか唐突な中盤の展開を経て、一気に真相へと雪崩れ込むクライマックスの迫力は凄まじい。プロットの中心である、見立て殺人の斬新なヴァリエーションが単なる装飾では無く、犯行動機と密接に絡んでいる点が斬新。犯人像の特異さが大戦後のソヴィエトの権力闘争史と表裏一体を成していることも興味深い。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
矢張りこういう展開になるのだと思いながら読み進める。 もう少し時代背景を細かく描写できるとリアル感が出るのだけれど。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
巻末の解説で杉江松恋さんが小説『ゴーリキー・パーク』を挙げておられるのですが、たしかに似ています。事件の始まりはソックリです。しかし『ゴーリキー・パーク』は40年前の小説なので、そこに最新のミステリー小説とミステリー映画の知識と、音楽の知識を足している。時代設定は1951年ですが、いまの読者に向けた内容になっています。 (『ゴーリキー・パーク』の時代設定は1970年代後半で、本著の時代設定より後年ですが、小説としては、『ゴーリキー・パーク』の存在を踏まえて書かれているはずです)(『ゴーリキー・パーク』よりも本著のほうがいいという人もきっと多いと思います) 極寒のレニングラードで、線路上にきっちり横一列に並べられた男女5人の死体が発見される。顔の皮を剥がされ、歯も舌も抜かれている。眼を抜かれた者もいれば、残っている者もいる。死んでから衣装を着せられた者もいれば、裸の者もいる。5人の死体をどうやって運んだんだ? 単独犯か複数犯か? イカレた犯行なのに、きっちり並べる几帳面さを合わせ持っているこの犯人はいったい何者なのか? 事件を担当することになる民警のロッセル警部補は、双子の兄妹で、妹は18歳のときに失踪して依然として行方不明のままであり、死体の検分にあたるたびに妹じゃないのかとドキリとしている。 こういう物語です。 出だしこそ猟奇的で、ソ連(ロシア)の凍てつくような寒さと事件の冷酷さがシンクロしていて怖いのですが、「怖さ」よりも「語り口のうまさ」が勝ります。5人の身元が徐々に判明していき、この5人に繋がりはあるのか? 共通項はあるのか? という展開になっていくのですが、身元だけではなくて、死体が置かれていた場所と置き方にも事件を解明する鍵があるはずだとロッセル警部補は考えていきます。 ミステリー小説なので、あまり内容を明かすわけにもいきませんし、ボリュームがある長編小説なので、要約するのも難しいのですが、「なんでもいいから長編ミステリーを読んで、小説世界に浸ってみたい」という人にはピッタリだと思います。語り口のうまさと物語の魅力に唸ること請け合いです。『ゴーリキー・パーク』を読み終えた人の次の1冊としてもオススメです。 翻訳本としても読みやすいですし、飯田裕子さんによる表紙の絵も小説の雰囲気をバッチリ捉えていると思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この作品は、作家ベン・クリード(2人組による筆名だそう)のデビュー作だそうで、一昔前のロシアないしソ連の流れを汲みながら描かれるミステリー。 元ヴァイオリン奏者の警部補という中々凝ったキャラクターから切り開かれていくこの物語は、第1幕から終幕の6つに分かれた形で展開していきます。 デビュー作とは思えない密度で書かれており、かなり読み応えあります。ただ、個人的にはのめり込むまでに時間が掛かったようで、最後に辿り着くまでに中々時間を要してしまいました。お家時間が長くなる今だからこそ、こういうミステリーに手を出すのも悪くないような気もします。 時代背景等をもっと理解していると、現実世界とのリンクを見つけ出せてより面白いかとは思いますが、ロシアとかソ連とか、小学校の教科書レベルでしか知らないという人でも、一般の良質ミステリーとして楽しめるかと。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ソ連時代のレニングラードを舞台にしたミステリーです。 凄惨な事件、暴力の描写があるため、グロいのが苦手な方にはおすすめしませんが、 元音楽家の警部補が、自身の過去と向き合いながら、事件の謎を解いていく物語で 一気に読んでしまうほど面白かったです。 一件落着というすっきりした話ではなく原題City of Ghostのとおりもやもやした 終わり方でした。 映像化むずかしそうですが、音楽的な部分の理解がわかりづらかったので映像化 してくれたらなと思いました。 ベン・クリードというペンネーム(2名の合作)の作家のデビュー作だそうですが、 他の本も読んでみたくなりました。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!