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タイタン
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タイタンの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全42件 41~42 3/3ページ
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異質な知性であるタイタンとのやり取りを繰り返していき、終盤でかなり倒錯した結論えと至り、爽やかに終わる。それが素直に読んだ場合の印象なんだが、オチをどうとらえたものなのか実の所今も悩んでいる。 あのオチは最初の方の描写につながる物だが、その最序盤の展開があまりにも都合がよすぎる。 作中のある描写からして序盤のあの人物は「作られた」存在だったのではないのか、そもそも本来フォロー可能であったはずの危機をあえて放置しあのような迂遠な行動を登場人物達になぜ取らせたのか。 大々的に体制の移行をするためのものだったのではないか、 道中でのあの「遅れ」は意図的に発生させたものではないのか。 この作品、AI側が「人間邪魔だし俺らにだけ仕事させろ」と人間側を拒絶した森岡浩之の「無限のコイン」に限りなく近い代物ではないのか。 最後の方に出てくる「校閲版も併読したい」という台詞があるが、この校閲版のルビが「official fact check edition」なのもなかなかに不穏なものを感じる 素直に読むと星4点、だが本当はどう評価するべき作品なのか非常に悩ましい。 | ||||
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人類の代わりに各種の活動を担い、人々を仕事から解放したAI『タイタン』は国連開発計画の指揮下で、世界に散らせた12のハードウェア『知能拠点』の連携で成り立っています。その内の第二知能拠点『タイタン-コイオス』が原因不明の処理能力低下を起こすし、AIの気分障害だと推定した≪就労者≫ナレインは、その原因を探り治療すべく、これまで≪仕事≫などしたこともない心理学博士内匠を罠にかけてAIコイオスの心理コンサルティング業務を強制します。やむなく内匠はコイオスと≪仕事≫とは何かを問うことで彼の気分障害に挑みます。 ちょっと前はワーカホリック、最近ではブラック企業とか、≪仕事≫とどう向き合うかは現代人の大きな課題で、そこに寄り添った小説でもあります。 数カ月の会話、とんでもない展開と旅の果てで、内匠とAIコイオスは彼らなりの結論に至り、世界は次の一歩を踏み出します。めでたしめでたし。 ギリシャ神話のタイタン12神の設定を上手く使いながら、一気に読ませ、こっそり読者をミスリードし、最後に発想を逆転させるところは作者らしいですが、振り返るとあまり良い印象を持っていない自分がいます。 前半はとんでもない展開(その合理性には疑念があるものの大胆さには感服)を含めて各種の準備であり、先の展開を予想しながら地道に進んでいきます。後半で内匠とAIコイオスの二人が北海道からカムチャッカ半島、ベーリング海峡、アラスカを経てサンフランシスコまで旅するところで面白くなりました。ここは街や拠点に籠っていた人とAIが現実の世界をその目で直接知るところで、読んでいても行ってみたいなと感じさせてくれました。この部分が≪仕事≫の意味の探求、ひいては結末に大きく影響するのは納得です。まあ、辿り着いた≪仕事≫の意味自体は新鮮味はないですけれど。 最後に、内匠たちと国連開発計画の闘い、AIコイオスと他のAIとの会話が並行するところは手に汗握る場面なのですが、このAI同士の会話が受け入れにくい。この結果を得るためにこのような酷い会話が必然な気がしないので、酷さだけが読後の印象で強烈です。 冷めた目で見返すと、数少ない≪就労者≫でマネジメントの専門家というナレインによる最初の対策チーム編成は、最小構成を狙い過ぎたことから常に綱渡りを強い、終盤の国連開発計画の暗躍を招き、決してプロの仕事に思えません。また、最後の種明かしの後では第二知能拠点コイオスの処理能力低下で世界人口の12分の1に大きな危険をもたらすという最初の話が怪しげに見えることから物語全体に少し不信感が芽生えました。 ということで全体の感想は★2つですが、第4章「旅路」が良かった分で★1つおまけしました。 蛇足:AIコイオスが電球に似た形状の≪電球≫という名のジュネレータからエネルギー供給を受けているのは『トライガン』の『プラント』のイメージで、ここはニンマリ。 | ||||
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